第6分科会 学生の自立的な学びを支援する大学図書館の役割

討議概要

 主体的に学ぶことが要求される大学の授業において、学生のスタディスキルズ(学びの技法)が十分でない中、図書館が正課カリキュラムと連携しながら学習支援を展開するケースが出てきた。その先進的な事例が、事例研究で紹介された明治大学の取組み(昨年度特色GP採択)である。分科会では、この事例紹介を受け、また、講師の飯澤氏(明治大学)、アドバイザーの牛崎氏(立教大学)を交えて、議論を進めた。研修に先立ち、事前研修としてレポートとメーリングリストを通じての討議(自大学の取組み)を実施し、一定程度、参加者間の相互理解とテーマの共通認識ができた。

 スタディスキルを育む支援については、明治大学や参加大学事例を参考に論議され、イメージを描くことが出来た。スタディスキルは初年次で取組む例が多いが、論文作成は3年次以降に必要性が高くなることも論議された。活字離れや図書館来館が積極的でない現状を見据え、来館を受動的に待つのではなく、Webを活用しながら図書館から学生、教職員へ様々な施策を働きかける積極的な提案が出された。図書館職員という枠に閉じこもらず、大学構成員としての意識の変革をしつつ、教員や他部署と連携し、図書館員が持つ専門性やスキルを発揮する必要もあるとの提案も出された。論議の中では、各大学図書館が各々努力と工夫を重ね実施している取り組みの紹介や活発な意見交換が行われた。参加者は、それらを自分の状況に重ね合わせ、ヒントやアイディアあるいは気付きを得、研修成果として持ち帰ることができた。

 事後研修としては、メーリングリスト上で、グループ討議のまとめを行うこと、個人活動として分科会終了時に作成したアクションプランのうち「自大学に帰ってからすぐに手がけること」の実施状況を報告することの2つを行うこととした。

報告書

 

報告書全文

討議まとめ

(1)分科会のねらいに対する結論

研修終了後、5段階評価による4つの設問および記述回答によるアンケート調査を行った(参加者28名、有効回答数27件)。

ー立的な学びに必要なスタディスキルズを育む支援について具体的なイメージが描けた

十分に達成できた(6) まあまあ達成できた(21) どちらともいえない(1)

⊆立的な学びを支援する図書館の機能と役割、図書館員が担う業務について基本的な考え方が明確になった

十分に達成できた(11) まあまあ達成できた(16) どちらともいえない(1)

6軌虱僖灰鵐謄鵐弔涼濱僂簔作権処理などの課題が整理できた

十分に達成できた(5) まあまあ達成できた(7) どちらともいえない(12) あまり達成できなかった(4)

ぞ綉にもとづく実践的な支援プログラム案を描けた

十分に達成できた(4) まあまあ達成できた(19) どちらともいえない(4) あまり達成できなかった(1)

  ↓◆↓い砲弔い討蓮7割以上の回答が「十分に達成できた」または「まあまあ達成できた」としている。一方、6軌虱僖灰鵐謄鵐弔涼濱僂簔作権処理などの課題が整理できた、については評価が低く、実際研修では著作権処理等についての話題提供が十分ではなかった点は反省点である。

 自由記述も含めた全体の意見を集約すると、教員や他部署と連携して具体的方策を実現したい、図書館職員としての意識と大学職員としての意識の両方を持って考えたい、学習支援という新たな発想の下で図書館の殻を破って役割を果たしていきたいとする代表的意見など積極的な意見が大半を占め、分科会としてのねらいは達成できたと考えられる。

(2)討議テーマに対する結論

 今回の分科会の最大の収穫は、他部署とも連携した学習支援プログラムの展開を、参加者の大半が恐らくは初めて考えた点ではないだろうか。これまで図書館は教学系組織の構成員である教職員とは一線を画した立場で利用者支援や利用教育を行ってきた。

 そこでのユーザーは学生だけではなく教員であり職員である。つまり教職員を客として見立ててしまったために「連携」の対象と考えないばかりか図書館員と大学職員の間に線を引き自分達は図書館員であると定義してしまったのである。

 では何故図書館員は視点を変えることができたのだろう。それは飯澤氏の次の言葉に凝縮されていたように思う。飯澤氏は「われわれ図書館員は自らを限界集落と呼んでいる」として、特色GP申請を決断された時期のことを振り返られた。私立大学におけるコスト削減の波は対面サービス主体の図書館にその矛先が向けられ、図書館業務は業務委託と派遣社員化を続けた結果、最少の職員数での運営を余儀なくされるに至った。

 結果、これ以上一人でも職員が欠ければ運営できなくなる限界にまで人が減らされたのである。図書館が大学で存在意義を発揮するための積極的な動きが学習支援であるとすれば、「学びの場」として図書館再生の活発な動きが各校で起きてくるのは時間の問題である。

資料/成果物

※資料/成果物に関しては参加者・発表者の視点で作成されており全ての資料が当協会の公式な見解とは一致しないことがありますので何卒ご留意ください。
※引用の範囲を超える複製については、当協会までお問い合わせください。

▲TOP