社団法人私立大学情報教育協会
平成15年度第1回会計学教育IT活用研究委員会議事概要

 

T.日時:平成15年5月17日(土)午後4時30分から6時30分まで

U.会場:私情協事務局会議室

V.出席者:岸田委員長、椎名副委員長、白川、高松、黒葛、木本、河崎、金川委員、井端事務局長、木田

W.検討事項

1.会計学入門教材・素材データベースについて

 (1)会計情報システム

 前回の委員会では、会計情報システムのデータ解析型の部分を黒葛委員、システム開発型の部分を担当することとなり、今回は、金川委員よりシステム開発型を重視した項目案に関する資料提出と説明をいただいた。項目案は下記の通りである。

  1)会計情報システムの概要(会計情報システムとは何か)

  • 会社の活動、意思決定のための情報
  • 会計の機能
  • 取引処理システム
  • 会計情報システム
  • 会計情報システムをなぜ研究するのか
    2) 会計情報システムの要素(会計情報システムを構成する要素は何か)
  • 勘定コード
  • データ、ファイル
  • フローチャート
 3) 会計情報システムの開発・設計(会計情報システムを開発・設計するために何が必要か)
  • 購買活動におけるデータフロー
  • 購買情報システム
  • 販売活動におけるデータフロー
  • 販売情報システム
  • 製造活動におけるデータフロー
  • 原価情報システム
    4)会計情報システムの運用・管理(会計情報システムを運用・管理するために何が必要か)

  ※ 運用
  • データベース


  • テーブル
  • フォーム
  • クエリ
  • レポート
  • データ入力と報告書作成
  ※管理
  • 入力データの正確性
  • ネットワーク・セキュリティ
  • 内部統制
     5)販売情報システム(販売情報システムを構成する要素は何か)
  • 受注、出荷
  • 請求、回収
   6)購買情報システム(購買情報システムを構成する要素は何か)
  • 発注、入荷
  • 検収、支払
   7)原価情報システム(原価情報システムを構成する要素は何か)
  • 材料費
  • 労務費、経費
   8)その他の情報システム(会社のその他の情報システムは何か)
  • 資金管理
  • 固定資産管理
  • 人件費
  • 予算編成
  • 業績評価

 上記項目案に対して、委員より下記の意見があった。

  • 海外の文献などでは決算報告の部分を言及することが少なく、ここでも財務会計型の情報収集系が抜け落ちている。この辺りの項目を追加するべきかどうか検討する余地がある。
  • 最近大手の会社はERP化し始めているが、今回の項目案の参考文献は、5〜6年前のアメリカの会計情報システムが表に出てきている。現在の実務的な部分と項目案の整合性をどのように図るべきか、またどの時間軸に視点を合わせるべきなのか検討するべきである。
  • 4の「クエリ」、「レポート」は特定のソフトの用語なので使用を避けるべきである。
  • 購買・販売・製造のシステムには勘定コードは使用しないので、コーディングやコード体系に名称を変更したほうが良い。
  • ここでは、購買情報システムを会計情報システムの下に落し込んだ章立てになっているが、実務に即すると、購買情報システムを会計情報システムの前に持ってきても良い。

以上の意見を踏まえ、次回委員会では金川委員より、再度項目案を提出いただくこととした。

(2)簿記原理

 椎名委員より、簿記原理の項目案と登録を希望する素材に関する資料提出と説明があった。まず、簿記原理の項目案は、前回の委員会での意見を踏まえ、取引各論を大項目として新たに設けるとともに、登録を求む教材・素材の概要を付記された。また、登録を希望する素材に関しては、主に株式、為替手形、小切手、社債券など、学生が普段目にすることがなく、授業中に使用することのできる画像資料や、実際の取引を可視化したものを希望するとのことである。次回委員会では、椎名委員より提供することのできる教材のサンプルを持参いただくこととした。

 次に、黒葛委員より、棚卸の動画教材のサンプルと、教材作成のためのメイキングビデオについてプレゼンテーションがあった。この教材は、サイバーキャンパス事業整備費を活用して作成されたもので、実際の企業の許可を得て撮影されたものである。同様のビデオを年度内中に10本程度作成する予定で、一部のビデオは一般に公開するが、基本的にはCCCに加盟している教員に限定して公開することにしている。

 次に、岸田委員長より、短期予算作成のためのプログラムについてプレゼンテーションがあった。このプログラムは、岸田委員長が自作されたもので、目標利益の設定、予想損益計算書、資本利益率を数値を入力することで自動的に計算できる。また、数値入力と同期してグラフも作成されるものである。このプログラムは、一般に公開することが可能であるが、一部にバグがあるために、次回委員会では修正版を再度持参いただくこととした。

 今後のスケジュールとしては、次回委員会にて項目案の骨子を固め、順次CCC参加教員や関係教員、または学会等を利用して、登録を呼びかけることとした。

2.授業事例データベースについて

 授業情報データベースについては、まずは委員会内にて登録情報を更新することが申し合わされた。今後のスケジュールに関しても、教材データベースと同様に、CCC参加教員や関係教員、または学会等を利用して、登録を呼びかけることとした。