特集

教育の情報化への支援体制と課題(2)



 前号に引き続き、教育の情報化の支援体制について、取り組み状況と今後の課題をアンケート形式で紹介します。今回は6大学に協力いただきました。アンケートにご協力いただきました大学の方々に深く感謝申し上げます。



広島修道大学

1キャンパス、4学部
昼間部学生数 5,783名
専任教員数 155名、専任職員数 111名

(1)支援の対応組織と意思決定組織

 教務部の下に視聴覚教室運営委員会があり、教材作成支援、マルチメディア教室およびAV教室の運営にあたる。全学の情報教育・研究環境の運営・整備のために、各学部選出の教員を委員とする情報センター委員会があり、情報センターの運営にあたる。一方、大学のネットワーク環境の戦略的整備と運営のため、副学長を委員長、学部長等を委員とするネットワーク管理委員会がある。学長をネットワーク管理者、情報センター長を運用責任者としている。

(2)教材資料の電子化

実施規模:教員が個別に取り組んでいる。
対応組織:視聴覚教室(マルチメディアラボ)(専任職員1名、派遣1名、アルバイト1名)
 マルチメディア教材作成全般について支援する。
問題点・今後の課題:積極的に取り組む教員が固定的で教員個別なので、教材の共有化まで至っていない。

(3)教材開発

実施規模:各教員が個別に取り組んでいる。一部の教員は教材をWWW上に置くなど、積極的利用が始まっている。
対応組織:サーバ管理の意味で情報センターが対応組織となっているが、教員独自にサーバを上げる場合もあり、その場合は本学ネットワーク管理規程に従う必要がある。
問題点・今後の課題:教材はネットワークによる公開が重要であるから、アクセス管理やセキュリティ確保が必要である。

(4)ヘルプデスク

実施規模と関連授業分野:全学部、情報演習室を使用する授業全般および全学生対象。
対応組織:教材作成に関して視聴覚教室、情報教育に関して情報センターの職員が対応。また、授業支援のために、情報センターで学生のTAを採用し、特に学期初めなどを中心に、担当教員の希望も加味して配置している。現在、順調に運営されている。

(5)PC(ノート含む)等機器管理

実施規模:情報センターの情報演習室内機器等の運用管理と維持。
対応組織:情報センターおよびセンターが指導する外注業者。外注業者は、特に毎学期開始前、ソフトウェアの維持・管理、授業に対応した環境の作り込みを行う。現在、順調に運営されている。

(6)学術情報の提供

実施規模:大学全体を対象。
対応組織:特に図書館・総合研究所がその支援を担当。図書館は資料文献検索や特定の専門分野のCD-ROMサーバを運用し、ネットワークから利用可能にしている。総合研究所は特に総合的または専門的な研究に対応して学術情報を収集・整備している。

(7)学生へのリテラシー教育

実施規模、学部、回数:各学部新入生(約1,500名)
商・法学部[情報処理入門(半期2単位)]、人文学部[情報処理I・II・III(半期1単位)、コンピュータ入門I・II・III(半期1単位)]、経済科学部[コンピュータ入門I・II(半期2単位)]など。情報センター内情報演習室で実施される。
問題点・今後の課題:新学習指導要領による高校課程修了の2006年入学者への対応の検討を開始し、方向性としては、高校での情報教育の多様化に対応してきめ細かいカリキュラムの展開が必要であると考える。

(8)リテラシーに関するファカルティディベロップメント

実施規模と回数:全学教職員対象に電子メールの利用などネットワーク初級講習会を必要に応じて実施している。学部単位で教員対象のホームページ作成講習会も実施している。
対応組織:情報センター。2002年度から、教員対象のヘルプデスク(リテラシレベル)を設置し、よりきめ細かい支援体制を取る予定である。

(9)著作権処理関係

 図書館関係で話題には出るようであるが、現状では系統的対応はしていないと思う。

(10)その他の実施内容

 遠隔授業の準備として、1999年2月、本学・アリゾナ州立大学間の衛星インターネットによる講義配信実験を実施した。また、現在、近隣の広島市立大学と共同で、無線リンクによる遠隔授業実験を開始している。これらの実験は情報センターが支援している。

