事業活動報告 No.3

平成29年度 FDのための情報技術研究講習会
開催報告

1.はじめに

 本講習会は、大学教員の教育技術力向上のための学外FD活動の一つとして毎年開催されている。
 今年度の講習会は、アクティブ・ラーニングを実現するために、分野共通で必要と思われるICTの活用方法および教育改善手法の習得を目的として、事前・事後学修を徹底するためのLMS、教員と学生・学生同士による対話環境を支援するツール、動画などの視覚教材、並びにICTを活用した授業マネジメントなどの知識・理解と情報技術の獲得を目指し、平成30年2月28日〜3月1日(2日間)にかけて、追手門学院大学(大阪府茨木市)において実施された。本講習会の開催時期が、学年末の多忙な時期で、参加が困難との意見があったことから、今回は開催期間を3日間から2日間に短縮すると共に、開催時期を2月28日、3月1日の比較的参加し易い時期に設定した。また、多様なニーズに対応するため、従来は全体会とコース制で構成されていた講習会のコース制を廃止して、多くのワークショップ設置し、参加者が自由に選べるアラカルト方式に変更した。今年度は9つのワークショップを設置し、ワークショップの内容は以下の通りとした。

 これらの対応により、今年度は、昨年度の3倍弱の78名(46大学、1短期大学)の参加があった。

2.講習内容と結果

2−1.全体会(共通講義)

(1)講演:「LMSを活用した大人数授業におけるアクティブ・ラーニング」

岩崎 千晶 氏(関西大学教育推進部准教授)

(2)体験:「ICTを用いた授業の支援」

及川 義道 氏(東海大学教育開発研究センター次長、理学部准教授)

(3)講演:「ICT活用と著作権の基礎知識」

中村 壽宏 氏(神奈川大学大学院法務研究科教授)

 参加された教員から「反転授業やアクティブ・ラーニングの意義・方法が理解できた」、「今回の体験授業のような講義を受けられる学生がうらやましい」、「著作権の話がタイムリーで分かりやすく参考になった」などの他、多数の教員から「有益であった」という高い評価の感想が寄せられた。

2−2.ワークショップ

(1)ワークショップ1、4 「Google Classroom」

 Google Classroomが一般のGmail利用者に開放された。これにより、Web上で誰でもクラスを作って教えたり、学修者として学べたりすることが可能となった。機能は限られているがシンプルなので使い勝手もよく、教員だけでなく学生がクラスを作って自由に利用することも可能である。また、学内で導入されているLMSを活用する入口にもなる。このため、ワークショップは、初心者を対象に「授業を受けてみる」と「授業を始めてみる」の2コマで行った。
 「授業を受けてみる」では、学修者としてClassroomを使った問題解決型の模擬授業を受講してもらい、様々な活用場面を体験してもらった。授業のテーマは、受講者の専門に偏らないように「一筆書きを考える」を扱った。受講者は40名で、ネット上でコミュニケーションをするには多すぎたので、3分割し3クラス同時進行とし、さらに4名程度の対面型の班を作った。
 「授業を始めてみる」では、教員の立場で実際にクラスを作成し、トピックの作成やお知らせ、問題、課題を、あらかじめ準備したコンテンツを使って登録し、グループ員に学修者になってもらい教員と学修者のデータの流れや関連性を確かめてもらった。そのうえで各自の授業での利用の可能性を検討してもらった。受講者は40名であった。

