私情協ニュース6

第14回情報センタ等部門研修会開かれる



 第14回情報センタ等部門研修会は、平成10年9月2日〜4日の3日間に亘り、京都のホテルニュー京都において開催された。
 本研修会は、私立大学の情報センタ等の教職員、または学内の情報化を担う部門の教職員を対象に、教育支援、事務支援、ネットワーク支援等、情報部門の責務と課題について討議を行い、関係教職員の資質向上と関係部門の発展に寄与することを目的として開催し、79大学、6短期大学、賛助会員5社、186名の参加があった。
 研修は、講演と分科会(情報部門管理者コース、教育・研究支援コース、ネットワークコース、事務システム支援コース)形式で実施された。



講 演
「ネットワーク社会とセキュリティー、倫理問題」

講師:尾関修二 氏 (中部大学助教授)
   窪田 誠 氏 (学習院大学講師)

 教育・研究・事務分野におけるネットワーク利用の普及は、今までにない情報交流の広がりを見せるとともに、外部からの不正侵入、情報の破壊・改ざん等の被害や、いわゆるネチケットへの認識不足による迷惑行為が発生し、このような新しい問題に接して大学は対応策に追われている。
 そこで、これら大学のネットワーク環境を脅かす諸問題への対応を実践している両氏より、大学のネットワークを犯罪・迷惑行為から守るためのセキュリティー管理体制、また、すべての大学関係者が遵守するべき情報倫理の啓蒙について、情報部門担当者が意識・対処すべき課題と、これからのネットワーク運用体制のあり方について講演いただいた。


分科会討議

第1分科会(総合コース)
(28大学、賛助会員1社、34名)

<テーマ>学内のインフラ整備が目指すもの
 近年、学内LAN整備によるネットワーク環境の飛躍的な拡大と教職員や学生のコンピュータ利用があいまって、大学における教育・研究や事務の環境は大きく変貌しつつある。
 そこで、本分科会では、「変化に向けた学内のムードをどのようにして全学的な環境を構築し、どのように教職員が一体となって大学改革を進めていくか」を人・物・金、そして、情報活用の面で政策的な議論を中心に討議するととともに、この問題に関連した提案課題についての討議を行った。
 分科会では、討議に先立って、獨協大学の南 雄三氏より「獨協大学における事務情報システム再構築」および「獨協大学ネットワークシステム」と題した事例発表を行った。
 また、討議では、主に、事務の情報化、ネットワーク(事務と教育・研究との連携)、サポート体制、情報化の推進と情報化教育、情報部門の予算額について情報交換が行われ、その他に、業務サポートの外注とセキュリティー問題、情報機器の減価償却情報関連機器に関する補助金、外部機関を使用しての情報利用料問題、教職員のイントラネット構築における互換性の問題、を研究室単位でのサーバー・ドメインの立ち上げと、管理・運営問題および規程づくりについても、各大学の事例を紹介いただきながら意見が交わされた。


第2分科会(教育・研究支援コース)
(39大学、参助会員2社、49名)

<テーマ>センタにおける情報教育支援のあり方 〜 多様化する情報教育環境への対応 〜
 情報インフラの整備、インターネットの普及を受け、大学の授業ではこれらの環境を駆使して問題解決できる情報活用能力の育成が求められているが、一方、初等中等教育における情報基礎教育の進展等によって新入生の情報能力に格差が生じており、情報基礎教育は正課授業ではなくセンタ等が中心となって進める等、情報教育に対するセンタ等の役割は変化しつつある。本分科会では、センタ等部門における教育支援システム、組織・体制のあり方について、各大学の現状を踏まえて討議を行った。
 討議に先立ち、中央学院大学の椎名市朗氏と星野 隆氏より同大学の商学部1年次で行われている「情報処理論」のアウトソーシングについて、また、名古屋学院大学の星 和徳氏より、情報基礎教育の現状と取り組みについて課題提起いただき、さらに、産能短期大学の真野一季氏より新入生全員ノートPC導入例と問題点について事例を紹介いただいた。3氏の課題提起は、参加者が抱えているタイムリーな問題であり、活発な質問や討議が行われた。
 その後の討議はランダムに6つのグループに分けて行い、各グループ8名ずつによるディスカッションは全員が参加でき、有意義な研修となったと思われる。
 なお、グループ分けについては、理系、文系等の分け方やキーワード別の分け方等、来年は検討する必要があると感じられた。


第3分科会(ネットワークコース)
(34大学、2短期大学、賛助会員2社45名)

<テーマ>教育研究系ネットワーク利用における諸問題
 私立大学のLAN整備率は平成10年度には7割となることが予想され、学内のあらゆる部門においてネットワーク利用は着実に普及しつつある。しかしながら、ネットワーク上の情報が持つ危険性、情報の正しい取り扱い方についての認識は未だ緒についたばかりであるのが現状である。本分科会では、ネットワーク社会の影の部分に関する諸問題について専門家である中部大学の尾関修二氏、学習院大学の窪田 誠氏より事例解説等をいただきながら、対応策を討議した。


第4分科会(事務システムサポート)
(47大学・3短期大学、賛助会員3社、61名)

<テーマ>大学の事務情報システムにおけるサポートの在り方 〜業務改革推進に向けて〜
 情報部門と業務担当部署とのそれぞれの役割について、「事務情報システムの理想的なサポートとは」、「ベースとなるシステムとは」、「EUC(エンド・ユーザー・コンピューティング)を進めるには」などについて、事例をもとに討議を行った。
 また、討議に際して、大東文化大学における事務情報システムとセンターサポートの在り方と題して大東文化大学の金子勝信氏より事例発表をしていただき、その後、「EUC」、「ネットワーク」、「職員研修」、「アウトソーシング」、「C/S(クライアント・サーバ)システム」をキーワードとした討議が進められ、各大学の現状について紹介があった。
 また、2日目には事前に行った情報交換希望項目に沿ったグループ編成を行い、第1班はEUCと職員研修について、第2班はクライアント・サーバー・システム、ネットワークについて、それぞれ討議を行い、最終日は全体討議とし、前日のグループ討議の内容を報告、質疑応答および情報交換を行った。


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