私情協ニュース2

平成13年度 私立大学教員による情報機器を利用した授業改善に関する調査の報告(一部抜粋)


平成14年5月 社団法人私立大学情報教育協会



 平成13年10月下旬に「平成13年度私立大学教員による情報機器を活用した授業改善に関する調査」を実施いたしました。調査の報告(一部抜粋)を掲載いたします。報告全文については、今後私情協のWebに掲載する予定にしております。

※調査対象: 本協会加盟の大学・短期大学における全専任教員(講師以上)58,231名
  大   学 318校  
52,526名 (全私立大学の65%)
5,705名 (全私立短期大学の43%)
  短期大学 183校  
※調査実施時期:平成13年10月下旬
※回答規模: 大   学 315校
(全私大の6割)   教員 22,333名 (全私立大学の28%)
(全私短大の4割)     2,880名 (全私立短期大学の22%)
  短期大学 173校
※調査の概要: 教員による授業改善への考え方とコンピュータ、ネットワークの使用状況と今後の計画、授業で使用する教材・資料など教育用コンテンツ電子化の状況、教育効果と問題点を踏まえ、教育の情報化の方向性と大学に必要な教育環境、支援体制の姿を浮き彫りにし、授業改革の処方箋を大学・短期大学の管理運営責任者に提示して理解を呼びかけることにした。


1.授業で直面する問題点

基礎学力の低下が進む

 授業で直面している問題は、大学、短期大学とも3年前と比べると「基礎学力の低下」が顕著となってきている。  大学の3年前は、問題点は「発言・質問が少ない」、「ディスカッション能力の不足」、「基礎学力の不足」の順となっていたが、現在では、発言・質問が少ないとの指摘はやや少なくなり、「基礎学力の不足」がクローズアップしてきている。短期大学ではさらに顕著で、3年前と逆転している。この問題は、学力の低下が進行していることを表しており、学生の個人指導が思うように行えないという悩みを訴えている。

授業運営における主な問題点の推移


2.実現したい授業

「教える授業」から「学ぶ授業」へ

 授業での問題点克服の方法としては、7割が一方通行的に教える授業ではなく、学生が主体的に学習するような授業を望んでいる。また、3割から4割が(1)学生と個別にコミュニケーション(インタラクティブ)をとることと、(2)事前・事後学習の徹底、(3)音声・動画を活用した動機付け教育を望んでおり、これまでの「教える授業」から「学生が学ぶ授業へ転換することが極めて重要であるとしている。その工夫として、対話しながら授業を進めること、教室外での学習の徹底、動機付け教育の実施などが授業改善に向けての共通認識となっている。

教員が実現したいと考えている授業
教員が実現したいと考えている授業大学
(21,841名)
短大
(2,814名)
(1) 事前・事後学習を徹底させたい
8,253
37.8%
998
35.5%
(2) 教室の授業はもとより、学生が何時でも
何処でも学習できるようにしたい
6,035
27.6%
911
32.4%
(3) 授業中に理解度を直ちに把握したい
5,155
23.6%
576
20.5%
(4) 個々の学生とインタラクティブな授業
をしたい
9,504
43.5%
1,149
40.8%
(5) 視聴覚教材を活用して動機付け教育を
充実したい
7,688
35.2%
1,148
40.8%
(6) 学生に教える授業から"学生が主体的
に学ぶ授業にしたい"
14,920
68.3%
2,046
72.7%
(7) 大学間で授業のコンペティションを行い、
学生の学習意欲を刺激したい
1,149
5.3%
139
4.9%
(8) 教材の相互利用により教育用コンテンツ
の整備充実を図りたい
2,988
13.7%
375
13.3%
(9) 授業をオープン化して社会からの意見を
取り入れながら授業をおこないたい
2,011
9.2%
302
10.7%
(10) 海外の大学と連携して、教育の国際
通用性を高めたい(大学院含む)
2,022
9.3%
139
4.9%
(11) その他
684
3.1%
72
2.6%
無回答49266
総計22,3332,880


