平成15年度
大学情報化全国大会 −e-Learningの実現に向けて−
開催報告

開催日

平成15年9月9日(火)・10日(水)・11日(木)

会  場

アルカディア市ヶ谷(東京、私学会館)

主  催

社団法人 私立大学情報教育協会

後  援

文部科学省

開催趣旨

大学におけるe-Learningの可能性と限界、e-Learningの活用、デジタルコンテンツ標準化の意義と動向や動向について講演や事例紹介を行う他、教職員による教育・支援環境への情報技術活用の発表、企業による情報関連技術の動向紹介など、国公私立大学の関係者に必須の情報提供を行うことを目的として開催する。

参加対象

  国公私立大学・短期大学の教職員、賛助会員
     
参加者数   495名
(172大学、30短期大学、賛助会員25社)



9月9日(火)

開会挨拶
社団法人 私立大学情報教育協会 戸高 敏之会長  
 

基調講演
「e-Learningの実現に向けて --大学におけるe-Learningの可能性と限界---」
青山学院大学経営学部教授 玉木 欽也氏

 大学教育においてe-Learningを実現するためには、e-Learning導入の前提条件を克服することが必要であることを指摘され、学習コースの開発や運営のため、学習管理システムの有効活用、各種の専門スタッフの必要性と役割を示された。さらに、科学的な授業設計法であるインストラクショナルデザイン(ID)の概念、プロセス、学習効果評価方法のポイントについて示され、学習管理システム(学習支援機能、コミュニケーション支援機能、システム管理機能)について事例を紹介され、将来の学習管理システムが具備すべき事項を整理された。

事例紹介「学習状況の測定と学習支援のためのe-learningの活用」
文教大学湘南情報センター長 宮川 裕之氏

 教育評価のねらいは、学生の教育目標の達成状況を測定し、たえず反省・改善することで教育内容を充実させ、学生の能力を伸ばすことである。これらを実現するためのe-Learningによる学習支援機能として、同大学で実践されているe-Learningによる学習モニター、学習順序を統制する学習進行管理システムについて事例紹介された。

「MJeN (Malaysia Japan e-learning Network) プロジェクトにおける
マルチメディア専門教育用SCORM型教材の作成と評価」
  京都大学学術情報メディアセンター教務技官 元木  環氏

 e-learning技術標準のSCORM 型に基づいて、教材開発プラットフォームの拡張、教材設計、作成、実験授業(相互共有)まで一連の過程を、手書き入力レポートなどシステム拡張も含めて実施した事例を紹介された。
システムの安定性、プラットフォームや開発環境の柔軟性、手書き入力システムなどツールの操作性の向上などが求められることが明らかになったことが報告された。

「同期型講義を活用したSCORM対応e-learning教材作成と学習支援--アジア工科大学(タイ)との共同実験--」
東京工業大学教育工学開発センター助教授 中山   実氏

 実際の講義内容から効果的なe-learning教材を作成する手法を検討した上、開発した事例を紹介された。e-learning教材作成にあたっては、SCORM 規格に準拠させるために簡単なID の技法を用いる方法を実際の講義を基に検討して構成した。その結果、非同期型学習コンテンツ作成における所要時間を従来の45%にまで短縮することが可能であることが示された。また、従来までの方法と比較して、時間だけでなく工数も減らすことができることも紹介された。

紹介「教育の情報化、e-Learningに関する経済産業省の取り組み」
  経済産業省商務情報政策局情報処理振興課課長補佐
田代 秀一氏

 AEN(アジアE-learningネットワーク)の各国の活動内容や2003年度の国内での活動内容や今後などの話題を中心に紹介された。

講演「e-Learningの実現とコンテンツの標準化の意義」
九州国際大学法学部助教授 中村 壽宏氏

 e-Learningにおける教育コンテンツの標準化には、SCORM型の規格など構造の標準化とインストラクショナルデザインなどコンテンツのインターフェイスデザインの標準化があることを示された。また、インストラクショナルデザインについては、コンテンツを実際に作成し利用する教員の立場からその重要性を述べられた。

