私情協ニュース

第17回通常総会開かれる



 第17回総会は、平成10年3月27(金)午後1時半より、市ケ谷私学会館会議室にて、開催された。当日は、平成10年度事業計画及び収支予算決定の審議の他に、平成10年度政府予算案の決定経過と補正予算への準備、ネットワーク運用体制のガイドラインなどを協議した。なお、議事に入るに先立ち、文部省私学助成課山田課長補佐から、10年度情報関係補助金の概要及び申請の留意点について、概ね次のような説明があった。

  1. 10年度は、私立大学ジョイント・サテライト事業、経常費補助金の特別補助の中で情報関係設備の借入れをはじめ、教育学術情報ネットワーク等の整備、データベース開発、ソフトウエアの整備など増額を行っている。

  2. 学生にノートパソコンを携帯させることによる教育方法の充実は、経常費補助金特別補助の大学改革推進特別経費の「特色ある教育研究の推進」の一項目として対象になっている。

  3. 補助事業の執行に際しては、不当事項の指摘を受けないよう、次のような点を留意されたい。
    ア.補助対象外経費が含まれないよう、組織として点検した上で申請されたい。
    イ.補助対象事業は、年度内に完了し、年度内に対価を支出をすること。
    ウ.学内LANは、耐用年数が9年なので、キャンパスの移転及び再開発の場合は財産処分の承認申請を行うことになるので、長期的な運用計画は十分検討されたい。
    エ.情報処理関係設備の耐用年数は6年なので、将来の運用計画を十分に検討されたい。
    カ.大学・短大の複数部門で共用される場合には、大学、短期大学に分けて申請すること。

 以下に、議事の主な事項について報告する。


1.平成10年度事業計画の件

 基本的には前年度からの事業の継続・充実に努めることとした。特に、文学から医学に亘る16の学系別情報教育の研究は、委員会発足が9年度後半ということもあり、本格的な活動は10年度となった。当面、授業でのマルチメディアの活用事例、教材・テキストの収集を進める。なお、学系によっては、米国の大学とマルチメディアの活用方法についての情報交流を考えており、理事会に諮りながら準備していく。
 大学連携では、大学間での教材の相互利用を進める中で、外部機関からマルチメディアの資料を教材として活用できるよう働きかけて行きたい。
 新規事業として、テレビ会議方式の授業を地上のインターネットを介して、どこまで可能なのか、モデル校と賛助会員の協力を得ながら実験を予定している。
 調査事業では、加盟校の専任教員全員を対象に授業でのコンピュータ・ネットワークの活用状況について、マークシートで実施する。
 授業支援システムの開発は、教員が平易にシラバス情報を更新できるようなヘルプ機能をつけるよう開発を進め、10年度で完了する。
 米国の大学を拠点に10日間程度で、マルチメディアを活用した国際水準の授業方法の指針づくりに寄与できるよう、日米マルチメディア教育セミナーの計画を準備することとしている。


2.10年度補正予算への対応について

 従来型の公共事業に限らず、耐用年数の短い情報通信や環境、福祉、教育など新しい分野の社会資本整備に重点をおく補正予算案編成の話が、2月上旬頃、与党で公に議論が始まったことを受けて、当協会としてもこの機に、大学等の情報化を本格的に普及整備するため、要求をとりまとめ2月上旬文部省に要望した。要望は、教室等の施設に音声・動画・文字情報を開示する機能がないため企業や社会での現場情報などをリアルタイムで教室に導入できないでいる。また、外部からのマルチメディア情報を収集・蓄積・加工し、教材等編集を行う機能もないことから、「マルチメディア教室」及び「マルチメディア・ラボ」を実現できるよう、音声・画像入出力装置、教材・資料等提示装置、ネットワーク接続装置、スタジオ施設及び装置の設置等にかかる工事費等について、一括払の2分1以内の補助として、総額52億円と、この他に、学内LANの追加など総額75億円程度の要求を行った。補正の予算編成が早まることを予想し、検討を早めに始められるよう総会を通じて学内関係部局に周知願うことにした。