(11)今後の予定・将来構想

 教材のデジタル・マルチメディア化は必須の動向であり、これらは一般にインターネットを含むネットワークで利用可能でなければならない。現在、本学は県内大学間単位互換制度を積極的に推進している。これら制度的な整備が進み、近い将来、ネットワークを利用した遠隔授業が実施されると思われる。情報センターではこれらの動向に積極的に対応すべく、ネットワークの高速化など情報環境の継続的整備を行う予定である。

(12)支援体制について貴学で知りたいこと

 文部科学省や私情協には、地方を切り捨てないネットワーク整備の推進をお願いしたい。また、遠隔授業の実施など、複数の私立大学間での共同事業に対する支援の枠組を検討いただきたい。

回答者:廣光・今本(情報センター)、室田(教務課)
Email:imamoto@shudo-u.ac.jp
支援体制についての関連URL:http://www.shudo-u.ac.jp


中部大学

1キャンパス、5学部、昼間部学生数 7,933名
専任教員数 205名、専任職員数 192名

(1)支援の対応組織と意思決定組織

 副学長を委員長とする全学的な情報化を審議する21名の委員からなる「情報化推進委員会」がある。
 この委員会では、具体的な検討を必要とする案件が生じたときには、そのもとに学内の有識者・専門家からなる小委員会(現在3委員会)が編成され、立案が行われる。
 全学の共同利用施設である学術情報センターでは、14名の委員からなる運営委員会があり、センター利用のルールの策定等にあたっている。その決定をもとにセンター長以下職員(7名)、補助職員(2名)、TA(17名)、学生アルバイト(14名)で教員の教育・研究活動、そして学生の学習への支援を行っている。この他、各学部には専用の情報施設があり、それぞれ学部長、センター長等のもとであり方の意思決定やユーザーへの支援が行われている。

(2)教材資料の電子化

実施規模、授業分野:全学対象、全授業科目対象。
 今年度は、延べ83科目の授業でWeb教材を使用。
対応組織、人数:学術情報センター(直接的支援は専任職員1名)。Webによる教材作成支援、その他電子化への技術的支援を行っている。
問題点・今後の課題:学生が効果的にWebによる学習を行うには、さらに多くの教員による授業科目への展開が望ましい。このため、さらにきめ細かい支援を行うことが必要であると考えている。

(3)教材開発

 電子化教材の開発支援は、個別に教員を支援している。なお、電子化教材の開発環境として、授業の録画と内容の断片化、そしてデータベース化を行うシステムの整備を始めており、教材開発の一モデルとして公開する予定である。このようなシステムの教育上の効果が確認できれば、系統的な学習体系をもつシステムへと発展ことが期待できる。

(4)ヘルプデスク

実施規模、授業分野:全学部、全授業科目
学生数・教職員数:全学生、全教員
対応組織と人数:学術情報センター(専任職員6名、TA(17名)、アルバイト(14名)
 センターには、四つの実習室と一つの自習室がある。これらの部屋で学習中の学生のコンピュータに関する質問や相談に応じている。また、自習室にはTAを配置した質問コーナーを常設している。なお、教員に対しても電話、電子メールによる相談はもとより、研究室に出向いての相談も多くなされている。
問題点・今後の課題:専任職員による技術的支援においては、その活動に対する職務としての明確な評価がなされておらず、これらの支援に対する評価を行う基準を具体化する必要がある。また、大学院生によるTA制度も個々の学生のスキルに大きな差があり、ある程度の基準を設けた採用が必要であろう。

(5)PC(ノート含む)等機器管理

実施規模・コマ数・分野:4実習室(約470台)、146コマ、全分野(平成13年度)
使用授業の学生数・教員数:学生延べ6,050名、教員延べ146名(平成13年度)
対応組織と人数:学術情報センター(専任職員6名、TA17名、学生アルバイト14名)
問題点・今後の課題:当該組織には、実習用PCおよび研究者用EWSなど多くあり、職員一人当たり100台を超える機器を管理している。これらの機器をいつでも使える状態に維持するのは困難な状況を迎えつつある。