講演「デジタルコンテンツ標準化の動向」
東京大学国際・産学共同研究センター長 安田  浩氏

 現在はコンテンツ流通時代への転換期にあり、DRM(デジタル著作物保護の技術)は未熟で、日本の技術によるコンテンツ流通の実現と、コンテンツ立国に貢献することを期待している旨を述べられた。さらに、コンテンツ作成の裾野を広げることの重要性と、そのためには地方自治体を中心とする行政機関によるコンテンツ作成の場作りへの積極的な支援が期待されることも指摘された。

社団法人 私立大学情報教育協会の活動
  社団法人 私立大学情報教育協会事務局

 当協会の活動について全般的な説明を行った後、現在、進められている大学等電子著作物権利処理事業について、その概要や今後の予定について紹介した。



9月10日(水) 大会発表(67件)
*発表者名は氏名の都合上、発表代表者名のみ掲載しています。 
時間 発表No. 発表テーマ 発表代表者名 所属大学名
10:00 A-1 コンピュータによる外国語自習プログラムについて
-学生の自律的学習力を養う-
大塚 貞子 東京女子大学
10:20 A-2 学習支援Webアプリケーションについて 最首 和雄 明星大学 
10:40 A-3 社会福祉実践教育におけるマルチメディア型教材の開発
-児童福祉現場をモチーフにしての開発の試み-
戸塚 法子 淑徳大学
11:00 展示会出展内容紹介 ・ 休 憩    
11:20 A-4 短大におけるカンタン教育支援システム 水鳥正二郎 関西女子短期大学
11:40 A-5 「きもの学」における予告映像・ライブ放送・オンデマンド配信の実践報告 近藤 啓介 京都学園大学
12:00 A-6 Webを利用した学力格差解消システムの開発と試行 荻原 利彦 麻布大学
12:20  展示会出展内容紹介 ・ 休 憩   
14:00 A-7 ビデオ会議システムとPCを使ったインターラクティブな遠隔学習指導の試み 盛屋 邦彦 産能大学
14:20 A-8 インターネットを用いた研究支援システム 中澤  真 会津大学
短期大学部
14:40 A-9 「心理学」学習・授業支援e-Learningプロトタイプ構築の試み 杉山 憲司 東洋大学
15:00   展示会出展内容紹介 ・ 休 憩  
15:20 A-10 誰でも利用できるe-LearningのためのASPサイトの構築
-e-mail,web,携帯電話を利用した教育環境-
川場  隆 活水女子大学
15:40 A-11 学習者の知識体系化のための教育時点管理支援システム 能勢 豊一 大阪工業大学
16:00 A-12 システム制御教育における対話型学習支援ツール クルモフ・バレリー 岡山理科大学
16:20 休 憩    
16:30 A-13 京都外国語大学におけるCALLへの取り組みと支援体制の整備 村上 正行 京都外国語大学
16:50 A-14 出席確認の情報化方法についての検討 小林 哲二 日本工業大学
17:10 A-15 組織学スライド(溝口コレクション)のデ−タベース化 山岡由美子 神戸学院大学
17:30 休 憩    
17:40 A-16 実験授業における質問検索エントリーシステムの開発 新井加受子 園田学園女子大学
18:00 A-17 情報系研究室との共同研究による教育現場にカスタマイズされた漢字学習システムとその教材作成支援システム 藤田 真一 早稲田大学
10:00 B-1 携帯電話を活用した英語語彙学習 原田 康也 早稲田大学
10:20 B-2 e-Learningの導入における実践活動
-福岡工業大学の全学的取組み-
山口 芳弘 福岡工業大学
10:40 B-3 対面授業のための電子教材と教室内情報環境の整備 田中 啓夫 東海大学
11:00   展示会出展内容紹介 ・ 休 憩  
11:20 B-4 Web型自発学習促進クラス授業支援システムCEASの開発と評価 冬木 正彦 関西大学
11:40 B-5 マルチメディア電子教材「フライングディスク」の製作と運動技能修得支援への適用の試み 野須  潔 東海大学
12:00 B-6 専修大学におけるオンデマンド教育の取り組み 松永 賢次 専修大学
12:20  展示会出展内容紹介 ・ 休 憩   
14:00 B-7 医療系学部の情報検索実習における各種英文和訳支援システムの利用について 安藤 裕明 愛知医科大学
14:20 B-8 キャンパス間の高速通信回線を活用した教育支援 村上登志男 学習院大学
14:40 B-9 文系短大における情報システムの導入と運用の現実 江上 邦博 千葉経済大学短期大学部
15:00   展示会出展内容紹介 ・ 休 憩  
15:20 B-10 1200台のパソコンを対象にした管理運用システムの開発 濱谷 英次 武庫川女子大学
15:40 B-11 One Time Passwordの導入について 池内  仁 南山大学
16:00 B-12 教材コンテンツ配信に対応したネットワークセキュリティー対策の一事例 渡辺  淳 関西医科大学
16:20  休 憩   
16:30 B-13 大学語学教員のIT度識別要因 安間 一雄 玉川大学
