事業活動報告 No.1

平成27年度 ICT利用による教育改善研究発表会 開催報告

 本発表会は、全国の国公私立大学・短期大学教員を対象に、教育改善のためのICT活用によるFD活動の振興普及を促進・奨励し、その成果の公表を通じて大学教育の質的向上を図ることを目的としている。今年度は平成27年8月7日(金)に東京理科大学(森戸記念館)において開催した。
 一般参加者は167名(101大学、6短大、賛助会員3社)で、発表会は第1次選考も兼ねて56件の研究発表が行われた。当日の発表内容は以下の通りである。
 その後、第2次選考を10月3日(土)に実施し、11月25日(水)の本協会の第14回臨時総会冒頭に表彰式を行った(詳細は次号に掲載)。
※以下の発表者名は発表代表者のみ掲載。

Aグループ

A-1 初年次におけるデジタル・ストーリーテリングを活用したキャリア教育実践
法政大学   坂本 旬

 キャリア教育の大規模授業に反転学習を導入し、受講生個々にデジタル・ストーリーテリングを制作、発表させた。制作方法はeポートフォリオに掲載して予習させ、授業内では教員による30分の課題説明を行い、上級生によるピア・サポートを行っている。制作機材はスマートフォンからパソコンまで多様である。授業アンケートの結果から、内省的・批判的思考の育成に効果があった。

A-2 ICTを活用した産学連携PBLの初年次教育
青山学院大学   湯浅 且敏

 キャリア教育にPBLを導入し、その授業運営にLMSを活用し、課題の設定と学生提案の評価は協力企業が行う。PBLは半期で2回実施し、それぞれに中間報告、最終発表と評価がある。LMSでは中間・最終のピア・レビュー、授業配信等を行っている。LMSへのアクセス数などのデータからチームの活動を多面的に捉えることができ、学生の学びの能動性評価が可能になった。

A-3 薬学生の実践的な情報利活用・プレゼンテーション能力の醸成
慶應義塾大学   石川 さと子

 統合的な情報科学教育として二つの必修科目を関連づけ、複数のICTツールを用いた。クリッカーによるアンケート結果の提示、授業内のグループワークにおいてLMSの掲示板上に他グループの討論を参照可能とし、収録授業のLMSへのアップロードなど様々な活用を試行した。授業の開始、終了時のアンケート比較により、実践的な情報利活用・プレゼンテーションスキルの教育に効果があった。

A-4 医療系基礎教育における入学前準備教育から予習復習に至るICT活用事例報告
帝京平成大学   南 牧生

 医療系6分野の教員の協働により共通する医療系基礎用語集を作成し、入学前教育に活用した。さらに、入学後の新入生に対しLMS上で用語集を公開し、用語に関する確認テストや反復可能なドリルを作成し、授業で利用している。到達度テストとICT利用回数との関係が分析され、LMSへのログイン回数と学生の成績上昇の間に相関があった。

A-5 交渉学を利用した学生-社会人ギャップをうめるコミュニケーション力の育成モデル構築
追手門学院大学   田上 正範

 社会人経験のない学生と社会人とのコミュニケーション・ギャップを乗り越える目的で交渉学を応用した学習カリキュラムを開発、実践した。テレビドラマ等を活用した教材を作成し、授業内で引用した。受講生のアンケート結果から、教室内で社会の現実的側面を擬似的に体感することができたことが確認された。

A-6 クラウドユニバーシティズ構想〜ICT活用による全学的アクティブ・ラーニングに向けて〜
流通経済大学   関 宏幸

 二つの異なるキャンパスをクラウドを用いて共通化した取り組みの報告である。両キャンパスで行われている情報リテラシ科目を共通シラバス、共通教科書、教員・職員による授業連絡会などによって共通化を図った。授業前後におけるITスキルチェック、ルーブリックの導入、マインドマップによる振り返りなどの工夫が報告された。ITスキルチェックの結果から情報基礎能力の向上が確認できた。

