社団法人私立大学情報教育協会
第3回化学教育IT活用研究委員会議事概要

Ⅰ.日時:平成15年12月10日(水)午後1時から3時まで

Ⅱ.場所:私情協事務局会議室

Ⅲ.出席者:竹内委員長、小中原、高野副委員長、伊藤、及川、庄野、木村委員、井端事務局長、木田

Ⅳ.検討事項

1. 化学実験学習のための動画教材と演習問題データベースについて

前回の委員会では、基礎化学分野の期末テスト等の演習問題と、化学実験への導入のための動画教材をプール化することを目的としたデータベース構築の提案がなされた。今回は、演習問題グループ(竹内委員長、小中原副委員長、伊藤委員)、動画グループ(堀合委員、及川委員、庄野委員、)ごとに、プール化可能な演習問題、データベース案を持参いただいた。

<実験動画グループ>

 まず、及川委員より、データベース構造をxmlで記述し、実行プログラムをjavaで記述したデータベースの一例を紹介いただいた。

動画教材は、教員独自の教材に貼り込んだ形のものが多いが、今回のように動画のみを集めてデータベース化する場合には、各動画を効率的に管理する必要がある。そこで、各動画に対してxmlにより、実験テーマ、作成者名などをマークアップし、また分類番号などを付与すれば、使用者も容易に検索することが可能となり、また管理者もwordを用いて情報を変更することが可能である。また、サーバー、クライアントのプラットフォームに依存することなく用いることができる利点もある。

次に、動画配信に必要とされるネットワーク帯域やファイル容量について説明がなされた。

実験過程を一つの動画ファイル化しても、容量が大きすぎて配信不可能になることから、複数のファイルに分けて1ファイル辺りの容量を小さくすることが望ましい。しかし、同時に大勢の学生がアクセスするとサーバーがダウンする恐れもあることも考慮すると、さらにネットワーク帯域幅に合わせた容量のファイルを用意する必要がある。

動画の表示サイズについては、Web経由で配信するのであればネットワーク帯域によって大きさが制限されるという前提はあるものの、スクリーン投影用、テキスト補足用など用途に合わせて画質を調整する必要がある。

以上の説明に対して、下記のような意見があった。

  • 通信回線の都合上、授業中に学生個々のPCから動画を同時に閲覧することは難しいので、その場合にはCD-ROMやDVD-ROMで配布または各自用意させることで対処できるのではないか。
  • 映画やテレビを見せるわけではないので、画質はある程度悪くても構わない。ネットワーク上で配信可能な容量に抑えることがまず必要だ。
  • 提供形態としては、動画だけにするのか、あるいは実験内容を補足する説明・テキストも加えるべきか、今後検討すべきである。
  • 各大学に動画素材の提供を呼びかける前に、提供可能な素材の有無を調査する必要がある。
  • 調査実施の前に、化学実験の学習範囲や階層構造を整理する必要があるのではないか。

 <演習問題グループ>

竹内委員長、小中原副委員長、伊藤委員より、それぞれ実際に試験で用いている演習問題を持参いただき、それを基に意見交換がなされた。まず、竹内委員長より、収集方法として、下記の2通りの方法が提起された。 

  • 実際に使用した試験問題をそのまま送信いただく(txt、word、pdf形式)。
  • 一つ一つの問題をばらして送信いただく(html、txt、word形式。自動採点システムなどを想定するのであれば管理する上で望ましい。)

これに対し、下記の旨の意見があった。

  • こちらで問題登録用のテンプレートやcgiのプログラムを用意しておけば、後々管理・整理し易いのではないか。
  • 化学では化学式、構造式、グラフなどテキストだけでは表示できないものがあり、Webベースで試験問題を提供するに当たっては、提供者側、管理者側ともにそれなりの知識を要する。提供者側に制限を課さないためにも、当面はWordファイルやPDF形式で収集したほうが良いのではないか。Wordであれば、化学式等も画像ファイルに変換して貼り込むことが可能である。
  • 試験問題にも著作権処理が必要である。将来的に完全にオープン化するのか、あるいはメンバー限定で閲覧可能とするのか、またMITのようにクレジットさえ明確化すれば使用・改変可能とするのか、予め前提条件を提供者側にも認めてもらう必要がある。

 

以上、今後の方針としては、実験動画グループ・演習問題グループともに、委員会外の教員に対して動画素材、演習問題の提供を呼掛ける前に、提供可能な動画素材や演習問題の有無について調査を行うこととした。なお、調査に先駆けて、化学実験と有機化学(演習問題グループを担当される委員の専攻が有機化学であったため)の学習範囲や階層構造を整理するため、次回委員会では委員各位それぞれシラバス等持参し意見交換することとした。

その他に、今回提起された下記四つの問題点についても継続して検討してこととした。

  • 実験動画のファイル形式(avi、mpge、wmv、rm)やファイルサイズ
  • 動画ファイルの提供方法(動画素材だけとするか補足テキストも合わせて提供するのか)
  • 演習問題の被提供方法(実際に用いた試験問題をwordやpdfでそのまま送信してもらうか、あるいは個々の問題を分解した上で送信してもらうか。ただし、上述意見にもあるように、提供者側に制限を課さないためにもwordやPDFでそのまま送信してもらったほうが収集しやすい。)
  • 著作権処理の問題(公開方法として完全オープン化するのか、あるいはメンバー限定利用とするのか。)