 受講者の代表的なコメントは次のとおりであった。「大変面白い講義で、あっという間に時間が過ぎた」、「学生の観点から体験するのが非常に有意義だと感じた」、「いろいろなパターンを織り交ぜていただいたので、大変わかりやすく体験できた」、「授業中に学生同士の発言や意見交換、他の意見を聞くということが大勢の授業においても可能になるということが実感でき大変有意義であった」、「個々人が等しく自分の意見を述べられるのが良いと思った。学生同士のフィードバックもやりやすい」、「グループ発表の際に代表者だけにさせていたが、LMSだと全員に発表させることも可能であることがわかった」、「同じ機能でも、課題設定や質問の作成の仕方によって応用方法は広いことが理解できた」、「時間と距離が離れているクラスはもちろん、集まったクラスでも、ICTと対面をうまく組み合わせたら、面白い授業ができそうだ」、「模擬授業の内容も、参加された先生方の個々の専門性に特化しておらず、楽しむことができた」。
 「授業を受けてみる」では、Classroomの機能を使いながら、結果を教えてしまうのでなく学修者が自ら考えて自分で結果を導き出すような展開で模擬というより授業そのものを実施したが、おおむね好評だったようで、受講者の皆さんには授業を受ける中でLMSを一斉授業の中で効果的に活用する方法の一例を体験していただけたようである。模擬授業のテーマも新鮮だったようで熱中して受講いただけた。最終の課題もほぼ全員が合格であった。ここでは、機能の基本的な紹介の実習を中心に実施したが、LMSそのものが初めての方、ご自分の大学のLMSと比較しようと参加された方だけでなく、すでにClassroomを使っている方も参加されており、一部の方には物足りなさがあったようである。募集段階で対象をさらに明確にしておく必要性を感じた。
 受講者の代表的なコメントは次のとおりであった。「Classroomの利用法を学びながら自分の講義での活用を考えることができた」、「自分の授業にどのように使用できるか、また効果的か資料を読みながら考えたいと思う」、「学生主体で使わせるよう教員がアシストすることで色々な教科に応用できると思う」、「大学にある既存のシステムを補う形で使いたいと思う」、「先へ先へあるいは細かく細かく話を進めたがる受講者と、完全初心者の受講者との距離を感じさせられた」、「同じ立場のエンドユーザから学べることを期待したが、わからなかった」、「別コースとしてアドバンスコースがあっても良いと思う」。

(2)ワークショップ2 「LMS基礎編:LMSの基本操作」

 LMS(Learning Management System)は、学修支援を行うための有用なツールの一つである。特に、学生の主体的な学修の必要性が謳われる現在、その利用価値はますます高まっている。本ワークショップでは、このLMSを授業および事前、事後学修の支援に利用するための基礎的な操作方法の習得を目指して、講義、実習を行った。なお、受講者の大学により、LMSの導入状況が異なることに鑑み、実習は無料で入手可能なオープンソースLMSの中から、利用者の多いMoodleを用いて行い、原則として他の多くのLMSが搭載している機能を利用することにした。ただし、アクティブ・ラーニングなど、双方向の授業展開に役立つと思われる機能については、当該機能がLMSの種類に依存することを断わった上で実習に組み込んだ。本ワークショップでは、まず、学修支援を事前学修支援、授業支援、事後学修支援の3つの状況に分け、それぞれの状況で、LMSがどのように活用可能かについて、講義形式にて概論を述べた。その後、LMS上に準備されたサンプルを用い、学修の流れに沿ってこのサンプルを追記、変更しながら、一連の機能を習得するための実習を行った。
 事前学修の支援では、LMSを用いたコミュニケーション、情報の提供と共有、事前教材の配信を想定した基本操作方法の解説、実習を行った。実習では、まずLMSでの教材の提供を想定し、PDF形式で保存されている電子ファイルをLMS上に登録する方法について実習を行った。次いで、掲示板を電子的に再現したような質疑応答、課題の提供と回答の回収、学生同士のコミュニケーション促進、学修進捗状況の確認に利用可能なフォーラムと呼ばれる機能の操作実習を行った。授業支援でのLMSの利用方法としては、投票機能を中心に取り上げた。投票機能を利用することで、学生からの情報を得やすくなり、授業をよりダイナミックに展開することができる。また、リアルタイムに学生の意見を取り上げる機能など、双方の授業を展開する上で利用可能な各種方法について実習を行った。事後学修の支援では、課題の提示と回収、「小テスト」の準備、アンケートによる評価などについて実習を行った。

 当該ワークショップの受講者は14名であり、事後アンケートには課題を「達成できた」あるいは「見通しはたった」と回答しているが、「達成できた」と回答した受講者は2名と少なく、実習内容をさらに吟味する必要があると思われる。難易度に関しては、「普通」に「易しい」を含めると9割となり、ほぼ適正であったと考えられる。ただし、初めてLMSを利用する受講者や受講者の勤務先で利用しているLMSとの差により、戸惑いを覚える受講者もあり、その対応も考慮する必要があると思われる。
 今後は、受講者が各自の授業ですぐに利用できるような実際上の使用例なども増やし、より実践力を習得できるワークショップを開きたいと考えている。