A-7 プログラミング入門段階でのカリキュラム改善の取り組み
東海大学   坂田 圭司

 プログラミング能力を身につけさせるために、言語の文法解説からアルゴリズムの理解と構築を中心としたカリキュラムに変更し、ビジュアルプログラミング環境も準備して改善効果を測定した。履修開始前後のプログラミングに対する意識調査をしたところ、多くの学生が難しいからやさしいと感じるよう変化した。

A-8 組込みシステムの実践的なプログラミング教材の開発と講義内容のオープン化による効果
福岡工業大学   下戸 健

 組み込みシステムのハードウェアとソフトウェアを体系的に学修できるような教材開発を行い、講義もオープン化して授業改善を行った。アンケート結果では、知識・理解に関する項目では有意な上昇が認められ、講義のオープン化に伴って予習時間の増加につながったことが測定から明らかになった。

A-9 初年次プログラミング教育におけるロボットPBLの導入〜授業における事例報告〜
芝浦工業大学   菅谷 みどり

 ロボット教材を用いるPBLを通して学生間のコミュニケーション力を養成する授業を行った。8グループに分けて、課題やコンテストに取り組ませた結果、87%の学生が仲間同士の連帯感が促され、67%の学生が授業に満足したと評価した。

A-10 ICT教育支援システムを使用した情報倫理教育の改善
帝京平成大学   照屋 健作

 コンピュータリテラシー教育で利用していた紙媒体の練習問題を、新たに導入したLMSの小テスト機能を利用して実施した結果、満点をとる学生の割合が増加した。また、アンケート結果によれば、理解度を上げるためにLMSの練習問題を利用しているケースも見受けられた。

A-11 実践的課題を題材とした初年次情報システム教育の提案
新潟経営大学   齊藤 光俊

 情報に興味・関心のない学生が増え、情報処理資格の取得率が低迷しているために、ExcelとVisual Basicを用いて4年生が制作した履修登録システムの概要を理解させ、初年次生の情報への関心を高める試みを行った。その結果、一部の学生であるが興味を示すアンケート結果が得られた。

A-12 オープンデータを活用した地図力の育成とICTを使った協調学修
東京工科大学   飯沼 瑞穂

 オープンデータを活用する能力がなくなってきた学生に、地図力の教育を通して協調学修させることでオープンデータに興味を持たせようとした。授業サイト上で授業資料や課題提出、各種ファイルの複数人による同時編集を行わせた結果、地図活用の関心度とPCスキルの自信が高くなった。

A-13 JMOOC講座を利用した反転学習による学生の動機づけ改善
東京工科大学   岩下 志乃

 コンピュータ関連授業の教育効果を高めるために、既存のJMOOC講座を利用する反転授業を構築し、授業改善を試みた。学生の主観的評価を感想文から調査したところ、講義への関心が高まったとする肯定的な意見が66%を占めた。

A-14 効率的な日本語勉強法に関する研究〜Moodleシステム併用〜
皇學館大学   張  磊

 中国人留学生の日本語習得にMoodleを用い、単語だけでなく、音読みの修得や文法教育にも力を入れた。N2からN1への到達度アップという基準を明確にして半期で行い、シラバスもまとめた。

A-15 教員と学生の積極的参加を促す協働授業の実現〜批判的思考力を養成する「読解」教育〜
名古屋外国語大学   加藤 由香里

 日本人向け科目「実践日本語系列」の「読解」において、担当者が共同で学習管理システムを利用し、クラス内活動の報告や成果の発表を行うだけでなく、クリティカルシンキング能力の向上を目指した。

A-16 Skypeを利用した海外講師との遠隔共同授業
武庫川女子大学   笹部 徹

 学生が作成した英文履歴書をもとにSkypeを利用して海外講師と共同して海外遠隔授業を展開し、英語によるプレゼンテーション能力の向上、実務的な授業内容、海外講師との英語によるコミュニケーション、授業録画を利用した通訳練習に取り組んだ。

A-17 LMSを活用したLanguage Portfolioシステムと英語授業改善
畿央大学   深田 將揮

 全学共通の1年生向け英語コミュニケーション教育において、大学独自のCan-Do-Listを作成し、「学習履歴」や「教師側の教授履歴」をオンライン上で記録蓄積し、教員間で共有・活用した。大学ガバナンスからの指示や財政支援により組織的に実施した。

