社団法人私立大学情報教育協会

平成16年度第1回化学教育IT活用研究委員会議事概要

T.日時:平成16年6月8日(水)午後6時から午後8時まで

U.場所:私情協事務局会議室

V.出席者:竹内委員長、高野副委員長、伊藤、及川、武岡委員

  井端事務局長、木田

W.検討事項

  • 基礎化学実験動画、演習問題データベースについて

議事に先立ち、事務局より本協会の本年度事業計画及び学系別教育IT活用研究委員会の活動方針について説明がなされた。ポイントは下記の通り。

  • 18年度には、学系別教育IT活用研究委員会全体として報告書を上梓することにしている。17年度後半から執筆活動に入るが、そこでは委員会外の教員、大学から見ても授業改善の参考に値するような授業内容を紹介したいと考えている。これまでの報告書では、ITを活用した教育方法を中心に事例を紹介してきたが、次回はコンテンツの質的問題、授業内容そのものの質保証の問題についても触れていきたい。
  • 授業内容の通用性を求めるためには、社会からの大学教育への評価も必要とされる。私情協では、7月に開催される理事長学長等会議において、教育の社会支援についての提案を行うことにしているが、実現するためには文部科学省の政策課題として俎上に上げる必要もある。本委員会でも、化学教育において社会に対して求めるコンテンツ等を提案いただきたい。

(1)基礎化学実験動画データベースについて

はじめに基礎化学実験動画グループより、進捗状況の説明がなされた。

 前回の委員会では、動画分類方法として、学習項目別ではなく、技術別に分類することが決まったが、今後の活動方針等まだ具体的には決定していない。その後Web上に公開されている実験動画を探索してみたものの、欧米の大学には数々の動画が公開されているが、日本の大学では殆ど公開されていないのが現状である。また、化学実験の手法が専攻ごと、例えば分析化学と物理化学ではビュレットの取扱い方法が異なるため、どの実験方法をスタンダードとして共通理解を得ていくのか一度議論する余地がある。

 以上の説明に対して、下記の意見があった。

  • もし同一の実験でも手法の異なる動画があった場合には、並列しておいてもいいのではないか。
  • 内容的にあまりにも異質なものに対しては、掲載の可否について議論する余地はあるが、専攻ごとの実験の差異については、並列に掲載して、その旨をコメントとして記載し、使用する人の判断に任せるべきではないか。
  • この委員会でオーセンティックな動画を選定するのではなく、多数のユーザを想定してバラエティに富む内容を検討したほうが良いのではないか。

以上より、収集対象動画としては、たとえ同一の実験で手法が異なる場合でも、並列して掲載することが承認された。また、今後の方向性については、データベース構築以前に、化学教員の動画保有に関するアンケートを実施し、動画使用率の現状を調査することとした。なお、動画グループは次回委員会までにアンケート案を作成いただくこととした。

(2)演習問題データベースについて

竹内委員長より、6月3日に開催した演習問題グループ打ち合わせ会議での議事及び決定事項について説明がなされた。

データベース構築の意義

一般論としては、大学教員は何十という程度の試験問題を使い回ししているのが現状であり、複数の教員が試験問題を共有化することは、試験問題のレパートリーを増やし十分なメリットがあると考えられる。

利用者の範囲

制限を設けず、一般公開することも考えたが、一般人からの需要は低いと思われ、また商用目的でアクセスされることも考えられるので、大学教員に限定する。大学教員を識別するためには、ドメイン認証によりアクセス制限を掛ける。また自宅からのアクセスを希望する者に対しては、ID・パスワード認証によりアクセス権限を与える。

収集する問題の形式

問題形式としては、ユニット問題(一つのテーマに関して10?15分程度で解答できるもの)と総合問題(複数のテーマが混在しているものも可能とし、20?30分を要する長問)の二通りに分類化する。内容的な分類は、有機、無機、物理化学等それぞれの分野においてさらに学習項目を細分化する必要があるが、グループのメンバーの専攻が全員有機であることから、当面は有機の演習問題を中心に収集する。

登録するファイル形式

webに掲載する利便性を考えると、html形式のファイルが望ましいが、大抵の教員はwordで問題を作成していることが想定される。そこで、wordのwebページ保存機能でhtml形式に変換いただいた上で、教材を提供いただく。回収方法は、web上で自動登録することが望ましいが、一定の手法に限定すると協力を得づらくなる可能性もあるので、原則としてメールによる提供も許可する。

著作権

Web上での公開、第3者による利用の許可を条件とする。ただし、問題中の図表等を教科書等から引用している場合には、掲載を拒否する。よって、掲載する問題は、全て自作であることを前提とする。

当面の計画

有機関係のサンプル問題をWeb上に掲載し(担当:小中原副委員長、伊藤委員)、問題提供依頼文を教員に配布(依頼文担当:竹内委員長)する。また平行してデータベースの構築を行う(担当:事務局、アドバイザー:及川委員)。

 以上、次回委員会では、動画グループではアンケート案、演習問題グループでは提供依頼文案を検討し、委員会後に同時発信することとした。