[免疫実習] ィ. 好中球の抗真菌作用と活性酸素産生能 (目的) 生体内には、病原体の侵入を阻止する様々な防御反応が存在する。その中で最も重要な反応の一つが好中球による病原体の排除反応である。ここでは、深在性真菌症の起因菌の1つであるCandida albicans に対する好中球の抗真菌活性を測定するとともに、その抗菌作用を担う活性酸素の産生能を観察する。 1. 好中球の抗真菌作用 (概要) C. albicans の培養系にマウス好中球を加えるとC. albicans の発育が阻止されることをin vitro 実験系を用いて実習する。 (材料) 菌:C. albicans 菌液(1×104 cells/ml ) 1本 好中球浮遊液:好中球検体(マウスより調製したもの) 2検体 培地: ウシ胎児血清を5%含むRPMI1640培地 1本 器具: マイクロピペット 1本 廃液入れ 1個 細胞数自動測定機 全体で1台 96穴平底マイクロプレート 1枚 顕微鏡 1台 チップ 1箱 ガスバーナ 1台 (手技) 操作は、滅菌済の器具を用いて無菌的に行う。また、操作時以外は細胞を氷冷しておく。 (この細胞浮遊液は、次の2.好中球の活性酸素産生能の測定にも使用するので、氷冷しておく) 第5日 ^ 好中球浮遊液の希釈系列の作製とC. albicans の混合培養 @96穴平底マイクロプレ−ト(図ィ-1)の使用する部分の穴に下記の要領で、培地、好中球浮遊液および、C. albicans 菌液を順に加える。 AB列の2番(B2)から11番(B11)までの穴にマイクロピペットを用いて培地を50 オlずつ加える。C、D、Eの列についても前操作と同様に培地を50オlずつ加える。 BB2の穴に検体1 の好中球浮遊液50オlを加える。 Cマイクロピペットを用いてB2の液をよく混合し、その50オlをB3へ加える(図ィ-2参照)。同じ操作を B10 まで(B10に50オlを加えて混ぜるまで)行う。 検体1 を B,C の列に、検体2 を DE の列に加える DB10・C10・D10・E10の液50オlを廃液入れに捨てる。 EB2からB11までマイクロピペットを用いてC. albicans 菌液を50 オl ずつ加える。Bの列が終了したら同様の操作をC、D、Eの列についても行う。 _ 細胞数の測定(2. 好中球の活性酸素産生能実験の使用後に行う) 細胞数自動測定器で、検体中の白血球数を測定する。 (測定方法は、機器を用いながら説明する) ` 8F 813号室の37 ℃、CO2培養器で翌日まで培養 第6日 a C. albicans の発育形態の観察 発育形態をモニター付き倒立顕微鏡で観察しながら好中球の役割について考察する。 (観察の要点)培養後のC. albicans の発育形態を好中球数別に比較観察する。 また、検体の違いについても比較観察する。 図 ィ-1 好中球とC. albicans 混合培養用96穴平底マイクロプレ−ト 好中球浮遊液 50オl C. albicans 菌液 50オl 培地 50オl C. albicans 菌液 50オl 図 ィ-2 好中球系列希釈法 2. 好中球の活性酸素産生能の測定 (概要) 好中球は、C. albicans などの菌体、または、FMLPなどの走化性ペプチドにより刺激を受けると活性酸素を産生する。活性酸素(O2−など)によってNBTが還元され、青色色素が生ずることを観察する。 (材料) 菌液:C. albicans 加熱死菌液(2×107 cells/ml に調整) 1本 試薬:NBT(Nitroblue tetrazolium)試薬 1本 FMLP 1本 細胞染色液(ディフクイック染色液) 2組1セット マウス新鮮血清 1本 器具:培養スライドガラス 1枚 マイクロピペット 1本 カバーガラス 1枚 チップ 1箱 (手技) ^(ィ-1. で使用した )好中球浮遊液(50オl)を培養スライドガラスの穴の4箇所にいれる。(図ィ-3参照) _培地、C. albicans 加熱死菌液またはFMLP溶液50オlを培養スライドガラスの穴に加える。 `NBT試薬50オlを加える。 a各穴にマウス新鮮血清を20オl加える。(共通実験台でまとめて入れる) b37℃の孵卵器内で60分間培養する。 c内容物をティッシュの上に捨てる。 d培養スライドガラスのセルをはずし乾燥させる。  (スライドガラスを持って振り余分な液を切る)  (スライドガラスの表面はさわらない) e固定液の中に5秒間浸す。余分の染色液を切る。 f染色液Aの中に5秒間浸す。余分の染色液を切る。 hスライドガラスの裏から水道水をかけて水洗。余分な水分を切る。 iカバーガラスをのせ顕微鏡で観察する。  (少量の水分を表面にのせる) (観察の要点) ^好中球がNBT試薬で青色に染まっているか観察する。 _培地とC. albicans 加熱死菌液及びFMLP溶液では、好中球の染まり方に違いがあるか否かを観察する。 図ィ-3  培養スライドガラスの図 検体 好中球液 培地 C.albicans 加熱死菌液 FMLP溶液 NBT液 @ 1 50オl 50オl ー ー 50オl A 1 50オl ー 50オl ー 50オl B 1 50オl ー ー 50オl 50オl C 1 50オl 100オl ー ー ー D 2 50オl 50オl ー ー 50オl E 2 50オl ー 50オl ー 50オl F 2 50オl ー ー 50オl 50オl G 2 50オl 100オl ー ー ー