巻頭言

新しい酒は新しい革袋へ
―都心型新キャンパス開学を情報教育の飛躍的発展へ―

大西 晴樹(東北学院大学 学長)

 創立137年を迎えた本学は、キリスト教による人格教育を「建学の精神」とする東北・北海道地区最大規模の総合大学である。創立150周年に向けて制定された中長期計画TG Grand Vision 150に基づいて、今年度より都心型ワンキャンパスが実現した。工学部の多賀城キャンパス、教養学部の泉キャンパスを廃止して、仙台駅より地下鉄1駅直結の五橋に新キャンパスを開学、そこから徒歩8分の土樋と合わせて、「都心型ワンキャンパス」として運用し、9学部15学科1万1千人の学生が学んでいる。
 新キャンパス開学を契機に、時代の要請、地域の課題解決のために、4つの新設学部を設置した。地域総合学部地域コミュニティ学科・政策デザイン学科、情報学部データサイエンス学科、人間科学部心理行動科学科、国際学部国際教養学科である。都心で全学生が4年間一貫教育を受講できると同時に、工学部と教養学部の理系教員が加わったことにより、総合大学の強みである「文理融合教育」が徐々にできるようになった。新約聖書にある「新しい酒は新しい革袋に」という言葉通りに、現在本学では、情報教育に関して以下の4つの取組みが進行している。
 第一は、情報学部データサイエンス学科(1学年190名)の設置である。本学は、教養学部に情報科学科、工学部に情報基盤工学科という2つの情報系の学科を擁していたが、情報学部として独立させ、データサイエンス学科という時代の要請に応える学科として出発した。これまで、受験生から両学科の相違が分かりにくいとか、受験生を奪い合う傾向にあったが、新学部は人気が高く、国公立大学とのダブル合格者が本学入学を選択するケースも見られるようになった。
 第二は、「文理融合教育」の推進である。今年度から全学生を対象に、数理・データサイエンス・AI教育プログラムを実施し、文部科学省の認定制度によりMDASHリテラシーレベルのお墨付をいただいた。学生たちは「統計的思考の基礎」と「AI社会の基礎」を選択必修として学ぶようになったので、次は応用基礎レベルの認定をと考えている。また、数学苦手学生のために、これまで工学部に開設されていた補習教室を、「理数基礎教育センター」と銘打って全学生に開放している。土樋のホーイ記念館には、東北・北海道地区最大のAL(アクティブ・ラーニング)の施設がある。それに加えて今回、五橋のシュネーダー記念館図書館にその1.5倍規模のALの施設を用意した。おそらく全国有数規模の施設だと自負している。全学生対象の「TGベーシック」という教養基礎科目群の中に、少人数ゼミの「課題探究演習」を開講した。高校時代に「総合的な探究の時間」で学び、発想の異なる文学部から工学部までの学生たちが切磋琢磨し、自分のテーマを立ててPBL(課題解決型学習)に取り組んでもらえればと願っている。
 第三は、学修者本位、教育・研究の質保証を実現するためにe-ポートフォリオTG-folioを導入した。学生たちが目標を立てて、その目標に対する進捗状況を確認することによって、学修者本位の勉学態度を身につけてもらうことが目的である。そのため学務部に学修支援課を開設した。また、成績、学生調査、アセスメントテスト、ディプロマポリシーへの到達度等を表示することにより、教育の質保証の可視化が進行している。ボランティア、ピアサポート、学外語学試験のスコア等々によるポジティブ・バッチが就職活動用のディプロマサプリメントに記載されるために、学生の正課外活動が活性化してきた。
 最後は、大学院におけるダブルメジャーの修士課程の創設である。昨年度、本学は、文部科学省「デジタルと掛けるダブルメジャー大学院教育構築事業」に選定された。大学院経済学研究科の中に、経済データサイエンス専攻の修士課程を設置する計画を構想している。地元の企業や自治体から社会人院生を募り、地域において情報高度人材を育成することにより、遅れている東北地方のデジタル化促進に貢献できればと願っている。


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