(6)学生へのリテラシー教育

実施規模、対象学生数、学部分野:今年度の状況は32クラス、2,204名、全学部(1年生)
実施回数:各クラス13回
対応組織と人数:工学部情報教室(専任5名・内兼務3名、非常勤3名)
問題点・今後の課題:全学生への前期一斉開講が求められており、人的・設備的問題点への解決を模索しなければならない。また、初・中等教育段階における情報教育の進展への対応として、進度別クラスのあり方などの検討が必要となってくるであろう。

(7)リテラシーに関するファカルティディベロップメント

実施規模と回数:年2回(春季・夏季)開催し、各回10名程度の教員が参加。
 Web教材の作成、教室における教材提示のための電子化を支援する講習会をしている。この他、場合によっては臨時でも開催し、必要とあれば個別に場を設けている。講習には専用の部屋を設けており、教員が自分で作業を進めることもできる。

(8)著作権処理関係

 Web教材の展開にあたって、著作権問題は重要な課題であると認識している。しかし、専門のスタッフを配置することは困難であり、教員各自の責任のもとで実施しているのが現状である。

回答者:水島章次、杉山恵子(学術情報センター)
E-mail:mizusima@isc.chubu.ac.jp, kei@isc.chubu.ac.jp


名古屋学院大学

1キャンパス、3学部、昼間部学生数 4,770名
専任教員数 113名、専任職員数 71名

(1)支援の対応組織と意思決定組織

 本学における情報化推進のプロセスにおいては、学長を委員長とする学部・事務部署の横断的な委員会が様々な戦略を練り、これらの実施に向けて情報教育センター運営委員会(情報教育センター長、各学部2〜3名、情報教育センター室長、教務課課長)が中心となって戦術を策定する。情報教育支援策についても、このような段階を踏む。情報教育支援の実践は、主に情報教育センター職員(専任職員2名ならびに外部委託)および学生アシスタント(約10名)が行っている。

(2)教材資料の電子化および教材開発

 教員個人および小グループによる対応が主である。しかし、情報教育センターが中心となってコンピュータ・ネットワークに基づく教育支援システム、ならびに自学自習システムを開発するとともに、教材開発のためのマルチメディア機器を導入し、これらを通じて教材開発推進を図っている。

(3)ヘルプデスク

実施規模:全学生対象
対応組織:情報教育センター・スタッフ、学生アシスタント、委託業者
 本学は、学部いかんにかかわらず、すべての新入生にノート・パソコンを配布している。学生一人一人に対する支援内容としては、講義等における教員によるものを除くと、ノート・パソコンの修理等、ネットワークなどの情報機器操作の指導などがあげられる。学生アシスタントによる支援の範囲拡大に向けて、情報教育センター職員が中心となって、アシスタント同士の自発的な知識移転の促進などの組織化推進を図っている。

(4)PC(ノート含む)等機器管理

実施規模:全学生対象
対応組織:情報教育センター、委託業者
 既述のように、本学は、すべての学生にノート・パソコンを配布している。かかるノート・パソコンの修理等は、基本的に委託業者にお願いしている。教室等に導入した情報機器の管理については、情報教育センターがあたっている。
問題点・今後の課題:情報教育支援の促進においては、情報教育センター専任職員をはじめとするスタッフの人数の少なさが問題となる。

(5)学術情報の提供

 本学における学術情報の提供方法は、現在のところ、教員個人によるWeb上の研究成果公開が中心になっている。

(6)学生へのリテラシー教育

実施規模:全学部の1年生
 本学では、情報処理の基礎知識ならびに基礎技術の早期修得に向けて、1年次配当の全学共通教育講義科目の中に「情報処理入門」、「コンピュータ・コミュニケーション」等の多様な情報関連講義を配置している。

