事業活動報告 No.1

教育改革FD/ICT理事長・学長等会議 開催報告
「大学力強化に向けた全学的改革行動への取り組みを考える」

 平成26年8月6日(水)午後1時、明治大学駿河台キャンパスを会場に83大学10短期大学より、147名の理事長、学長、学部長等関係者が参集して、「大学力強化に向けた全学的改革行動への取り組みを考える」をテーマに開催。開会にあたり、向殿政男会長(明治大学)より、「大学関係者には未来を託す若者に総力を挙げて最良の教育を提供する意識の大転換が求められている」との挨拶があった。
 次いで、会場校を代表して学校法人明治大学理事長の日髙 憲三氏より、「日本にとって大変大きな課題である大学力の強化に向けた全学的な改革行動の方向性を考える機会としていただきたい」との挨拶があり、プログラムに入った。

講演

「日本再生のための大学改革−求められる改革行動とは」

 安西 祐一郎氏(中央教育審議会会長、日本学術振興会理事長)より、主に次のような考えが披露された。

1.グローバル化・多極化の進む世界に求められる力

 10年、20年先、現在の学生が第一線で活躍する年代に、日本と世界がどうなっていくのかということを見越して、教育の姿を変えなければいけない。基本的な力は「主体性」ということに尽きる。学生一人ひとりが自分の目標を自分で見出して実践することができる、答えのない問題に答えを見出す力を身に付けられるようにするには、どうすればよいか。受け身の教育から能動的学修へ教育の質的転換が必要とされる。第2期教育振興基本計画の前文でも「今正に我が国に求められているもの、それは、『自立・協働・創造に向けた一人ひとりの主体的な学び』である」としているように政府の政策もその方向で走りだしていく。
 平成25年度の小学校6年と中学校3年の全国学力テストの記述式問題では既に知識の活用力を問うており、教育が変わりつつある。そのような中で高校と大学だけが変わっていない。それには、高校の教育と大学の教育がどのように変わるか、個別の大学入試がどのように変わるか、三つを一緒に変えていかないと何も変わらない。

2.21世紀日本の教育への問い

1)主体性から得られる「知識・技能の活用力」とは何か。情報を抽出する・組み合わせる・吟味する・大事な情報を選ぶ・適切な表現の方法を創る・別の観点からみる・別の文脈でとらえるなど、知識と技能を文脈に応じて応用する訓練が教育として重要となる。

2)教養も含めてこれらの上に産み出される「問題解決力」、「チーム力」とは何か。問題解決力とは、与えられた問題を解決する力ではなく、答えのない状況から問題を見つけ出して、答えを自分で見つけていく力。それには本当に答えのない問題を出さない限り、問題解決力の養成にはならない。チーム力とは、仲良し同士だけが集まって与えられた問題を解く力ではなく、知らない同士が初めて集まり、共通の目標を持って他者の心を理解しながら自分の主張をする訓練をしなければ、多様な人達の中で主体性をもつことができるようにならない。しかし、日本の学部学生のうち社会人は2%、留学生比率が6%以上ある大学は全国で20校、私学は7校程度しかなく、学生の置かれる環境に国境の異なる学生が少ないことが最大の弱点。ゼミ、卒業研究などは大事だが、知っている者同士のグループ学修であって、多様な他者とのチームワークではない。一朝一夕にはできないが、こういうことをめがけて主体性の教育を考えていかなければならない。

3.教育へのデジタル革命

 教育へのデジタル革命の最大のインパクトは、一人ひとりの生涯に情報通信技術(ICT)を活用して最良の学びの場を提供できるようにすること。主体性をもって自分で勉強していこうと思えばいくらでもできるようにするのが、ICTでサポートすべきこと。そのことから、多様性のある場を作りながら、能動的学修の方向へ、主体性の持てる方向へ変えていく、新しい教育理念の共有とデジタル教育コミュニティの場を創造していくことはとても大事。私立大学情報教育協会はその受け皿になっていかれるのではないかと期待している。

