賛助会員だより

清水建設株式会社

ゼネコンの総合力を生かして
最新の学修環境を実現!
〜学校法人日通学園流通経済大学の事例紹介〜

 日本通運株式会社を設立母体とする日通学園が運営する流通経済大学は、龍ケ崎(茨城県)・新松戸(千葉県)の2キャンパスを擁し平成27年に50周年を迎えました。建学の目的として「流通経済一般に関する研究と教育を振興して、わが国経済の飛躍的発展を図る」と掲げています。

新松戸キャンパス2号館(18教室)
平成28年竣工
龍ケ崎キャンパス2号館(17教室)
平成29年竣工

1.モデルルームでの事前検証を踏まえてより良い学修環境を実現

 アクティブラーニングルームの計画では、事前に既存の建屋内にモデルルームを設置、教職員、清水建設設計、建築、情報メンバーが集まり、およそ1年かけて授業で用いる映像や資料などの見え方、聞こえ方を検証し、実際に導入する視聴覚設備や室内の仕様などを決定していきました。

検証及び完成の流れ
新松戸キャンパス1号館に設置した
モデルルームでの検証の様子

①学修の変化に合わせたプロジェクターの機器選定

 プロジェクターを使用する際はカーテンを閉めて部屋を薄暗くすることが多い様ですが、‘見せる教室’の実現のためにガラス張りの明るい教室中でも十分に見えるように既存講義型教室の4,000lmではなく6,000lmのレーザープロジェクターを導入しました。

‘見せる教室’の様子

②プロジェクターの反射を抑えるホワイトボードに変更

 投影した映像の上に記入できるようにホワイトボードとプロジェクターを導入しましたが、「プロジェクターの光が反射して見にくい」という意見が挙がりました。一方、「反射を抑えたホワイトボードはペンのインクが消えにくい」という問題も発生しました。このため、各メーカーからサンプルを取り寄せて検証を重ね、最適なホワイトボードを導入しました。

プロジェクターの映像投影状況

③無線LANの能力を最大に生かす環境構築

 アクティブラーニングを支えるために必要不可欠な無線LAN環境。モデルルームを運用していく上で電波が弱まっていることが確認されました。調査した結果、授業で使われている無線マイクの周波数が無線LANと同じ2.4GHz帯であり、干渉していることが判明しました。このため、モデルルームの無線マイクを1.9GHz帯に変更し、その後の新松戸キャンパス2号館及び龍ケ崎キャンパス2号館でも1.9GHz帯の無線マイクを導入しました。

2.棟間ネットワークで多様な情報を一元管理

 新松戸キャンパス2号館は1号館から徒歩10分程度離れていますが、棟間をネットワークで結び、離れた場所からの遠隔管理、操作を実現しました。

学修インフラを支える学内ネットワーク

①設備を一元監視・操作

 設備機器の多棟管理を一括して行える当社独自のBEMS「ESMART(エスマート)」を導入し、1号館から遠隔監視を可能とし、人員コスト削減を図りました。また、プロジェクターのランプ切れや故障情報、電源ON/OFF状況も把握でき、消し忘れ時も遠隔よりOFF操作を可能としました。

新松戸キャンパス BEMS設備 構成図

②各棟のデジタルサイネージに情報を配信

 新松戸キャンパス1号館の主装置にて、1号館及び2号館のデジタルサイネージに映像を配信できるようにしました。2号館1階のラウンジは地域の人にも解放される場所のため、一般向け・学生向けのコンテンツを柔軟に切り替えられる仕組みとなっています。また、将来的には龍ケ崎キャンパスとも接続することを計画しています。

新松戸キャンパス2号館1階に設置されたデジタルサイネージ

3.建築×ICT一体とした計画・施工

①建築全体コストの削減・工期短縮

 天井内に配線をしてプロジェクターを設置する従来の方法ではなく、天井をコンクリート現しとすることで天井高を確保しました。これは事前にコンクリートの中に配管を打ち込むことで実現しました。これにより建築全体のコストの削減及び工期短縮も実現しました。

従来よりも0.5m以上天井が高い開放的な空間

4.終わりに

 当社はゼネコンの中で唯一社内にシステムインテグレーションの事業部を有しており、建物の設計段階から計画に参画することにより、建築・情報設備両面から学修を支える最適な教育環境の実現を可能としています。今回、一連の構築において流通経済大学の皆様には計画段階から大変なご協力を頂きました。紙面を借りて御礼申し上げます。

問い合わせ先
清水建設株式会社
エンジニアリング事業本部 情報ソリューション事業部
システムインテグレーション部 教育施設担当
Tel:03-3561-4322
E-mail:it.solution@shimz.co.jp
(アドレスは全角文字で表示しています)

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