3.授業運営に情報機器を使用する教員

3割以上が使用

 授業で使用している教員の割合は、今回の調査結果に3年前回答の調査結果(回答者の重複が無いもので)を加えて見てみると、大学で約3割、短期大学では4割に近い状況となっている。少なく見ても3年間に大学は教員全体の1割以上、短期大学では1割5分以上が授業で情報機器を使用するようになっている。この傾向は教員の年齢構成をも考慮すると、さらに高まるものと思われる。

授業運営に情報機器を使用している教員
区分 全専任教員数      13年度現在の情報機器使用教員 10年度使用
教員の割合
13年度の情報
機器使用教員
10年度使用して
いる教員で今回
回答の無い方
合 計
加盟大学 52,526名 11,869 3,574 15,443(29%) (18%)
加盟短大 5,705名 1,372 764 2,136(37%) (22%)


4.情報機器を使用しない理由

「効果が無い」が減少、 「IT能力不足」と「情報環境」が増加

 大学、短期大学とも、3年前は「効果が無い」と思っている教員が6割5分、「条件が整えば使用する」3割5分となっていたが、3年後では、大学では「効果が無い」、「条件が整えば使用する」がともに5割となり、1割5分の教員が使用したくても使用できないという状況になっている。短期大学では更に大学の財政問題等もあり、使用したくても使用できない教員が2割程度増加している。これは、情報機器を授業改善に活用しようとする教員の意識が極めて高くなってきていると伺える半面、大学側の教育政策に大きく起因する問題であり、ファカルティー・ディベロップメントの中で解決していかねばならない問題であろう。

情報機器を使用しない理由


5−1.授業での情報機器の使用目的(現状)

現状では、資料提示、情報検索、レポート提出が中心

 大学における情報機器の使用状況は、現在のところ、1位がスライド提示、2位がインターネット検索、3位がコミュニケーションとなっている。これは全ての学系に共通している。短期大学では、順位が異なり1位がインターネット検索、2位がコミュニケーション、3位がスライド提示となっている。ただし、Webを活用した自学自習は大学では2割、短大では1割5分となっており、何時でも何処でも学習できるe-ラーニングへの取組みが見られる。また、新しい試みとして、割合は少ないが、大学では遠隔授業などへの取り組みも見られるようになった。特徴的な使用内容を見てみると、学生とのインタラクティブを確保するために、小テストの実施、チャット(ネットワーク上で行うリアルタイムの筆談形式の会話)での発言をスクリーンに投影するなどの方法で学生の反応を把握する授業が大学では1割、短期大学では1割5分と増えつつある。


5−2.授業での情報機器の使用目的(3年後)

3年後は、話題にされていない使用方法が日常化

 3年後は、大学・短期大学の各学系とも、現在ではほとんど話題にされていない使用方法が日常的になっている。特に顕著な傾向は、Webページを活用したe-ラーニングによる個人学習が一般的になるとともに、携帯端末による授業中の反応や理解度把握、さらには、ネットワークを駆使して教員1人では実現できない授業、例えば、学外の専門家の支援を受けた講評授業や体験情報等の学内に無い新しい知見を取り入れる授業、オンデマンドによる国内外の大学との遠隔授業などが目白押しに展開されてくると思われる。以上の傾向は学系によってあまり差異が無いが、理学、工学系は擬似環境の中で小実験を行い概念理解させるシミュレーション授業にウェイトが置かれている。また、芸術系では、社会に通用する授業内容を目指すため、ネットワークによる講評授業に大きなウェイトが置かれている。

3年後の情報機器使用計画[現状に比べて3年後の伸びが顕著なもの]

教育のオープン化を意識した授業が進む

● 授業での具体的な使用計画の主な例


6−1.授業で情報機器を使用した際の効果

理解度が高まる

 情報機器使用の効果は、大学、短期大学とも、「理解力向上」に効果を認めている。3年前と比べると、大学、短期大学で1割高くなっており、教育効果が顕著となってきている。なお、主体的な学習への効果については、大学の学系により減少している場合があるが、これは、3年前は情報機器に触れるだけで学習意欲が向上したことによると思われるが、3年後の現在では情報機器ではなく、Web上でe-ラーニングできる環境を整備しないと主体的な学習が実現しないことによるものであろう。また、当然のことながら授業運営やその準備にも効果があるとしており、情報機器の使用が授業改善に欠かせない手段となっている。なお、資料準備の負担度合いについては、2割程度、効果を意識しない結果となっているが、この現象は、授業での使用頻度が増えたことにより、教員の負担が大きくなっていることを表している。


