ォ. CRPテスト (目的) 炎症による組織の破壊にともない出現するC反応性タンパク(CRP)を検出する血清学的診断法は、臨床の場で最も頻繁に行われる検査法の一つである。このCRPテストは沈降反応を原理とする毛細管混合法で測定されることが多い。近年、より簡便な逆ラテックス凝集反応を原理とする測定法が開発され測定が容易になっている。今回の実習では患者血清中のCRPを逆ラテックス凝集反応で検出し、CRP検出の診断上の意義を考える。 (材料) 血清:  患者血清 6検体   感染実習の未知検体(A〜F)採取患者  陰性血清 1検体 CRPキット:  抗-CRP抗体感作ラテックス試薬 3班で1つ  緩衝液 3班で1本  ピペット 7本  反応板 7区画 (手技) ^反応板の各区画内に緩衝液を被検血清用と対照血清用に1滴ずつ滴下する。被検血清や緩衝液などを滴下する際、ピペットの切り口を反応板と平行に保ち、垂直に滴下する。 _被検血清を添付ピペットで4オlの線(1番下の黒い線)まで吸い上げ、ピペットの先端を区画面につけて血清を押し出す。ピペットの先で緩衝液と十分に混合する。被検血清採取に使用したピペットは1回毎に取り替える。 `さらに反応板を前後左右に動かして十分に混和する。 a抗体感作ラテックス試薬の瓶を、十分に転倒混和して均一に浮遊させる。 bこの抗体感作ラテックス試薬を各区画に1滴ずつ滴下する。 c反応板を前後左右に動かして、2分後に判定する。 d判定  陰性(−): 反応液が一様に濁り、凝集塊がまったく見られない。透明な液体部分も見られない。  陽性(+): 一部小さな凝集塊のみ見られる。  陽性(++): 大きな凝集塊が形成され、液体は透明化し白濁はほとんど見られない。 e使用後の反応板とピペットは必ずビニール袋へ捨てる。 (結果の解釈)  本法における陽性反応は、特定の疾患に対し特異的に起こるものではない。CRPは炎症性疾患や悪性腫瘍など組織破壊のある時に、肝細胞で産生され血中に放出される急性炎症性タンパクで、感染症、リウマチ熱、急性心筋梗塞、慢性関節リウマチ、悪性腫瘍など多くの疾患で陽性となる。CRP値は症状の推移を反映すると考えられている。重症度、予後、ならびに治療効果の判定資料の一つとして用いられる。本法で陽性の場合には体内に異常があると判定し、その原因を明らかにする必要がある。 (参考)  C反応性タンパク(CRP)検出法であるCRPテストは、当初、肺炎球菌菌体のC多糖体が肺炎球菌感染者血清中に出現するCRPと反応し沈降物を形成することから組み立てられた。しかし、CRPが炎症や組織の崩壊にともなって出現する急性炎症性タンパクの1つで抗原性が強いことから、CRPに対する抗体が作製され、この抗体を用いたCRP検出法が毛細管混合法(沈降反応)として確立された。CRPは正常血清にも0.13mg/dl存在するが(RIAやELISAなど高感度検出法で測定可能)、毛細管混合法では陰性となる。この方法は広く普及したが、判定までに長時間を要することから、抗-CRP抗体をラテックスに吸着させたものを用いてCRPを検出する逆受身凝集反応が近年普及している。