(7)リテラシーに関するファカルティ・ディベロップメント

 本年度では2〜3のプロジェクト(期間はいずれも1年)を編成した。

(8)著作権処理関係

 本学にとっても待ったなしの課題である。現在は、関連資料や他大学における対応などの情報収集を行っている。

回答者:皆川 芳輝(情報教育センター長)
E-mail:minagawa@ngu.ac.jp


立教大学

2キャンパス、7学部、昼間部学生数約15,000名
専任教員数約350名、専任職員数約250名

(1)支援の対応組織と意思決定組織

 教育の情報化への支援体制としては、メディアセンターが組織されている。メディアセンターは教室の機器備品(AV、LL)使用のサポートや教育研究の情報化支援を行っている。情報関係の担当者は兼任教員2名、専任職員3名、派遣3名、学生アルバイト20名で行っている。
 情報関係の意思決定組織としては、全学的な組織である情報企画委員会(20名)が行っている。教育研究や図書館、事務等のシステム導入など検討事項が多いときには、小委員会を組織し原案を作成する。

(2)教材資料の電子化

実施規模:大学全体
対応組織と人数:メディアセンター(兼任教員2名、専任職員3名、派遣3名、学生アルバイト20名)
 コンテンツ小委員会が担当し、教材のWeb化や各回の授業内容要旨の電子化(テキスト化)について支援を行っている。約60名の専任教員が支援を受けている。

(3)教材開発

 各教員は各自の責任で教材を作成しているが、より効果的な教材開発の体制整備が必要である。

(4)ヘルプデスク

実施規模:大学全体、学部単位
対応組織:全学的対応はメディアセンターで、学部・学科単位では学科の助手が行っている。

(5)PC(ノート含む)等機器管理

対応組織:全学対応はメディアセンター、学部・学科はそれぞれ独自対応。
 全学、学部、学科、いずれにおいてもスタッフが不足している。

(6)学術情報の提供

対応組織と人数:図書館(専任職員2名、派遣1名)
 インターネット上の有料データベースやCD-ROMを学内LAN上で提供を行っている。

(7)学生へのリテラシー教育

対応組織:メディアセンター
 各学部のカリキュラムで行っている。また、メディアセンター主催の講習会(MS-Word、MS-Excel等)も行っている。

(8)リテラシーに関するファカルティ ディベロップメント

 メディアセンターで、Word、Excel、電子メールなどの基礎的なシステムの使い方、およびホームページの作成等について個別に支援している。

(9)著作権処理関係

 情報倫理教育の中で行っている。教材利用に柔軟な対応があると教育効果が上がる。

(10)今後の予定・将来構想

 マルチメディアへの対応が必要と考えている。

回答者:毛利 立夫(メディアセンター)
E-mail:mouri@rikkyo.ac.jp


流通経済大学

1キャンパス、4学部、昼間学生数 5,760名
専任教員数134名、専任職員数72名

(1)支援の対応組織と意思決定組織

総合情報センター運営委員会:(教職員12名)
 学園の情報戦略に対応し総合情報センターの業務計画及び執行に関する事項などを審議する。
総合情報センター:(専任職6人、パート3名)
情報ネットワークによる総合的情報環境を整備し利用を図ることにより、学生の学習環境、教員の教育・研究活動を支援する。

(2)教材資料の電子化

 本学(RKU)では、独自に開発した<新>学習環境・キャンパスコミュニティ「Ring」(RKU Interchange for Groups)を教材の電子化の中心に位置付けている。
 全学生は4年間を通していずれかのゼミに所属しており、「Ring」はゼミ(演習型授業)体制の情報化を図るため、すべてのゼミ単位(約300)にグループウェアを運用し、全学体制で行っている本学独自の試みである。
 「Ring」は、ゼミ単位と個人別の二つの「e-desk」で構成されている。

