特集 アクティブ・ラーニングの実質化に向けて

 生涯に亘り学び続ける力や主体的に考える力を育成するために、大学は従来の知識詰め込み型中心の教育から、教員と学生が相互に知性を高めていく能動的学修(アクティブ・ラーニング)への転換が求められている。そこで本特集では、前号に続き取り組み事例を通じて、アクティブ・ラーニングを実践するための方法と必要な学修環境について認識を深めたい。

学生の学修意欲を刺激する授業づくりの試み
〜精神看護学のアクティブ・ラーニング〜

花田 裕子 長崎大学医学部保健学科教授

永江 誠治 長崎大学医学部保健学科助教

1.取り組みの背景

 看護教育では、日々、進歩する医療の世界で生涯学習者としての姿勢を、学生時代に身に付けることができる教育を期待されている。国立大学看護系の会議や国立病院看護部長会議では、看護基礎教育から卒後教育までの継続性について、基礎教育と臨床とがどのように連携していくかが大きな課題とされている。学生が、批判的な思考をもち、主体的に学ぶことの重要さを理解して実践していても、大昔のように臨床に出たとたんに、先輩看護師のやっていることの模倣を求められるような状態では、生涯学習者は育たない。いかに批判的思考を鍛えて、対象に適切なケアを提供し、健康問題やそれに伴う生活問題を解決する能力が高いエキスパートを育てていくかが看護基礎教育と継続教育の課題である。
 看護系の学部に進学してくる学生は、高校教育で膨大な知識を記憶して、求められる回答を提出することで高い評価を獲得してきている。とにかく、正しい答え、教師の求める答えを出して高い評価を得ることを最優先目標として学修しているように感じる。しかし、大学に入学すると、看護には、しっかり覚えなければいけない知識もたくさんあるが、それを基盤にして知識と知識を関連させる、知識と今起きている現象を結び付ける能力を彼らは求められる。そして患者へのケアを考えるとき、答えが一つでないことが多いことを知り、非常に戸惑う。正しい答えがないと不安になるようである。加えて、我々の担当している精神看護学は、最初の授業で、「精神看護と聞いて思い浮かべるイメージ」「精神障害者のイメージ」を問うと、心を扱う分野であろうが、具体的な看護がイメージできないという答えが多く、一方で災害後に心的外傷後ストレス障害(Posttraumatic stress disorder:PTSD)が注目されたり、少年事件の背景に発達障害があったりすると、メンタルヘルスに興味を持つ学生が増えるという傾向もある。もともとメンタルヘルスに関心が高い学生もいて、一部の学生にとっては非常に興味のある分野である。しかし、精神障害者のイメージとなると、多くの学生がこれまでの人生で無意識の中で形成されてきたイメージである、異常な人、怖い人、何をしでかすか分からない人、そのような人たちをケア対象とするのは不安で怖いという印象も持っている。
 このような状況の中で、精神看護に興味を持ち、精神障害者への偏見を少しでも修正でき、かつ、主体的な学びの姿勢を体験する授業方法を模索してきた。今回は、試行錯誤している授業の中から、メンタルヘルスと精神障害者の看護プランを学ぶ精神看護Tの授業で2年前に実施した取り組みについて紹介したい。

2.実施科目・規模

 我々が担当している科目は、1年生対象の教養教育と保健学科(理学療法学・作業療法学・看護学)共通科目、2年生対象の精神看護学I、3年生対象の精神看護学IIと看護コミュニケーション論、精神看護学実習であり、学部教育では、ほぼすべての科目において、一部あるいは全ての講義にアクティブ・ラーニングを取り入れている。
 今回は、精神看護学Iで、15コマのうち8コマを使ったシネサイキナーシング(Cinema Psychiatric Nursing)を活用したアクティブ・ラーニング事例について紹介する。