4.能動的学修の実践

 時代が変わりつつある中での教育をどうしていこうか。大学1年生向けに社会性に満ちた教育の場をつくるため、複数の大学と企業による産学連携の勉強会(Future Skills Project研究会)を立ち上げて4年続けている。最初は、企業側は「大学新卒は廊下ですれ違っても目をそらして何も言わない、大学教育は機能していない」などと言い、大学側は「大学1年生に企業が入ってきて授業するというのはもってのほか、学問をやるべきで企業のために教育しているのではない」など相当議論を続けた。その結果、産学連携で答えのない問題を発見し、自分達で答えを見出していく授業実践を始めることにした。大学1年生の春学期に初めて会った者同士が7、8名の少人数のチームを作り、15週を7週、7週の2回、二つの企業から答えのない問題を出し、チームで解決策を考えさえる。例えば、野村證券が出したテーマ「社会貢献のための投資計画を立てなさい」を1年生に考えさせる。1企業目の発表はほとんどできず、学びの失敗を経験させる。後半の8週目からの2企業目では一人ひとりが真剣に取り組むようになる。
 実践を通じて発見したことは、一つは、学びの原動力は「主体性」である。二つは、学生が本気で学びたいと思うようにするためには、1年生の春学期から企業の方々を含め多様な人達とチームワークで答えを見出そうとするPBLトレーニングを何度も繰り返すことで、その後の3年間で何を勉強したいか、社会でどういう道を歩みたいか、自分で考えるようになること。受講した学生は、「自分で学ばないと大変なことになる。大学で勉強しないと駄目になる」と言う。
 三つは、単位が取れる授業にするには教授会での理解が必要。しかし「1年生の春学期にいきなり企業が来て、何だか得体の知れないことを言われるのはどういうことだ」など反発が大きい。それを説得してきた大学が今20大学40社となってきている。四つは、講師の「教え過ぎない」「我慢する」。五つは、手弁当で協力する企業の方と教員との緊密な信頼関係を作り、目標を共有する風通しのよいコミュニケーションを作ること。

5.求められる改革行動

 以上述べてきたように「受け身の教育から能動的学修」へ教員・職員、教学執行部も思考の転換をしなければいけない。例えば、PBLは問題解決学修ではない。主体性を土壌とした問題の発見であって、目標を自分で決めることだ。それには、目標を明確にするために問題の原因を想定し、筋道を立てて臨機応変に効率的に問題に取り組む思考の訓練、論理的思考とはまったく異なる「合理的思考」が必須で、その教育方法の普及が重要となる。その際、仲間同士ではなく、まったく知らない人達の中でチームを構成し協働する「チーム力」と、相手の心を理解する、感じる「多様性」の体験がなければ、真のコミュニケーションの力を身につけることはできない。日本の大学でほとんど行われていないと思うが、社会で求められる力というのはそういう力だ。多様な他者と協働して一つの目標に向かって貢献していくことができる。それをもたらす原動力となる主体性を本当に身に付けられるカリキュラム、キャンパス作りは実はこれからだ。日本の教育が創っていくべき方向であり、ICTの力は極めて大きいと思う。これらを成就するために大学執行部は何をすべきか、そのための「大学ガバナンス」はいかにあるべきかが課題である。

6.高校教育・大学入学者選抜・大学教育の並行改革

 主体性・多様性を自然に身に付けていくには、高校教育と大学教育が変わらなければならない。それをサポートする方法として「主体的に学び、考える力」を評価する大学入学者選抜方法を高大接続特別部会で議論している。高校教育では、基礎学力の保証のために「達成度テスト(基礎レベル)」(仮称)の導入が検討されている。大学教育では、主体性と多様性を重視した例えば面接などの入学者選抜方法の開発をしていただくことが肝心。また、各大学によるアドミッションポリシーの明確化による選抜方法の明示と、知識・技能の活用力の評価を中心とする「達成度テスト(発展レベル)」(仮称)との連携について議論を続けており、戦後続いてきた教育の地盤を変えていかなければ教育の大転換はできないと思う。

講演

「経済界が求める世界に通じる人材育成のための教育改革」

 川村 隆氏(株式会社日立製作所相談役)より、主に次のような考えが披露された。

1.日本の産業界を取り巻く環境と問題意識

 新興国の台頭、グローバル競争の激化、少子高齢化に伴う国内市場の縮小という状況下にあって、資源・エネルギーの乏しい日本の唯一の財産は人材である。特に期待する人材はグローバル人材とICT人材が求められている。グローバル人材としては、経団連「産業界の求める人材像と大学教育への期待に関するアンケート結果(2011年1月)」の通り、既成概念にとらわれないチャレンジ精神を持った人、外国語によるコミュニケーション能力のある人、異文化、価値観の差異への興味・関心のある人が特に求められている。ICT人材としては、2013年に政府のIT総合戦略本部がとりまとめた「創造的IT人材育成方針」の通り、ITを通じて独創的な発想をしてイノベーティブな事業・サービスを企画・実現できる「ITの利活用社会をけん引する人材」、ITを業務・ビジネスに活かすことができる「ITの利活用社会を支える人材」を求めており、ICTと社会インフラの融合などソーシャルイノベーションを実現する上で重要な課題としている。各国の対応は、人材の育成がイノベーション政策の重要な一部になっている。日本でも2013年5月の教育再生実行会議第三次提言でギャップターム等グローバル化に対応した教育環境づくり、10月の第四次提言で高大接続と入学選抜のあり方、2014年の学校教育法等の一部改正で学長選挙の透明性の義務付けに初めて言及されるなど対応してきた。