3.ネットワークの運用体制に関するガイドラインについて

 情報倫理教育振興研究委員会より、インターネット利用の普及に伴い、教育機関としてどのような点に留意しつつ、運営・運用することが適切であるのか、基本的な考え方を中間的にガイドラインとしてまとめ、今後、総会、私情協大会等で意見を伺い、その上で最終的なとりまとめを行うことの報告があり、了承された。
  1. ガイドラインは、大学責任としての対応策とセキュリティ体制、具体的な事例を掲げた参考資料から構成した。「大学責任としての対応策」では、インターネットを使用して、故意若しくは、間違って損害を与える場合でも大学は法律的かつ社会的に何等化の責任を負うことがあり得る。

  2. 規定の特徴は、利用者が良識的行動規範を持って臨めるようにすることと、違反した場合の措置、罰則及び適用手続きまで明文化した。その上で、システム利用上の遵守事項、最低限守るべきルールでは、倫理的彩色を強くし、データやシステムを勝手に改変、毀損したり、許可を得ない電子メールの公開、脅迫的・不確かな情報の発信、求められていない情報、特許法、商標法、電気通信事業法も抵触する行為を分かり易く掲載。さらに、違反行為に対する措置として、違反行為者に対して、システム管理者にネットワークの円滑な運用を図ることとしている。不服があれば審理組織を構成することも言及。なお、規定だけでは周知徹底が困難なことから、講習を受講しない者へのアカウントやパスワードの制限、ネットワークの「利用同意書」の提出、分かり易いパンフレットの作成を事例を踏まえて掲載。

  3. 違反行為の発見法としては、授業であれば教員、それ以外はネットワークを管理・運営する部局が対処すべきとしたが、組織的にネットワーク上のトラブルを調査・点検することは物理的に不可能であることと、個人情報保護と抵触するおそれがあるので適切ではないとした。その替わり、利用者からクレームを受け付けるための窓口として、「仮想大学ネットワーク相談室」を設け、ネットワーク上のトラブルを把握し、違法行為の発見に努めることを提案。

  4. 違反行為への対処は、即時的な対処としてネットワーク管理責任者によるWebページの削除、アクセスの禁止、利用資格の停止・取り消し。最終的な学則の処分としては、教授会や職員であれば人事担当部署等の手続きを経ることが必要で、期末試験の不正行為と同程度の厳しい処分をした大学もある。

  5. セキュリティ管理体制は、技術による対応には限界があり不正侵入、不正利用を完全に防ぐことはできないこと。特に、直接外部と通信するホストすべてのセキュリティの強化、対外接続ルータで必要なものだけ通過を許可するパケットフィルタリング機能の設定、重要な電子メールには発信者アドレスの偽造を防ぐため、電子署名が必要となりつつあることを指摘。ネットワーク運用委員会等意思決定のための管理組織及びトラブル緊急対応への組織の必要性を指摘した。



第18回通常総会開かれる



 第18回総会は、平成10年5月28(木)午後1時半より、青山学院大学総研ビル12階会議室にて、開催された。当日は、平成9年度事業報告及び収支決算決定の審議の他に、平成11年度情報関係設備に対する予算要求の基本的方針などを協議した。なお、議事に入るに先立ち、文部省私学助成課から、10年度補正予算案の概要について、次のような説明があった。

  1. 私立大学等においては、マルチメディア装置施設等の整備として102億7,600万円、学術フロンティア推進事業として新たに人文社会学部の研究分野におけるフロンティア推進事業で10億7,900万円、私立大学等の学内LANの整備として15億円の追加、ジョイント・サテライト事業の衛星通信活用プログラムとして2億5,000万円の追加、教育研究装置の整備で10億円の追加、研究設備・情報処理関係設備の整備として50億円が計上されている。さらに、新しく私立高等学校等のマルチメディア教育環境整備モデル事業として、高校以下のパソコン導入補助として12億5,000万円、教育近代化施設整備費補助として5億円の追加を計上し、私学助成全体では208億5,500万円と補正では過去最大規模。

