巻頭言

大学改革に向けて情報システムの在り方を思う


三角 哲生
(学校法人二階堂学園理事長)

 現在、各大学において、教育改革に向けた取り組みが主体的、かつ積極的に展開されている。昨年、「大学教育の在り方」が「教育振興基本計画」や中央教育審議会の答申「学士課程教育の構築に向けて」に示された。
 この「学士課程教育」の答申等の背景には、グローバル化、少子化による大学全入時代到来等の大学を取巻く状況の急速な変化がある。
 大学教育の改革に関して、中央教育審議会答申の

1) 「学位授与」
2) 「教育課程編成・実施」
3) 「入学者受入」
4) 「教職員の職能開発」
5) 「教育質保証の仕組み」

が挙げられる。
 教育改革の推進に当たっては、各大学が自学の教育理念に基づき特色ある教育活動を実践する中で、

1) 入口段階の「入学」では、少子化等による「大学全入」を踏まえたアドミッションポリシーの確立、入試方法の改善
2) 中間段階の「教育」では、教育課程編成の体系化、教育方法の改善、成績評価の厳格化等
3) 出口段階の「卒業」では、国際水準の「学習成果」の保証

が求められる。教育改革を進めていく上で、大学自身による情報公開、自己点検評価および第三者機関評価の質保証システムを効果的に活用していくことが重要であることは言うまでもない。
 さらに、これを支援するツールとして情報システムの整備充実が重要な課題となる。教育課程の充実にとって、ICT技術の積極的採用が必要であり、教育方法の改善として、eラーニング等をはじめとしてマルチメディア環境の活用が大きな広がりを見せつつある。ネットワークの拡大や機器機能の向上、最先端の教育AV機器整備、多様なニーズに対応できるソフト開発等の情報システムを総合的に充実、発展および整備させることが大学に求められている。私学経営の厳しい財政運営の中では、重い課題である。
 私ども二階堂学園の日本女子体育大学は、昭和40年の設立であるが、女子体育の母と称される二階堂トクヨが大正11年に創設した二階堂体操塾から発展してきた大学であり、長い歴史と伝統を有している。体育に関する高度の科学的研究教授を行い、有能な女子体育指導者と教養高い社会人を養成し、体育の普及発展に寄与することを目的とし、社会的要請と学生のニーズに応えた教育研究を推進している。大学改革については、教職員が協働して取り組んでいるが、今後は、学士課程教育に関する答申を踏まえ、一層の進展を図ることが重要な課題である。
 本学において、昨年度に情報システムの更新を行ったが、その際、既存システムの持つ課題の改善とともに、最新システム環境を先取りする方向で、教育研究の推進と学生サービスの向上を目指した。
 内容としては、次のものがある。

1) eラーニング等をはじめとするマルチメディア環境実現の仕組み導入
2) ユビキタス環境実現のための有線、無線LANの整備
3) インターネット上の大学窓口としてのポータルサービス導入
4) 学生証、身分証明証へのICカードの採用
5) 検疫ネットワークの構築
6) 情報漏えい防止対策としてのパソコンデータの暗号化

等がある。
 今後、教育環境の向上にとっては、教育情報分野のICT技術向上、活用技術高度化が不可欠になる。私立大学情報教育協会には、高度なICT活用技術の授業等への普及支援など、今後の情報教育への貢献を期待したい。



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