社団法人私立大学情報教育協会

平成 17 年度第 1 回英語教育 IT 活用研究委員会議事概要

 

 

機テ時:平成 17 年 7 月 22 日(金)正午より午後 2 時まで

供ゾ貊蝓Щ箴雍┿務局会議室

掘ソ仞兵圈北出委員長、安間副委員長、熊井、山本、田中各委員

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議事に先立ち、事務局より「平成 16 年度 私立大学教員の授業改善白書」と「教育改革を目指したeラーニングのすすめ」、教育における産官学連携事業について紹介がなされた。

※「平成 16 年度 私立大学教員の授業改善白書」について

 本白書は、昨年 11 月に本協会が実施した、私立大学教員による授業改善に関する調査の回答結果を取りまとめたものである。この調査では、授業を運営する上での現状の問題点、授業改善のための課題、授業での IT 活用状況、授業で IT を活用した場合の効果や問題点等、質問内容を IT に限定せず、大学教員が授業を運営する際に関わる問題点を広く聴取したものである。

現状の問題点としては、学生の基礎学力の欠落、学習意欲を高める工夫が困難であること、教育に対する組織的支援がないことなどが、多くの教員から指摘された。授業改善のための課題としては、授業シナリオ作成、科目間の実質的な連携、授業に即した教育環境作りなどに多数の回答があった。 IT 活用状況では、現状では Web 上にシラバス掲載、現実感覚の創出、レポート・課題提示に活用しているとの回答が多く、 2 年後には、 e-Learning の導入、理解度把握、教員・学生間のコミュニケーションのために使用したいとの回答が多かった。 IT を活用した際の効果については、授業に刺激を与えること、学生の学習意欲の向上に繋がることに多数の回答を得た。問題点としては、理解しているようで理解していないこと、ノートを取らないことなどの指摘が多かった。また、 IT を活用している教員としていない教員の回答を比較したところ、授業運営について抱える問題点は共通していることが判明した。

•  「教育改革を目指したeラーニングのすすめ」

本冊子は、大学における e ラーニングの普及・啓発を目的として、本協会のコンテンツ標準化委員会により作成されたものである。これまで日本で刊行されてきた e ラーニングに関する書籍は、必ずしも高等教育に限らず、企業内研修を対象として書かれてきたので、純粋に高等教育のみを対象としたのは、本冊子が日本初と言える。

冊子の具体的な内容を見ると、第一部では、全体的な要点が整理され、第 2 部では、 e ラーニングの定義、授業事例、導入レベル別授業モデル、導入に向けた自己点検表が掲載され、第 3 部では、 e ラーニングを導入する際の、教員、大学当局それぞれの配慮すべき留意点、教材作成の留意点が掲載されている。

1.英語教育 IT 活用研究集会を振り返って

参加者より寄せられたアンケートの集計結果に基づき、委員各位より感想を述べていただいた。要旨は下記の通りである。

•  参加者には、 LMS に関する技術的な関心の高い人が多く集まったため、コア・カリキュラムや CAN DO リストに関して議論できるまでの土壌には至らなかった感がある。

•  参加者を大雑把に分類すると、 CALL 担当者、 CALL 初心者、4浜職(学部長、教務部長等)の3タイプに分類可能と思われる。△麓腓縫轡好謄爐筌灰鵐謄鵐弔覆謬蚕囘な興味が強いが、は大学の経営的な効果を期待している人が多いと思われる。今回の集会は主に ↓△鯀枋蠅靴導催したが、今後の要望も高まると思われる。今後どのように対応すべきか検討の余地がある。

•  これまで議論されることのなかった、コア・カリキュラムと IT をテーマにしたことにより、今後の英語教育の一つの流れを提示することができたと思う。今後委員会では、その具体化に向けた検討を進めるべきである。

•  コア・カリキュラムについては、今後約半数の大学で無試験に近い形で新入生が入学してくることに鑑みると、 CAN DO リストの「 CAN 」のレベルも多様化してくることが想定される。それに応じて、 IT 活用においても全体的な学力のボトムアップを測るような手立てを検討することも求められてくる。

2.今後の活動内容について

18 年度に報告書を発刊することに伴い、山本委員より報告書のテーマとして「英語教育におけるコア・カリキュラムの指針と授業モデル」を提案いただいた。要旨は以下の通りである。

