社団法人私立大学情報教育協会
平成17年度第4回機械工学教育IT活用研究委員会議事概要

T.日時:平成17年9月27日(火)午後4時より午後6時まで

U.場所:私情協事務局会議室

V.出席者:曽我部委員長、角田、青木、森沢、田辺、河端各委員、井端事務局長、木田
       荒谷 氏(松下電器産業株式会社)、榎田 氏(松下電器産業株式会社)

W.検討事項

1. 機械工学教育における産学連携による遠隔授業実験について

はじめに、田辺委員より、当初予定していた授業実験実施開催日の11月14日が神奈川工科大学の大学院入試日とバッティングした旨の報告がなされた。それに伴い、二週間後の11月28日に日程を変更することが了承された。

次に、遠隔授業のプログラムの確認と検討・調整を行った。9月27日時点のプログラムは以下の通りである。

1はじめに                                                                                
計算力学などのコンピュータを用いた数値計算技術(シミュレーション技術)は、各種の産業分野で、自然や社会に受け入れられる様々な優れた製品を開発するための数値実験の手段として利用されていることから、多くの機械系学科でその主要科目の一つとして教えられている。また、(社)私情協の機械工学教育IT活用研究委員会では、製品開発に関連した数値計算事例の教材データベースの開発を行ってきた。
そこでここでは、学生が産業界の状況を知り、学ぶ意欲を高めることをねらって、いくつかの大学の教室と企業(または研究所)をネットワークで同時に相互に結び、製品開発のための数値計算技術に関する動機付機械工学の実験授業を行う。
1)教材データベースを用いて、製品開発に関連する数値計算事例の紹介。
2)産業界で、数値計算技術を利用して製品開発や問題の解決を行っておられる技術者(研究者)から、ネットワークを通して15分程度のミニ講義をしていただく。
3)リタイアされたかたに、技術者・研究者としての豊かな経験をお話いただく。
4)ネットワークに接続の大学の学生が同時に受講。各大学の学生との質疑応答。講演者や教員から学生への学習アドバイスや励まし。

2.授業内容
授業科目:有限要素法、シミュレーション、数値解析、計算力学、CAE等(後期、11月中下旬)
数値計算技術の製品開発への応用(60分授業)
1)工業製品の開発とコンピュータの応用 5分
2)教材データベースを用いた数値計算事例の紹介1  5分
  教材データベースを用いた数値計算事例の紹介2  5分
教材データベースを用いた数値計算事例の紹介3  5分
3)新しい鉄道開発技術と数値計算   15分
鉄道関係の第一線研究者によるミニ講義 
4)日本の鉄道開発技術と数値計算 15分
リタイアされた研究者によるミニ講義
5)各大学学生からの質疑応答、まとめ  
3.参加大学:上智大学、芝浦工業大学、日本大学、武蔵工業大学、神奈川工科大学、金沢工業大学、法政大学
4.開催日時:2005年11月14日(月)午後5時30分〜
5.接続地点
  上智大学、芝浦工業大学、日本大学、武蔵工業大学、神奈川工科大学、金沢工業大学、法政大学
鉄道総合研究所(ただし講師に上智大学まで出向いただく可能性もある。)


まず、前回の委員会において、Polycomをカスケード接続することで、最大10地点の接続が可能であることから、芝浦工業大学、日本大学、法政大学の参加も検討することとしたが、榎田氏より「カスケード接続の場合は、資料共有機能がサポートされないため、授業効果があまり期待できない」との意見があった。そのため、今回の実験では、芝浦工業大学、日本大学、法政大学の参加は見送ることとした。

次に、田辺委員より、鉄道総研の講師が確定した旨の報告がなされた。今回講師としてお招きするのは(財)鉄道総合研究所鉄道力学研究部構造力学研究室長の松本信之氏である。松本氏には、上智大学にて、PowerPointを用いて研究所内の施設・設備の紹介、次世代の鉄道技術について、お話いただく予定である。

次に、開催趣旨について意見交換したところ、「数値計算の重要性を、社会での応用例を通じて学生に理解させる」旨や「委員会で構築した教材データベースの充実を図るため、企業や民間研究所の所有するコンテンツの提供を求める」旨を取り入れ、今回の授業実験の目的を明確化したほうが良いとの意見があったことから、田辺委員には次回委員会までに文案を加筆修正いただくこととした。

次に、講義内容について協議したところ、始めに曽我部委員長より今回の授業実験の趣旨を説明いただくこととした。また、各講師の講義内容、順序に対して、下記の旨の意見があった。

@ 学生のレベルも多様であるから、始めに今回の授業の荒筋を説明した方が、各講師の講義内容の理解することに役立つのではないか。
A 國枝氏に講義いただく内容がまだ明確ではない。内容次第では、順序を変えて、「1)工業製品の開発とコンピュータの応用」の直後に講義していただくことも検討すべきである。
B 教材データベースを用いた事例紹介では、製品名の交えたタイトルを付与した方が学生の関心を喚起すると思われる。また、場合によっては、学生に事前に教材を閲覧させて予習させた方が理解を促すのではないか。
C 教材データベースを用いた紹介事例では、単に事例の紹介のみならず、数値計算の応用が困難であることを理解させた上で、松本氏に励ましの言葉をいただくというシナリオ構成にした方が、学生のモチベーション向上を期待することができる。
D 学生はゲーム感覚で有限要素法を用いてしまうので、松本氏や國枝氏には技術者としての心構えやエンジニアリングセンスの重要性をお話いただきたい。

以上の意見を踏まえ、「1)工業製品の開発とコンピュータの応用」では田辺委員より、講義全体の荒筋をお話いただくとともに、「教材データベースを用いた数値計算事例の紹介」において司会を担当いただくこととした。
また、「2」教材データベースを用いた数値計算事例の紹介」では、基礎的な内容の紹介から応用的な内容の紹介へと続くよう、順序の見直しを図ることとした。さらに、各担当委員は次回委員会までに、それぞれタイトルを考案いただき、私情協事務局または委員会専用メーリングリストを用いてお送りいただくこととした。
「3)新しい鉄道開発技術と数値計算 」と「4)日本の鉄道開発技術と数値計算」については、標記を「3)鉄道開発技術と数値計算」として統合し、國枝氏には鉄道開発技術の変遷について、松本氏には最先端の技術について紹介いただくとともに、技術者の心構えなどについてもお話いただくこととした。

なお、テレビ会議システムを所有しない、上智大学、神奈川工科大学、金沢工業大学については、松下電器産業株式会社よりPolycomを借用することが確認されるとともに、実地の環境調査と接続試験についても支援を得ることとなった。回線については、各大学既設のネットワークを用いるが、速度的に問題がある場合には、臨時に回線を設置し、その費用は私情協より捻出することが確認された。
なお、必要となる音響設備に関する質問が委員よりなされたが、榎田氏より、ハンドマイク2〜3本、アシスタント1〜2人(マイク渡し)、AVミキサーが必要である旨の回答がなされた。