2.人材育成に対する産業界の取り組み

 経団連では、グローバル人材育成に奨学金制度、海外留学者の就職支援、グローバル人財育成モデル・カリキュラム、UWCA日本協会等を通じた高校生の海外留学支援を実施している。ICT人材育成としては、高度情報通信人材育成支援センター(CeFIL)が筑波大学と九州大学の協力の下で大学の実践教育への協力と中長期のインターンシップの学生を受け入れている。また、政策提言として2011年に「グローバル人材の育成に向けた提言」、2013年に「世界を舞台に活躍できる人のために〜グローバル人材の育成に向けたフォローアップ提言」、2014年4月には「次代を担う人材育成に向けて求められる教育改革」として、イノベーションを起こし、グローバルに活躍する人材を育成するための施策・事業のあり方を整理した。
 企業では入社まもなく海外に4ヶ月から6ヶ月派遣し、自分の考えていることを英語で伝えられない、表現しようと思っていることが言えないなどの経験をさせることで、社会人として勉強していくことを自覚させている。例えば、会社のトップに昇りそうな人には外国の孫会社の社長に据えて会社運営を学ばせるとか、10年・15年会社で実務を熟知した人でも、大学で学び直すことを推奨している。海外から入社した人や一度会社を出て別会社で体験して戻ってくる人は、スピード感があり、会社の意思決定の遅さに会社を見直す意識を持って帰ってくる。多様性の中で訓練を受けてきた人は会社として非常に大事である。
 企業での意思決定には、天下の形勢を「読む」、戦略を「描く」、説明責任として「話す」、抵抗勢力の説得や練り直して「行う」ができることが求められている。そういう主体的な力に繋がる教育を取り組んでいただきたい。また、若い頃に自分の思いを英語で発信する力や人間力を高めることを自覚する場面を大学で作っていただきたい。

3.大学改革について

 経団連では、高等教育の改革を五つ掲げている。

 一つは、学長リーダシップによる大学改革の推進。

 大学と企業が違うのは分かっているが、人事権や資源配分、組織再編などは組織のトップに共通している。企業では3ヶ月に一度、年に4回業績評価を行い、悪くなった原因を分析し対応していかなければ業績が出せなくなり、一番大事な社会貢献の基本ができなくなる。大学はどうしてそれが許されるのか考えてみると、教育活動の業績が毎年あるいは半年ごとに世界に公開されないからだと思う。その際、学長のリーダシップによる大学改革を評価していく指標を何にするのかが非常に大事である。

 二つは、客観的指標に基づく外部評価の実施。

 退学率や卒業率、第三者機関や在校生による評価等を教育情報として社会に公表することでガバナンスが効いて特徴が出てくればと考える。私立大学に相応しい機能分化ができれば、学長がすすめる教育改革の方向性が明確になるので、目標を予め提示し、結果が数字などで可視化できるよう検討いただきたい。

 三つは、高大接続の改善と入試改革、出口管理。

 高校教育の質保証と大学入試改革による教育の継続性の確保、知識偏重から意欲・適性や高校の学習成果や多様な体験活動を総合的に評価する入試による人材の確保、厳格な出口管理による質保証の開発が課題。

 四つは、カリキュラム改革と産学連携の推進。

 能動的な学びを促す授業の積極化、産学連携によるPBL型の教育カリキュラム開発の拡大が望まれる。また、産業構造・雇用の変化やグローバル化に対応するため、社会人による学び直しが不可欠となり、4年間の専門教育では世界を相手にできない。広い視野で俯瞰的に判断できるようリベラルアーツ教育が必要となる。
 産学連携による教育カリキュラムの開発として、グローバル人材育成のモデル・カリキュラムを上智大学では学部2・3年、東京工業大学では博士課程を対象に実施している。若い人は、思ったよりグローバル思考する人が出ている感じがする。世界で活躍するスポーツ選手、料理人のような人達は、目標意識が高く、コミュニケーション能力が相当ある。今後それに続く人材を育成していくには中間層の教育も必要だが、強靭なリーダ教育が必要。人口減の中で日本人のGDPを高めていくには、ダイバシティに注意を払う必要がある。会社経営では外国人や社会出身の人を積極的に呼び込み、斬新な発想を取り入れフロントランナーにして全社的に革新を進めているところもある。大学の目的を達成する上でも大事な視点だと思う。

 五つは、大学の国際化の更なる推進。

 海外大学とのジョイントディグリー、ダブルディグリーの推進、双方向の留学生交流、海外大学との整合性を高める学事暦の見直しなどがあるが、実施してからが大事だと思う。留学生の交流推進は、経団連グローバル人材育成スカラーシップとして、日本人学生の海外留学に一人100万円の奨学金を支給し、毎年30名に海外で意識改革して意欲を新たにする支援を行っている。また、留学帰国学生を対象にグローバルキャリアミーティングを通じて合同就職説明会・面接会を実施している。

【二つの講演に対する質疑応答】

[質問1]主体的な学びのメインは、問題のない問題を解くということであろうか。多様な答えの中からどのように答えを形成していくか、どういう答えを出して欲しいか、答えと評価をどのように考えればよいか。

