JUCE 社団法人 私立大学情報教育協会
TOP

平成25年度 教育改革ICT戦略大会 開催報告

日  時 平成25年9月3日(火)・4日(水)・5日(木)
場  所 アルカディア市ヶ谷(東京、私学会館)
     
テーマ   「大学教育の質的転換への行動」
     
開催趣旨  「大学教育の質的転換」なくして国・社会の発展は考えられないという危機意識を共有する中で、国及び社会と大学が一体となって人材教育の強化・改革に向けた施策への取り組みが要請されている。とりわけ、文部科学省では平成29年度までの実行期間を示した「大学改革実行プラン」の中で、改革に対する国としての支援の方向性、大学で速やかに取り組むべき視点を提示しており、個々の大学での教育改革への行動が問われている。 このような状況を踏まえて本年度の大会は、教育の質的転換に踏み出すために理解しておくべき基本的な考え方を認識した上で、教学改革に着手している施策と課題について理解を深め、着実に改革行動に入れることを目指す。また、公募によるICTを活用した教育や支援の事例紹介、大学・企業連携によるICT導入・活用事例紹介(ポスターセッション)を通じて、各大学の取り組みや現状を把握するとともに、教育ならびに支援の改善策を模索する。
     
参加対象: 国公私立大学・短期大学の教職員、賛助会員(企業)
参加者数: 321名(142大学、19短期大学、賛助会員16社)




9月3日(火) 全体会

9:50

開会挨拶

 

公益社団法人 私立大学情報教育協会 会長 向殿 政男 氏



10:00 【大学改革を支援する国の施策】
 学生の主体的学びの確立に向けた大学教育の質的転換
  〜大学改革実行プランを踏まえて〜
   社会の変革を担う人材育成、知的基盤の形成やイノベーションの創出など、我が国の発展に果たすべき大学の役割は極めて大きく、かつ多様である。安倍内閣が掲げる「教育再生実行会議」などにおいて、大学教育の質的転換に向けた施策を平成29年度を目途に「大学改革実行プラン」として大学への改革行動の要請を強力に進めていくことが確認された。
   文部科学省 高等教育局高等教育企画課高等教育政策室室長 田中 聡明 氏

10:40 【産業界からみた教育改革】
 日本再生に向けた教育イノベーション
   日本再生に向けた教育イノベーションについて企業側からの視点として、体系的・組織的な教育が必要で、授業科目の役割・位置づけを明確化する必要があること、最善解はあっても正解はないので、知識偏重の教育に陥ることなく、知識を得る過程を身に付けさせる教育が必要であること、企業側の採用基準が大学での学修成果を必ずしも評価していないので、大学で学んできたことを尊重すべきであること、また、そのためには、大学も外部評価を受け入れ、教育の質保証に責任を持つべきであること等の主張がなされ、多くの賛同を得た。
   株式会社ニチレイ 相談役
 中央教育審議会大学分科会委員   浦野 光人 氏

11:20 【教育改革のガバナンス強化】
 学長主導のカリキュラム改革
   授業科目の統廃合は教員の占有感が強いことが障害となっている中で教育改革を行っていくためには、当面は、一度にガバナンス強化を進めるのではなく、ルーチン業務は従来の教授会の権限として扱い、改革や新規事業の業務は学長主導という棲み分けも必要であることを述べられた。
   中央学院大学 学長 椎名 市郎 氏

11:50 【教員連携による学修の点検】
 教養教育の質保証を目指した到達度測定の組織的取り組み
   学士課程教育で学位を授与するには、教養科目と専門科目の統合または連携が必要であり、教員間で共通理解を形成して多面的な観点から学士力に必要な能力を育む工夫が望まれる。科目のラーニング・アウトカムズと到達目標との関係性を重視し、授業改善に継続的・組織的に取り組みを重ねることの重要性が紹介された。
   創価大学 副学長、学士課程教育機構長 寺西 宏友 氏

12:30 休憩

13:30 【学生の声を反映した教学改革】
 学生の声を反映した学びのイノベーション
   教育内容の充実を図るために、教員の意見ではなく学生からの意見を全面的に取り上げて専門教育、共通教育、ゼミ、初年次教育、情報教育などの教育の在り方について抜本的な見直しを行い、教育改革に立ち向かっている大学全体での取り組みを紹介された。
   武庫川女子大学 法人室次長 瀧居  豊 氏