3.授業の実施方法

(1)授業デザイン

 本科目を受講する学生は、1年次に看護過程の基礎を学び、2年前期に精神疾患に関する医学的な基礎知識(診断、症状、治療、転帰など)について学修しており、この精神看護学Iでは、精神疾患とメンタルヘルスのケアについて学び看護過程を展開してケアプランを立案することを目的としている。学生は2年次前期に精神疾患に関する講義があるものの、一度聞いて理解できるわけではなく、実際に看護ケアを考えるときに改めて学修しなおすことで理解を深めている。架空の患者(ペーパーペイシェント)に対する看護過程を展開し、個別性のある看護ケアを立案するというのが古典的な授業の進め方であるが、それでは学生の主体的な学びの姿勢や批判的思考を育てるような学修方法を取り入れることは難しい。試験やレポートの提出が終わると全て忘れてしまって、臨床実習に行って改めて学ぶような状態が続いている。また、精神障害者に対する学生の理解は、見えない症状なのでわかりにくい、関わるのが不安、怖いなどの陰性感情が根強くあり、授業では関心を持っていても、実際に患者に会うのは不安というのが本音のようであった。そこで、患者に対する偏見を緩和し、実際の患者のイメージが持てるように、視聴覚教材を積極的に取り入れた授業を行っている。
 今回は「ツレがうつになりまして」という、学生が興味を持てそうな映画の上映と講義の日程が合致していたため、うつ病に焦点を当ててアクティブ・ラーニングを計画した。全15回の授業構成は図1に示すように、全8回で構成したアクティブ・ラーニングの間に授業を数回入れるようにした。それは、学生が授業外で学修する時間を1週単位でなく、数週間単位で保証するためである。

図1 シラバス

 アクティブ・ラーニングのガイディング資料として学生に配布したものを図2〜4に示した。テーマは「抑うつおよびうつ病とその看護について映画を媒介として自ら学ぶ」とし、目的は、1)看護師として抑うつ状態やうつ病の早期発見ができるように必要な知識を習得する、2)必要な機関と連携してチームアプローチする際の役割について考える、3)必要な知識を自ら学び問題解決能力を向上させる、の三つとした。全8回の流れは、まずグループごとに分かれて役割を決めた後、映画視聴前に事前学修する内容について話し合い、それぞれで自己学修をする。その後、全員で「ツレがうつになりまして」の映画を視聴し、看護過程を展開するために調べる必要がある内容についてグループディスカッションをし、各自が責任を持って担当部分を調べてくる。各自が調べてきた内容をグループごとに一つの資料にまとめ、また、その内容を各グループ10分で発表する(中間発表)。次に、看護過程を展開するための看護理論の講義を受け、それを基に、映画に登場する「ツレさん(うつ病)」に対する看護過程をグループで展開する。グループでまとめた看護過程の最終発表はポスター発表とし、グループごとに時間調整をして他グループのポスター閲覧、フリーディスカッションとした。評価は、教員による個人評価30点、学生による個人評価30点、学生によるグループ評価10点の70点満点とした(残り30点はアクティブ・ラーニング以外の内容で評価した)。教員はあくまでも成果物に対する評価をし、グループワークへの取り組みや態度などについては学生本人あるいはグループメンバーに評価してもらうことにより、学生のモチベーションを高めるとともに学生の主体的な学修態度を促した。

図2 学生への配布資料1
図3 学生への配布資料2
図4 学生への配布資料3

(2)グループ作り

 1グループの人数は10名とし、7グループ作った。構成メンバーは乱数表を用いてランダムに決定した。本来グループワークをする際1グループに10名というのは多すぎであり、10名全員でディスカッションするのは困難だと予測されたが、グループワークを行う際の部屋の確保や発表時の時間配分の関係上、これ以上グループの数を増やすことは難しかったため、今回はこの人数で行うこととした。

(3)学修環境と教員の役割

 本科目の受講学生は、70名前後であり女性が9割以上を占めている。使用している教室は、学生70名がフルに入ると後ろまでびっしり並ぶような狭い環境であり、グループワーク時に隣のグループとの距離が近いため、お互いの声が聞こえにくくストレスフルな環境であった。このような学修環境は、グループ凝集性を高めるためには大きな障害となっており、グループが二つに分かれて話をしていたり、わずかながらディスカッションに参加していない学生もいた。そのため、教員2名が常にラウンドして、適宜ディスカッションに参加しながら、ファシリテーターとしての役割を担うようにした。