  2. マルチメディア装置施設は、マルチメディアを活用した教育研究を推進するための教育研究装置、情報処理関係設備及びマルチメディア関連装置設備の導入に伴って実施される教室、研究室、図書室等の施設の改造工事で、従前からマルチメディア装置については研究設備の情報処理関係設備で対応してきたが、今回は教室または研究室のマルチメディア化に必要な設備・装置だけではなく、導入に伴う改造工事も補助の対象とした。また、合わせて既存のマルチメディア教室またはマルチメディア研究室等において新たに冷房化を実施する場合も補助対象とした。教育研究装置および施設工事費合わせて事業費1,000万円以上のを補助対象とし、マルチメディア装置施設経費45億2,600万円、パソコンの類の情報処理関係設備57億5,000万円を計上した。

  3. 計画調書は、補正予算案が国会で採決された場合を想定し、5月15日付で各学校法人に紹介、7月31日を締め切りとしている。マルチメディア装置施設等の整備は、二つの補助金をミックスして助成するもので、施設の改修工事は本調書に添付の様式で作成し、情報処理関係設備、教育研究装置は本年4月9日に提出依頼済みの様式で提出とした。

 さらに、経常費補助金特別補助の教育学術ネットワークの申請及び特別補助に関する会計検査院の指摘事項等について、私学振興・共済事業団今福課長から、1)ノート型パソコンの学生貸与事業に対する特別補助での申請の積極化、2)教育学術情報ネットワーク等補助の1ネットワークの範囲の見直しについて報告の後、3)申請において留意すべき点として、補助要件の確認、経費按分方法の適切さ、アルバイト経費の取扱い、申請と実績の確認、申請部門と経理部門との連携についてアドバイスがあった。


1.平成10年度補正予算案に対する申請準備

 10年度予算を決定した直後だけに、短期間の内に法人・大学の責任者の方々に新しい補助金を理解していただけるよう次のようなメモを作成した。
  1. マルチメディア化は、単に教室の一部分を改造するという次元の問題ではなく、授業を改革していくというコンセプトを持っていただきたい。

  2. 一方通行的な授業でつまらないとか、魅力を感じないという声が多い。授業が社会現象の中でどのように利活用され展開されているのか、また、どのようなギャップがあるのか、教室にいながらリアルタイムで理解できるよう、外部の専門家等関係者から情報をインターネットで教室に導入し、教室のスクリーンを通して社会現象の一旦を開示する授業が求められてくる。

  3. 座学は、1コマ60分のところもあるが、90分という大学もかなり多い。教員一人による授業は、脳の生理作用から30分が限界と言われている。学外の専門家にテーマ別に5分から10分のコアタイムを確保いただき、テレビ会議方式の授業を展開することによって、教員が一人ですべてを担当する授業から、コーディネート如何によっては他大学の教員、専門家に教室に登場願い、バーチャルな環境で授業を補完・充実することが可となる携帯電話で質問できることから、遠隔地であっても不自由しない。学生の側からは安心した授業を受けられることになる。

  4. 9年12月18日の大学審議会答申で事前・事後学習の指導徹底を指摘。対面方式ではなかなか実現困難であるが、学内LAN上で教材・資料を常時学生に開示できるよう、教材サーバに教材・資料を電子化して、学校のキャンパスのどこからでも、また、家からネットワークて予備学習ができるようにすることが、マルチメディア化の一つの利点と考えている。

  5. 2000年を契機に個性化・特色化をアピールしていくことが要請されてくることを想像すると、遅かれ早かれ教育環境を整えなけれならなくなる。大学の戦略としてこの問題を受け止めて、整備することが非常に重要と考えている。


2.11年度情報処理関係予算要求の基本方針

 具体的な要求は、国庫助成希望調査を受けて整理、政策的な配慮を加えて要求額を決める。基本方針としては、既設の補助は、大学の整備計画に沿った要求とし、ノートパソコン貸与事業に対する補助は、11年度から本格的に要望していく予定。


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