A-18 英語教育におけるICTの利用とコード・スイッチングの応用〜バイリンガルの養成〜
関西外国語大学   吉村 耕治

 英語によるリスニング力やスピーキング力の向上を図るため、コード・スイッチングという手法を普段の授業に応用した。英語から日本語、日本語から英語へと瞬時にスイッチングを学生に行わせることによって、英語に対する「潔癖主義」を補正することを目指した。

A-19 発表辞退
A-20 テキスト付きシャドーイング練習ウェブサイトを使用した英語能力と自己効力感の向上
文教大学   鈴木 聡子

 リスニング能力や音読能力を向上を図るために、ウェブサイトを活用して自己効力感を高めることを目指した。事前・事後アンケートで自己効力感の向上が確認できた。

Bグループ

B-1 理学療法教育の専門的知識の習得に有効なアプリケーションの開発と利用
帝京科学大学   安齋 久美子

 ベンダーと共同開発したタブレット用の3D人体イメージングアプリケーションを用い、ランドマークと関節運動の理解を支援することで、科目「基礎理学療法」への学習の動機づけとともに授業への集中度向上を試みた。その結果、授業の満足度が向上した。

B-2 反転学習における個別フォローの相乗効果
聖隷クリストファー大学   石津 希代子

 聴覚障害学および音響学に反転授業を導入するとともに、学生のフォローアップを重視することで、学生の授業への主体的・積極的な参画実現を図った。その結果、学生間の討論が活発化して質問が増えたこと等に加えて、問題発見能力および学習到達度が向上した。

B-3 発表辞退
B-4 携帯アプリを用いた事後・自己学習の教育効果
愛媛県立医療技術大学   玉内 秀一

 臨床検査技師養成課程の免疫学・輸血学の授業後の自己学習に携帯アプリを用いた用語学習ツールを導入した。授業で理解した専門用語を繰り返して学習できる環境を構築し、反復学習を促すことで知識の定着支援を試みた。システムの改善によって利用環境が拡大してきた。

B-5 教授錯覚発生頻度調査による講義内容の評価と改善
東北薬科大学   渡部 俊彦

 プレ・ポストテスト結果の統計処理および質問欄への記載によって、教授錯覚の発生を教員に認識させ、授業を振り返らせることで授業改善を図った。解釈および問題解決レベルで錯覚が生じやすいことを明らかにし、Webを用いた補完によって学習効果が高まった。

B-6 経験と知識をナラティブに統合したマイクロレクチャー:次世代への健康社会継承の試み
福岡大学   守山 正樹

 公衆衛生学の授業に、ナラティブに構成されたマイクロレクチャーとボランティアとの意見交換を組み合わせた反転授業を導入した。その結果、授業の過程における思考と対話が実現し、学生が学ぶ医師と社会の関係について理解を深められた。

B-7 ITを活用した超高齢社会の到来に対応できる歯科医師の養成について
北海道医療大学   越野 寿

 有病高齢者の歯科治療を安全に行える歯科医師を目指して3大学と関連歯科医師会の連携により3年生対象のeラーニングによる全身と口腔に関する基礎知識の習得、4年生対象のVPシステムを用いた臨床推論能力の養成を実施した。授業後アンケートから多くの学生に肯定的に捉えられ、理解度向上に貢献できた。

B-8 薬効・副作用の確認が体験できるバーチャルフィジカルアセスメント学習教材とその効果
九州保健福祉大学   徳永 仁

 シミュレーション教育とICTを融合したバーチャル体験型フィジカルアセスメント(PA)学習教材を開発し、Web形式で無料で一般公開した。肺音、心音および腸音を指標としたリスニング試験では本教材使用後に一部の項目で改善効果が認められた。

B-9 逆転の発想から不適切な治療を議論する患者シミュレーターを使った体験型薬物治療学習
千葉科学大学   森 雅博

 高機能患者シミュレーターを使用し、薬物治療の適切・不適切を比較検討することで、患者の予後と治療の適否を学ぶ演習モデルの構築を試みた。“答えから学ぶ教育”ではなく、体というブラックボックスから考える教育を目指した。