[回答:安西]問題というのはいろいろなレベルがあり、輪郭がはっきりしないものから非常にはっきりしたものまである。川村先生の講演で紹介された中で中堅の方が外国の孫会社の社長に赴任した。その中堅の方にとっての問題は何かについては、ある程度評価は与えられるでしょうが、具体的な輪郭は自分で見つけたと思う。そういうことが問題の発見と申し上げた。また、答えがいくつかあってその内どれを選ぶかと言うことを教員が顕わにしてしまうと、それで道がつけられてしまう。教える側と学ぶ側が一緒に考えることをしないと主体性は身につかない。

[質問2]企業でも大学でも人材育成が一番大事と思っているが、人材の意味が企業と大学では違うところもあるのではないか。大学では戦略というのもあるが、とにかく研究を第一にするところであるので、人事についてどう考えればよいか。

[回答:川村]評価制度ができていない点で気になる。会社で人事を決めるときには、評価する基準ができている。大学はおそらく評価が大変しにくいので、評価基準を作らないとできない。

[回答:安西]教員同士がお互いを評価するということが前提。それができるかどうか世間から見られている。狭い大学の中で和を乱すことを避けているが、そこを乗り越えて優秀な人達が研究・教育に携わっていかないと、結局自分の能力にかかってくるのではないかと思う。

[質問3]女性の人材をいかに活用していくかが大きな問題。日立の14名の執行役の内、女性の登用はどの程度の割合か。

[回答:川村]14名のうち女性は2名。女性の昇進が遅れる最大の理由は、男性上司が仕事で自由に使いたいと考えても使えないことになっていることから、短時間で効果的に仕事が行われるような仕組みをつくることが大事。

全体討議

「大学力強化に向けた全学的改革行動への取り組みを考える」

【課題提起1】

「教育の体系化と個別指導を組み合わせた効果的な学修環境づくりへの改革」

 田中 愛治氏(早稲田大学理事)より教育の体系化とオンデマンド型個別指導のアクティブラーニングが紹介された。

1.グローバル人財としての基礎力の涵養

 現在、早稲田大学ではグローバリゼーションが非常に重要になっている。海外派遣学生は1年間に約3,000名で国際的視野を持たせるようにしている。受け入れの外国人学生は約4,700名となっており、日本人と外国人の学生が一緒に学べるようにしたい。2032年の創立150周年には受け入れ留学生1万人に向け、全学で英語による学位プログラムの展開を計画している。それには、グローバル人財としての基礎力を涵養するため、2013年に全学共通で授業を提供するオープン教育センターを廃止し、グローバルエデュケーションセンターに改組した。日本語と英語による論理的表現としての「アカデミックライティング教育」、議論のできる「英語教育」、論理的思考を培う「数学教育」、それに新たに「統計教育」と「情報教育」を統合した五つの柱を全学基盤教育として1学年9千名にアクティブラーニングを実現したい。また、国際教育、ボランティア教育、キャリア教育、人文科学・社会科学・自然科学・保健体育教育などのリベラルアーツ教育も含めていきたい。

2.基盤教育の体系化

 「Tutorial English」は、2000年頃からはじめた。チューターと受講生4名の少人数で実践的な英語コミュニケーション能力を高めるプログラムで週2回集まり、1回目は英語で課題を出して議論し、2回目はディスカションする方法で10週間行い、英語に消極的な姿勢を改め、話すことへの自信を付けさせる。年間9千名が履修しており、ほぼ全員が卒業までに1回は履修する。
 「ライティングセンター」は、日本語と英語を支援している。レポートや論文作成に添削しないで助言していく方法で、チューターとの対話や作業を通して学生自信が成長することを目指している。日本語文章は、「学術的文章の作成」というインターネット上のオンデマンド講義と個別指導を行っており、履修生は8千名。ラーニングマネジメントシステム上で学術的文章の確認など動画見ながら授業を受け、毎週課題文をネット上で提出させ、毎週「教育補助」(Teaching Associate)がコメントをつけ、書き直させる授業を8週間続ける。
 文系学生を対象に身近なテーマ(金利編、最適化編、線形代数編)を通して数学の基礎知識を身に付ける「数学基礎プラスシリーズ」でもオンデマンド授業を行っている。不明な点があれば、メールや掲示板、「対面指導室」でTAによる個人指導を受けることができる。

3.教育補助の仕組みと育成

 2名の担当教員の下に5名から8名のシニアの指導員がいるが、一定の訓練を受ければ大学院生も「シニア指導員」や「指導員」になれる。従来は教務補助(TA)があった。これに対して訓練を受けて指導を部分的にできる仕事を大学が認めた場合、教育補助(TAo)として助手と同じような形になる。自給もTAは1,000円、教育補助は2,000円、シニア指導員3,500円まで払える仕組みにしている。訓練は「学術的文章の作成とその指導」の対面授業15回、毎回課題文の提出にコメントを行う。
 数学のTA育成は、4種類程度のコンテンツで半日研修の参加、腕試し問題を解いて継続者の添削を受ける。
 新しい試みとして、政治学分野で「政治分析入門」を前期、後期500名を対象に毎週月曜日に教授が講義し、木曜日に教授の指導の下で教育補助に院生10名が履修生50名ごとグループに分けてグループ・ディスカションしている。

