巻頭言

より良い情報環境を目指して

末次 正(福岡大学・情報基盤センター長(CIO補佐・CISO補佐))

 福岡大学は、1934年創設の福岡高等商業学校を起源とします。九州経済専門学校、福岡経済専門学校を経て1949年に福岡商科大学に昇格し、1956年に福岡大学と改称しました。現在では、9つの学部と10の大学院研究科を擁する西日本で最大規模の総合大学であり、2つの大学病院、2つの附属高等学校、1つの附属中学校を有しています。
 全国でも稀な全ての学部が一つのキャンパスに集まった大学であり、アジアの玄関口である福岡市に位置するキャンパスでは2万人超の多彩な学生が学んでおり、これまでに約25万人の卒業生を社会に送り出しています。
 建学の精神として「思想堅実」、「穏健中正」、「質実剛健」、「積極進取」を掲げ、それに基づいた全人教育を理想としています。さらに、教育研究の理念として「人材教育(Specialist)」と「人間教育(Generalist)」の共存、「学部教育(Faculty)」と「総合教育(University)」の共存、「地域性(Regionalism)」と「国際性(Globalism)」の共存を標榜しています。この3つの共存をはかることによって、真理と自由を追求し、自発的で創造性豊かな人間を育成し、社会の発展に寄与することを目的としています。
 2014年5月に創立80周年を迎えており、向こう10年の本学の進むべき方向性を明示するとともに、今後、具体的な施策や戦略を講じる際の重要な指針とするため、「福岡大学ビジョン2014-2023」を策定しています。このビジョンには、①時代の要請や社会のニーズに対応した教育・研究・医療の提供、②先進的で高度な研究活動の遂行、③アジア諸国との関係を中心にして行うグローバル人材育成、④福岡を中心とする地域の活性化と発展の促進の4つを重点項目に掲げており、さらに、山口政俊学長の下、「アクティブ福岡大学」を掲げ、創立100周年に向けて今一度「建学の精神」に立ち返り、「積極進取」の気概を持って活力と魅力溢れる大学「アクティブ福岡大学」としてさらに前進すべく、様々な施策に教職員一同取り組んでいます。
 さて、本学の情報環境に目を向けますと、2018年から2020年にかけ、多くの情報システムが更新時期を迎えることから、一昨年3月に法人最上位の情報関係の会議体である情報化推進委員会の下に学内情報システム更新検討専門部会を設置しました。この専門部会ではシステムの在り方や更新方法の検討、今後の情報化推進体制の在り方等を検討し、昨年1月に出された答申では、法人全体をカバーする新しい情報化推進体制を確立することを始めとして、法人が有する情報の全体像を管理する制度及び様々なユーザの声を取り入れる仕組みが不可欠であり、それにはITガバナンス体制の整備が必要であるとの提言がなされました。
 このような背景から、昨年4月には最高情報責任者(CIO)及び最高情報セキュリティ責任者(CISO)並びにCIO補佐及びCISO補佐の設置、両者が統括する会議体の見直し、情報部門の改組等を含む情報化推進体制の改革を行いました。今回のシステム更新においては、この新しい体制の下、CIOを中心に全システムのサーバ仮想化、クラウド化を行うことについて大方針を定めました。
 また、この方針のもとに、2018年以降に更新する情報システムの検討・移行計画策定を各システム所管部署と連携して作業を進めています。一例を挙げるなら、キャンパス内各所に設置している従来型(集合型)PC教室を協働学習教室へスタイル変更していくことが大きな課題となっており、これについては2020年の更新に向け検討しています。また、その他の取組として、学内ほぼすべての一般教室に無線LANを設置しており、アクティブラーニングの一環として双方的授業の実現に向けアンケート機能やクリッカー機能を有する学修支援ツールの整備を全学的に進めております。
 IT技術は教育、研究、医療、事務業務どれをとっても必要不可欠な存在になっています。スマートフォン、クラウド、IoT、AI等、今後もさらに情報技術の発展は急速に進み、情報サービスの在り方も時代とともに変化し続けるでしょう。
 当センターは、時代に即した、ユーザに求められるサービスを提供するとともに、情報セキュリティを強化し、安全・安心にサービスを利用してもらえるシステムの構築・運用に取り組み、当センターの役割であるIT環境整備の役割を果たしていきます。
 情報部門に求められる役割も時代とともに変化し、抱える課題は決して少なくありませんが、戦略を立て、一つ一つの課題に取り組み、改善・改革を続けていきたいと考えています。


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