16:50 B-14 インターネット上の英語学習素材に関するメタデータベース構築の研究 東  淳一 流通科学大学
17:10 B-15 Webデータベースを活用したインターンシップ 白川 浩美 産能大学
17:30  休 憩   
17:40 B-16 マルチメディアキャンパスを指向した情報システムの設計と構築 松下孝太郎 鎌倉女子大学
18:00 B-17 クライアントOSに依存しないプリント管理システムの構築 小林 智子 国際基督教大学
10:00 C-1 学生情報検索・授業評価システムについて 石崎 利巳 聖霊女子短期大学
10:20 C-2 コンピュータを利用した体力・体型の客観的判定システム 伴  好彦 武蔵野短期大学
10:40 C-3 英語学習におけるe-Learningの効果的な活用
-英語自学習プロジェクト2002の結果より-
田口  純 筑紫女学園大学
11:00 展示会出展内容紹介 ・ 休 憩    
11:20 C-4 マルチメディア演習科目における学生・教員による作品評価の導入 藤田 勝康 北海道工業大学
11:40 C-5 ITインテンシブコースの導入とその教育効果 中井 哲夫 大阪国際大学
12:00 C-6 授業検討アンケート評価システムの構築とその活用 高山 秀造 九州東海大学
12:20 展示会出展内容紹介 ・ 休 憩    
14:00 C-7 情報セキュリティマネジメントシステムの構築(BS7799認証取得) 瀬尾 好広 南山大学
14:20 C-8 ビデオ教材を併用したe-Learningセキュリティ教育の試み 和田森 直 長岡技術科学大学
14:40 C-9 学生増加に伴う知的財産権教育と倫理意識 木川  裕 武蔵野短期大学
15:00   展示会出展内容紹介 ・ 休 憩  
15:20 C-10 授業に関する選択式・記述式アンケートの分析 平澤 茂一 早稲田大学
15:40 C-11 コンピュータによる音楽教育プログラムの利用効果 荻原  尚 武蔵野短期大学
16:00 C-12 発表中止    
16:20 休 憩    
16:30 C-13 高野山古地図を利用した自己増殖的デジタル画像教材の開発 藤吉 圭二 高野山大学
16:50 C-14 ITによる創造能力育成教育の研究・開発と大学によるネットワークコンテンツビジネスモデルの確立にむけて-芸術教育研究機構の取り組みについて- 矢野 一輝 京都造形芸術大学
17:10 C-15 日本の人口構造の変遷(動く人口ピラミッド) 舩津 好明 明星大学
17:30 休 憩    
17:40 C-16 ビジネス・ゲームにおける補助教材のWeb化 市川 直樹 大阪国際大学
18:00 C-17 要件定義技法の開発とその実践的な教育方法に関する研究 山本 正八 北海道浅井学園大学
10:00 D-1 数学ソフト活用による数学系授業改善の試み−数値解析学および数値シミュレーション授業での活用実験− 棚橋 純一 中京大学
10:20 D-2 ビデオフォーマット互換の統合e-Learningシステムの構築 小林 憲夫 駒沢女子大学
10:40 D-3 公開型双方向授業支援システム 太田 雅久 甲南大学
11:00     展示会出展内容紹介 ・ 休 憩
11:20 D-4 インターネット利用遠隔授業による7高校との高大連携教育 大西 荘一 岡山理科大学
11:40 D-5 初級プログラミング教育における授業評価データの活用 谷口 るり子 大阪国際大学短期大学部
12:00 D-6 Web pageにおける文字テキストとアノテーション『伝言ゲーム』と『ホームページ委託作成』実習の試み 片岡 朋子 早稲田大学
12:20 展示会出展内容紹介 ・ 休 憩    
14:00 D-7 情報基礎教育カリキュラム強化 千葉 保男 安田女子大学
14:20 D-8 LAN環境の構築と管理に関する演習授業とその効果 後藤 正幸 武蔵工業大学
14:40 D-9 地域と大学の連携による児童に対する情報リテラシー教育実践法 小島 正美 東北工業大学
15:00   展示会出展内容紹介 ・ 休 憩  
15:20 D-10 大学講義のPlan-Do-Check-Action 川島 高峰 明治大学
15:40 D-11 導入教育における外国判例データベースの利用について 太田 潔  大阪経済法科大学
16:00 D-12 プレゼンテーション課題における遂行およびその自己評価と動機づけの関連 田中あゆみ 帝塚山大学
16:20 休 憩    
16:30 D-13 上智大学市ヶ谷キャンパスにおけるキャンパスポータル構築の実践 高橋由利子 上智大学
16:50 D-14 PC・ネットワーク利用ガイドにおけるユーザビリティの向上について 佐々木康成 早稲田大学
17:10 D-15 「映像メディア制作実習」デザイン-2003年度前期- 吉田 昌生 甲南女子大学
17:30 休 憩    
17:40 D-16 自作パソコン教育 三谷 芳弘 山口短期大学
18:00 D-17 ポータルシステムを活用した教育支援 山本 耕司 四国大学



