ャ. ウサギのアルツス現象の惹起と観察 (目的) 生体内抗原抗体反応の1つであるアルツス現象(Arthus 現象、Cooms & Gellによるアレルギーの分類の。型)を実習し、免疫応答の負側の面について考察する。 ここでは免疫されたウサギにアルツス現象を発現させて観察し、その血清抗体価との関係を明らかにする(観察の要点を参照のこと)。 (材料) 感作されたウサギ: (ニワトリ卵白アルブミン(OVA)を免疫したウサギ) 全体2匹 非感作ウサギ:(正常ウサギ) 全体1匹 アレルゲン:1%ニワトリ卵白アルブミン液 1ml 器具:スケール・色鉛筆(各自持参) 1ml注射筒と針(1/3皮内針) 2組 マーカー 1本 アルコール綿 1コ 脱毛剤 全体1個 ガーゼ (手技) 第4日(第4回実習) ^ウサギの脱毛:先ず、一人がイスにこしかけて正常ウサギを両膝の間にはさみこんで固定する。腹部中央左右に直径10x5cm位の楕円形に脱毛して皮膚表面を出す。 図ャ-1 ウサギの固定と脱毛処置 a. 1人がウサギを固定する。ウサギの両手肘をしっかりつかみ、その大腿部を両膝で挟み込む。 b. 別の人がウサギ腹部の中央より少し下側の左右のそれぞれの位置に(たて10cm ×よこ5cm)の大きさに、脱毛剤を塗布し、しばらくしてぬれたガーゼでふき取る。 第5日 _抗原の注射:免疫ウサギ2匹に対し、それぞれ左の脱毛箇所の中央部へ、抗原液(1%ニワトリ卵白アルブミン液)の0.1mlを皮内注射する(惹起用)。さらに、右の脱毛箇所へ生理食塩水0.1mlを皮内注射する(対照用)。直ちに、ウサギをケージへ戻す。また、正常ウサギの右または左の脱毛箇所へ同じ抗原溶液または生理食塩水0.1mlを皮内注射する。 `注射部位の観察:2匹の免疫ウサギについて以後、30分、3時間、24時間後抗原注射局所の症状を観察する。正常(非感作)ウサギを対照にする。 a局所所見:それぞれの皮膚局所の変化を観察し記録スケッチする。 b記録:アルツス現象は抗原注射後1〜2時間頃より局所の浮腫、続いて発赤が出現し、次第に増強して出血が見られ、12〜24時間には壊死が出現する。そこで浮腫、発赤、出血、壊死の有無を観察し、それぞれの長短両経を測定する。浮腫を I 、発赤を、出血を。、壊死を「として、それぞれの計測値とともに記録する。  記録例:3時間後に浮腫と発赤が見られ、24時間後に壊死が見られた場合を示す。 抗原 (3時間) = I (15×20mm)、 (10×12mm) 生理食塩水 (3時間) =  0 抗原 (24時間) = (34×26mm)、 「(20×22mm) 生理食塩水 (24時間) =  0 以上の他にスケッチもする。 (観察の要点) ウサギのアルツス現象は抗原抗体反応を引きがねとする局所の炎症反応である。肉眼による観察とその記録から、各時期の炎症像とその時起きている皮内の免疫学的機序を考察する。なお、Ouchterlony法で定量した各ウサギの沈降抗体価の程度とアルツス現象の関係についても考察する。