事業活動報告 No.2

「知の探求・協同学習サイバー・コンソーシアム構想」のパイロット事業化案

公益社団法人 私立大学情報教育協会
知の探求サイバー協同学習支援委員会

 未来を切り拓いて行く「意欲」と「能力」を持つ若者を育成するため、インターネット上で有識者の知見や助言を得てチームによる議論を通じて知を組み合わせ、新たな価値の創造に取り組むことのできる新しい学びのモデルを大学に提案するため、「知の探求・協同学習サイバー・コンソーシアム構想」を実現可能性の観点から見直した。その結果、構想を実施する事業主体は本協会ではなく希望する大学又は大学間及び関係機関を含むコンソーシアムとし、本協会において以下の通りパイロット事業として試行した上で新しい教育モデルのノウハウを提案する。

1.パイロット事業の概要

 国・社会の発展に主体的・創造的・グローバルに取り組む学生の学びを支援するため、ネット上に学習ポータルを形成して学習支援の仕組みを設け、明確な解がない課題を対象にチームで議論し、中間成果の発表・レビュー、省察を繰り返す中で成果をとりまとめ公表する。その上で学習支援関係者の意見を踏まえて教育モデルの価値・適切性、学習支援体制の実現性、費用対効果などの観点から課題の洗い出しを行い、実現可能性を検証・評価・改善する。

2.事業化のスペック

(1)事業の実施場所と実施期間

 加盟校の1大学に協力依頼する。実施準備を含めて1年を期間とし、8月から翌年3月までの8ヶ月間とする。

(2)教育での位置づけ及び学習対象者

 新しい教育モデルの創出を目指した「実験授業」とする。その際、新しい価値創造を成し遂げようとする「志」と国・社会の発展に貢献する「気概」を持つ多様な分野の学生を募って実施する。

(3)学習成果の到達目標

1分野横断の学習を通じて多面的な視点から問題の本質を考察できる。

2関連分野の知識を組み合わせて関連付けを行い、新しい価値創造に取り組むことができる。

3ICTを駆使して自ら問題を発見し、課題解決に取り組む思考プロセスを実践できる。

4課題解決の実現対策として構想を起業化するノウハウを理解できる。

5異分野の学習者と課題を探求する中で、多様性に配慮して自分の意見を発信できる。

(4)実施方法

1チーム学習
1チーム4名程度とし、異なる分野の学生及び留学生を含めた5チーム編成でPBLを実施する。

2ネット授業の場所
本協会が設定するクラウドの学習ポータルサイトとする。

3対面学習の場所
学習ポータルサイト以外に、夏季・冬季休暇の特定日に対面学習を行い、学習者相互の連携、チーム間による意見交流及びレビュー、支援関係者との相談助言を行う。その上で中間発表とレビューを12月、最終発表を翌年3月に行う。

4中間・最終発表
中間発表のレビューは、チーム間で行うとともにコーディネータ及び有識者から学習成果の適切性について意見・助言を受ける。
最終発表のレビューは、コーディネータ及び有識者から成果の価値及び実現性について評価を受ける。その上で省察を行い、インターネット上に完成した学習成果を公表する。

5学習成果の公表
成果の概要は、ユーチューブなどのソーシャルネットに映像等で行う。詳細な成果は、クラウドから本協会のサイトに移設してコンテンツの保護をした上で、優れた学習成果に対して「優秀証」を認証し、チームの学生氏名・大学名を全国の大学及び本協会の賛助会員企業に発表する。

(5)学習支援の内容・方法

1「コーディネータ」から、これまでの常識や枠組みにとらわれず解のない問題に分野横断的に取り組む学びの意義を説明し、チームで協働してイノベーションを目指すネット学習の仕組みを説明する。

2「有識者」から、テーマについて問題の所在・背景、世界の情勢、解決に向けたさまざまな取り組みなどの関連情報をネット上でフォーラムを行い、テーマの共通認識を図る。

3「ファシリテータ」から、問題発見・解決を思考する枠組み創りについて、観察、因果関係、仮説と推論、分析・検証、予測のプロセスを説明し、学習スタイルの共通理解を図る。その上でテーマについて各チームで問題発見・解決に向けたPBL学習の進め方と中間成果のとりまとめ方、レビューにもとづく振り返りの方法などについて指導・助言する。

(6)テーマの設定

 地球社会の持続的発展に貢献するテーマ設定を協力大学と協議して行う。特定の学問分野の知見を深めるのではなく、インターディシプリナリーに取り組めるものとする。例えば、「地球環境問題の課題と対策」をテーマに、個人、地域、国、地球規模のレベルで因果関係や課題、有効な対策を構想として提案することなどが考えられる。

(7)学習支援の体制

1知の探求サイバー協同学習支援委員会のもとに協力大学の関係者、コーディネータ、有識者、ファシリテータによる「パイロット事業化実施会議」を設け、事業化について認識を共有するとともに具体的な役割、支援内容について確認する。

2コーディネータは、本委員会の委員で構成する。

3有識者は、テーマに直接関係する分野及び隣接分野の情報提供者を本委員会で選定する。

4ファシリテータは、現職教員または退職教員、大学院生の2名構成とする。5チームで10名の支援者を配置する。ファシリテータの選定は協力大学の中で行う。

(8)パイロット事業に必要な経費(積算根拠)

1学習環境の物件費:年間280万円程度

・ファイルサーバ使用料
120万円
(10万円×12ヶ月)
・学習支援システム
100万円(ASP使用)
・システム管理
(5万円×12ヶ月)
60万円

2支援者の人件費:年間645万円程度

・コーディネータ(1人)
40万円
・ファシリテータ(2人)
500万円

(10万円×5チーム×10カ月:準備期間含む)

・有識者
105万円
(7万円×5人×3回)

3諸経費(交通費、会議費等)

年間75万円程度

4経費全体:年間1,000万円程度

 以上、構想のパイロット事業化案を持って本委員会の最終報告とする。本提案の取り扱いについては、理事会の判断を尊重するものである。

知の探求・協同学習サイバー・コンソーシアムのイメージ

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