6−2.授業で情報機器を使用した際の問題点

ノートをとらない、教員の負担が増加

 効果があるという反面、「ノートをとらない」と指摘する教員が3年前と比べると、大学では2割台から4割台に、短期大学では2割台から3割台と顕著になってきている。このことは、「理解しているようで理解していない」という選択肢においても3割の教員が指摘し、ノートをとらなくなってきていることの影響を不安視している。また、大学で4割、短期大学で3割が教員負担の問題を取り上げている。コンテンツ電子化の高度化が進めば進むほど、教員に多くの負担がかかることから、学生アシスタントや職員による支援グループを設ける等、組織的な検討と取り組みが求められてこよう。
 なお、問題点について特に記述を求めたところ、以下のような問題が指摘された。

<理解力・学習意欲の問題>

現実と非現実の区別がつかない学生がいる。(日本文学)
学生個々の主体性の差が顕著になった。(外国語学)
文字数が多い資料を読まなくなった。(電気工学)
発表の際、安易にインターネットに頼りすぎ、本も読まない学生がいる。(外国語学)
インターネットの情報を不確かなものまで学術的に有用な情報と勘違いして、ほとんど丸写しのレポートを完成したと思い込む傾向がある。厚い本を読むことを嫌がり、ネット上の概略的知識だけで事を済ませようとする。(経済学)
機器に頼りすぐに結果を求める。(教育学)
安直な方法論に陥りやすく、深い洞察力が養えない。(経営学)
直接体験を軽視する傾向がある。(保育学) 

<授業運営の問題>

配布資料の要求が増えた。(日本文学)
学生間の交流がなくなった。(宗教学)
討論の機会が減少した。(経済学)
ネットに授業内容を公開したら学生が授業に出てこなくなった。(経済学)
先生の話より教材のヒントを読んでいる。(経営学)
手書きレポートを禁止したところ、1名が作成したファイルのコピーと思われる複数のレポートが提出された。(商学)
学生に操作を教えることに時間を奪われてしまう。ティーチングアシスタントの数が十分であれば改善の可能性はあるが、講義時間外における学内端末の開放と合わせて実現しなければ効果は望めない。(法律学)

<教員側の問題>

学生の指導を電子メールで始めたら、家に帰ってもずっと指導に追われてしまい、休む間がなくなった。(心理学)
授業で使用するコンテンツが不足している。(外国語学)
患者シミュレータで表現できる状態と現場の違いを理解させるのに困難を感じる。(医学)
講義が早いと文句が出る。(社会学)
PowerPointのスライドを表示して授業を行っていたが、学生から「暗くて先生の顔が見えず、どこが重要なポイントなのか先生の意思が伝わってこない」、「スライド丸写しの授業になってしまい肝心なところの板書ができない」、「先生に顔を覚えてもらえない」などの意見があったので、現在では従来の対話型授業に戻した。(社会学)
ノートを取れないとのクレームが出る。(経営情報学)

<情報環境の問題>

教室を暗くするとノートがとれない。(社会学)
教室によって情報機器の性能が異なり、常に同じ状態で授業ができるとは限らない。(文学)
自宅からインターネットに接続できる学生とそうでない学生の格差が大きい。(国際文化学)
機器やソフトウェアが高価で自宅では学習できない。(美術)
情報機器の操作に時間がかかりリズムが崩れたり、暗幕を閉じたり、使い勝手が悪い。(経営学)
後ろの席からスクリーンが見えない。(農芸化学)
視力の弱い学生への対応が必要。(文学部)

7.授業で情報機器を使用する場合の教材・資料の電子化

コンテンツの電子化は意外に進んでいない

 教材資料を電子化している教員は、大学では6割5分、短期大学では5割となっており、授業に情報機器を使用している教員全員がコンテンツの電子化を行っているわけではない。

電子化していない理由
 5分の1は必要が無いとしており、リテラシー能力の不足、環境・支援体制の不備を合わせると6割以上となっている。このことは、条件が整えば電子化が可能であることを示唆している。コンテンツの電子化は、授業の成否を左右することにもなることから、大学全体で教育ポリシーの面からこの問題を真剣に考える必要がある。財政的な問題については、補助金を活用することが重要であるが、教員の殆どはコンテンツの電子化に補助金を活用できることを知らないので、補助金に関する情報について教員に十分連絡し、準備を呼びかける必要がある。

