社団法人私立大学情報教育協会

平成15年度第1回物理学教育IT活用研究委員会議事概要

機テ時:平成15年5月17日(土)午後1時30分から午後3時30分まで

供ゾ貊蝓Щ箴雍┿務局会議室

掘ソ仞兵圈鈴木委員長、川畑副委員長、松浦、松田、満田、志田、徐委員、

        小松川 浩氏、井端事務局長、木田

検ジ‘せ項

1.千歳科学技術大学におけるe-Learningの活用事例について

千歳科学技術大学光科学部より小松川浩氏を迎え、千歳科学技術大学における高大連携型のe-Learningの取り組みについて報告いただいた。概要は下記の通りである。

(1)最近の教育事情について

近年中学校において新課程に伴う学習内容の変化のため、過去に必修とされていた教科(例:一次不等式)が義務教育よりはずれた。学校によっては学習内容の補充のために、選択数学を補修科目として設けているが、その学習内容は各教諭に一任されており、適した教材が無いのが現状である。

高校でも同様に、新課程により従来必修とされていた科目(例:複素数平面)が対象外となり、更に理数系クラスの減少、文理融合指向、中学での新課程の影響などを受け、数学の学力低下の一因となっている。

また、少子化により、大学「に選ばれる」時代から大学「を選ぶ」時代へと変遷し、入試形態も多様化してきたことから(例:受験科目範囲の多様化、AO入試)、今後更に基礎学力の欠落した学生が大学に入学してくることが予想される。

大学においては、基礎学力の欠落した学生に対するリメディアル教育・導入教育が重要視され、補修クラスや高校教員の起用、ITによる効率化など、各大学様々な方法で対応している。

(2)e-Learning

一般的なe-Learningの特徴は、学習者が「いつでも・どこでも」「好きな分野を何度も」学習を行うことができ、更にリアルタイムに回答の成否、成績の確認が可能となること、また教師が学習者全体の成績評価を行えることである。

一般的なe-Learningの構成としては、Web利用型で、特別なソフトを要さずコンテンツの管理を容易に行うことができる。また、Learning Management System機能を持っているため、自学自習や成績の管理、個別指導の支援を実施することができる。コンテンツは、演習と教科書から成り、一般的には資格等スキルの習得のために使用されるケースが多い。コンテンツ作成に際して、グラフィックはGIFやJPEG、動画はrealmedeia、制御部分にはJavaAppletやJavaScriptが用いられていたが、最近はMacromedia Flashにより統合的に作成されることが多くなってきている。

(3)教育現場でのe-Learning

教育現場でe-Learningを活用する場合には、資格試験とは異なり、学習者の学習意欲を如何に維持・向上させるかを意識しなければならない。そのため、学習者に興味を持たせかつ飽きさせないために、分かりやすく体系的なコンテンツを作成し、また諦めず繰り返し取り組むために、問題解決のための関連情報や評価方法の整備を行う必要がる。また、教員は、学習方法や弱点箇所に関する指導を行うために、学習者の時系列学習履歴の把握や知的処理システムと連携する必要がある。

(4)千歳科学技術大学での取り組み

千歳市では、千歳科学技術大学と市内の高中小学校が連携してe-Learningシステムの研究に取り組んでいる。具体的には、大高中小学校の現場教員が研究会を組み、教授法に関するノウハウを収集しているが、そこでは学生に分かりやすいイメージとして、黒板のドラフトイメージを中高校の教員が作成し、それを基に大学において電子コンテンツを作成している。

千歳科学技術大学ではe-Learningシステムを、1年生を対象とした数学基礎クラス(2クラス編成で標準的な大学数学を学ぶクラスと高校数学の復習から学ぶクラス)に用いている。e-Learningは、先述した通り、コンテンツはFlashを用いて作成し、LMS機能も有している。講義形式は、学習効果測定のために、半期ごとにシステムを利用した演習と従来の紙ベースによる演習を使い分けている。なお、学習効果は、システムを利用したクラスでは、平均12点の点数上昇が見られた。

(5)高校での事例

千歳科学技術大学のe-Learningシステムは、市内の連携高校でも講義中に活用されている。同システムを活用することに関して高校生にアンケートを取ったところ、利点となる意見として、「図形やグラフが視覚的に捉えられるために理解がしやすい」、「先生が板書をする時間が無いため授業がスムーズに進み、説明に集中できるようになった」との意見があった。欠点となる意見としては、「板書をノートに書き写すタイミングが難しい」、「板書が見にくい」などの意見があった。

(6)まとめ

数学に関する学生の基礎学力低下はおそらく事実であり、また情報に関する学生のスキル向上と高い興味度は明らかな事実である。その意味で、コンピュータを活用した自習教育は有効であると考えられる。千歳科学技術大学でも試験的にe-Learningを運用した結果、予想以上に学力向上に寄与することができた。その理由としては、学生が自分の中で閉じて基礎学習に専念できること、教員が学生の学習進捗管理に専念できることが挙げられる。

e-Learningを通じて学力向上を図るためには、如何に個別指導に近づけるかが重要なポイントであると考えられる。

質疑応答

Q:このシステムのグラフィカルな部分は全てFlashで作成しているのか。

A:はい。画像の取り込みや描画も全てFlash を用いている。動画の取り込みや制御部分に関してもFlashを活用している。

Q:問題の作成に当たって市内の高校の先生方が参画しているが、参画することにより彼ら自身どのようなメリットがあるのか。

A:参画している先生方は、自分の生徒たちにPCを触れさせたいという意識がある。高校でも大学と同じシステムを使用することができるということが最大のメリットではないか。

Q:システムの管理体制は?

A:教員は私一人であとは学生に協力してもらっている。このシステムのエージェントの開発などは、院生の課題になっている。

Q:大学においてきめ細やかに教育を行うことの秘訣は?

A:千歳科学技術大学では、大学の方針として基礎教育の充実を図ることにしている。また、高校の先生方が熱心であるため、私自身もそれに付いていっているという感がある。実際にできない学生を目の当たりにしたことのある先生に協力してもらうことが重要である。

Q:現在は基礎科目だけに運用しているが、専門科目との連携はどのように考えているか。

A:現状では、基礎科目担当と専門科目担当教員が授業内容について話し合う機会が殆ど無い。今後は大学全体として、基礎科目専門科目を体系立ててe-Learningを活用することを計画している。

2.その他

事務局より、インターネットの物理学リンク集の更新状況について報告があった。項目によって一つもリンクを張られていない箇所があるため、今後はそこを中心に新しい教材を探索していくことが申し合わされた。

また、次回委員会では、山形大学の田實佳郎氏に携帯電話を活用した授業事例について報告いただくことが提案され、承認された。