【課題提起2】

「アクティブラーニング実質化の課題」

 山地弘起氏(長崎大学大学教育イノベーションセンター教授)より、アクティブラーニングとその実質化の条件について、次のような課題と試みが紹介された。

1.アクティブラーニングとは

 思考を活性化する授業形態の総称で、考える訓練を授業で確実に行う。実際に 「体験する・なってみる」から、「おぼえる・まねる」、「探求する・実験する」、「表現する・制作する」、「教える・評価する」まで、高次の思考を要求する学修形態がある。教える・説明する立場になって初めて気がつき主体的に学習するようになる。そのためには、1)教員の役割を変えなければならない、2)学生の思考習慣への働きかけを変える仕組みが必要、3)教養教育のカリキュラム・レベルの調整が必要、4)マネジメント・レベルのサポートが必要となる。
 様々な学習活動をアクティブラーニングの分野にあてはめると、講義は「知識の定着・確認」を目指し、演習・実験・調査やクリッカーの使用が増えている。プロジェクト学習、創成学習は、「知識の活用・創造」を目指し、問題発見・課題設定、情報収集、協働で課題解決する学習となっている。問題基盤学習は「問題解決能力の育成」を目指し、特定のプロジェクト活動による応用志向の学習としている。医学系のケースメソッドによる臨床的推論、シミュレーション・ゲームによる工学系のものづくり実習などがある。これらの高度なアクティブラーニングに取り組むには、思考を活性化する学習に馴染んでおく必要がある。そのことから初年次の教養教育では、「学習技能・表現技能」を目指す表現志向の学習が求められている。

2.アクティブラーニングとその実質化の条件

 思考習慣を変えていくには、個別に思考を活性化するワークシートの活用、TA・SAによるファシリテーション、授業外課題とフィードバックなど教員にアクティブなパワーが要求される。身近な話題から入ることで学びに関連性を意識させ、「やればできそうだ」と自信をもたせるように学生の中に教員が入っていく意識が必要。  主体的な学習習慣を育成していくには、難しい概念を学生間で説明させる、協力して課題に取り組ませる、グループワークの振り返りをさせる「学生間の協働」と、調べて発表する機会を作る、学んだ内容を演習させる「能動的な学習」が求められる。しかし、このままでは思考習慣は変わらないので、「教員と学生のコンタクト」として学習状況をモニタリングし、「迅速なフィードバック」の支援が必要となる。
 さらに、学生に提出物を出し直させる、意欲的な学生には発展的な課題を出す、話す、書く、調べるなど多様な評価を含める必要がある。しかし、単独科目で成功してもカリキュラム・レベルで成功しないと学生が成長しない。学生の学習状況を把握し、特に教養教育カリキュラム・レベルで学生の主体意識を醸成し、支援部署によるアクティブラーニングの普及などマネジメント・レベルでの支援が必要となる。
 長崎大学では学士課程教育の基盤能力・態度の育成を強化するため、教養教育のカリキュラムを平成24年度から刷新した。教養科目の選択科目はアクティブラーニングが教員個々の努力を想定していたことから非常に辛いという状況があったので、分野配分型の科目編成をテーマ型の学習コミュニティ、「安全・安心」、「環境」、「国際]社会」など実社会との関連の深い課題を全学モジュールとして再編した。その上で、ジェネリックスキルとして獲得できる13の目標の明確化を見直し、「学ぶ力」、「考える力」、「関わる力」、「表現する力」、「社会貢献意欲」、「日本語力」の六つを重点目標として授業設計することを次期モジュール科目の設計方針として再構築している。
 最大の課題は、教員の役割が専門家、知識人というよりは、学生とコミュニケーション行動する「対人職」として意識化できるかどうかである。

【話題提供】

「アクティブラーニングを支援する学びの場≠ニその活用」

 寺西宏友氏(創価大学副学長、教務担当理事、学士課程教育機構長)より、創価大学ラーニング・コモンズ“SPACe”と主体的学びについて、次のような試みが紹介された。

1.「学びの場」としてのSPACe

 学びを支援する機関として、2013年9月に新しい中央教育棟(地下3階、地上12階)の2階約2,000m2にラーニング・コモンズを開設した。
 SPACeの特徴は、グループで対話しながら学習する協同学習のPeer Learning Zone、語学学習支援のプログラムとして英語以外の言語コミュニケーションを伸ばすため、留学生を相手にテーマを決めてディスカッションするGlobal Villageと英語だけの基礎会話を留学生と練習するChit Chat Club、個別で自習するC Zone、個別学習エリア、パソコンルーム、学習相談エリア、日本語・英語のライティング支援、図書館サービスなど多くの機能を凝縮している。