(3)ワークショップ5 「LMS活用編:レッスンとテストの作成」

前述のように、LMSは学修支援の状況で有効利用できるツールである。ワークショップ2では、その基本的な利用方法を学修の流れに沿って講義、実習を行った。このワークショップでは、LMSの機能のうち、学修支援の様々な状況で利用できる「レッスン」と呼ばれる教材および「小テスト」作成方法を解説し、実習を行った。なお、ワークショップ2とワークショップ5は連動した内容となっており、両方を受講することで、1回分の授業を支援できるLMS機能が習得できるような設計となっている。「レッスン」は、学修者が学修内容の説明用の情報をあたかもページを捲るように閲覧し、要所で問題に答えながら理解度を確認しつつ利用する電子教材である。回答の内容によっては、次に表示される情報を変更することもでき、学生の理解度に対応した情報提示が可能であり、反転授業のための事前学修、授業中での学修内容、理解度の確認、事後学修での振り返りなどで利用できることから、その基本技能の習得を目的に実習を行った。「小テスト」はいわゆるテストを電子的に行うことを可能とする機能である。この機能は、学修内容の確認、定着に利用できる点でも学修支援の機能として有効であることから、基本機能の習得を目指して実習を行った。
 実習では、「小テスト」およびレッスンの双方で利用される「問題」の作成方法に関して解説・実習を行った。「問題」の作成方法では、サンプルの例題や受講者が持参した問題を用いて、問題の定義方法を中心に実習を進めた。次に、これら作成した問題を「小テスト」で利用するため、LMS上での「小テスト」の準備方法、「小テスト」への問題の登録方法などの実習を行った。
 「レッスン」の作成では、サンプルデータまたは受講者が持参された資料をもとに、情報の入力、問題の設定、各情報の連結と分岐など、レッスンを実施するに必要な諸操作に関して実習を行った。なお、本ワークショップでは、上級者の受講も想定し、LMSの種類に依存する機能ではあるが、受講者の進度に応じてビデオ教材に問題を組み込む方法などについても実習を行った。

 受講者13名のうち、事後アンケートの結果から、「課題の達成」に関しては、「達成できた」また「見通しはたった」と回答しており、本ワークショプの設定は適当であったと考えられる。ただし、「達成できた」とする受講者は2割であり、受講者のニーズを分析し、現状に即した内容の追加も検討する必要があると思われる。難易度に関しては9割の受講者が「易しい」「普通」と回答しており、適切であったと考えられる。
 今回のLMS活用編では、評価や評定方法については含まれていない。学生へのフィードバックは学修支援上重要であることから、今後活用編に含める方向で検討したいと考えている。

(4)ワークショップ3「モバイルによる教材作成」、ワークショップ6「動画教材作成」

 近年、反転授業の事前学修、演習問題の解説、実習方法の説明など、講義ビデオが活用される場面が増えてきた。そこで、ワークショップ3では「モバイルによる教材作成」と題してiPhone、iPadを用いた動画教材作成を、ワークショップ6では「動画教材作成」と題してPCでの動画教材作成を修得するワークショップを企画した。
 ワークショップ3では、最初にグループごとにアイスブレークの活動を行い、講義ビデオの活用に関して講義を行った。その後、iPhoneやiPadを用いて、スクリーンの動画と音声を収録してビデオを作成する方法、作成した動画を編集する方法、そしてYouTubeを用いて配信する方法を実習した。最近のiPhoneとiPadでは動画収録の機能が内蔵されているので、この機能を利用した。メモに手書きで書き込みながら講義する場面、Keynoteでスライドを表示させながら講義する場面を想定して収録実習を行った。