14:10 【質保証のシステム】
 学修ポートフォリオを活用した教育の取り組み
   質保証のシステムとしての学修ポートフォリオ導入の目的は、学生にとっては目標設定と振り返りのツール、教員にとっては授業効果の形成的評価のツール、大学にとっては教育プログラム有効性の評価ツールであることが紹介された。また、導入の課題は、目的・必要性を明確化し、教職員、学生へのコンセンサスの徹底、普及促進の工夫、人的・財政的支援が必要であることを実践事例を通じて紹介された。

   帝塚山大学 学長          岩井  洋 氏
 大阪府立大学 高等教育推進機構教授 星野 聡孝 氏

16:00 休憩

16:15 【教育改善モデルの提案】
 未知の時代を切り拓く人材育成を考える
   生涯にわたって未知の時代を切り拓いていく「気概」「考え抜く力」「思いやる力」という人材の育成を目指して、学生一人ひとりが自分の考えをもって地域・社会をはじめ、地球的な市民社会の形成に自主的に関われるようにするため、5年先の教育改善モデルの在り方を提示し、大学として組織的に取り組むべき改革課題についてまとめた「大学教育への提言」について趣旨と概要が説明され、31分野のうち経済学分野における教育改善モデルについて紹介された。

   公益社団法人私立大学情報教育協会 事務局長 井端 正臣 氏
 本協会 経済学教育FD/ICT活用研究委員長
 法政大学 経営学部教授           林  直嗣 氏

17:00 終了

会場

 

 

 

 







9月4日(水) テーマ別自由討議
午前、午後で各2分科会を同時に実施


 
会場
10:00

12:30
【分科会A】 アクティブラーニングのためのPBL(課題探求型)学修
 コンピテンシーの設定、能力別・授業科目別ルーブリックの体系化、eポートフォリオ導入などを通じて、学生の能力伸張度を総合的に評価する仕組みが必要である。PBL学修の方法として課題レポート、発表、ディスカッション、論述試験が効果的であり、その結果について教育ボランティアによる外部評価を受けるなどの工夫が強調された。
課題提起: 同志社大学 大久保 雅史 氏(理工学部教授)
      大手前大学 芦原 直哉 氏(現代社会学部教授)





10:00

12:30
【分科会B】 ピア・サポートを活用した新しい学修支援の仕組み
 学修支援、授業改善、ピア・サポーター自身の成長という三つの機能があり、サポーターによる支援は学生の反応がよく、教育効果として有効であること。実施にあたってはピア・サポーターをいかに信頼し任せるか、外部資金の利用、大学側の理解、教職協同が重要であることが強調された。
課題提起: 法政大学  木原 章 氏(学習ステーション長)
      立命館大学 沖 裕貴 氏(教育開発推進機構教授)





西
14:00

16:30
【分科会C】 地域・社会と協働した実践型授業
 地域の再生に関わる問題発見型・プロジェクト体験型のPBLの実施により、学生の主体性の向上、コミュニケーション能力の向上、自己アイデンティティーの形成につながった。課題は教員の教育力の育成、プロジェクトに参加しない学生への働きかけであることが示された。
課題提起: 広島修道大学 相馬 伸一 氏(副学長、人文学部教授)
        摂南大学   浅野 英一 氏(外国語学部教授)




14:00

16:30
【分科会D】 教育・研究におけるセキュリティ対策

 標的型サーバー攻撃は現行の技術では対策に限界があるため、入口、出口、内部、全体の管理統制による対策が必要である。大学の今後の課題として、ネットワークの利便性と危険性の周知、スマートフォン等利用のガイドライン作成、セキュリティー・ポリシーの明確化、セキュリティ対策に関する大学間情報共有の必要性が強調された。

課題提起: 独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)
      技術本部セキュリティセンター
      情報セキュリティ技術ラボラトリー長 金野 千里 氏
      本協会 情報セキュリティ研究講習会運営委員会委員長
      文京学院短期大学准教授       浜  正樹 氏





西

12:30

17:00


大学・企業によるICT導入・活用事例(ポスターセッション)

参加大学・企業と概要は こちら

5



9月5日(木) 大会発表 (78件)


教職員によるICTを活用した教育・支援環境の事例紹介
(各発表タイトルや発表者名は、一覧で参照下さい)

各発表タイトル、発表者名の一覧
 

 

 

JUCE 私情協事務局 
ここに提供する著作物は著作権法により保護されています。この記事を私情協加盟校の大学・短期大学・高等専門学校内で教育・研究・大学経営の目的で使われる場合は複製を許可します。それ以外の場合は(社)私情協事務局を通じて各著作権者の承諾が必要です。
(C)Copyright All Rights Reserved 2005