2.学習支援施設を作るに至った経緯

 2020年の創立50周年に向けて2009年に10年間のグランドデザインを策定する作業が検討委員会ではじまり、その過程でライティングセンター設置の諮問がされた。検討したところ、ライティングに特化したセンターよりも総合的に学習を支援する機関が必要との構想を答申し、2014年4月発表のグランドデザインに「総合学習支援センター」の設置が明記された。また、2009年度から2011年度に競争補助金を獲得し初年次・導入教育を支える学習支援体制整備を進めてきたことが学習支援活動の基盤をつくった。

3.ラーニング・コモンズSPACeの利用状況

 学生数8,143名に対して平日2,000名を超える利用となっており、ウィークデイは3人に1人が利用している。個別自習エリアよりも協同学習エリアから埋まっていく。学外からの見学者の感想は、「学生が主体的・積極的に施設を活用している姿に驚いた」と高い評価を得ている。施設の運営は、学生ボランティア・スタッフが主体的にかかわっている。利用者の動向は、2013年後期1年生の94%が週1回利用、週3回の利用は23%であったが、2014年前期の週1回利用は99%、週3回利用は40%と増加している。
 SPACeの狙いは、自学自習のスペースを提供しているだけでなく、学習セミナー、レポート診断、レポートチューター、学習相談、成績不振者向き支援、ピアサポートなど多くの学習支援プログラムを入れてある。実際に一つの空間に集めたことで利用者が2013年後期869名、2014年前期1,298名と相当増えている。学術文書作法を必修化したレポート診断は、課題を出し、教員が添削することで自主的に学生が受けるようになり、かなり利用者が増えた。もう一つ学部生、大学院生、留学生や教員、職員が「学び」をテーマに30分枠で報告し合うシェア・タイムという試みをしている。
 学生支援サービスの提供は、押し付けでは意味がない。学生自ら支援が必要と自覚してサービスを利用するようになることが最善と思っている。
 大学が主体的な学びで意識していることは、学生が何を目標として授業を履修し、学生自らラーニングアウトカムズが到達できたのかどうかを評価できるようになることが第一歩と考えている。授業のアクティブラーニング化と同時に施設を整備して支援することが極めて重要と考え取り組んでいる。

【全体討議:主な意見交流】

 向殿政男会長を座長に、疋田康行副会長(立教大学)、田中愛治氏(早稲田大学)、山地弘起氏(長崎大学)、寺西宏友氏(創価大学)で質疑応答と意見交流を展開した。

[質問1]学生をどのように評価するのか。

[回答:田中]学術的文章の作成」の評価は、担当教員が予め決めている基準で判定しているが、様々なタイプの学生が出てくるので、毎週教える側のコミュニケーションを密にして教育補助者と連携して評価している。

[回答:山地]長崎大学の教養教育の事例で言えば少し状況は違っていて、基礎知識のモジュール授業では、例えば予習課題・復習課題やワークシートをLMS上に出させる。それをルーブリックを用いてフィードバックする。簡単なコメントはつける場合もあるが、次の授業の冒頭に示すとか、あるいはグループワークの形でお互いにフィードバックさせる方法で何とか対応している。

[回答:寺西]学術文書作法の授業は、必修化する前の3年間、初年次レポートの作成指導について全教員の確認をとっており、評価は標準化されている。それ以外の専門科目等の多人数授業は、ポータルサイトのアンケート機能、授業の振り返りの質問機能を活用して授業のポイントは何であったかアンケートをとっている。

[質問2]長崎大学のカリキュラム移行の際に、名称は変わったが中身が変わらないなど問題があったのではないかと思われるが、どのように克服されているか。

[回答:山地]教養教育の読み替えの科目をつくるとか、再履修の問題になると思うが、旧カリキュラムでどの科目を落としたか、学生に新しいモジュールでの受け入れ可能な対応関係を示すことがあった。再履修を受け入れる科目のリストアップを学生に示すことでスピード感をもって対応した。教養教育のワーキングが何回も行われ、ワーキングの提案が学長のところで何度も見直され検討されたトップダウンであっため、走りながら考えるところがかなりあった。移行措置については事務は大変であったが、新しいことをはじめるところに重点化していった。

[質問3]この試みをするときに小中高との連携、総合的学修時間、ゆとり教育問題はどのように考えているか。

[回答:田中]総合学習時間は主体的に考える学習を目指したが、それを体現できなかったと思う。先程の講演でビジネスリーダが知識の詰め込みでは国際社会では通用しないと指摘されたとおり、知識でない主体性や多様性が必要。例えば高校で英語教育は英語で授業するように言われている。それが実現しないのは、大学入試のあり方が受験勉強的な入試を求めているからで、大学教育が変わらない限り、または入試がかわらない限り高校の教育は変わらない。高校の教育、中学校の教育と段階的に変わらない限り小学校の教育は変わらないと思う。