 これらの実習は受講者が持参したデバイスを使って、グループのペースで進めた。教室の机の配置もグループワークに適していたせいか、各グループ内で活発なコミュニケーションが生じていた。要件に合った端末を持参できなかった方はグループ内の受講者の操作の見学や、貸し出し用端末を用いて交代で操作を行った。
 一方、ワークショップ6ではPC環境での動画教材作成を行った。受講者の目的に応じた動画が作成できるように幾つかのツールを紹介し実習を行った。最初にMicrosoft社のPowerPointでナレーションを収録し、ナレーション付きの動画ファイルをエクスポートする手法を実習した。次にGoogle Chromeの拡張機能Screencastifyを利用して、ブラウザの画面、PCのデスクトップ画面、Webカメラの映像を収録する方法を実習した。講習会ではこの機能の設定方法を紹介し、設定済みのPCで実習を行った。さらに、講習会会場の環境がWindows8.1であったため、実習は行えなかったが、Windows10のXboxのGameDVR機能を使用する収録方法も紹介した。
 動画教材を公開する場合に、ファイル形式を変換する必要がある時のために、フリーの変換ソフトを紹介し、Webサイトでの変換も実習した。YouTubeにアップロードする方法は公開方法(プライバシー設定)も含めて実習を行った。Windows環境での動画作成を実習したが、Macでチャレンジする受講者もあった。また、残りの時間でご自身の教材作成に取り組まれる受講者もあった。
 アンケート結果からは、動画教材に関するこれら2つのワークショップでは7割の受講者が「達成できた」、3割の受講者が「見通しがたった」としていた。また、「気軽にiPadで動画教材ができるようになった」、「PowerPointやGoogleで音声付教材の作成方法が分かり操作を習得できた」、「欠席者の補習や進行の遅い学生用に動画を作ろうと思う」といった意見もあった。

(5)ワークショップ7 「ICTを活用したアクティブ・ラーニングのマネジメント」

 ここでは、アクティブ・ラーニングの基本的な教育スキル育成を目指し、各自の持つ問題点のディスカッションを通じて、問題意識を確認し解決策へ向かう方向性から各自のめどを明らかにしようとした。教えるから学修者自身に学ばせる(自律学修)への転換は、一種のパラダイムシフトでもあり、簡単なものではない。

 受講者アンケート結果の「達成できた」との回答は2割と少なく難易度の高さが見て取れる。一方で、「見通しはたった」とした受講者も8割と多く、全般的に各自の問題点を把握し意欲的に取り組まれていた。これは、如何に学ばせるかという過去の教え方から基本的知識の育成が唯一であり展開は各自という時間的問題ではなく、動機と意欲の育成によって極めて短時間に基本的知識の充実を図りながら有効な知識体系を確立できるという意識と方法が必要であると考えられるが、多くの場合、時機を待つ段階:知識の展開・応用への過程が踏まれていないことも多く、この部分(知識の確認)の評価に偏っている。基本的な学修が知の展開と創造的過程へ続いていく必要があるが、この部分が極めて希薄である。そのため、学修者が自ら考え指導者は短的に能力を付けるように進めて行く必要がある。形式的にアクティブ・ラーニングを進めても、それ自身(方法)が実施目的になると全く効果をあげることができない。その意味では、従来のパラダイムから脱皮することが難しいが、受講者が「やろう」という方向性により「方法」が見えてきた。さらに、本講習会を通じて試みようと、前向きに思われたのは好ましいと考えられる。教育現場の状況を見ながら学修結果の定着・展開を図り、そこにディスカッションがあると考えてほしい。アクティブ・ラーニングの実践について、これからのディスカッションを、参加した方々と共に進めていくことを期待したい。

(6)ワークショップ8 「ICTを活用したルーブリックの作成」

 近年、アクティブ・ラーニングの進展とともにルーブリックが注目を集めている。そこで、ワークショップ8は「ICTを活用したルーブリックの作成」と題して、ルーブリックについて全くの初心者を想定したワークショップを企画した。ワークショップ8では次を目標とした。

