情報教育と環境

国立音楽大学の情報教育環境



 国立音楽大学には、情報施設としてメディアセンター、付属図書館、楽器学資料館、音楽研究所などの各学内機関があり、コンピュータネットワーク環境について各機関が独自に管理運営を行っています。(1)


1.本学の情報教育研究施設の経過

 30万点を越える音楽資料を持ち、早くから本学の教育研究に関わる文献情報施設として開発されてきた付属図書館や楽器学資料館を別として、本学の情報教育および研究の萌芽は、1984年の電子音楽研究室の開設に求めることができます。当初は、電子音楽の創作およびそれに関連した情報収集が中心となっていましたが、1990年にコンピュータを用いた音楽の創造と研究を目指すCCMMT (Center for Computer Music & Music Technology)が設立され、教育研究機関として活動を始めました。ここでは、Macintoshコンピュータが主力となっていました。また一方では、音楽テクノロジーをも含む新たな教育組織として「音楽デザイン学科」が創設され、NeXTコンピュータを主力としたネットワーク環境の下で、先端的な表現の教育が追及されました。設立時にコンピュータ音楽の創作や高度な研究を目指していたCCMMTは、その後次第に学生や卒業生の利用者のための一般的なコンピュータ教育へと中心を移すこととなり、1999年には学生や教員等の一般ユーザーのための音楽制作支援を含む、マルチメディア情報処理環境を提供する新たな「センター」として再出発することとなりました。


2.メディアセンター

 2000年4月、上記CCMMTと旧AV(視聴覚技術)センターを統合、システムやネットワークを含む見直しを行い、メディアセンターがスタートしました。「メディア」について多角的に捉え、学生達に対し、豊かなイメージを想起できるような環境の提供を目指している当センターの施設設備には、後述するレファレンスルームをはじめ、演習室、大小四つのスタジオ、三つのラボラトリーがあります。また、講堂内に分室を持ち、現在録音スタジオとして再構築中です。

(1)レファレンスルームのコンピュータ環境

 コンピュータ利用施設としての「レファレンスルーム」は、学生に対する情報提供とサポートを行う施設(各種インターネットサービスを含む)で、センターが維持管理を行っています。またメディアセンターは、学校法人国立音楽大学のドメイン(kunitachi.ac.jp)を管轄しています。
 当施設は、コンピュータ技術スタッフ(本学出身者が中心)により、ハード選定からケーブル配線、サーバとネットワーク構築、プログラム開発、システムのメンテナンスに至るまで、すべてにわたって作り上げられた、言わば「手作りネットワークシステム」です。ただし、セキュリティに関してはアウトソーシングを行い、セキュリティ専門会社を通しセキュリティスキャンの検査とアドバイスにより対処しています。
 レファレンスルームの特色は、iMacとPentiumIII/Windowsマシンをほぼ同じ割合で設置し、各プラットホーム特有のアプリケーションを利用することができます。また、ともすれば無機質になりがちなコンピュータ環境の適所に植木を配置し、利用者にヒーリング効果を期待しての室内空間を提供しています。カラフルなiMacも部屋のアクセントになっていますが、コンピュータテーブルのセッティングにもオープンな作業空間を考慮しています。さらに、マルチメディアの制作作業等をするコンピュータエリアや、ロビーのインターネット専用コーナがあります(本誌冒頭のカラーページ参照)。
 施設を利用するためには、レファレンスルーム入口に設置されたコンピュータ端末で学生自身が入力して予約します(外部からもWebで予約が可能です)。この利用予約システムは、コンピュータ操作を体験したことのない学生が戸惑うことも予想されましたが、簡単なオリエンテーションにより、順調にシステムが機能しています。IDとパスワードを入力してそれぞれ使用するコンピュータを予約するという行為は、学生一人一人に責任感を持たせ、パスワードの秘匿義務を徹底させるわけで、まさにそのことが身近なコンピュータリテラシーと言えるのではないでしょうか(本誌冒頭のカラーページ参照)。
 レファレンスルームの窓越しには赤レンガのコートと回廊があって、昼休みになるとクラブやサークルの学生がいろいろなパフォーマンスの練習のために集まってきます。ライブカメラはその風景やレファレンスルームの様子をリアルタイムに撮し、インターネットで配信しています。また、学内の模様や演奏のコンテンツもビデオ編集を行って配信していますが、現在の実験レベルから本格的な運用への移行を計画中です。これらのインターネットライブ放送とインターネットビデオ放送は、ストリーミング技術をもとに構築され、それを見るためにplug-inをダウンロードしなくても、両プラットホームにデフォルトで付属するQuickTimeとMedia-Playerに対応させるように複数のサーバを稼動させています。
 レファレンスルームのコンピュータ環境におけるネットワークは、一見するとMacとWindowsがゾーンとして別々の利用形態を持っているように見えますが、AppleShareIPによってファイル共有を両プラットホームの垣根なしに行えるので、MacとWindows両プラットホームを使うユーザーにとっては利便性が高いです。その他、Windowsでファイル共有をしたければSambaが利用でき、インターネットではFTP、Web、Mailの各サービスを提供しています。また、プロジェクターに直結されたコンピュータがあり、緊急のプレゼンテーション等に利用が可能となっています。

(2)レファレンスルームと情報教育

 当施設を使用する授業は、現在「コンピュータリテラシー」(週3コマ・通年)の他、インターネット利用例として、米国大学の教育サイトと当センターを結び、「異文化とコミュニケーション」の実習を担当教師のもとで試みたりもしています。また、当センタースタッフが随時に、一般的ガイダンスとともに音楽大学で人気の高い楽譜作成ソフト “Finale”や表計算ソフト”MS-Excel”などのワークショップを毎月開催しています。

図1 国立音楽大学ネットワーク概略図


3.国立音楽大学の情報施設としての付属図書館

(1)図書館ネットワークの概要

 図書館ネットワークは、館内のサーバールームを起点に100Base-Tのイーサネットケーブルを敷設し、各フロアに10/100MBのスイッチングハブを設置しています。現在、利用者端末として、図書館所蔵資料検索(OPAC:Online Public Access Catalog)用端末(40台)、CD-ROM検索端末(4台)、オンラインによる情報検索端末(2台)、インターネットアクセス用端末(12台)、合計58台が接続しています(本誌冒頭カラーページ参照)。
 外部ネットワークへの接続は、OCNスタンダードを利用し、図書館内にWWWサーバなどのサーバ環境を構築しています。

(2)図書館システムの概要

  1. システム
    現在稼動中のLS/1図書館システムは、音楽資料のデータ作成と検索を実現できるシステムとして、独自に開発を行ったものです。所蔵資料を検索するOPACシステムは、暫定版は1993年から、現在のバージョンは1997年から稼動しています。
  2. 図書館内OPAC
    当館は閉架式の図書館であるため、OPACで資料を探せるかどうかは図書館の利用において重要です。また音楽分野では、図書の他に楽譜や視聴覚資料も使われ、研究対象とする音楽作品名の問題もあるため、OPACでの検索が複雑になります。そのため、時間帯によっては館内の40台のOPACが同時に使われることも多いです。
  3. WebOPAC
    WebOPACは2000年4月から学内のみで公開してきましたが、2001年4月から学外へも公開しました。
 (1)キャンパス内を一括統合管理する学内LAN構想も、
過去において浮上したが、
現在その計画はない。

文責:国立音楽大学メディアセンター
センター長 石原 忠興


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