[回答:山地]新しい状況でどのように問題を発見し、解決策を見出していくかは、知識テストで測れる問題ではなく、感情のコントロール、人と協働する技能など総合的な課題であり、現実的な課題をフィールドにしながら、それを繰り返し行う。国家試験を前提にして正解思考に学生はなってきているので、教養教育の段階で次世代に求められる主体性・多様性・協働性を教員にも、学生にも意識するように働きかけることが必要ではないか。

[回答:寺西]以前にゆとり教育を提唱された有馬朗人先生に伺ったことがあるが、本来の狙いは総合的学習というところにあるとのことで、本学では共通教育、教養教育の中で学生が将来向き合う問題を多面的に学べるようにしている。

[質問4]私は課題を与えて討議させているが、学生が本当に理解しているかわからないので、定期試験ではその課題で論文を書かせている。モジュールで主体的に授業を展開した後、一人ひとりの評価はどのようにしたらよいのか。

[回答:山地]科目についての評価の仕方は、まだ統合されていない。いくつかの例で言えば、最終的にコピーして書けるようなレポートは課さないようにしている。1学期間の学修内容を振り返ってまとめる、それを全体でプレゼンさせる、あるいはお互いにいくつかの評価観点で評価させるようにしている。

[質問5]アクティブラーニングを沢山導入していると一部の教員に教育の負荷が集中し、教員間でのアンバランスが問題になっている。そのような問題にどのように対処されているのか。

[回答:山地]本当に辛いところで、教育の業績評価は長崎大学もスコア化ができていない。課題として考えられることは、教育業績の評価の仕方を作る、簡易版のティーチングポートフォリオを作成する、賞与とか研究費などの面である程度融通のきくようにすることなどである。

[総括]向殿座長から、講演および全体討議を踏まえて「改革行動の方向性」で配慮すべき点が確認された。

1)受け身の教育から能動的学修へ全学的に転換。

2)学長のリーダシップによる教育改革の推進、産学連携PBL型カリキュラムの拡大など、革新力の発揮が求められている。

3)院生など学生による個別指導・助言の学修支援の仕組み、助言方法の研修体制が必要。

4)アクティブラーニングで大事なのは、学生に学びの重要性を気づかせる、教える教員から「対人職」としての教員として役割を見直す必要がある。

5)ラーニング・コモンズは学びの主体性を高め、学びを支援する機能が不可欠で補助金による財政支援の充実が求められる。

 課題は山積しているが、大学は時代の変化を踏まえながら新しい方向を展開することが非常に重要。若者が主体的に学修して社会に出ていく環境を大学が作る責任がある。大事なことは意識改革していかざるを得ないことではないかと思う。
 また、疋田副会長から、学生の行動範囲を広げるために専門の分野で英語が使えるような仕組みは大変重要。補助金を活用して大学で総合的学修を支援する取り組みに対してもっと工夫していく必要があるのではないか、との発言があった。

関連情報提供

「学びを変革するeラーニングによるオープン教育の展開」

 白井 克彦氏(日本オープンオンライン教育推進協議会理事長)より、MOOCの状況及びJMOOCの紹介が行われた。

1.MOOCとは

 MOOCの特徴は、2003年から始められたオープンコースウエア(OCW)のようにインターネットで教材を無償公開するのではなく、大学の教員が1週ごとにオンライン講座を配信し、誰でも無償で学習できてテストやレポートで提示された課題に期限内に回答して総合的な評価が基準を満たせば担当教員名での修了証が提供される学習プログラムである。質問を担当教員にメールできる他、学習者間でネット上や地域で学び合うコミュニティが形成されており、学習者が世界で1,000万名になっている。
 配信する組織は、米国のベンチャー企業のCoursera とマサチューセッツ工科大学とハーバード大学によるedXが有名。Coursera は109の機関教育が参加して657講座を配信しており、700万名以上が学習している。日本では東京大学が2013年2講座配信している。また、edXは両大学が出資し60億円で共同設立した。30以上の大学が延べ150講座を提供しており、日本も京都大学が2014年4月より開講している。これらのグローバルMOOCへの参加は、Courseraでは各国トップの5大学に限定、edXではedXが選択し、2軍制での参加には5千万円の寄附が大前提となっている。ヨーロッパ全体でのMOOCは、イギリス、フランス、スペイン、ドイツ、EUや中国でも相次いでプラットフォームが立ちあがっている。なかでもEUは半年で230から670講座が開講されている。修了率は7%以上10%が多い。日本では18%とスペインの14%に近い。

2.日本での可能性

 2013年9月のMOOC世論調査結果によれば、45%が「今後利用したいが、優れた講義が見つからない」としており、53%が「今後も利用したくない」としている。その理由の多くは「語学力がない」、また、日本語の吹き替え、字幕があれば相当数が利用してみたいとのことであった。そのような背景から、2013年一般社団法人としてJMOOCを設立した。現在、特別会員7社、正会員63(28大学、32企業、その他3)、協賛会員9、個人会員20となっており、日本とアジアのための「学びによる個人の価値を社会全体の共有価値へ拡大するMOOC」の実現を産学連携によって強力に牽引することを目指している。