B-10 医療系学部を有さない薬学部における他の医療系学部との連携を活かした多職種連携教育
名城大学   野田 幸裕

 医療機関を有する大学と連携した多職種連携教育において、他分野の学生によるグループ討論で知識レベルの差がないよう事前・事後学修用のWeb教材を作成した。その結果、少人数グループでのケーススタディを効果的に進めることが可能となった。

B-11 学生間相互評価・Rubric評価とARCS型TBL−PBLハイブリッド統計演習
摂南大学   安原 智久

 統計解析のプロセスを実践的に体得させるため、ICTを用いることで、自由度の高い学生の課題発見・問題設定によるTBL−PBLハイブリッド型演習を実施した。また、Moodleを用いることで、発表・フィードバックと平衡して学生が設定した調査アンケート集約が可能となった。

B-12 試験後の事後学修に見通しを立てるための個人成績票の開発
千葉科学大学   高橋 真樹

 試験後の事後学修に見通しを立てるため、社会に出るために必要な知識を得た状態を到達度100%とし、現在の到達度を評価する仕組みとして、個人成績票を開発した。その結果、現状を認識させ学生ニーズを捉えていることが確認できた。

B-13 発表辞退
B-14 建築工学科におけるICT教材の開発
広島工業大学   木舩 弘一

 学生の学習履歴や学習レベルの多様化にも対応できる授業システムの構築を目標に掲げ、ICTの基本ツールとしてのレスポンスカード(クリッカー)を導入し、講義における教員と学生の双方向授業を実現した。学生の理解度をリアルタイムにフィードバックできることは有用であることが判明した。

B-15 マス教育における水理学の教授法
日本大学   安田 陽一

 多様な入試形態により学生の学力差が大きい中で、専門教育において1クラス120名の大規模クラスでも学力差を考慮した授業を試みた。水理学の授業においてICT利用教育は復習・予習に有力な手段であることを確認し、ICTを活用したレポート解説資料による反復学習の習慣がつくなど、学修方法の改善につながった。

B-16 基礎から専門へつなぐ工学系初年次教育における習熟度別学修システムの構築
神奈川工科大学   神谷 克政

 1年前期の物理系科目の初年次教育において、担当教員と専門科目教員が連携し、学生の習熟度に応じた学修システム構築・導入した。その結果、学生の学修意欲が向上し、主体的に学修に取り組んでいることが示された。

B-17 LMSを利用した段階的な小テストの実施に関する一考察
金沢工業大学   館 宜伸

 LMSを活用したプログラミング科目において、受講生全員に一斉に小テストを実施せず、LMS上の演習問題を利用することで実現可能な段階的小テストを実施した。その結果、期末試験の成績と単位取得率に改善をもたらすことが確認できた。

B-18 ICTを用いたアクティブ・ラーニング講義システム
芝浦工業大学   横田 壽

 教員が簡単にアクティブ・ラーニングを授業に導入できる方法を模索し、安価な講義録画システムや、小テストの採点・集計をPDF化ファイルから自動得点集計できる方法などを実現した。

B-19 数理基礎科目における反転授業の実施とその教育効果
金沢工業大学   西  誠

 積分・微分方程式の科目でICT教材を活用した反転授業を行った。ほとんどの学生が事前に予習を行い、授業で理解を深める活動や発展的課題への取り組みなど積極的に取り組んだ。学生の多くが授業で見直しを行うなどの取り組みを繰り返し行っているため、学習内容の理解度、および成績の向上が確認できた。

B-20 数学基礎e-Learningにおけるオンラインレポートの相互評価の取り組み
山口東京理科大学   亀田 真澄

 学生所持のモバイルデバイス(スマホなど)とLMSを活用し、数学レポート作成時に、自分で再学習可能な書式に整理する能力を培うことを目標とした。LMSに提出後の数学レポートの学生間相互評価を導入し、相互評価による学習成果の振り返りと次の段階への学習意欲向上を持てるように工夫した。