 ワークショップでは最初に受講者のグループでアイスブレークの活動を行い、①に関して講義を行った。講義では、具体例を示しながら、ルーブリックの表現方法を解説し、ルーブリックが教員と学生のコミュニケーションツールとしての役割を持つことの意味を解説した。また、ルーブリックを作成する際に参考となる「ICEモデル」を紹介した。
 続いて②と③について個人またはグループのペースでの実習を行った。手順書を見ながら実際に操作を行い、わからない点や考えたこと、思いついたことなどをグループ内あるいはファシリテータとディスカッションすることを意図した。②についてはワークショップ2とワークショップ5で利用したLMSであるMoodleに備わっているルーブリック機能でルーブリックを作成し、学生が提出した課題をルーブリックで評価するまでの操作の体験を行った。③についてはGoogleFormを使って学生がルーブリックを使った自己評価を行うためのフォームを作成し、回答結果がスプレッドシートに格納されるまでの操作体験を行った。これらの操作実習の間に受講者同士、ファシリテータと受講者の間で質疑応答や議論が行われた。受講者の中には既に独自のルーブリックを作成し、有効活用されている方も見受けられた。

 アンケート結果からは、3割の受講者が「達成できた」、7割の受講者が「見通しがたった」と回答している。全体として「ルーブリックを具体的に作成して活用するスキルを得られて満足している」、「ルーブリックを使う決意ができ、とても良かった」、「ルーブリックに関するモヤモヤが解消できた」といった肯定的な意見が寄せられた。また、「Moodleのいろんなことが聞けて良かった」、「他大学の先生とも知り合えてよかった」、「GoogleFormは他にもいろいろ応用できそうに思った」といったツールについて得るものがあったことが窺える意見もあった。一方、少数ながら「基本的にテキストを見ながらやるという感じでしっくりこなかった」、「全てのワークに進めなかった」、「自信がない」、「復習するのに時間がかかりそう」という意見もあり、今後、改善したいと考えている。

(7)ワークショップ9 ビジュアルプレゼンテーションの作成

 従来のスライド型プレゼンテーションツールとは異なる発想のストーリー性を重視したプレゼンテーションツールを体験することを目的に、Prezi Nextの教育用無料版を用いたビジュアルプレゼンテーション作成技術の講習を初めての方を対象に行った。トピックという概念に基づき積み重ね型とプラネット型による構成の紹介を中心に、主な機能について、あらかじめ準備したコンテンツを使って実習を行った。受講者は31名であった。

 受講者の代表的なコメントは次のとおりであった。「今日は基本操作だけでも学べればと思っていたので、とても分かりやすく教えていただき満足」、「Prezi Nextの優位性が理解でき、活用に向けてのとっかかりとなった」、「完全に初めてのアプリケーションだったので、とても楽しく受講することができた。デザイン性の高いプレゼンを作りたいときやアニメーションを作りたいときに活用したい」、「勉強になった、やはり実践を通じて理解することは有益である」、「全く初めてだったのでついていくのが少ししんどかった」、「入門編という感じだったので中級編をやってほしい」
 今回の講習で使った新しいPrezi Nextは、従来のPrezi Classicと異なり、トピックという概念が前面に出ているので、比較的ソフトウエアの思想がわかりやすく、短時間で全容を伝えることが容易であった。しかしながら、日本語フォントが限られており、オブジェクトも充実していないので、一枚一枚のスライドに工夫を凝らすことは難しい。NextはFlashからJavaScript準拠になったので、従来のプレゼンのアプリケーションや画像の編集ソフトなど含めて作成したコンテンツを、プラットホームとしてPreziに統合するという手法を紹介するための講習の必要性も感じた。この部分は最後に紹介したが、時間的な制約もあり実習してもらうことができなかった。

3.おわりに

 本講習会に対する受講者のアンケートの集計によれば、受講者個人が抱えている課題の達成について、「見通しがたった」との回答がほとんどであることから、本講習会の目的は達成されていると見られる(以下のアンケート集計表を参照)。

ワークショップの分類 達成できた 見通しがたった 達成できなかった
① Google Classroom 3割 6割 1割
② LMS 2割 8割  
③ 動画教材 7割 3割  
④ ALマネジメント 2割 8割  
⑤ ルーブリック 3割 7割  
⑥ ビジュアルプレゼン テーション 5割 5割  

 今後も、アクティブ・ラーニングのICT支援教育をテーマとした先導的取り組みである本事業を、これまで本協会が永年実践し積み上げてきたノウハウと、教育界の趨勢を見極めつつ、推進していかなければならない。次回も、今回の実績を精査し、より実りある講習会の開催を目指したい。

文責:FD情報技術講習会運営委員会


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