3.JMOOCの利用状況

 JMOOCの講座(gacco)の登録者は、平均46才、男性7割、女性3割、最終学歴大卒以上が6割以上で、2014年7月時点で64,000名となっている。その中の一つに「反転学習コース」がある。従来、教室で行っている授業をMOOCの予習教材を用いて自宅で学習し、教室では分からない所を質問し、グループで教え合い・学び合いすることで、知識の定着に効果がある。その学習法を取り入れたのが東京大学本郷和人教授の「日本中世の自由と平等」で、世界初のMOOCベースの反転学習の取り組みを行っている。学びの仕組みは、4週間のオンライン学習の他に、第2週と4週に東京大学での対面学習を設定。ビデオ講義を踏まえてグループ討論し、発表し合う形態で課題解決を目指した学習を実施した。学習結果は、受講登録者2万人に対してオンライン学習修了者は3,600人、修了率18%であったが、そのうち希望者を100人募り8割が参加した。関西から来た優れた13才と81才の学習者が一緒に楽しみながら勉強していた。成績の評価は自動採点方式をとったが機能せず、アシスタントが全部読んで担当教員と打ち合わせ判定した。

4.今後の課題

 配信の目標として、今後100大学の会員で100講座を目指し、受講生も100万人を想定している。これからの大学教育は、学生に問題意識や主体性を持たせ、幅の広い学習をアクティブラーニングとして提供していくことが求められていく。それには大学が内に閉じずに地域社会との繋がり、大学間との連携の中で学習意欲を引き出す道具としてICTをどのように組み合わせて教育改善を図るのかが大きな課題である。JMOOCは始まったばかりなので、今後一緒に考えていきたい。

【関連情報提供】

 本協会の井端正臣事務局長から、概ね次の通りの報告が行われた。

1.「私立大学教員による授業改善白書」

1)能動的な学修を実現するために教員が取り組むべき対策としては、対話する中で学生が自ら考え、体験する授業の積極化にティーチングスタッフを活用した授業運営、学修ポートフォリオによる学修行動の把握などが必要。

2)教育の質的転換を図るための教学マネジメントの対策としては、院生などファシリテータによる学修支援の仕組み、学びの仕組みを可視化するカリキュラムマップ等の整備、教員同士による組織的授業への転換、教学執行部による授業科目の調整・統合等が必要。

3)アクティブラーニングでのICT活用の事例として、チームベースドラーニングにレスポンスアナライザーで集計・解析を行うことで、個人の理解度とチームで討論した理解度を可視化することにより、教員は学生の学びの状況に合わせた授業を実施している東京女子医科大学の取り組みが紹介された。

2.学びへの気づきを支援する産学連携による社会スタディ

 社会スタディの目的は、未来に向かって高い「志」と「意欲」を持つ学生が、社会的な課題解決に情報通信技術の重要性・発展性に興味・関心を抱き、イノベーションにかかわることに気づきをもって早い段階から学びに目的意識を持てるようにすることであり、そのために産学連携によるオープンな学びの場を設け支援することにしている。対象は、国・公・私立大学の1年生・2年生とし、小論文による事前審査で142名が選出された。しかし、当日雪害で82名の参加となった。学習プログラムは、産業界、大学関係者4名からそれぞれ15分程度の情報を提供した。内容は、様々な分野の枠を超えて解のない問題に取り組むことに興味を持ち続けることが肝要、固定観念にとらわれず失敗をおそれないで新しい価値創造にチャレンジを続ける気概が大事、その手段の一つとしてビッグデータなど情報を活用する力が不可決などであり、苦手意識だけは持たずに学び続けることが大切として、イノベーションの原動力として情報通信技術の活用が極めて重要であることを伝えることができた。その後で、3人一組でまったく知らない学生同士が社会的課題を解決するために情報通信技術を用いて未来社会にどのように向き合うべきか対話することで夢を持たせることができたのではないかと思う。学びの成果についてレポート提出のあった50名に修了証、未来を切り拓いていく目標、意欲が優れている学生12名に「優秀証」を送付し、所属大学長に通知した。

3.平成25年度の教育への情報化投資の実態

 大学の教育研究部門の情報化投資額は、24年度・25年度の補正に予算により15.6%増、管理部門8%の増となっている。これに対して短期大学の教育研究部門は9.1%減、管理部門は21.1%増となっている。大学の規模・種別では、大規模校18.4億円、中規模校1.8億円から3億円、理系単科校2.9億、社会系単科校0.57億円、人文系単科校約1億円、医療系1.2億円、芸術・家政系2.2億円となっている。また、外部データセンタの利用は、大学165校で79%が利用、年間1千万円以上が3割、平均200万円と前年度より2割増えている。短期大学は26校で37%が利用している。

大学規模別 教育研究部門の情報投資額

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