社団法人私立大学情報教育協会
平成17年度第4回化学教育IT活用研究委員会議事概要

T.日時:平成18年1月19日(木)午後5時から午後7時まで

U.場所:私情協事務局会議室

V.出席者:小中原委員長、高野、及川副委員長、伊藤、庄野、幅田、梅村各委員
  大角氏(ITフロンティア)、井端事務局長、木田

W.検討事項

1. 報告書の授業モデルについて
(1) 産学官連携による安全教育
  高野副委員長より、産学官連携による安全教育実験について経過報告がなされた。授業内容については前回から特に変更点はないが、現在企業での事例を紹介いただけるよう、住友化学、出光興産等の企業と折衝中である。

 これに関連して、事務局より、昨年11月に機械工学教育IT活用研究委員会が実施した、産学官連携による4大学間の遠隔授業実験について説明がなされた。
  この遠隔授業では、元本田技研の副社長、鉄道総合技術研究所で新幹線の開発に携わる研究者の方を上智大学に招聘し、企業現場での数値計算技術応用例を講義いただくほか、各大学の教員よる講義、学生からの質疑応答を行った。技術的にはテレビ会議システム(Polycom)を活用し、上智大学、武蔵工業大学、神奈川工科大学、金沢工業大学の4地点を接続して、映像・音声・PCデータを相互配信した。
実験を経て確認された問題点としては、@映像・音声とPCデータの間の遅延、特にPCデータに関してはスライドや動画がスムーズに動作しなかったこと、A4地点間の音量レベルが統一されず、ある地点から送信された音声にハウリングやノイズが混ざったこと、B授業時間が予定より30分延長してしまったこと、などが挙げられた。
 
(2) 実験動画を用いた授業事例
3月までに、担当委員に動画を作成いただくことが確認された。
また、高野副委員長より、作成した動画を、私情協の電子著作物権利処理システムを介して権利処理することの提案がなされた。動画の配信及び配布方法が確定した上で、事務局が必要な手続きを行うことにした。

(3) 試験問題・演習問題データベースを用いた授業事例
事務局より、試験問題・演習問題データベースの概要について説明がなされた。
以前の委員会では、構造式の検索機能も付属したよいとの意見もあったが、そのためには莫大な費用が掛かることから、当初計画していた最低限の機能(@「WordまたはPDFファイルのアップロード」、A「csvファイルのアップロードによる問題DBへの追加」、
B「フォーム直接入力による問題DBへの追加」)を有するシステムを構築することの提案がなされ、了承された。
  システムの構築は3月までに試作版を構築し、試作版に問題を掲載するため、担当委員より5問ずつ問題ファイルを木田まで送信いただくことにした。問題ファイルの形式としては、Wordファイルで、1ファイルにつき1問記載いただくことにした。

(4) コア・カリキュラム
事務局より、18年度発刊を予定している報告書のテーマとなる「コア・カリキュラム」について説明がなされた。

○ コア・カリキュラムは、各学問分野の中で学生が最低限習得すべき知識や行動目標を、学習項目別に記載したものである。

○ 医歯薬学部では、既に文科省より提示されたモデル・コア・カリキュラムに則り、カリキュラムを編成している。(ただし3分の2はモデル・コア・カリキュラムに従い、3分の1は各大学独自のカリキュラムを編成する)


○ 18年度の報告書では、単にITを活用した授業モデルを紹介するだけでなく、各分野の教育目標達成に、IT活用が有効であることを報告したい。それ故、体系的なコア・カリキュラムの作成が難しくとも、化学における教育目標や、より具体的な到達目標を報告書内で文章化いただきたい。

この説明を受け、日本化学会、大学基準協会、大学評価・学位授与機構、JABEEのWebサイトより、化学教育に関するガイドラインが提示されているか調査したが、JABEEのWebサイト以外には関連資料は掲載されていなかった。JABEEの認定基準には、化学および化学関連分野の要件が記載されているが、漠然とした記載に留まっており、参考に資するものとは言えなかった。
それ故、次回委員会までに海外のサイトや文献を調査し、それを踏まえ本委員会でのコア・カリキュラムに関する考え方を検討することにした。なお、伊藤委員には、ETCNより報告された「Core Chemistry」を調査いただくことにした。