社団法人私立大学情報教育協会

平成20年度第1回CCC政治学グループ運営委員会 議事概要

機テ  時  : 平成21年3月25日(水)午前10時〜正午
供ゾ譟 ―蝓  А〇箴雍┿務局会議室
掘ソ 席 者  : 萩原委員、川島委員
            井端事務局長、事務局山野上
検ジ‘せ項:

1.学士課程教育に関する動向について

 井端事務局長より、本委員会を進めるにあたって前提となる中教審における学士課程教育構築の答申の経緯や、当協会の対応、今後のスケジュール等について説明がなされた。

(1)私情協のこれまでの動き(分野別学士力の提案)について

 私情協では、中教審により学士課程教育の内容が答申として出されたことを踏まえ、IT活用を推進するには、求められる学習成果が明らかになっている必要があることから、昨年11月までに24の学問分野において学士力案を作成し、文部科学省に提言を行った。学士力案については、各委員会で作成した原案に、私情協で実施した授業改善調査に回答いただいた教員(サイバーFD研究者)を中心に、社会人の意見も一部では取り入れ、それを反映して最終的なものとするというプロセスで作成した。なお、資格試験を目的とする医歯薬系は除外した。
  内容としては分野固有の能力に限定し、専門分野における教養レベルという最低限度の包括的なものとしたが、今後は、より詳細な学士力の内容、コアカリキュラムのイメージや客観的な到達度測定法について検討を進め、今年の12月には文部科学省には届けたい。学問分野についても、現在の24分野以上に広めたいと考えている。

(2)「学士課程教育の構築に向けて(答申)」について

中教審より昨年12月より出された答申について解説がなされた。

―蘿次教育
  グローバル化の一方で大学全入時代を迎えるという非常に難しい状況の中、国際競争力を高めるためには、大学への入学時点での学力確保と、卒業時の出口管理が重要である。推薦入試やOA入試で半数以上が入学する現状では、期待する学力が望めない状況である。高等学校でも責任を持って教育をすること、そのための方策として高大接続テストを行い入口管理を徹底する必要に迫られている。また、高度な学問レベルに対応できるよう、初年次教育の充実が期待される。

学位授与の方針
  学位授与の方針については、世界水準に合わせたものとなるよう、分野個別の能力と共通能力を合わせて、各大学で学士力を制定しその内容で競うことが望ましい。分野別の質保証の枠組み作りを促進するため、OECD加盟国間での大学の到達度テストに国が関与するとしている。現在、実施のためのフィジビリティスタディが進んでおり、21年度中には実施分野が決まるであろう。大学教育の世界水準化に向けた動きが始まっていることに留意されたい。

6軌蕾歡編成・実施の方針
  具体的な改善方策としては、幅広い学修を保証するための副専攻制の導入や、専門分野で活用できる英語等の語学力、正課カリキュラムの中に組み込んだキャリア形成支援、共通教育や教養教育の重要性についての共通理解の確立などが挙げられる。例えばアカデミックライティングなどについては共通教育のほか、必要であれば専門分野でも取り組むなど、手厚く実践することが望まれる。

っ碓明度の実質化
  オリエンテーションや定期試験を含まず、厳密に半期15時間の時間を確保すること、予習・復習に30時間を当てられるような履修支援が必要となる。

ザ軌虔法の改善方策
  学習の動機付け、双方向性の確保、体験活動など、多様な教育方法を積極的に取り入れることが期待される。そのためTAやITの導入が必要となる、ITについては、的確な授業設計を行った上で、授業の目的に合致したIT活用が重要である。

成績評価の厳格化について
  成績評価の厳格化が求められる中、形だけのGPAではなく客観的な基準を持つことが要される。対外的な信頼を確保する上で、国が成績評価の標準的なあり方について検討することもある。

