平成16年度 私立大学教員の授業改善白書

( 「私立大学教員の授業改善に関する調査」調査結果 )

 教員は、授業で直面する問題点として、学生については「基礎学力が不足」、教員は「学習意欲を高める工夫が困難」、また、大学の「教育に対する組織的支援(人・物・金)が不十分」であるとの認識を持っている。 
 教員の理想は、学生に動機付けを持たせ、理解度を把握し、対話を重視する授業の実現であり、動機付けを徹底した上で「教える授業」から「学ぶ授業」への転換が共通認識となってきている。そのための課題としては、教員自身の課題は学習意欲を高める「授業のシナリオ作り」で、一方、大学には「授業科目間の連携、授業計画を反映した教育環境作り」を求めている。 
 授業にITを活用する教員は大学で3割、短大で約4割となっている。活用内容は、3年前の調査では資料提示や情報検索などであったが、現在では、Webサイトへのシラバスの掲載、マルチメディアを駆使した現実感覚の創出、課題提示が中心となっている。今後は、eラーニング、学生の理解度把握、教員と学生あるいは学生同士のコミュニケーションが計画されている。 
 授業でITを活用する効果としては、「刺激的な授業を実現でき、学習意欲が向上」したとしているが、一方では、「理解しているようで理解していない」ことを問題点としている。ITの可能性と限界をわきまえた授業設計が肝心といえる。 
 一大学では解決できない取組みとしては、教員授業改善のための教員コンソーシアムの運営、教員のためのIT活用講習、教育の産学官連携への要望が集まっており、教員一人での問題解決には限界があるため、大学を越えた教員の情報交流、授業の中に社会の現場・体験情報を取り入れるための社会支援が求められている。

 

私立大学教員の授業改善白書(PDF)

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調査時期: 平成16年11月下旬〜12月下旬
調査対象: 本協会加盟大学・短期大学の全ての専任教員(教授、助教授、講師)
  大学 56,345名(全私立大学の84%)
短大 4,500名(全私立短期大学の42%)
合計 60,845名(全私立大学・短期大学の78%)
調査方法: 調査用紙(マーク欄及び記述欄)あるいはWebページ
回答者数: 大学 25,521名(加盟大学の45%、全私立大学の38%)
短大 2,347名(加盟短期大学の52%、全私立短期大学の22%)
合計 27,868名(加盟校の46%、全私立大学・短期大学の36%)

ご回答下さいました先生に心より御礼申し上げます。

社団法人私立大学情報教育協会