社団法人私立大学情報教育協会
平成19年度第1回英語教育FD/IT活用研究委員会議事概要

機テ時:平成19年6月30日(土)午後2時から午後4時まで
  
供セ篶大学情報教育協会事務局会議室

掘ソ仞兵圈Щ核槊丹谿儖長、田中副委員長、五十嵐、北出、小林、小野、山本英一各委員
       井端事務局長、木田
掘ジ‘せ項
1.「ファカルティ・デベロップメントとIT活用」の刊行について

  事務局より、18年11月に報告書が刊行された旨の報告がなされ、委員各位への謝辞が述べられた。また、事務局にて取りまとめた第1章の概要についての説明がなされた。
  さらに、関連情報の提供として、平成19年6月1日に発表された教育再生会議の第二次報告(「社会総がかりで教育再生を」)についての説明がなされた。この報告では、大学の取り組むべき課題として5つの提言がなされている。提言1では、教員の教育力向上のためのFDの義務化や教育手法に関する研修プログラムの開発、提言2では企業や社会との連携の強化、提言4では国公私を通じた大学地域コンソーシアムや大学院の共同設置、提言5では国立大学の改革として、人事給与システムの見直し(教育・研究業績の給与への体系、学長選挙の廃止、学長のリーダーシップの発揮)が謳われている。

次に山本委員長より、委員会の今後の活動方針として、(1)報告書の内容を教育現場で実現するための方策と、(2)報告書の内容を普及することが提案された。具体的には、(1)については、 到達目標を教育現場で使える評価規準(Can Do List ) の作成、 現場で使える具体的な授業実践モデルの提供が、(2)については、 ネットワーク上での公開と英語教育関連(学会も含む)とのリンク活用、 本委員会による報告集会の開催、 英語関連学会での各委員による発表が提案されている。
以下の提案に基づき意見交換したところ、以下の旨の意見があった。

CanDOリストについて


○ 日本においてCanDoリストは民間のテスト業者が作成されているが、業者ごとに評価基準がバラバラであり統一化がなされていない。大学の教員もTOEICやTOEFLの評価基準に頼っているのが現状である。大学人が評価基準を積極的に提案することも必要である。
○ CanDoリストは、学生が自らの英語力を自己評価できるように構築すべきである。TOEICにせよTOEFLにせよ、点数が社会的に評価されても具体的にどのような英語力が備わっているかは自己判断できない。

