社団法人私立大学情報教育協会

平成17年度第4回経済学教育IT活用研究委員会議事概要

機テ時:平成17年10月22日(土)午後4時から午後6時まで


供ゾ貊蝓Щ箴雍┿務局会議室


掘ソ仞兵圈Щ慨澎儖長、藤川副委員長、大林、林、児島、渡邊、中嶋各委員 、井端事務局長、木田

1.経済学教育におけるコア・カリキュラムについて


はじめに、山岸委員長より、これまでの経緯について下記の旨の説明がなされた。

18年度に発刊を予定している報告書の学系共通テーマとして、「コア・カリキュラム」が掲げられていることに従い、本委員会でも大学における経済学教育のコア・カリキュラム案を検討してきた。現在までの案として、一般常識、基礎、応用、分析、研究の段階別に該当する年次を割り当て、さらに社会生活での応用可能性を一般的な到達目標として提示するとともに、個々の段階で習得すべき経済学の知識や概念を並列するマトリクスを作成した。

その次に、以前委員会で検討したマクロ経済学・ミクロ経済学の学習項目リストを参照して、学習項目を難易度別に各段階へと布置し、さらにITを活用した授業モデルと突き合わせる必要がある。しかし、これまでの議論を踏まえると、昨今の学生には、「経済学教育」以前の「経済教育」を施す必要があるとの意見が多いことから、報告書の授業モデルにおいても、一般常識、基礎段階に焦点を当てるべきか、あるいは応用段階まで踏み込むべきであるのか議論の余地がある。

以上の説明を受けて意見交換したところ、下記の旨の意見があった。

  • 会計学教育IT活用研究委員会では、当初会計専門職を目指す学生向けのコア・カリキュラム案を作成したが、個人投資の盛んな昨今の時流から、一般市民が財務情報を解読することも必要であると考え、一般市民の身に付けるべき教養として「会計学入門」のコア・カリキュラム案を作成した。本委員会でも、学生の経済に関する一般常識が欠落しているという意見が多いことに鑑みて、一般市民が消費活動を行う上で最低限身に付けるべき経済学的素養に焦点を当てた方がよいのではないか。
  • 経済学部の学生に求められる一般的能力としては、政策評価できることではないか。しかしながら、昨今の学生は、税金、量的緩和など各政策に対する評価はおろか、用語の意味さえも理解できていない傾向が強い。それ故に、動機付けの意味でも、経済学以前の一般常識に重点を置くべきではないか。
  • 常識的な知識を習得して次のステップに進む場合でも、数学が障壁となり挫折してしまう学生が多い。

次に、前回の委員会にて、中嶋委員より委員会内でのTIESの共同利用に関する提案されたことを受け、TIESの利用方法に関して下記の旨の説明がなされた。


現在TIES上に経済学入門に関する教材を共同利用するための、本委員会専用ページが設けられている。経済学入門は暫定的に14の章から構成されているが、これはNCEEのテキスト等を参照して作成されたものであり、適宜修正・改変を行うことにしている。
教材は、Word、PDF、PowerPoint、動画等あらゆるフォーマットのファイルをアップロードすることが可能であり、さらにライブシステムを利用することで、動画・スライド同期型のコンテンツを作成することが可能である。例として、ここでは渡邊委員に作成いただいたPowerPointとアンケート、児島委員に作成いただいた動画・スライド同期型コンテンツの紹介がなされた。

TIESを活用することの特徴としては、他者の作成した素材を自由に活用することができる点にある。例えば渡邊委員に作成いただいたPowerPointを題材として、他の教員がデジタルチョークを用いて解説することも可能である。教員により解説の方法も異なることから、学生は多様な考え方を学習することもできる。

委員が一人2章を担当すれば、14章全てのコンテンツを作成することが可能であることから、経済学入門の授業モデルとしては、TIESを利用したケースを紹介できないだろうか。

以上の中嶋委員の提案について、委員会として承認を得た。それに伴い、下記の通りに役割分担することにした。

 

第2回 交換の利益 渡邉委員、山田委員

第3回 経済学の選択と決定の理論 児島委員

第4回 市場経済と所有権 大林委員

第5回 経済学的な思考法 藤川委員


第6回 マーケットシステム 林委員、児島委員

第7回 生産性 藤川委員

第8回 企業と起業家 山岸委員長、中嶋委員

第9回 経済循環 大林委員、中嶋委員

第10回 金融政策 林委員

第11回 財政政策 山岸委員長、藤川委員

第12回 グローバルな資本主義 山岸委員長

第13回 外国為替とマネー経済 渡邉委員

第14回 自由テーマ・補足・その他 山田委員

第14回自由テーマについては、経済数学に関する教材を中心に登録いただくことにした。また、教材のレベル・難易度については、各委員に一端教材を登録いただいた上で、委員会で精査することにした。

なお、TIESを利用するためには、所定の書類に必要事項の記入と参加教員の属する部門長に捺印いただいた上で、TIESに提出することが確認された。

次に、事務局より、TIESを活用した授業モデルのほかに、社会の支援を取り入れた授業モデルを紹介いただきたい旨の要望がなされた。具体的には、民間企業や官公庁で働く社会人より、リアルタイムまたはオンデマンドでミニ講義いただくことを想定している。

これについて意見交換したところ、下記の旨の意見があった。

  • 既に色々な大学で、寄附講座など学外の社会人を招いた特別講義が開講されているが、録音録画については許可を得られないケースが多い。また、録音録画が許された場合でも、差し障りの無い授業内容になる。それ故、リアルタイムにせよオンデマンドにせよ、ビデオカメラを廻すことの同意を得ることが難しいのではないか。また、多忙を極める社会人に授業時間に合わせて予定を空けていただくことも難しいし、授業内容の刷り合わせやシステムの使用方法の説明、接続テストにも授業時間以上の時間を要するのではないか。
  • オンデマンドコンテンツを誰が製作するのかも問題としてあげることができる。教員自身がビデオカメラ片手に社会人のもとまで足を運び、インタビューするのには非常に労力がかかる。一方で、全てを外注委託すること訳にもいかない。
  • 民間企業に協力を求めることは難しい。まずは官公庁の職員や教員の伝手を通じて実績を作ることが現実的ではないか。
  • 民間企業に勤める現役の社会人が難しいのであれば、リタイアされた方であれば時間的に余裕もあることから比較的協力を得られやすいのではないか。
  • 社会との連携を推進するためには、政府によるバックアップが必要である。私情協としては、文部科学省に対しても教育での産学連携を推進するよう働きかけていきたい。

 

以上、産学連携型の授業モデルについては、継続して検討することにした。