区  分 大学 短大
(1) 電子化の必要はない 22% 22%
(2) 自身に電子化のための情報技術がない 31% 36%
(3) 電子化のための大学の環境・支援体制が不十分 35% 32%
(4) 他 12% 10%

コンテンツの種類
 文字・静止画などのスライド3分の1、Webページ2割、データベース1割、シミュレーション等ソフトウェア1割、シラバス2割となっている。今後、電子教材等の有効利用が推進されてゆくことを考えると、ネットワークに接続されていないスライド等の情報のWeb化が大きな課題となろう。

●特徴的なコンテンツの事例
人文科学
《大学》 英語学  
英作文指導の復習用教材として回答添削結果を一括してサーバにアップロード
Webベースの英作文自動添削システム
語彙データベースと接続したドリルソフト
英語ディクテーション用の動画教材
    
    言語学  
コーパス言語学のための言語資料のデータベース化
音声学の授業に使用する国際音声字母に対応する音声素材データベース
   
    フランス語学  
フランス語の聴解問題をWeb化
   
    ドイツ文学  
ネイティブの音声、学生の音声を音声分析ソフトで分析した結果のデータベース化
   
    歴史学  
遺跡や遺物の写真と地理情報システムによるデータベース
   
    心理学  
心理現象を測定するための実験ツールを開発
   
《短大》   司書教育  
司書過程での資料組織演習用シミュレーションプログラム
   
    心理学  
自閉症に関する実際行動のビデオの電子化
社会科学
    法律学  
刑事裁判のアウトラインと有名事件の学習取材結果のWeb化
主要民事判例のデータベース
法的推論教育のための法的知識データベースのWeb化
   
    経済学  
経済統計学で使用する経済予測モデル作成用シミュレーション教材
シラバス、授業内容、経済データ、関連図表、統計・計量経済分析データのWeb化
   
    経営学  
経営モデル分析に使用する経営シミュレーションモデルとデータベース
講義ノート、課題、板書データ、口述などのWeb化
   
    社会学  
業者との共同現地取材による社会調査結果の映像データベース
   
    社会福祉学  
社会福祉実践の事例ビデオと要約のスライド化
理学系
《大学》   物理学  
物理現象を理解するためのシミュレーションプログラム
運動方程式の数値解析プログラム
電磁場中の粒子の移動及び重力場中の支点の移動シミュレーションソフト
   
    化学  
基準振動や化学反応のシミュレーション
分子振動や回転の様子のシミュレーション
工学系
《大学》 機械工学
材料の破壊現象のシミュレーションと可視化データベース
実験様子のビデオオンデマンド化
顕微鏡写真の電子化ファイル
 
  建築学  
温冷感指標を求めるソフト、事務所建築用最大空調負荷計算用ソフト、空気線図作成ソフト
設計書・図面の例、設計支援ソフト、講義ノートのWeb化
木材を用いた大規模建築物のデータベース(写真、音声、画像)化
 
  航空工学  
グライダーの空力特性推定のため実験データ及び飛行状態動画像のオンデマンド化
 
《短大》   構造力学  
建設施工現場写真などのデータベース化
情報系
《大学》   情報科学等  
プログラミング例のWeb化
ソフトウェアの実際の動きをWeb化
板書及び講義ノートのWeb化
講義内容をビデオオンデマンド化
医師薬系
《大学》   医学  
標本のデータベース化
 
  歯学  
過去の国家試験問題の解答・解説のCD-ROM化
口腔内写真のデータベース化
保存修復実習シミュレーションソフトウェア
病理画像データベースのWeb化
 
  看護学  
援助方法、心理面の理解のための、視察技術や患者の生活動作、患者インタビューのデータベース化
《短大》   看護学  
運動学を映像で確認するシュミレーションソフト
家政系
《大学》   栄養学  
献立作成要領学習システム
 
  被服学  
人体計測値及び型紙形状のデータベース化
学生作品の画像データベース
教育学系
《大学》   教養課程  
漢字や読解の自習用CAI及び会話練習のシミュレーション
 