 現在国公立大学では、学部学科レベルのコアカリキュラムが検討されているが、早晩に各学問分野でも議論されることが想定される。英語教育においても、昨今の大学の教育政策や社会的な要請を踏まえると、早急にコア・カリキュラムを検討する必要があるのではないか。

 そこで、本委員会でコア・カリキュラムの体系化を図ることは不可能であるので、あくまでも各大学がカリキュラム編成する上での指針とその指針に基づいた授業モデルを提案することにより、大学の英語教育の改善に寄与することを目的とすべきである。

コア・カリキュラムの指針

大学の英語教育の教育目標は大まかに、 English for Academic Purposes 、 English for Communication Purposes 、 English for Intercultural Understanding の 3 つが考えられる。このような大きな目標を踏まえたうえで、各技能別の目標、授業設計や評価の方法、また各大学の教員間の連携不足、大学全体としての人材育成像が不明瞭であることを踏まえて、大学・学部レベルのカリキュラム設計と評価の方法、さらに大学生が最低限共通して身に付けるべき能力を提示するための大学共通コア・カリキュラムのフレームワーク、さらには学生の自己学習・自己評価能力、大学の外部評価などを提示する必要がある。

コア・カリキュラム指針に基づいた授業モデルの提案

単に授業事例を羅列するだけでは意味が無いので、授業モデルの設計指針、具体的には、教育目的と学習目標の明確化、学習環境の設計と提案、 授業方法−自律的学習と授業評価の方法などを提案した上で、それらの実践授業事例あるいは授業モデル案を、例えば技能別に紹介する。

続いて事務局より、報告書のテーマについて以下の旨の説明がなされた。

今回の報告書では、単に IT を活用した授業事例を紹介するだけでなく、各学問分野別に教育目標の明確化するとともに、目標到達に向けた教育方法、支援体制などを提案することにしている。本年度は、報告書に向けての材料収集、例えば私立大学教員による授業改善に関する調査から興味深い取り組みをされている先生方を抽出し、委員会に招いてヒアリングを行い教育効果の検証することなどを検討されたい。

コア・カリキュラムについては、 中教審大学分科会の答申「我が国の高等教育の将来像」において、各学問分野別のコア・カリキュラムの作成及びコア・カリキュラムの実施状況と大学評価の有機的連動が謳われているが、その背景には、大学の授業内容がこれまで教員個々に付託されてきたために社会の求める人材が育成されなかったことが考えられる。そこで、教育の質保証のためにも、学生が大学を卒業した時点で最低限身に付けるべき能力の明確化とそれに必要なコア・カリキュラムを教員間で共通理解を得ることが、本答申の目的ではないか。

以上の説明について意見交換したところ、下記の旨の意見があった。

 

•  授業モデルとしては、ある教員固有の技術や能力に拘束されない汎用的な技術と授業評価の際の項目を提示する必要があると思われる。技術的に高度なものは、却って読者に敬遠されてしまう可能性が高い。

•  授業を通じて実際には学生の英語力が向上していたとしても、彼らはそれを実感することができない。それ故に、極力具体的な目標、例えば英語新聞が読めることなどの社会的実践能力を掲げ、目標到達までの授業設計方法をモデル化することは、実例がなくても考案することは可能ではないか。

•  大学によって学生のレベルも多様であるので、一般的な目標の下位にレベル別の到達目標も検討する必要があるのではないか。

•  私情協以外の学会、例えば大学英語教育学会や外国語メディア学会でも IT を活用した教育方法は多く発表されているので、それらの情報を収集・分類し、コア・カリキュラムの指針に基づき評価することは可能ではないか。

•  個々の学生が授業に期待する内容は、それぞれ異なる。例えば異文化コミュニケーションの授業を受講する学生は異文化に興味があると一般化することができるが、個別のニーズは多様である。このニーズを教員が把握する/しないによって、学生の学習意欲を左右する。それ故に授業モデルを設計する場合、そのような学生のニーズの把握に始まり、次に具体的な授業運営方法、最終的に教員の評価から学生の自己評価に至るまでのプロセスを連関的に検討しなければならない。

 以上の意見を踏まえ、次回委員会では、山本委員の提案の、 3 つの教育目標( 、 English for Academic Purposes 、 English for Communication Purposes 、 English for Intercultural Understanding )の具体化を図るため、委員各位自身の考える到達目標を検討いただくとともに、各種学会の情報を調査収集いただくこととした。