社団法人私立大学情報教育協会
平成18年度第2回物理学教育IT活用研究委員会議事概要

T.日時:2006年7月31日(月)午後1時から午後3時まで

U.場所:私情協事務局

V.出席者:藤原委員長、川畑副委員長、松浦、満田、徐、太田、寺田、藤原各委員、井端事務局長、木田

W.議事進行

1.コア・カリキュラムを意識した教育の到達目標
  寺田委員より原稿について報告いただいた後に意見交換したところ、下記の旨の意見があった。

■事務局からの意見


○ 物理教育の目標が端的に把握できるような表現にしていただきたい。
○ 具体的には学生の持つべき能力やケイパビリティを包括的に提案いただきたい。
○ 一般と専門の両方を包含したような目標を掲げていただきたい。
○ ITとの関わりあいは特に気にしなくても良い。

■意見交換


○ JABEEの認定基準を見ると、あらゆる分野で物理が基盤として構築されていることがわかる。そのことも踏まえ、物理学はあらゆる理工学系分野の基盤的学問であることも訴えるべき。
○ 紙幅を圧縮するためにもJABEEの基準は付録にまわした方が良い。
○ 例えば文系の目標であれば科学リテラシーの習得など掲げられるが、理工系の目標となると具体的な目標を掲げるのは難しい。また、JABEEの評価基準も具体的な教育目標については触れていない。
○ 具体的な目標はそれぞれの教育現場で異なると思うが、物理学は科学技術の基盤となる方法を提供するものであり、それゆえ理工系の学部学科では必修と考えられている。その際に学ぶべきことは細かい部分では異なるけれども、大枠で科学リテラシーのように証拠に基づく議論ができること、実証に基づき論理的概念を形成し物事を判断する方法を学ぶことが挙げられる。その他には解析の手法として数理的手法を用いて客観的に判断できたり批判できたりすることが挙げられる。


(2)教育現場での課題
  藤原委員より原稿について報告いただいた後に意見交換した結果、以下の点を変更いただくこととなった。

○ 紙幅の都合により、結論部を中心に集約いただく。
○ 図表はデータとしてDVDに収録する。
○ IT活用はあまり意識せずに、根本的な物理教育の問題点を列挙いただく。例えば、基礎学力低下によるリメディアル教育の必要性、組織的な支援体制の必要性など。
○ 上記のような問題点を教員、学生、組織それぞれの観点から列挙いただく。

(3)教育改善のための授業設計・開発・運営の方向性
  太田委員より原稿について報告いただいた後に意見交換した結果、以下の点を変更いただくこととなった。

○ インセンティブを持続させるための授業設計の指針をまとめていただく。
○ 具体的には「リアリティーのある教育」、「教員・学習者間のコミュニケーション」、「学生自身が学ぶ授業」を実現するために具体的にどのような授業を行うことが望ましいのか記述いただく。
→ 授業モデルでそれらを踏まえた事例を紹介しているのでそれを要約したもの+α(理想論)を提起する。必ずしも現状実現していない理想でも構わない。
○ 4.運営制度は「2.教育現場での課題」において指摘することとする。
→ 教員相互の授業のピアレビューについても触れたほうが良い。

(4)ITを活用した授業モデルの紹介
@徐委員
  徐委員より授業モデルの原稿について報告いただいた後に意見交換した結果、以下の点を変更いただくこととなった。

○ 構成を「授業のねらい」、「シナリオ」、「IT活用の詳細」、「授業効果」、「問題点」に変更していただく。
○ 割愛する「はじめに」の文章は(1)コア・カリキュラムを意識した教育の到達目標と(2)教育現場での課題で活用していただく。
○ IT活用の方法を強調したタイトルに変更いただく。

A松浦委員
  松浦委員より授業モデルの原稿について報告いただいた後に意見交換した結果、以下の点を変更いただくこととなった。

○ 3ページに紙幅を圧縮いただく。
○ 最初のICT活用のねらいは、授業科目のねらいに変更し、モデルとして取り上げる授業科目の目標を記述いただく。なお、元の文章は「1.コア・カリキュラムを意識した教育の到達目標」、「2.教育現場での課題」、「3.教育改善のための授業設計・開発・運営の方向性」にて活用していただく。
○ 「シナリオ」部分に記述されている予習のe-learning、演示実験、復習のe-learningはIT活用の詳細にて論じていただく。

B満田委員
  満田委員より授業モデルの原稿について報告いただいた後に意見交換した結果、以下の点を変更いただくこととなった。

○ 構成を授業のねらい、シナリオ、IT活用の詳細、授業効果、問題点の節立てにしていただく。
○ 川端副委員長のモデルとの差異化を図るために、伝統的な物理学の教育理念に到達するためにIT活用している旨を強調した方が良い(  川端副委員長のモデルはリメディアル教育の要素が強いことから)。
○ 満田委員のモデルは、コンテンツを介して教員間のピアレビューを促進すること、またコンテンツがインストラクショナル・デザインのインター  フェイスとして機能することに特徴がある。この点は強調した方が良い。

 以上を踏まえ、各執筆担当委員は修正原稿を8月28日(月)までに提出いただき、その後委員相互の査読を経て(査読締め切り:9月4日(月))9月13日(水)までに再度原稿を提出いただくこととした。

(5)IT活用に伴う課題
  委員会終了後、藤原委員長より委員各位にアンケートを実施いただき、回答を集約いただくこととした。