  体育学  
体力測定データの診断方法、運動処方プログラムのデータベース化
芸術系
《大学》   音楽  
作品製作に必要な音素材のデータベース化
 
    デザイン学  
画像制作の課題説明やサンプルプログラムのWeb化
   
    芸術学  
メディアアート関係作品のデータベース化

教材・資料の作成方法
 大学、短期大学とも8割以上の教員が全て自作と回答している。今後、Webサイトを中心とした授業情報のアーカイブ化が推進していくと、データの更新が頻繁となり、コンテンツの整備が追いつかなくなることから、学生の支援や大学の情報センターまたは業者委託などによる組織的な対応が必要になると思われる。

教材電子化の方法

電子化上の問題点
 上記でも指摘の通り、環境・体制・経費の問題が大学で5割、短期大学で4割、学内LANの伝送容量不足が大学、短期大学とも1割5分と大半を占めている。その他の問題としては、教員の情報技術能力、著作権処理が合わせて3割程度となっている。今後、著作物の効果的な共同使用の傾向が増えれば増えるほど、この問題が次の課題としてクローズアップされてくるので、権利処理をネットワークで自動処理できる新しいシステムを私情協を中心に実現していくことが要請されてこよう。

教材電子化の問題点


8.支援体制、支援内容として今後重要と思われるもの

要員の確保、コンテンツ作成環境の整備

(1)大学内での支援体制・支援内容
 教育の情報化を推進していくための学内での支援体制・内容は、3年前と比べると、授業支援のためのスタッフ(教員の相談役でもあるコーディネート要員、機器操作要員)の確保を最重要課題としている。なお、この他に自習室の使用時間の延長、ノートパソコン貸与との指摘もあるが、これは学生のコンピュータ所持が日常化してきたこともあって、その必要性は減少してきている。むしろ、コンテンツ作成のための負担軽減が図られるような設備の充実を訴えている。

学内の支援体制・支援内容として今後重要と思われるもの
学内の支援体制として今後重要と思われるもの 大   学 短  大
13年度 10年度 13年度 10年度
(1) コンピュータ自習室の使用時間を延長 9.6% 14.9% 10.1% 14.1%
(2) 学生1人に1台のノートパソコンを貸与 12.8% 15.3% 13.8% 15.5%
(3) 資料などを簡単に電子化できる施設設備の充実 18.6% 17.1% 18.6% 17.0%
(4) 授業支援のためのコーディネートスタッフ及び推進体制の確保 20.4% 16.9% 19.0% 16.1%
(5) ティーチングスタッフ及び機器操作スタッフの確保 20.2% 18.4% 19.0% 17.0%
(6) 遠隔授業(地上回線・衛生通信等)に対応する施設設備の整備 3.7% 4.3% 3.2% 4.0%
(7) 教員向けの情報技術研修体制の整備 12.8% 12.2% 14.9% 15.6%
(8) 他 2.1% 0.8% 1.3% 0.6%

(2)学外との連携による支援体制・支援内容
 学外との連携に期待するものとしては、大学、短期大学ともコンテンツの共同開発、教材・素材(演習・練習問題等を含む)の共同使用が4割となっており、総じて8割以上がコンテンツの整備・充実を期待している。授業での連携も若干希望があるが、コンテンツの環境が先ず整わなければ授業が進められないと言うことであろうか。