(4)学生が調べた内容の特徴

 学生が自分たちで調べてきた内容は、テーマがうつ病と看護であったため、疾患の特徴(症状、病理、治療、経過など)や自殺との関連など、どこのグループも調べているような共通の項目と、グループによってまったく違う視点で調べているような特徴的な項目があった。
 グループ別の特徴的な項目は、1)医師や看護師の対応のポイント、2)告知方法、3)就職復帰プログラム、4)うつ病の人への関わり方、5)自助グループ、6)傷病手当金などの医療制度、7)啓発活動、8)食事との関係、9)治療のゴールとは、10)離婚と精神疾患、11)家族支援(家族会)と家族の直面する問題、12)地域別発症率、13)年齢別、14)うつ病尺度など、15)自殺予防のポイントなどであり、教員からの一方的な授業では盛り込めないような内容と量であった。また、調べた内容の質に関しても、単純にテキストから引用してくるだけではなく、映画の登場人物であるツレさんやハルさんに引き付けて考えられている内容も含まれており、我々が期待していた「知識と今起きている現象を結び付ける能力」につながる自己学修内容となっていた。他に、資料をまとめた本人だけではなく、誰が見ても分かるように、読みやすさを工夫しているものもあった。

(5)発表の工夫

 前年度までは、グループ単位でパワーポイントを使って発表ということが多かったが、時間的な制約があり、話し合ったことが十分に表現できない、質疑応答や意見交換の時間が確保できないなどの問題があった。そこで、今回は中間発表の時はいつもの教室で行い質疑応答の時間を設けるようにし、最終発表の時は、隣接する実習室と大きめのチュートリアル室を利用して、ポスター形式の発表を行うこととした。
 中間発表では、看護過程を展開するうえで必要な知識について、各グループで話し合い調べてきた内容について発表した。司会進行や資料印刷など、運営に関することはすべて学生主体で実施した。実際の中間発表時の配置については図5に示した。また、教員は他の学生と同じように聴講者の一人として参加し、適宜、質問という形で学生の気づきを刺激するように心がけた。

図5 中間発表時の様子

 最終発表は、学術集会におけるポスター発表と同様の方法を採用した。各グループは自分たちの立案した看護過程を模造紙2枚に書いて掲示させ、発表時間中は、必ずグループメンバーの誰かが「発表者」としてポスターの前にいるよう指示した。発表者は、閲覧者からの質問に答えたり、自グループが立案した看護過程の特徴などについてプレゼンを行う。また、発表者はグループで調整して交代し、全員が他のグループのポスターを閲覧すること、各自一つ以上は質問をするように指示した。当初は、発表者としてポスターの前に残った時に質問に答えられるか不安を訴える学生もいたが、グループの話し合いに積極的に参加しなければきちんと答えられないという結果になり、それに伴いグループディスカッションはさらに活性化した。発表の当日は、かなり熱心に動き回り、自分たちの看護過程との違いやケアプランの視点、表現方法、見やすさなどに注目してにぎやかに質疑応答が行われていた。教員は、学生と一緒に各グループを回り、気になった点を指摘するのではなく、質問という形で学生の気づきを刺激するように心がけた(写真1、2)。

写真1 最終発表時の様子−1
写真2 最終発表時の様子−2

4.教育的な効果

(1)学生の授業評価による客観的評価

 アクティブ・ラーニング全8回終了後、学生に対して無記名で授業評価を依頼した。内容は、各質問項目に対する4段階評価と自由記載である。その結果、受講者70名のうち65名から回答が得られた(回収率92.8%)。結果については以下の表に示す。

表1 学生による授業評価
  とてもそう思う そう思う あまり
そう思わない
そう思わない 合計
今回のような授業は面白い 31
(47.7%)
32
(49.2%)
1
(1.5%)
1
(1.5%)
65
(100%)
今後もこのようなアクティブ・ラーニングを取り入れてほしい 25
(38.5%)
36
(55.4%)
3
(4.6%)
1
(1.5%)
65
(100%)
今回のような授業は看護師として働くようになったときに役に立つと思う 36
(55.4%)
27
(41.5%)
2
(3.1%)
0
(0.0%)
65
(100%)

