社団法人私立大学情報教育協会

平成16年度第1回経済学教育IT活用研究委員会議事概要

T.日時:平成16年12月24日(金)午後1時から午後3時まで

U.場所:私学会館会議室

V.出席者:山岸委員長、大林、渡邉、中嶋各委員、井端事務局長、木田

W.検討事項

  • 経済学教育における産官学連携の可能性について

事務局より、「教育の社会支援についての提案」について説明がなされた。本提案は、大学教育に対する社会からの評価、とりわけ人材育成面での評価が厳しいことに鑑み、学生の意欲向上、教員の授業支援、及び社会人の授業参画による教育の質的保証に資するために考案されたものである。具体的には、@社会での現場情報・体験情報の紹介・説明、A知的情報の電子化と教育への利用実現、B実務経験者による授業の実現、C学習成果に対する専門家の助言・評価、Dインターンシップ、ワークショップ、調査実習の受け入れ、Ee-ラーニング等教育プログラムの共同開発を、主に情報技術を活用して実施・協力いただく。

今後は社会からの支援を得るために、文部科学省に対して政策提言するほか、経済各団体に対しても理解を得るよう努める。合わせて、支援依頼の方法や仲介機関の設置、支援内容・方法を研究する。

経済学は、特に社会と密接に関係する学問分野であることから、今後の活動、特に18年度に発刊する報告書においても、社会との連携をテーマとして内容を考案いただきたい。

 以下の説明に対して、各委員より自身の産学連携の実践に基づき、意見交換がなされた。

  • 現場の第一線で働く企業人に話しを聞くことは、時間的物理的に制約があり困難である。また、各大学では企業人による寄附講座を設けているところもあるが、録画録音の許諾を得ることができても、その場合には話す内容が規制され、無味乾燥としたコンテンツになる。
  • 国際社会貢献センター(ABIC)では、商社を退職された方の講師派遣をボランティアで行っており、現役の企業人に依頼するよりも連携可能性は高いと思われるが、いずれにせよ実施に向けての実務的調整、例えば時間、費用、環境整備などは非常に煩雑である。また、素人にいきなりカメラを向けても円滑に話すことは困難ではないか。
  • 教員だけでは、授業に協力してくれる企業人を探すことは困難であるから、私情協がコーディネーターとなり、人材情報の体系化と仲介を担うべきである。
  • 企業人の授業参加以外にも、放送局の既存コンテンツをデジタル化し、再利用可能な基盤を作ることも考えられる。教育利用のために無償で利用できることが望ましいが、費用を捻出しなければならない場合には、例えば私情協が各放送局に使用料を払い、加盟大学が無制限に利用できるなどの配慮が必要ではないか。
  • 米国のNational Council on Economic Education(NCEE)のように、日本においても経済学教育に関する業績評価を行う団体・学会を設立する必要があるのではないか。また、NCEEでは小中高生向けのスタンダード・カリキュラムの提供、オンラインテストやマルチメディア教材の充実を図っている。このような団体と連携し、コンテンツの邦訳や紹介を通じて、日本における経済学教育の重要性を広報していくことが必要ではないか。
  • 中教審大学分科会の「高等教育の将来像」においても、学問分野ごとのコア・カリキュラムの作成と、大学評価との有機的な関連付けを提起している。本委員会でもコア・カリキュラムの想定し、各項目別の到達目標に向けて如何にITを活用するかを整理する必要があるのではないか。

以上を踏まえて、次回委員会ではNCEEのNational Standardを参照し、経済学におけるコア・カリキュラムのあり方を検討することとした。