Cグループ

C-1 協働学修環境の構築のためのNFC活用手法
千葉商科大学   久保 裕也

 ICカードの学生証、ICカードリーダー、NFC対応スマートフォンを用いることで、授業内での出欠確認と同時の動的な班分け、グループごとの教材の電子的な設定や配布など、協働学修環境システムを構築し、毎回の授業開始時に運用した。

C-2 ICTを活用した学生間での受講心得情報の提供が協調学修の円滑化に及ぼす効果
東京電機大学   木村 敦

 ICTを利用による「履修経験者からの受講心得」公開が実験演習での協働学修円滑化に及ぼす効果を検証したところ、私用欠席率が減少し、学修プロセス振返り調査結果では、「協調性」や「計画性」等の項目で導入前より評価が高かった。また、学部授業評価アンケートでも「シラバスを通じての到達目標の理解」「授業方法の工夫」の項目において導入前より評価が高かった。

C-3 学生によるルーブリックの定着と活用法
関西大学   安藤 輝次

 アクティブ・ラーニングでの学修評価としてルーブリックを定着させるため、学生が評価と学びを連動できるようアクティブ・ボードを活用してPC上に優劣の学修物を見せたり消したりし、ホームページに掲載したルーブリックと学修物を例示した問題を解かせて周知徹底した。その結果、学生はルーブリックをイメージ化でき、自主的な学びにも繋がった。

C-4 スマートフォンと図書館情報を併用した能動的学修の促進
法政大学   田澤 実

 授業時間外の学修を計画・実施し、教育効果をあげるため、2年次の演習科目において、スマートフォンなどを利用して、学生各自の関心事について継続的にニュース収集と発表を行い、それらを通して図書館情報の文献検索方法の学修を行った。その結果、能動的な学修にプラスの影響を与えた。

C-5 教員志望大学生の実験技能を高めるタブレット端末を用いたマンガ反転授業用教材の開発と学習評価
同志社女子大学   大黒 孝文

 小学校6年生理科の必修実験である気体検知管の操作方法について、物体燃焼後の空気成分濃度を測定する児童実験場面を描いたマンガで学修するコースウェアを開発し、それによる反転授業を実施した。授業前におけるマンガ反転授業用教材を活用した学修により、学生は学習内容に対して高い関心を持ち、十分な知識を獲得できた。

C-6 発表辞退
C-7 反転授業用のビデオ教材の効率的な作成による大学教育の改善
明治学院大学   加賀山 茂

 PowerPointのアニメーションを取り込んで自動的にビデオ教材を作成するソフトウェアを用いて作成した「債権総論1」のビデオ教材によって、学生が教室外でワンクリックでビデオを視聴し、PDFファイルに書き込みながら自学・自修を進めることができる環境が整えられ、予想以上の効用をもたらした。

C-8 学修のインセンティブとしての反転授業の導入とアクティブラーニングの実施
就実大学   中西 徹

 1年次教養科目の「発想学」において、ビデオ収録した講義と課題説明をクラウド上に掲載し、学生が授業前に視聴し、授業ではビデオで提示されたテーマについてKJ法等を用いてグループで課題解決を行い、その成果を発表させた。ビデオ学修や授業でのグループ学修により、学生の理解が深まる傾向が見られた。

C-9 プログラミングを必要としない高度な関数電卓型フリーソフトを活用した経済学理論教育
専修大学   小川 健

 広島修道大学経済科学部の「コンピュータ経済学II」において、関数電卓型フリーソフトを活用した結果、数学が苦手な学生でも高度なプログラミングを活用せずに方程式の求解や式から直接グラフを描写することが可能となり、経済学の理論教育において有益であることが明らかとなった。

C-10 会計学初等教育における反転授業の導入と効果
関西学院大学   木本 圭一

 会計学の諸概念の定着を図るため、事前学修用に授業支援システムに解説ビデオを掲載し、授業ではクリッカーによる確認テストと解説を行った後、理論演習と実在企業の財務諸表データを用いた分析演習をグループワークで行わせて発表させた。その結果、成績の向上が見られた。

C-11 「10分だけ反転授業」とスマートフォン版クリッカーの2年間
早稲田大学   大鹿 智基

 学生の予習に対する意識を高め継続させるため、予習用動画閲覧に対する意識付けを行い、スマートフォン版クリッカーを用いた確認問題の内容改善等を行ったところ、予習用動画閲覧率の向上と学期中の閲覧率低下の防止、受講生からの高い評価、成績の向上が見られた。

