賛助会員だより

日本システム技術株式会社

学校法人日本体育大学におけるGAKUEN QlikViewの導入
〜スモールスタートから始めたIR活動への取り組み〜

■法人紹介

 学校法人日本体育大学は、「体育は富強の基なり」を理念に掲げ、明治24年に創立されて以来、120有余年にわたり、一貫してスポーツを通してすべての人々の願いである「心身の健康」を育み、かつ世界レベルの優秀な競技者・指導者を育成することを追求し続けてきました。これまでに日本の体育・スポーツの振興と保健・体育指導者育成に主導的役割を果たすとともに、国内外の各種スポーツ大会においても、オリンピックメダリストをはじめとした多くの優秀な選手を養成・輩出し続けている伝統ある大学です。現在は東京都世田谷区と神奈川県横浜市にキャンパスを構え、平成25年度に児童スポーツ教育学部、平成26年度には保健医療学部を開設させ、名実ともに体育・スポーツを文化として幅広く捉えた「体育・スポーツの総合大学」となるべく改革を進めています。

(以下、学校法人日本体育大学 総務部システム課課長 荒井俊嘉氏・談)

■仮想化を背景にしたBIツール導入の経緯

 学校法人日本体育大学では、阪神・淡路大震災や東日本大震災といった大規模災害の発生などを契機に、BCP・DR対策(1)が命題となっていました。折しも、平成25年度から26年度にキャンパス内に設置されていた機器類が一斉にリース期限を迎えるため、そのタイミングに合わせて、学内情報基盤整備を進めていきました。BCP・DR対策を重要視した情報基盤の整備の取り組みは、データセンターとサーバの仮想化技術を採用することで、高い安全性とシステムの保全性を高め、さらにTCO(2)の削減を可能としました。
 近年、国内の大学ではデータ活用による大学改善の期待が高まっており、本学でもIR活動のためのBIのツール導入を希望する声がありました。現在、学内におけるシステムは、GAKUEN(事務システム)やUNIVERSAL PASSPORT(Web学生サービスシステム)などの学生情報を扱うシステムを中心として数多く存在し、それぞれが複雑にデータ連携をしています。データの活用を考える際、これらの大量データを扱い高速に処理ができることは第一の必須要件ですが、それらは高性能サーバの存在を前提としています。しかし、新システムの導入において多くある例ですが、システム部門が現場の意向を踏まずにツールを購入したものの、うまく現場部門に浸透せず宝の持ち腐れになってしまうのではという恐れがあり、新サーバの購入には懸念がありました。
 しかし、情報基盤の整備が進み仮想環境が稼働を始めたことをきっかけに、BIツールであるGAKUEN QlikViewを導入し、仮想サーバ上で動かすことが可能となります。仮想環境であれば、メモリやCPUの割り当てを柔軟に行うことができます。また、GAKUEN QlikViewの特徴として、他のツールのように綿密な事前定義を必要とせずに、現場が着目した要件をスピーディに課題解決につなげることが可能でした。
 スモールスタートでデータ分析を始め、活用範囲が見えてきたところで必要に応じてサーバ側のスペックを拡張していく、という方針が決まり、平成26年3月にGAKUEN QlikViewを導入することとなりました。

■データ活用を定着化させるために

 IR活動の実践というと、「学生の入学前から卒業まで、あらゆる角度で分析し教育改善を図っていく」、「データ分析によって得られた結果から効果的な対策を立案、実施するために利用する」といった大義の期待や目的・目標が先行する傾向があります。しかし、実際にはどのような情報がどのような状態で学内に存在しているのか、システム部門以外からはなかなか見えてきません。そこで、大学の業務にGAKUEN QlikViewを定着させ、データ活用を推進していくために、本学ではGAKUEN QlikViewの活用検討会を設置しました。活用検討会では、日本体育大学における学士課程のグランドデザインから部署をグルーピングし、全5回、1回2時間の実習を進めました。学内に保持する実際の情報を利用し、ワーキンググループ形式で各担当業務範囲内での理解を基に分析する取り組みを進めていきました。

 活用検討会では、原因分析や予測、対策といった高度なデータ活用を進める前に、まずは現状把握の見える化をゴールとして設定しました。実際の活動内容は、事業計画や大学案内、入試案内、広報誌などのFAQから抜き出してきたテーマを例に、各担当者が見える化の対象とする課題を設定します。課題の定義後は、各自仮説を立て、結果の予想イメージと分析に必要となるデータをワークシートに書き出すことを行います。そして、実際のデータを利用してグラフなどのアウトプット画面を作りこんでいき、最後にディスカッションで最初の予測と差を比較検討するという流れで進行していきました。

 この活用検討会では、本学が保有する実情報を基に現実に沿った分析を行ったことで、初期導入教育としてGAKUEN QlikViewの基本操作を習得できたほか、関わった職員全員がデータ活用の可能性を確認し、今後に繋げていくきっかけを作ることができました。

■IR活動の課題と今後に向けて

 実情報を基に分析を進めたことで、IR実践の前段階として、まずは前提となるデータの品質の確保と収集が非常に大切であるということを理解することができました。GAKUEN QlikViewには、事務システムやWeb学生サービスからデータを自動連携する支援が含まれています。しかしIR活動の実践のためには、他にも散在する数多の学内外のデータを組み合わせていく必要があります。今後は、定量的、定性的なデータに基づいたIR活動を続けていくために、データの信頼性と品質の確保が課題です。活用検討会により、システム担当者だけではなく、一般の職員でもGAKUEN QlikViewへ自由にデータを入力して独自の視点で分析を進めていくことができる、それによって更なる教学効果の向上が期待できると感じました。今後も、大学の教学活動の改善に向けてさらなるIR活動を進めていきます。

(1) BCP(Business Continuity Plan)は業務継続計画。DR(Disaster Recovery)は災害対策。
(2) TCO(Total Cost Of Ownership)は総所有コスト。
問い合わせ先
日本システム技術株式会社
(東日本地区)文教事業部
TEL:03-6718-2790
(西日本地区)GAKUEN事業部
TEL:06-4560-1030
E-mail:g−event@jast.co.jp
(アドレスは全角文字で表示しています)
http://www.jast-gakuen.com

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