9月11日(木)

「ネットワークセキュリティポリシーの実現を目指して」
  社団法人 私立大学情報教育協会 学内LAN運用管理小委員会
運営委員長・南山大学数理情報学部教授 後藤 邦夫氏
運営委員・朝日大学経営学部教授      奥山  徹氏

 最初に、奥山氏より、ネットワークに関する大学の特殊性や状況、セキュリティに関わる社会的な問題、そのためのセキュリティーポリシー策定のパターンを紹介された後、留意点などを指摘され、私立大学情報教育協会で8月に実施された「学内LAN運用管理講習会」でのアンケート調査結果などが紹介された。次に、後藤氏より、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS) について解説された後、南山大学におけるISMS構築事例を具体的に紹介された。

技術動向1
「デジタルペーパーの新技術動向 --教育現場から見た次世代ディスプレイの可能性--」
  総論 武蔵工業大学環境情報学部助教授 横井 利彰氏 (大会運営委員)

 今年度末には一部が商品化されることになるデジタルペーパーについて、その原理や現在の技術水準など概要を説明された後、大学の教育現場での将来性について示唆された。

技術動向 株式会社リコー 研究開発本部オフィスシステム研究所
                 システム研究センター 服部  仁氏
  凸版印刷株式会社 電子ペーパー事業推進部  新井 善浩氏
  大日本印刷株式会社 研究開発センターFDプロジェクトリーダー 三宅  徹氏

 株式会社リコーからは ReWritable Paper System 、凸版印刷株式会社からはE Ink 電子ペーパー、大日本印刷株式会社からはフレキシブル有機ELについて紹介され、各社のデジタルペーパーへの最新技術と今後の展開について紹介された。

技術動向2「携帯端末の技術動向」
  松下電器産業株式会社
シャープシステムプロダクト株式会社

 松下電器産業株式会社からは読書用端末としてΣブックの機能紹介と教育現場での活用の提案がなされ、シャープシステムプロダクト株式会社(シャープ株式会社)からはPDAとしてザウルスについて紹介された。

講演「デジタル教材・教科書の現状と将来」
  東京電機大学出版局編集課長 植村 八潮氏

 e-Learningが教育界、産業界、出版界などあらゆる分野でブームとなっている一方、デジタル化に適してないコンテンツなども多く見られることを指摘された。さらに、教育現場に携わる大学関係者は、コンテンツをデジタル化とするか従来の紙媒体のままにするかについては、コンテンツの特徴に配慮すべきであること、デジタル化にあたっては教育のカリキュラムの中でどこをデジタル化すれば効果的であるのかに配慮すべきであることを示された。



9月10日(水)・11日(木) 展示会 (40社、37ブース)

  出展企業・内容