社団法人私立大学情報教育協会
平成16年度第3回化学教育IT活用研究委員会議事概要

T.日時:平成17年3月10日(木)午後5時から午後7時まで

U.場所:私情協事務局会議室

V.出席者:竹内委員長、小中原、高野副委員長、堀合、伊藤、及川、庄野、武岡、木村各委員、井端事務局長、木田

W.検討事項
1. 化学演習問題データベース、基礎化学実験動画データベースについて
(1) 有機化学演習問題データベース
事務局より、これまでの議論のまとめと補足事項について、下記の旨の説明がなされた。

1.試験問題の登録方法

  Xoopsでは、ファイルアップロード機能が無いため、管理者あるいは問題提供者が一問一問手作業で問題文を入力する必要がある(化学構造式などプレーンテキストで表現できないものは画像に変換しなければいけないのでなお面倒)。作業の煩雑さゆえに、問題提供者が自主的に問題を登録する可能性は低く、結果として提供者よりメール等でファイルを送信いただき、管理者(=事務局)が登録しなければならないことが想定される。しかし、一人でその作業を行うには膨大な時間を要するので、現実的とはいえない。


・ファイルアップロード機能

提供者がブラウザ上で試験問題ファイルをアップロードし、かつ問題の学習項目分類別の配置、キーワードの付与が可能であることが望ましい。
⇒提供者に問題登録させる場合には、システムが完成するまで提供依頼を掛けることができない。システム完成まではファイルと付随する情報をメールで送信してもらい、管理者が登録作業を行う?


2.ファイルフォーマット・問題登録様式について
WordあるいはPDFファイル単位でアーカイブ化することが最も容易であると思われるが、ブラウザ上のインタフェースを重視するのでれば、html形式の方が好ましい。しかし、多くの教員がhtml形式で試験問題を所有しているとは考えられないので、wordやPDFをブラウザ上で自動的にhtml形式に変換する機能が必要と思われる。
 また、利用者の利便性を考慮すると、ファイル単位でなく問題単位で登録した方が望ましいが、WordにせよPDFにせよ、1ファイルにつき1問だけしか掲載されていないような試験問題を所有している教員は少ないことが予想される(つまり大抵の試験問題には1ファイルにつき複数の問題が含まれている)。事前に提供者に対して、1問1問分離することを条件付けることなど考えられるが、作業の煩雑さ故に積極的な協力を得ることができなくなると予想される。よって、できればファイル単位でのアーカイブ化が望ましい(極力キーワードを付与することによって検索)。


3.利用者の範囲について
これまで完全オープン化、私情協加盟大学限定、問題提供者限定と3パターン検討され続けてきた。Webの潮流に鑑みると、オープン化することがトレンドとも思えるが、学生のアクセスや営利目的での利用を回避するためには、ある程度アクセス制限を掛けた方が望ましいと思われる(利用対象を教員に限定して、利用希望の申告がある度にIDを発行する)。


4.著作権について
著作権は原則的に提供者が保持するものとして、提供いただく前に第三者の無償での再利用、改変の許諾を得る。場合によっては、再利用のみ許可、改変も許可といった様に複数のレベルを分けても良い。営利目的での利用は禁止する。

以上の説明について下記の旨の意見があった。

  • 利用者の立場からすれば、やはり分野ごとに問題が整理されていた方が使い勝手が良いのではないか。
  • 各問題に対して利用者からコメントを加えることのできるフィードバック機能があれば、問題提供者へのモチベーションを高めるとともに、利用者間のコミュニケーションを促進するのではないか。
  • ファイル形式については、利用者の立場からするとコピー&ペーストして利用できれば、Wordに限らず何でも良いのではないか。


(2) 基礎実験動画データベース

 高野副委員長より、データベースの構想について、サンプルに基づき下記の胸の説明がなされた。
 
  化学実験の目的や内容は大学により異なることから、動画を提供する場合にも、できる限り部品化し、授業で用いる際の素材として提供すべきである。また、動画のファイルサイズや大学のネットワーク環境に鑑みると、Webベースで提供することよりも、CD-ROMなどのメディアにより配布した方が適切であると考えられる。そこで、Excelを用いて実験動画のデータベースを仮構築した。ここでは、各実験の操作法や概要と、学生が卒後に必要とされる安全管理や特許に関する知識を習得させるために、CAS番号等による分類、部品化された動画データが掲載されている。著作権を保護するためには、CD-ROMにクレジットを明記することに併せて動画へのパスワード設定も可能であるが、基本的に掲載されたコンテンツは自由に利用できることとする。

 次に及川委員より、委員会外の教員から動画を提供いただく場合の注意事項に関して説明がなされた。はじめに、ファイル形式の統一の可否、またビデオテープしか所有しない場合のコンバートの問題、データベースの公開範囲、さらに、提供いただいたファイルの二次利用、例えば長時間の動画の再編集の可否について、方向性を明確にした方が良いとの報告がなされた。

 次に、堀合委員、木村委員より、それぞれファイルサイズ別の動画例、実際に動画とPowerPointを組み合わせた授業事例について報告がなされた。

 各委員の報告について、下記の旨の意見があった。

  • 木村委員のような授業事例は、データベースからリンクして、動画を活用した授業事例として紹介すれば参考に資するのではないか。
  • 動画を有する教員は少ないので、まず委員会として動画を作成し、第一弾のデータベースを構築する必要があるのではないか。細かいプラットフォーム等については、動画が集まった後に検討しても良いのではないか。
  • コンテンツの自由利用を許可する代わりに、CD-ROMは有料化し、回収した資金は第二弾、三弾のデータベース構築に向けた費用としてプールすべきではないか。
  • 私情協として、資金を回収・分配することは困難である。必要経費は私情協で負担するが、無料で提供いただくことが望ましい。もし有料化を検討するのであれば、企業を仲介すべきである。

以上、両データベースについては、今後も継続して検討することとした。

2. 委員長交代について
 
  竹内委員長が今年度をもって退任されることに伴い、次期委員長について互選した結果、小中原副委員長に委員長として就任いただくこととなった。また、副委員長として、新たに及川委員に就任いただくこととなった。