●大学
学外連携による支援体制・内容(大学) 全体 人文科
学系
社会科
学系
理学系 工学系 情報科
学系
農学系 保健系 生活・
家政系
教育系 芸術系 その他
学系
無所属
教材・素材・試験問題等の共同使用 42.9% 39.2% 39.2% 44.7% 43.6% 43.5% 40.6% 50.6% 37.4% 40.1% 37.5% 43.4% 44.1%
(内訳) 演習・練習問題、試験問題
等の共同使用
15.1% 11.1% 13.7% 16.2% 16.7% 16.2% 9.6% 21.4% 10.7% 8.6% 6.5% 11.2% 15.7%
教材・素材等の共同使用 27.8% 28.0% 25.5% 28.4% 26.8% 27.3% 31.0% 29.1% 26.8% 31.5% 31.0% 32.2% 28.3%
教材の共同開発 43.8% 44.8% 44.1% 45.8% 46.5% 45.5% 46.6% 38.7% 47.9% 44.0% 41.4% 43.1% 41.7%
(内訳) 基礎学力の学習を補完するため
の教材環境を大学間で共同構築
22.5% 21.2% 23.5% 25.9% 26.3% 25.5% 24.7% 19.1% 23.2% 14.5% 16.3% 22.2% 18.5%
教材の共同開発 21.2% 23.6% 20.6% 19.8% 20.2% 20.2% 21.9% 19.5% 24.6% 29.5% 25.1% 21.0% 23.2%
授業の支援及び共同・合同授業 11.3% 14.3% 14.2% 7.9% 7.5% 8.0% 10.7% 9.9% 12.3% 14.7% 18.0% 10.9% 12.2%
●短大
学外連携による支援体制・内容(短大) 全体 人文科
学系
社会科
学系
理学系 工学系 情報科
学系
農学系 保健系 生活・
家政系
教育系 芸術系 その他
学系
無所属
教材・素材・試験問題等の共同使用 42.0% 41.1% 41.6% 44.4% 49.5% 45.4% 38.5% 35.8% 42.3% 42.4% 35.4% 43.8% 41.5%
(内訳) 演習・練習問題、試験問題
等の共同使用
13.5% 11.5% 18.3% 14.8% 24.2% 17.9% 7.7% 14.7% 10.7% 8.9% 5.1% 16.9% 15.1%
教材・素材等の共同使用 28.5% 29.6% 23.3% 29.6% 25.3% 27.6% 30.8% 21.1% 31.6% 33.5% 30.4% 27.0% 26.4%
教材の共同開発 45.3% 46.5% 47.0% 44.4% 41.8% 43.4% 46.2% 50.5% 46.4% 41.8% 41.8% 43.8% 41.5%
(内訳) 基礎学力の学習を補完するため
の教材環境を大学間で共同構築
24.1% 24.9% 25.7% 37.0% 27.5% 26.0% 23.1% 22.1% 23.7% 16.5% 20.3% 24.7% 22.6%
教材の共同開発 21.3% 21.5% 21.3% 7.4% 14.3% 17.3% 23.1% 28.4% 22.7% 25.3% 21.5% 19.1% 18.9%
授業の支援及び共同・合同授業 11.3% 11.5% 11.5% 11.1% 7.7% 9.2% 15.4% 13.7% 9.6% 15.2% 16.5% 10.1% 15.1%
支援体制・支援内容として今後重要と思われるもの


9.授業改善のための基本問題

授業改革のためのポリシー確立が先ず必要

 教育の情報化を進める上での課題としては、上記のような学内の支援体制、学外の連携などが必要となるが、それには、大学としての教育改善のための基本的な考え方を議論し、教職員が共通理解できるよう政策を明確にしておくことが前提となる。第1位はポリシーの確立、第2位が教授法の研究会、第3位が授業科目の実質的な連携、第4位が教育方法の業績評価制度の創設となっている。施設や設備を充実しても教育改善のための共通理解が無ければ真の効果は期待できないであろう。
 それには、教育理念の具現化について常に見直し、望ましい授業が提供できるよう教員、職員、管理者が一体となって取り組むことが肝要であろう。

授業改善のために学内で議論しなければならない課題 大学 短大
(1) 授業改善のための大学としてのポリシーの確立が必要
(1人の教員が授業改善を実践しようとしても限界がある)
26.9% 27.8%
(2) 優れた授業方法の紹介・工夫など、教授法を体得するための
委員会、講習会などが必要
21.6% 24.4%
(3) 成績評価に対する全学的(学部・学科単位)な議論が必要
9.0% 7.2%
(4) 授業科目の実質的な連携が必要
13.5% 16.3%
(5) 授業評価に対する全額的な議論が必要
7.8% 7.5%
(6) 学生を登校させる(授業に出席させる)ための工夫が必要
7.2% 6.1%
(7) 教員による教育方法の改善に対する業績評価制度の創設が必要
10.0% 8.0%
(8)
3.9% 2.7%
授業改善のための基本問題



【目次へ戻る】 【バックナンバー 一覧へ戻る】