C-12 パワーポイントを学習支援ツールとして用いたアパレル企画授業プログラム
大妻女子大学   中島 永晶

 ファッションディレクターの視点からデザイン企画を行わせる授業において、学生は毎回、課題に対して事前考察と資料データ収集等を行い、授業では担当教員と加工、編集・整理、プレゼンテーションツールを制作する積み重ね型のプログラムを構築した。その結果、パワーポイントの特性を十分に生かした課題制作物を完成させることができた。

C-13 実企業テーマおよびICT活用によるアクティブラーニング講義学習意欲向上事例
明治大学   樋渡 雅幸

 企業の実テーマのもとでモバイルやスマートフォンを活用して実データに触れ、現状把握、課題抽出、戦略立案、実行というコンサルティング業務のプロセスを体験させた。その結果、学修意欲を高めることができた。

C-14 有効なICT活用に発展する「海外体験学習」を取り入れた魅力あるPBL演習の構築
愛知学院大学   松岡 昌幸

 旅行企画論のPBL学修において、ICT利用に加えて、海外体験学習も取り入れた複合的な授業展開を構築した。海外展開の演習において、学生はICT機材を持参し、旅行素材の収集、カテゴリー化、分析などを行う。帰国後は、収集した旅行素材をICTを用いて整理、分析を行う。最終的にグループ別に発表を行った。

C-15 「海外リスク情報」データベースを用いた感性錬磨型学習の試み
関西大学   亀井 克之

 データベースを用いた海外リスク情報の記事探索・要約・コメントを学生に課すとともに、外部からゲスト・スピーカーを招いて、海外リスクに留意することの大切さ、企業の海外安全担当者が実際にどのように海外リスク情報を活用しているか講義してもらった。その結果、海外リスクに対する知識、認識を高めることができた。

C-16 教職課程の模擬授業におけるICTを活用したフィードバックの改善とその効果の検証
芝浦工業大学   牧下 英世

 教職課程の模擬授業を録音し、評価者がリアルタイムで良い点・改善点のチェック、理由をキーボードで入力する学生同士によるピア評価を実施することで、模擬授業を行った学生は動画が再生しながらフィードバック内容を確認でき、コミュニケーションを通じた実践的な学びにつなげることができた。

C-17 ICT活用のマイルストーンと双方向授業による基盤教育の真髄
日本工業大学   河住 有希子

 「文章能力トレーニングの基礎I」において、学生が工夫しながら学ぶ様々な仕掛けを施したWeb課題として、宿題と中間試験を作成、実施した。学生にとって身近な携帯端末の利用により、学習習慣を形成し、様々な学修方法の体験の場を提供することができた。

C-18 多人数講義授業における議論構築の質保証とスマートフォン活用のリアルタイム情報検索
関西大学   牧野 由香里

 授業科目「コミュニケーションと能力」において、議論構築の質を保証するために、スマートフォン活用と推論の評価指標を併用するリアルタイム情報検索を提案した。学修環境を整えることにより、討議による弁証にとどまらず、質の高い情報精査に基づく推論の論証に発展する議論が展開された。

C-19 教養科目とアクティブラーニング
山梨学院大学   小菅 信子

 日本近現代史を講義する教養科目において、国立公文書館のデジタルサイト「アジア歴史資料センター」を利用し原史料に接し、アクティブラーニングとして受講生に木下順二の戯曲「審判」第一幕を上演することにより、歴史を追体験させ、かつ事実と虚構の違いをも実感させることができた。

C-20 ICTを活用した文学教育における能動的・主体的学修活動推進の試み
創価大学   山中 正樹

 「作家作品論D(近代)」において、学内ポータルサイトを活用した事前学修を徹底し、グループごとに担当作品を決めてプレゼンテーションとディスカッションを行った。授業後の振り返り学修と情報共有による学修の継続・発展を目指すことで、双方向のアクティブラーニングを実践した。

文責:ICT利用教育改善発表会運営委員会


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