社団法人私立大学情報教育協会
平成17年度第2回建築学教育IT活用研究委員会議事概要

T.日時:平成17年9月17日(土)午前11時から午後1時まで

U.場所:私情協事務局会議室

V.出席者:若井委員長、衣袋副委員長、真下、眞鍋、寺尾各委員、井端事務局長、木田

W.検討事項

1. 建築学教育におけるコア・カリキュラムについて

 議事に先立ち、事務局より18年度11月に発刊を予定している報告書について、下記の旨の説明がなされた。

  • 18年度に発刊する報告書では、5年後を見据えた内容に資することを目標としたい。それ故、単にITを活用した教育方法の紹介だけではなく、教育効果の検証まで含めた授業モデルを提案したいと考えている。
  • 中教審大学分科会の答申「我が国の高等教育の将来像」では、今後10年?20年のうちに各学問分野別のコア・カリキュラムを作成することが提言されている。既に医歯薬学分野では、文科省や学会により提示されたモデル・コア・カリキュラムに基づき、各大学ともカリキュラムを実施している。医歯薬学分野のコア・カリキュラムでは、学習項目ごとに、一般教育目標と到達目標が明記されているが、それは学習者が最低限身に付けるべき技能や知識を意味している。
  • 建築学教育でも、早晩に学会等でコア・カリキュラムの検討が開始されると予想されるが、本委員会でも、建築学教育におけるコア・カリキュラムを想定し、各学習項目に掲げられた教育目標の達成に有効な授業モデルを報告されたい。

次に、コア・カリキュラムに関連して、若井委員長より、日本建築学会大会でもカリキュラム改正に関するセッションが設けられたことの報告がなされたとともに、「建築雑誌」2005年11月号、JABEEの建築学分野の要件に関する資料等の提示がなされた。日本建築学会大会のセッションにおいて、大学の学科名称の変更、コース制の導入について話題が上ったことを受け、委員各位より所属大学の学科名称・コース制の導入状況について伺ったところ、下記の通りに回答を得た。

○ 芝浦工業大学
学科名称:工学部建築学科、工学部建築工学科、システム工学部環境デザイン学科
コース:なし
※ 2007年度に学部再編成の予定

○ 東京工芸大学 
学科名称:建築学科、コース:建築デザイン、構造デザイン、環境デザイン

○ 日本大学工学部
学科名称:建築学科、コース:建築デザイン、アーキテクト、建築エンジニアリング、FE

○ 東海大学
学科名称:建築学科、コース:なし(過去導入した実績があるが現在は廃止)

○ 神奈川大学
学科名称:建築学科、コース:システム、デザイン

 また、JABEEの資料と関連して、衣袋副委員長より、JABEEとUIAアコードの差異について下記の旨の説明がなされた。

○ JABEEは日本国内の技術者認定プログラムであるが、米国を指向した認定制度である。要件的には、エンジニアリング的な要素が強い。UIAアコードは、ヨーロッパ的な趣向が強い国際認定基準であり、要件としては建築設計、デザイン主体の内容である。さらに、欧米の大学では、デザインとエンジニアが学部として明確に区分されているが、日本の建築教育では、一級建築士試験との兼ね合いもあり、建築学科内で両者が混在している。

次に、報告書に向けたコア・カリキュラムの内容について、検討した。まず衣袋副委員長より、建築設計教育におけるコア・カリキュラム案を提示いただいた。本案は、建築学科に所属する学生が最低限習得すべき建築設計の知識を集成している。構成としては「A 建築及び建築計画・設計の基本事項」、「B 建築設計のための基礎知識」、「C 建築のいろいろ」の3つの分類下に必要な学習項目を列挙しているが、詳細は、配布された資料を参照されたい。なお、ここでは従来の設計教育ではあまり言及することのなかった、企画・管理(A-6)、建築と経済(B-3)、地域に応じた構法(B-5)、建築生産、施工(B-8)、社会福祉施設、社会コミュニティ施設(C-1)など、社会ニーズの高まる項目を加えたことに特色がある。

次に、寺尾委員より、神奈川大学の環境・設備関連の科目シラバスについて、資料をもとに説明いただいた。ここでは、「建築環境概論」、「建築の設備」、「建築環境工学T及び演習」、「給排水衛生設備」、「建築環境工学U及び演習」、「空調設備T」、「空調設備U」、「建築環境