Ф疑Πの職能開発
  現在のFDは専門的人材不足などの要因もあり形だけのものに留まっている。FDを実質化するには、組織的な職能開発を制度的組み込むことが求められる。アメリカを中心に「四つの学識(発見、統合、応用、教育)」が教員の担う機能であるとする考え方が普及しており参考となる。一方、国内の私学団体では教員の倫理綱領モデル提示や教員の教育力について言及する例もあり、FDの機運が高まっている。まずは、これらの動きを受けてそれぞれの大学がFDの実質化に取り組むことを社会に宣言することが必要である。この提言の裏側には、FDに取り組まなければ国が大学に介入する可能性を示唆している。なお、FDには教員の教育力向上に加え、大学のガバナンスが重要であるが、今回の答申では触れられていない。
  他方、職員の職能開発の重要性も取り上げられており、教職員の能力向上に学士力の担保を求めた形となっている。そのためには、教育支援体制や業績評価などが重視される。自己点検にティーチングポートフォリオなどを取り入れるのも一策である。

大学団体等の役割
  これまで触れてきた各課題について、大学自身の当事者意識が非常に低いのが現状である。大学団体が主体となり、大学自身が当事者意識を高め改善に取り組むよう、主導することが期待されている。この提言の裏側にも、改善がなされない大学は国の管理下に置かれてしまうのではないかという危機感を持って対するのが相当である。

(3)日本学術会議の動向について
  学士力については、国はまず日本学術会議(以降「学術会議」)にその内容を審議依頼することとしている。学術会議では三つの分科会を設け検討を行うこととしている。 峩饌療な質保証枠組みを検討する分科会」(主査:北原和夫氏 国際基督教大学)では、身に着けるべき知識、能力、スキルや教授、学習、評価などについて、枠組みを検討する。◆峩詰楸軌蕁振δ牟軌蕕亡悗垢詭簑蠅鮓‘い垢詈科会」(主査:藤田英典氏 国際基督教大学)では、基礎教育、導入教育、市民的素養、専門分野を相対化する異分野の視点を養う方策を検討する。「大学と職業との接続に関する問題を検討する分科会」(主査:高祖敏明氏 上智学院)では、キャリア教育の位置づけを検討する。
  これらの分科会の審議結果は本年6月頃には取りまとめられる予定であり、また、分野別の審議については本年8月頃から始まるとされている。
  学士力については、広く社会で万機公論されることが求められていることから、学術会議の出すものをそのまま受け入れるのではなく、当協会でも本年12月頃までにはより詳細な学士力等について文科省に提言を行っていきたいと考えている。特に当協会のメリットは、サイバーFD研究者という、インターネットを通して現場の教員の意見を掬い上げることができることにあり、幅広い意見を反映することができることにある。

(4)英国QAA(Quality Assurance Agency for Higher Education)による分野別ベンチマークステートメントについて
  QAAは大学団体であり、国の主導ではなく、自主的に分野別に身に着けるべき知識、能力、スキルや教授、学習、評価などについて、ベンチマークステートメントを公開している。ヨーロッパの基準を参考に学士力を検討することも一案である。政治学については、「Politics and international relations」として2007年に公開されている。

(5)私情協の今後の動きについて 
  今後は、学士力の明確化を目指し、ヾ霑断塾呂盍泙瓩審愡領呂慮‘ぁ↓達成のためのコアカリキュラムのイメージ、方向性、G塾枠縦蝓測定方法について検討を進めることし、その次の段階として、IT活用教育モデルについて検討を行う。これらの活動は平成24年度に「大学教育への提言(仮)」として冊子として発行することとしている。
  また、社会の力を借りることで現実感覚を養う授業を実現するため、経団連と連携することを予定している。教育現場と社会の現場で双方交流を行い、産業界から大学教育にどのような貢献ができるか意見を伺うこととしている。先生方の意識を変えていくのが重要であり、そのための連携である。授業での連携についてはビデオ配信して様々な大学に活用していただくということが考えられる。また、教員インターンシップ構想では、教員が社会の現場を体験することで、キャリア指導に活かしたり、教員自身の学びなおしにつなげることができる。当面実験を続け、実現可能性が高まれば事業化することとしている。 
  本グループでは4,5月にかけて議論して、6,7月には基本的な学士力を定めたい。その後、コアカリキュラムの議論を進める予定である。

2.政治学教育における学士力の内容について

 政治学教育における学士力の内容を中心に、学士力全般の話題も含めて意見交換を行った。主な意見は次の通りであった。

(学士課程教育共通の問題について)

(政治学教育における学士力全般について)

(政治学教育における学士力の具体案について)

3.今後の進め方

 本日の議論を基に、メーリングリスト上で意見交換を続け、次回の委員会で政治学学士力の基本案を作成することとなった。