社団法人私立大学情報教育協会
平成17年第1回建築学教育IT活用研究委員会議事概要

T.日時:平成17年7月11日(月)午後3時より午後5時まで

U.場所:私情協事務局会議室

V.出席者:若井委員長、衣袋副委員長、眞鍋、横井各委員、井端事務局長、木田

W.検討事項
1. 報告書の内容、方針について
  事務局より18年度に発刊を予定している報告書について下記の旨の説明がなされた。

大学では、授業内容が担当教員に一任されており、教員間、科目間の連携による一貫的なカリキュラム設計がなされていない。そのような現状を踏まえて、中教審大学分科会の答申「我が国の高等教育の将来像」において、各学問分野別のコア・カリキュラムの作成及びコア・カリキュラムの実施状況と大学評価の有機的連動が謳われている。
  そこで、18年度の報告書においては、単にITを活用した授業モデルを紹介するだけでなく、建築学分野においてもコア・カリキュラムを意識して、学習項目ごとに教育目標を明示して、その到達に向けた効果的なIT活用モデルを提言いただきたい。
  続けて、事務局より医学教育モデル・コア・カリキュラム、ならびに機械工学教育IT活用研究委員会にて目下検討されているコア・カリキュラム案について説明がなされた。

 以上の説明を受けて自由討議したところ、下記の旨の意見があった。

  • 建築教育においては、従来の教室内の講義だけでなく、大学外との社会連携の積極化が図られており、その影響でカリキュラムも変容しつつある。また、これまでのカリキュラムは、一級建築士の国家資格取得を目的とした編成がなされてきたが、今後は一級建築士の資格試験にもCADが導入され、それに伴い更にカリキュラムが変化していくと思われる。それ故、現在建築学教育も過渡期を迎えているのではないか。
  • 工学教育の品質保証に関して言えば、JABEEの認定審査が実施されているが、認定されるためには学生が十全に授業内容を理解する必要があり、そのため却って授業のレベルが易しくなっている傾向がある。また建築の設計分野では、クリエイティビティが求められ、数量的な評価がそぐわない。
  • 建築分野は、社会からの要望に応じて、今後ますます学際的な領域を摂取していかなければならない。その意味で、基本的な学習内容を押さえると言うよりも、むしろ社会変化に対応できるようなカリキュラムが求められるのではないか。
  • 例えば環境一つとっても、大学によって教育内容が多種多様であり、共通的なカリキュラムとして集約することは難しいのではないか。

 

以上、建築学分野では、現状においても各大学の特色として多様な領域を包含しており、さらに日々学際化が進展していることから、集約化は難しいとの意見が多かったが、まずは今回事務局より提出された機械工学教育IT活用研究委員会で検討されているコア・カリキュラム案を参考に、建築学分野のコアをなす計画、環境、構造、材料・施工の四分野において、それぞれ最低限確保すべき学習項目を抽出いただくこととした。なお、担当は下記の通りである。

計画・・・衣袋、若井、真鍋
環境・・・関口、寺尾
構造・・・真下

なお、材料・施工を担当する委員が現在いないことから、今回事務局より提出された「私立大学教員による授業改善に関する調査回答結果」より、適任者を探索いただくこととした。
2. サイバー・キャンパス・コンソーシアムについて
事務局より、サイバーキャンパスコンソーシアム事業について下記の旨の説明がなされた。

本年度より、サイバー・キャンパス・コンソーシアム事業を再構築することとなった。具体的な事業の変更点としては、これまでの大学による登録制参加を廃止し、国公私立大学問わず多くの教員をサイバーFD 研究者として登録し、ネットワ−ク上でオ−プンに教育改善に関するフォーラムに参加できるよう、制度改革を図ることとなった。また、事業内容としても、本委員会での議論された教育改善に関するトピックスを、サイバーFD 研究者に対してメールマガジンで配信するほか、分野別に優れたIT活用授業をWeb 上でアーカイブ化し、教育業績としての教員の努力も併せて紹介するなど、見直しを図ることとなった。