授業設計・FDに関連して


○ 私情協主催のフォーラムでは、初日に早稲田大学のオープンカレッジに関する講演があったが、早稲田大学のような大規模大学が、チュートリアルイングリッシュのような少人数教育を実践していることは非常に興味深かった。2日目では大同工業大学のFDに対する取り組みについての報告があったが、やはりFDについての知識も希薄でありスタッフも少ない小中規模の大学に対して何らかのサジェスチョンをする必要がある。
○ FDも教員同士で取り組むのではなく、職員や学生あるいは社会人にも参画できるよう、オープン化を図るべきである。
○ 学会でも授業事例の報告がなされているが、結局実践紹介で終わってしまう。重要なのは授業の設計・デザインである。報告書においても教育目標と授業設計の指針を提案しているが、委員会としてもそれらを具体化したモデルを今後提示していく必要がある。
○ 学会等の授業事例の報告を聞いても、そのまま自分の授業で活用できるような事例は少ない。むしろモジュール化したモデルの提示が必要であり、実践報告よりもモジュール体系を作り上げていく必要がある。さらに、教員が自分の授業に合わせてモジュールを取捨選択できるようなガイドラインがあるとなお良い。
○ 山本委員長の仰る設計力とは、まさにモジュールを統合して授業を構築する能力のこと指している。
○ 教員の授業評価については、一年間や半期だけで判断するのは難しい。むしろ卒業してから5年〜10年経った者に対して授業評価を追跡評価したほうが望ましい(現実的には難しいが)。
○ 学生は授業以外でも英語の勉強をしていることもあり、授業だけでどれだけ学生の能力が伸びたのかを測定することは難しい。そのためにCanDoリストのような評価基準が必要である。CanDoリストは大学と企業が共同して作成したほうが良い。
○ たかだか週1〜2回程度の授業回数で学生の英語力を身に付けさせることは不可能である。むしろ学生の意欲を高めて自学自習させるよう仕向ける工夫が必要ではないか。
○ 日本の英語教育の一番の問題は、学生が授業で学んだものの成果を形あるものとして捉えることができない点にある。学生に何故英語を学ぶ必要があるのか尋ねても「社会で必要だから」という漠然とした回答しか返ってこない。やはり明確な教育目標と目標到達のために必要な能力を明示する必要がある。
○ 早稲田大学のチュートリアルイングリッシュのように、ネイティブスピーカー1人に対して学生4人程度のクラス単位であれば、自分の英語が相手に通じたか否か即時に確認することができ、モチベーションも高まる。日本国内にいるだけでは自分の英語力を確認する機会がなかなかないので、このように大学として英語力を確認できる場・英語を使う場を提供する必要がある。
○ 将来自分が英語を使う場面を想像することのできる能力の育成も必要である。昨今の学生は将来のことに関心を持っていない。例えば大学でキャリア学習を開講しても全く興味を示さない。現状の英語力では社会に出ても太刀打ちできないことを実感させるためにも、到達目標を明示して自分のレベルをリアルなものとして受け止めさせ、目標を達成するために必要なプロセスを可視化させる必要がある。そのためには、授業で身に付けられる能力と、それ以上の能力を求めるのであれば課外学習が必要であるなど、具体的なモデルの提示が必要である。

 以上の議論を踏まえ、報告書に「授業内容・設計の視点」として掲げた以下の6つの授業を具体化したモデルを委員各位に検討いただくこととなった。

 (1)英語を読む・理解する能力を育成する授業
    担当:山本委員長、北出委員、小野委員
  
  (2)英語を聞く・理解する能力を育成する授業
   担当:小林委員

 (3)英語を話す・相互作用を行う能力を育成する授業
   担当:北出委員、五十嵐委員

 (4)英語を書く・相互作用を行う能力を育成する授業
   担当:田中副委員長、五十嵐委員、山本委員

 (5)テクノロジーを活用して問題解決する能力を育成する授業
   担当:小林委員、小野委員、山本委員

 (6)異文化コミュニケーション能力を育成する授業
   担当:山本委員長、田中副委員長

2.英語教育における産学連携教育の具現化に向けて
事務局長より、産学官連携サイバーユニバーシティ構想の概要と、本委員会の活動内容として、英語教育における産学連携の実現に向けて検討されたい旨の説明がなされた。説明の後、山本委員長より英語教育の視点から産学連携の在り方について説明がなされた。詳細は配布資料を参照されたい。次に、小林委員、山本涼一委員長、山本英一委員より産学官連携サイバーユニバーシティ構想に向けたアンケートの回答として、産業界への要望事項について説明がなされた。詳細は配布資料を参照されたい。その後自由討議したところ、以下の旨の意見があった。

○ 経営学部ではケーススタディを導入しているが、英語教育においても教室内で完結せずに、企業人に協力いただいてケーススタディを実践した方が良い。ただしケースだけではトータル学習が実現できないので、隔週でケースと座学を交互に行うなどの工夫が必要である。
○ 委員会内で募った要望を企業側に提示しても、企業側がそれを理解できるとは限らない。むしろ直接対面で委員会と企業の話し合いの場を設けたほうが良いのではないか。また、コンテンツの話以前に、企業側が学生にどの程度の英語能力を期待しているのかがわからないので、そのすり合わせも必要ではないか。

以上の意見を踏まえ、次回委員会では賛助会員の方を招聘し、産学連携に向けての協議を行うこととした。