 また、自由記載項目には65名中45名からの記載が得られた。内容は、今回実施したアクティブ・ラーニングに対する肯定的な評価が目立ち、今後も継続してほしいとの声が多かった。否定的な内容としては、グループメンバーの数が多すぎて全員でのディスカッションが困難であったことなどが挙げられた。具体的な内容に関しては以下に一部抜粋する。

(2)主観的評価

1)学生の成績評価

 まず、成績評価に関しては、先に説明したように、教員による個人評価30点、学生による個人評価30点、学生によるグループ評価10点の計70点で評価した。この70点のうち得点率が90%以上の学生(評価AA)は22名、80~89%(評価A)は41名、70〜79%(評価B)は5名、60〜69%(評価C)は0名、60%未満(単位認定不可)は2名であった。得点率が60%未満の2名は体調不良等でリタイアした学生であり、70〜79%の学生は他者評価が低い学生に集中していたことからグループワークにあまり参加していなかった学生だと推測される。欠席がなく、自分が担当した内容にきちんと取り組んだ学生はAあるいはAAの評価を受けており、特にグループに貢献した学生ほど高い評価を得ていた。

 

2)アクティブ・ラーニングへの学生の取り組み姿勢

 今回の対象学生は1年次にInquiry-based Learning(以下IBL)というアクティブ・ラーニングを利用した基礎教育を体験している。そのため、IBLと同様に、調べる項目を書き出す、調べる項目を分担する、グループ発表を進める、グループで討議するなどの一連の流れに関して、学生主体でスムーズに進行していた。しかし、学生の自由記載の中には、グループワークに協力する学生としない学生がいたことが書かれており、これは他学生によるピア評価が低い学生と一致しているようであった。これについて学生は、1グループに10名は多く、授業時間外に集まるのが難しいことが要因の一つと考えているようであった。また、狭い教室で教員2名だけでサポートしているという環境要因も大きかったのではないかと考える。

5.今後のアクティブ・ラーニング実施上の課題・改善点

 一度、IBLやPBL(Project-Based Learning, Problem-Based Learning)などを体験した学生は、その後のグループ学修やグループ発表などで自主的な行動をとることが当たり前になるようである。そのため、学年の早い時期にこれらのアクティブ・ラーニングを導入すると、その後の授業においてもアクティブ・ラーニングが導入しやすいと感じる。学生は、問題(課題)発見、自己学修という体験を「面白い」と捉えていることから、部分的でもアクティブ・ラーニングを導入していくことで学生の学修意欲向上につながると実感している。今回実施した、アクティブ・ラーニングを用いた看護過程演習においても、学生の学修意欲は非常に高く、主体的な学びの姿勢やクリティカルな思考過程がみられたことから、我々は本授業形式に関して大きな可能性を感じている。一方で、今回のアクティブ・ラーニングを企画するうえで準備不足であった点も多く明らかになった。

(1)授業ガイドと指導体制

 まず、教員2名だけで70名の学生を対象にアクティブ・ラーニングを実施しているため、すべてのグループに十分な指導をすることが難しかったことである。また、アクティブ・ラーニングに関するオリエンテーションとガイディング資料の内容が不十分であったため、進め方に関する質問を多く受けることもあり、それらに関する回答に時間を費やしてしまった。これらのことに関しては、Teaching assistant(以下、TA)、Study assistant(以下、SA)を導入することで大きく改善されると思われる。また、今回は、中間発表までに学生が調べてきたものをすべて集めて1冊の資料集とし、それを参考にして、映画の主人公に対する看護計画を立てるようにした。この取り組みの前に、看護計画に関連する理論の授業を実施したが、教わった理論をすぐに応用して看護計画を立てることが学生には難しかったようである。各グループあるいは2グループに一人程度のTAやSAを導入することができれば、理論などの抽象的な内容をグループワークの中で具象的な内容に落としていけるような学修につながっていくのではないだろうか。

