第5回産学連携人材ニーズ交流会開催結果の概要

T.開催日時

日 時:平成26年3月10日(月) 13:30〜17:00 人材ニーズ交流
  17:15〜19:00 情報交流会
場 所:新宿住友ホール (東京都新宿区西新宿2-6-1 新宿住友ビルB1)

U.参加者

大学参加者:90大学 122名  
企業参加者:19社 41名  
(独)情報処理推進機構: 1名 合計164名

V.開催趣旨

 成長社会から成熟社会への大きな変化が始まっています。これまでの成功体験モデルやシステムへの依存から新しい価値創造を目指した社会へ脱皮することが避けて通れなくなっています。
 このようなイノベーションをもたらす時代を切り拓いていくには、常識に囚われることなく、さまざまな領域から多様な情報や考えを組み合わせ、新しい視点を提案して挑戦し行動できる実践的な人材力が要請されます。
 そこで、今回はイノベーションのための人材育成を国及び産業界・地域社会との連携、大学間連携の中でオープン化していく仕組みについて理解を深め、私立大学としてどのように情報通信分野の教育改善に活用できるかを考える場にしたいと考えております。

W.プログラム

1.開会挨拶

  向殿 政男 氏(公益社団法人 私立大学情報教育協会会長)

2.基調講演「産学・大学間連携によるオープンイノベーション教育の仕組みを考える」

  國領 二郎 氏(慶應義塾 常任理事 総務省 実践的ICT人材育成推進委員会主査)

 学校法人慶應義塾の國領常任理事から、ICTの進展による社会の変化に対応していく未来志向の人材育成には、創造性の発揮が重要であり、創発的な価値創造のマネジメントができる人材が望まれる。そのため大学の役割としては、産学連携で教育をオープン化し、既存の企業には存在しない次世代技術の人材育成が必要であることが強調された。

3.事例紹介と討議
  事例紹介 「地域の課題解決人材を育成する起業家養成講座の取組み」

  大谷 真樹 氏 (八戸学院大学 学長 )

 八戸学院大学の大谷学長から、地域の課題を発見・解決する授業の仕組みとして、社会人と学生による「起業家養成講座」を紹介いただき、オープンイノベーション教育の進め方について意見交換を行った。

@  教員だけでは限界があることから、企業や地域と連携したオープン化した教育を通じて問題発見、課題解決力の育成が不可欠であることが確認された。
A  地方でICTを活用することは、学生に主体的に考え、体験させる場としてインパクトがあり、日本や世界を見据えた学びに繋がる。
B  人口30万人程度の地方都市では、大学、地場産業、農業、漁業などが連携して地域を発展させることが共通の課題となっていることから、地域社会や産学連携による起業家育成がしやすい。
C  起業家育成のワークショップやフィールドワークは、単なる体験を目指すのではなく、参加体験を通じて興味を持たせて考えさせる中で何を学ばせるかが重要である。
D  オープンイノベーション教育に取り組むためには、大学としてのカリキュラム、教育プログラム等を柔軟にしておく必要がある。
E  イノベーション人材の育成は、大学から始めるのでは遅く、家庭教育や初等中等教育から取り組むことが重要である。
4.実践的IT教育におけるコンピテンシー評価基準活用モデルの紹介

  大島 信幸 氏 ((独)情報処理推進機構 イノベーション人材センター長)

  (独)情報処理推進機構(IPA)が作成した産学連携による実践的講座での効果を評価するルーブリックによる基準指標の紹介が行われた。

5.大学教育に対する卒業生との意見交流

(1)入社3〜5年の社員4名から大学教育が企業の現場で役に立っているか、大学教育への要望などについて、以下のような意見があった。

@  大学の授業が企業の現場で直接役に立っていることは少ない。
A  授業への要望として、 講義中心の授業から、学生一人ひとりがディスカッションやプレゼンテーションができ る授業に変える。
B  「なぜ?」と学生に考えさせる講義、吸収した知識を実践として使う機会を設け、知識の活用を体験させる授業に変える。
C  学生が自ら考えて行動できる力をつけるため、企業と連携した授業が必要。
D  学ぶ姿勢や意欲を高めるために、学びが世の中でどのように活用されているのか産学連携で確認できる授業が必要。

(2)以上の要望を踏まえて意見交流を行い、以下の点を確認した。

@  能動的な授業を新たに増やすことではなく、現在の授業を改善・充実することを望んでおり、大学教員の意識と学ぶ学生との間にズレがあることが確認された。
A  大学では、授業以外の友達、先輩・後輩、サークル、OB・OGとのふれあいを通じたコミュケーションなどが非常に役に立っていることが確認された。
B  大学の学びを通じて自ら学ぶという習慣が身についたことが確認できた。
C  若手社員の対象を入社3〜5年としたことについて対象を広げるべきとの意見があったが、大学教育への思いを反映できるよう、敢えて新入社員に意見をいただくことにした。
発表資料卒業生の意見1卒業生の意見2卒業生の意見3卒業生の意見4
(発表者の企業名・名前等の個人情報に関する部分を削除して編集しています。)
意見交換
6.大学教員の企業現場研修の取り組み報告

 本年度の「大学教員の企業現場研修」の実施状況について年々参加希望が増え非常に好評であること、今後も継続し、充実・拡大していくことが確認された。

    資料 「平成25年度大学教員の企業現場研修の取り組み報告」

7.学生を対象とした産学連携事業「社会スタディの場」の取り組み報告

 本年度から実施した「社会スタディの場」は、以下に報告の通り、学生の主体性を引き出し、未来に向けて学びの目標を考えさせる場として非常に有益であることが認識され、オープンな学びの支援を今後充実、拡大して行くことが確認された。

    資料 「平成25年度社会スタディの場の取り組み報告」

8.情報交換会

 約80名が参加し、「オープンイノベーション教育の進め方」、「大学教員の企業現場研修」や「社会スタディの場」の取り組拡大に向けた活動を継続していくことへの前向きなご意見を数多くいただいた。


今後の事業や委員会活動に
反映させていただきますので、
ご意見ご要望をお寄せ下さい。

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