  1. ゼミ単位「e-desk」
    学生はインターネットから教材や課題を受け取り、教員と質疑応答が行える。「バーチャル・ゼミ」や「リアルタイム・ミーティング」等のコミュニケーション媒体では、ゼミ内の情報発信量が増加している。また、Web利用を基本としており、学生は自宅から、教員は海外からもゼミに参加でき、今後、活用領域がますます広がるものと期待される。
  2. 個人別「e-desk」
    電子メールやインターネット検索に加え、図書館の目録検索や各種の課外講習会への参加申し込み、就職活動情報の閲覧が可能である。また、自分が履修した科目についての休講・補講情報を携帯電話からも確認できる。
今後の課題:課外活動のクラブ単位でも利用され始めており、今後は、講義科目でも使えるようにし、さらに学生と教員のコミュニケーションの場を増やしたい。このため、学生を中心とした諸活動に対応した整備を進めていくことが課題となる。

(3)教材開発

実施規模:大学全体
対応組織と人数:情報システム課職員、ヘルプデスクアシスタント(7名)で編纂作業を行っている。
 教員は各自の責任において教材を開発作成しており、Webへの対応では、独自のホームページを持たない教員のために標準仕様ホームページを提供している。専任教員は全員ホームページを開設し、授業の進行に応じたシラバスなどを提供できる。なお、冊子の形態(CR-ROM付)のシラバスは、科目の特徴を掲載する程度にとどめている。また、総合情報センターでは、Ringやパソコン基礎・応用などの操作ガイドシリーズ15編を独自に編纂している。
問題点・今後の課題:より分かりやすく、自習を促せる表現の研究。

(4)ヘルプデスク

実施規模:大学全体
対応組織と人数:

  1. 情報システム課員(4名)、ヘルプデスクアシスタント(3名)
  2. 授業補助のため、大学院生(6名)をティーチングアシスタントとして採用
    センター内に「利用相談室」を設置、学生・教職員からの相談に対応し、以下の内容を行う。
     <1>関連授業の指導補助
     <2>パソコン各種講習会の企画、講師担当
     <3>パソコンの操作指導
     <4>本学オリジナルの操作ガイドシリーズの編纂補助
     <5>器類の点検補助
問題点:構成員の知識、スキルレベルの向上をいかに図るかが挙げられる。

(5)PC(ノートを含む)等の機器管理

使用授業の学生数・教職員数:入学と同時に全員にIDおよびパスワードを付与し 、授業以外にパソコンを自由に使える環境にしている。
 全教員研究室にもパソコンを設置しており、学生・教員用に計約700台のパソコンを管理している。
対応組織と人数:情報システム課員(7名)
問題点・今後の課題:全システムの正常稼動状態の確認と維持、およびセキュリティ対策。

(6)情報の提供

 学内LANを経由して国立情報学研究所へのアクセスおよび学内図書館サーバへ蔵書検索が可能。

(7)学生へのリテラシー教育

 全学生を対象とし、通常の情報教育関連科目は学部・学科単位で授業を行っている。
 総合情報センター主催の「Ring」、パソコン操作および情報関係、旅行業務の資格取得の講習会を年間通して開催している。
実施回数:総合情報センター主催、年間延べ約105回
対応組織と人数:情報システム課員(4名)、ヘルプデスクアシスタント(3名)、外部講師(3名)

(8)リテラシーに関するファカルティディベロップメント

実施規模:大学全体
 「Ring」による授業改革をファカルティディベロップメントの一環とし、学期前に教員向けの講習会を開催している。また、学部の枠を越えた教員の参加を得て、情報交換会を実施している。

(9)著作権処理関係

 文部科学省が研究実験中である教育衛星通ネットワークの遠隔教育el-netに4名の教員が講師として参加しつつ、マルチメディア教材の著作権問題について、実務的に問題点を解決中である。

(10)その他の実施内容

 入試、学籍基本情報から卒業後の就職情報までの学生関連情報と結合した学生の学習生活情報環境と教員の教育研究支援を高度化しながら、業務処理の効率化を図っている。

(11)今後の予定・将来構想

 一般教室の情報環境のための研究と整備

(12)支援体制について貴学で知りたいこと

 教員のマルチメディア教材の作成能力を向上するための方策。

回答者:市川  新(総合情報センター長)
E-mail:ichikawa@rku.ac.jp
支援体制についての関連URL:http://www.rku.ac.jp