(2)グループの人数と学修環境

 今回、1グループに10名というのは多すぎであることを理解していたが、そうせざるをえない背景があった。案の定、学生からも、人数が多すぎでディスカッションや意見の収集がうまくいかないことがあったと不評であった。また、ゆっくりディスカッションするための場所の確保が不十分であった。単純に、グループの人数を減らすことや場所を確保するだけであれば難しい事ではないが、今回のように教員2名体制で実施する場合は、学生に目が行き届かずに、必要な指導をすることができなくなるリスクも高い。ディスカッションできるような場所の確保やグループ編成などは確かに考慮すべき点ではあるが、上述したように、TAやSAなどの人的な導入がなければ、工夫にも限界がある。今後は人的サポートの確保とグループの構成、場所の確保を並行して準備していく必要がある。

(3)学修できる内容の限界

 今回は「うつ病」の事例を用いてアクティブ・ラーニングを実施した。そのため、うつ病に関する知識やうつ病患者に対する看護計画などについては体験的に学修することができたが、実際に病院実習に行った際に学生が担当する患者は「統合失調症」が最も多い。他にも双極性感情障害、強迫性障害、不安障害、認知症とさまざまである。使用する事例をどの疾患に絞るのか、またはいくつかの事例を使用したほうが良いのかについては、今後の検討課題である。最終的に、学生は、今回の目標である「興味関心を持って主体的に学ぶ」は達成できていたため、今後は「何をどこまで理解・習得できる」という部分に関しても学修目標を明確にし、それに沿った準備を進めていく必要があるだろう。

(4)評価方法

 評価は、70点満点中、教員による評価を30点のみとし、残りの40点は学生によるピア評価とした。学生からの反応として、最初は「みんなが口裏を合わせて全員満点にしたら意味がない」「貢献度ではなく好き嫌いで評価されかねない」などがあったが、最終的には「グループに貢献した人と貢献していない人に差をつけられるので不公平感がなくてよい」などの肯定的な意見の方が多かった。また、ピア評価が低かった学生は、実際に授業を休みがちであったり、教員からの評価も低い学生が多かったことから、妥当な評価であったといえる。しかし、真面目な学生ほど、自己評価を低くつけ、他者への評価を高くつける傾向にあるため、実施前の十分なオリエンテーションが必要であるだろう。

(5)大学全体における科目の調整

 今回、我々の担当している科目で実施したアクティブ・ラーニングについて紹介したが、現在、3年次看護学生の時間割は月曜日から金曜日まで1日4〜5コマの講義がびっしりと組み込まれており、その中で自己学修の時間や授業時間外にディスカッションをする時間を確保するのは困難な状況である。また、大学全体でアクティブ・ラーニングの導入を進めていることもあり、すべての科目で自己学修を基盤としたアクティブ・ラーニングが導入されれば、学生の負荷が大きくなりすぎてしまい逆効果となってしまう危険性もある。個々の教員によるアクティブ・ラーニングの導入や授業の工夫だけに終わらず、学生の主体的な学びを促すための構造化された教育システムについて、大学全体で見直していくことも必要ではないかと考えている。

6.終わりに

 今回紹介したアクティブ・ラーニング事例はその後も改良を重ねており、昨年度は、7人10グループ編成にし、事例も、疾患の異なるいくつかの映画を用意した。どの映画の事例について看護展開をするのかをグループごとに選択させて、疾患や関連法規について学修して看護過程を展開する手法を実施した。この方法は選択の自由があり、いくつかの疾患と看護について知ることができると好評であったが、他のグループと看護プランを比較検討できないというデメリットがあったため、今年度は、また事例を一つに戻して実施した。昨年度に作成した、精神障害とメンタルへルスに関する映画の「ちょっと解説資料」は、学生に好評で、それを読んでほかの映画を観る学生がとても多く、精神障害者への関心が高くなっているようである。


【目次へ戻る】 【バックナンバー 一覧へ戻る】