社団法人私立大学情報教育協会

平成17年度第2回心理学教育IT活用研究委員会議事概要

機テ時:平成17年9月5日(月)午後3時から午後5時まで

供ゾ貊蝓Щ箴雍┿務局会議室

掘ソ仞兵圈木村委員長、今井副委員長、大島、中澤、吉田各委員、井端事務局長、木田

検ジ‘せ項

1.心理学教育におけるコア・カリキュラムについて

前回の委員会では、事務局より18年度に発刊予定の報告書のテーマとして「コア・カリキュラム」に照準を合わす旨の提起がなされたが、今回改めてその趣旨について説明がなされた。

  • 私情協では、これまで学問分野別のIT活用方法モデルを集約した報告書を2回上梓してきた。内容としては、各委員会委員の実践例を紹介する程度に留めてきたが、そのためかIT活用に興味の無い教員からは黙視されている感がある。ITを活用した教育方法を広範に普及させるためには、やはりIT活用の教育的な意義付けを踏まえる必要がある。
  • 文部科学省中央教育審議会大学分科会では、本年1月の答申「我が国の高等教育の将来像」において、各学問分野別のコア・カリキュラムの作成及びコア・カリキュラムの実施状況と大学評価の有機的連動が提起された。コア・カリキュラムの作成とは、具体的には各分野の教育範囲、教育目標を明確に開示することである。このことにより、大学は教育内容を質的に保証するとともに、授業内容を自己点検・自己評価する契機となり得る。
  • 教育にIT活用することについて、教育効果が明確でない点が懸念として挙げられる。そこで、今回の報告書では、各学問分野別にコア・カリキュラムのように、コア科目の選定と科目別の教育効果を明示した上で、授業モデルを考案いただきたい。
  • 今回配布した資料の中に、物理学教育IT活用研究委員会で検討された、力学の授業モデル案がある。これは必ずしも報告書に形式的に即している訳ではないが、教育目標、到達目標を提示した上で、授業モデルを紹介するという構成をとっている。まずは、本委員会でも、科目別の教育目標、到達目標を考案いただき、共通理解を得られたい。
  • 報告書では、3〜4つの授業モデルを紹介いただきたい。シミュレーションを使った授業モデル、臨床心理学や犯罪心理学であれば、現場の専門家からネットワークを介して助言をいただき学生の学習意欲を向上させるような授業モデルなど、90分の授業に丸々ITを活用するモデルもあれば、15分程度のみ活用するようなモデルがあっても構わない。また、可能であれば本年度の後期授業、来年度の前期授業において、実験を行いその効果を検証いただきたい。

以上の説明を踏まえ、意見交換したところ、下記の旨の意見があった。

ITを活用した社会支援について

  • 現場の生の声を聞きながら調査学習を実現することができれば面白いが、テレビ会議を使って学外の専門家に授業に参加してもらうことは、技術的には可能かもしれないが、事前準備に時間を要し、また教員の期待するような期待を得られるかも不確実である。
  • 犯罪心理学では、研究のレベルでも警察の鑑別より公開された情報だけを頼りにしているなど、機微な情報を取り扱うことから、積極的な協力を望むことはできないだろう。
  • リアルタイムでの実現が難しければ、専門家の話を録画してオンデマンド・コンテンツ化することも考えられる。
  • 必ずしも全ての科目に実務家が必要な訳ではない。例えば、臨床心理学の場合、現場の実務家の協力を得ないと充実した授業を実現できないのでは、教員として問題があるのではないか。また、児童心理学であれば、幼稚園教諭が皆外部講師に適しているとは限らない。
  • 児童心理学の例が出たが、この場合教諭=エキスパートに説明を請うことよりも、むしろ児童そのものを教材として利用することの方が、効果が高い。例えば自閉症の児童を授業で取り扱う場合、教員が口頭で自閉症児の症状や様子を伝えるよりも、自閉症児を撮影したビデオを見せた方が理解を促進するが、プライバシー保護のために撮影は困難であり、児童に演技を求めることも難しい。
  • 教員の求める教材は、大抵インターネット上で既に公開されていると思われるが、それらの情報を集約することが難しい。委員会として今後も情報を収集していく必要がある。

報告書で取り上げる科目とコア・カリキュラムについて

  • 実験系科目の方が、視覚的な教材を使用しやすい。心理学教育教材データ集の学習項目分類一覧で言えば、1〜4は特に実験を要する科目である。9以降は応用心理学であるが、視覚的効果を期待する実験はあまりない。
  • 5〜8についても、教育目標の置き方次第ではIT活用方法を考案することは可能である。例えば、情緒、知能、性格などは目に見えない心の働きを可視化するような教材や、Web上で到達度を確認するようなテストを利用した授業モデルを提案することは可能ではないか。また、14についても、各種統計を視覚的に提示する教材は多数あることから、授業モデルの考案はできるのではないか。
  • 全ての分野を網羅することは不可能であるから、各分野の学習項目を掘り出して、IT活用が可能な項目とそうでない項目を棲み分ける必要である。

以上の意見を踏まえ、まずは心理学教育教材データ集の学習項目分類一覧より、各項目の学習内容を列挙した上で、そこからIT活用の可能な内容を抽出することにした。なお、上述したとおり、応用心理学分野(9〜13)ではIT活用の可能性があまり無いとの意見があったが、当面は対象範囲とすることにした。

なお、委員会各位は、次回委員会までに専攻分野の学習内容を列挙いただくとともに、教育目標を考案いただくことにした。