大阪学院大学

1キャンパス、8学部、昼間部学生数 約12,000名
専任教員数 約250名、専任職員数 約180名

(1)教材資料の電子化

実施規模、授業分野:大学全体
学生数・教職員数:教員(約120名)
対応組織と人数:メディアラボ(派遣3名)
 科目毎に電子化された教材をネットワーク上に登録できるように、教育支援システム「Caddie」(MIT開発)を本年5月に導入しており、学生は授業時間以外でも学内からアクセスし、教材のダウンロード、ディスカッションや課題の提出等ができるようになった。現在、約100の科目で利用されている(教員35名が利用)。
 学生が教材をダウンロードできるようにパソコン実習室やラウンジにはMOとCD/RW内蔵のパソコンを設置するなどEラーニングの環境整備をしている。このシステム導入後、教員からの教材電子化に関する問合せや相談が増えている。そこで、教員に対して、「Caddie」システムの操作説明、教材の電子化に関するサポートならびにワークショップを実施。また、教育用の新システムやアプリケーションの紹介やデモを行っている。
問題点・今後の課題:教材の電子化において、オーディオや映像の編集・制作機器の充実。

(2)教材開発

授業分野:英語教育
対応組織と人数:教職員(約10名)
 現在、語学教材を開発中。マルチメディア技術を用いたCD-ROMやテキストの制作とネットワーク上でWebベースのバーチャル授業や双方向コミュニケーションを可能にする教育コンテンツを構築中。
 マルチメディアやネットワーク活用に関する技術的な支援を行っている。
問題点・今後の課題:教材開発のマルチメディア化や教育効果を高めるために、ネットワーク活用がますます重要になってきている。クオリティの高い開発支援を行うためには、創造性や技術力に優れたサポートスタッフが必要。

(3)ヘルプデスク

実施規模、授業分野:大学全体
学生数・教職員数:全教員・学生
対応組織と人数:

  1. 教員対象:メディアラボ(派遣3名)
  2. 学生対象:
    <1>メディアセンター受付カウンター(派遣1名)ではネットワークやコンピュータ利用に関する全般的なサポートを行っている。
    <2>マルチメディア施設「MELOP」(派遣約15名)
    では、自由利用エリアの他、講習会エリアで、月曜から金曜日まで1日3コマのIT講習会を実施。また音楽・映像編集制作などのマルチメディア講習会を実施するなど、情報教育の基礎から応用まで指導している。
    <3>パソコン実習室にはTA(派遣16名)を配置し、授業時間以外の開放時に、学生からの授業内容に関する質問に対応できるようにしている。
問題点・今後の課題:学内どこからでもヘルプが受けられるようネットワークを使った双方向バーチャルヘルプデスクを検討中。

(4)その他の実施内容

  1. 学内ネットワークの高速化(ギガビットネットワーク)により、動画配信が可能。学内3,500個の情報コンセントからVODシステムが利用できる。さらに、新学舎2号館では教室の全座席やラウンジ等にDHCP対応情報コンセントを設置。学生がノートパソコンを持ち込んで授業を受けることができる環境を作っている。また、遠隔教育を実施できる教室もある。
  2. 学内情報サービス-->学内ネットワークを利用して、個人データに基づく試験情報・就職情報・休講情報・学内掲示板等の情報を学内のどこからでも入手することができる。また、携帯電話を利用して、学外からでもこれらの情報を閲覧したり、電子メールにて就職情報や休講情報等を受け取ることができる。
  3. 学内の研究室フロアには、教員の研究室在室状況を表示するプラズマディスプレイを設置。入力は各研究室の受付カウンターに備えられたタッチパネルか各自のパソコンでできる。学生は、学内のパソコンから研究室の在室状況が閲覧できる。また、検索・伝言機能もあり、自分の履修している科目の教員だけを表示するなど多くの機能を持つ。

回答者:高橋 誠(庶務課メディア係)
E-mail:media@uta.osaka-gu.ac.jp



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