特集 図書館による学習支援力

図書館による学習支援セミナー〜学習院大学〜


1.様々な学習支援

 学習院大学図書館が学習支援として学生へ提供するサービスは、カウンター対応での日々の支援、自習用配布物の作成など個人向けのものから、複数を対象としたセミナーまで様々なものがあります。セミナーにも種類があり、新入生全員を対象とした4月の図書館ガイダンスに始まり、学部学年を問わない自由参加型のテーマ別セミナーがあります。また、教員からの依頼により、ゼミ時間内においてその分野に沿った内容で1コマを使い図書館職員が説明することもあります。この場合は、あらかじめ教員からどのような内容にするかの依頼を受けて、セミナー内容を組み立てます。このように図書館主導型と授業内で実施される教員主導型との大きく2種類があります。セミナーでは図書館職員が講師役を務めますが、年一度、大学外から講師を招き、より専門的な内容のセミナーも開催しています。2009年度は「誰でも書けるレポート講座」というテーマで開催したところ66名が参加し、学生達の熱心な受講態度を見て、来年度もレポート執筆をテーマにしたいと考えています。これから以下では、図書館主導型のセミナーを詳しく紹介したいと思います。


2.図書館主導型セミナー

 授業やレポート課題で必要となる図書や雑誌論文など学術情報をどのように探し、利用するかの指導は、図書館においてかなり以前から行われてきましたが、ITCの発展により電子資料も莫大な量となり、学術情報はとても複雑化してきました。そのため、近年は紙媒体にとらわれず、電子情報も含めた『情報』をいかに活用するかという「情報リテラシー」という視点を取り入れ、4種類のテーマで複数回、春と秋に開催しています。2009年度のテーマは次の1)〜4)で142名の参加がありました。

1)文献の探し方基礎 GLIM/OPAC(注1)等を使う資料の検索、図書館サービスについて
2)日本語雑誌論文を探す データベースを使う論文検索と論文入手方法
3)外国語雑誌論文を探す 2)に加え、GLIM/NAVI(注2)を活用する方法
4)レポートの書き方 レポートの具体的な手順について

 従来のセミナー内容は1)〜3)の探し方と「卒論のための図書館活用セミナー」というくくりの4種類でした。レポートは大学1年生から課題として求められ、セミナー後のアンケートでもレポートの執筆について希望する回答が多いため、4)も開催するようになりました。4)以外は実習することを主眼に置いており、大きなスクリーンを使った基本的な操作方法の説明後、各自が練習問題を実際に解き、解説を行うという流れとなります。実習を取り入れているため、参加人数によっては講師の他に図書館職員がサポート役で参加しています。

図 2009年度秋  広報ポスター
図 2009年度秋 広報ポスター

3.将来へ向けて

 カウンターで学生から質問を受け、データベースの説明やアドバイスを行った後で学生から「実はセミナーに参加したことがあるけれど、自分一人では思ったように検索できなかった」ということがあります。これはセミナーの説明方法・内容量が学生を消化不足とさせてしまった可能性もありますが、たった一度の実習だけで数多く存在する電子資料を完全に使いこなせるようになるのは難しいと思っています。また、セミナーを開催できる時間、回数も限られているため、参加できる学生の数も限られるといった課題も指摘されています。これからは、さらに学習支援を発展させるために正課授業としてこれらのプログラムを提供することを課内にて検討しており、平成23年度の開講実現を目指しています。

 
(1) 学習院大学/学習院女子大学の図書館の蔵書検索システム
http://glim-ir.glim.gakushuin.ac.jp/opac
(2) 論文入手支援システム。導入したことで電子ジャーナルの一覧の提供、論文の検索結果に論文本文へのリンクが作成され、論文へのアクセスが容易になった。
http://www.gakushuin.ac.jp/univ/glim/ss/index.html
 
文責:学習院大学図書館運用課 川中 はるか

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