ICTを活用した教育改善モデルの考察

 本章では、未来を切り拓く若者の育成を学士課程教育でどのように実現することが望ましいか、5年先を目指し専攻分野ごとに理想的な教育の仕組みを追及した改善モデルの構想を提案することにした。構想の基調は、これまでの教員主導による授業の在り方を振り返り、学生が主体的に授業に取り組み、達成感や自信を培うことができるよう学生本位の学修の仕組みづくりを目指した。そのため、提案している授業改善モデルの実現には、教員の個人的努力では対応できない教学・経営管理面での課題が山積しており、理事長、学長、学部長などのガバナンスの決断が求められる。このような背景から本章は、大学ガバナンスに関係される方々を中心に、学士力の実現に向けた教育現場からの課題を理解いただけるように努めた。
 ここに紹介する教育改善モデルは、専攻分野における学士力の到達目標の一部を実現するための授業を構想したものであり全てではない。医学、歯学、薬学、看護学を除く27分野の学士力は本協会で考察したものであり、医療系の学士力はモデル・コア・カリキュラムによった。分野の選定は、私立大学の学部等の開設状況を踏まえたが、文学分野は教員の協力が得られず考察ができなかった。
 本モデルの構成は、第1節が「分野別教育における学士力の考察」、第2節が「到達目標の一部を実現するための教育改善モデル」、第3節が「改善モデルに必要な教育力、FD活動と課題」とし、学士力から改善授業のモデル、教員の教育力、FD活動、大学の課題と体系的に考察を試みた。
 以下に、モデルの考察に際して特に配慮した点を掲げる。

  1.  ―⊃Τ萋阿砲茲覲惱ご間の短縮問題は、経済界の自主努力で改善されることが期待できるとした。
  2. ◆,罎箸蟠軌蕕砲茲覲慘歪祺写簑蠅蓮∧神24年度に中学校、25年度から高校で新学習指導要領に基づく課題探求型の学習と自己との関連付けの学習が徹底されることで、今後改善が期待できるとした。
  3.  「未知の時代を切り拓く能力」を大学教育として提供できるようにすることが喫緊の課題であるとした。
  4. ぁゞ詰棆別椶叛賁膕別棔∪賁膣霑辰叛賁膠用の科目の統合を促進するとともに、授業科目を体系化・総合化するなど、教員間で連携したチームによる学修を組織的に取り入れる必要があるとした。
  5. ァー業科目が多くて事前・事後学修時間の確保が困難なことから、統合授業など教員間での調整が必要とした。
  6. Αヽ慇犬自らの問題として授業を受けとめ主体的に学修する理想的な仕組みを創り出すことにした。
  7. Аヽ惱だ果を質保証するために卒業試験、卒業論文などの出口管理の厳格化、客観的な到達度評価の基準を作る必要があるとした。また、卒業までに学修成果を確実に修得できるよう学修ポートフォリオで不足している能力を洗い出し、大学が個々の学生に学修支援する仕組みを設けることが不可欠とした。
  8. ─)椒皀妊襪蓮「未知の時代を切り拓く能力」を大学教育として提供できるように、教育改善全般に亘り構想するものであり、教室での対面授業を基本とする中で必要に応じてICTを用いることにした。
  9.  教育改善のイメージとしては、「教員の授業以外にICTを活用して社会や世界の学識者と協力して学べるようにする」、「グループによる学び合いを学修支援システムで展開する他、学修成果を学内外で発表・講評し、学修成果の振り返りを繰り返す中で学修の通用性を体験させる」、「学生目線でグループ学修の相談・助言を学内LAN上でファシリテーターにより支援する」、「不足する基礎知識を履修後も教員間の連携により学内LAN上で卒業までの期間を通じて定着・発展させる」、「学外教員による口頭試問の外部評価試験」などとした。
  10.  教育改善モデルの実現性を高めるため、教員に期待される教育力を考察した。専攻分野における教員の姿勢、高度な知識、経験の視点から専門性を整理した上で、改善モデルに求められる特徴的な教育力を抽出し、その上で教育力を高めるFD活動とFD活動活性化に求められる大学の課題を提示することにした。

今後の事業や委員会活動に
反映させていただきますので、
ご意見ご要望をお寄せ下さい。

ページの先頭へ