社団法人私立大学情報教育協会
平成15年度第4回会計学教育IT活用研究委員会議事概要

T.日時:平成16年2月14日(土)午後2時から4時まで

U.場所:私情協事務局会議室

V.出席者:岸田委員長、椎名副委員長、白川、黒葛、金川委員、井端事務局長、木田

W.検討事項

(1) 会計学入門教材データベースについて

 会計学入門教材データベースに関して、前回の委員会では各分野別の目次に従い、委員各位提供可能な教材を持参することとし、会計情報システムについては、ガイダンス教材またはデータの提供、管理会計については、実務に関する教材・素材のデータや情報または実務教育へのガイダンス教材の提供、簿記原理についてはスライド教材の提供を行うこととした。


【1】 会計情報システム

金川委員より、会計情報システムの導入教材について、資料と実際の教材を基に説明いただいた。今回紹介いただいたのは、会計情報システムの大項目「会計情報システムの概要」に該当するものである。仕様はスライド教材をムービーファイルに変換したものであり、スライドが自動再生されるとともにBGMが流れる構成になっている。問題点として、ムービーファイル形式に加え、BGMも取り入れたことからファイルサイズが大きくなってしまい、ネットワーク上での配信が難しく、またコンピュータのスペックによっては正しく再生できない可能性があることが挙げられた。そのため、いくつかのファイルに分割した方が望ましいことが確認された。

次に岸田委員長より、受注台帳明細のデータについて、実際のexcelファイルを基に説明がなされた。本データは実存する企業の生データであり、その企業と特定されないように、品名やコードを改変することを条件として、使用許諾を得たものである。今後は本データを加工して、大項目「購買情報システム」までの素材とすることとした。

その他に、単にデータを掲載するだけではなく、データの活用方法に関するポリシーやイントロダクション、また必要とされるデータの種別などを文字情報で掲載し、関係各位に対して教育手法のノウハウを提供するとともに、素材の協力を呼び掛ける仕組みが必要であるとの意見があり、今後継続して検討していくこととした。

【2】管理会計

白川委員より、岸田委員長の原案をもとに、新たに一部加筆いただいた管理会計項目一覧と、各項目に対応した企業ケース一覧を作成いただき、各項目に必要な教材・素材情報に関して説明いただいた。

管理会計教育の問題点として、計算式を多用するため学生が授業に着いてこないこと、また企業活動の中枢を担う科目であるにもかかわらず、経営に興味を持つ学生が積極的に学ぼうとしないことが挙げられる。従って、経営や経営管理と関連付けて学生に興味を持たせるために、企業ケースを導入してから、管理会計の本論に入ることが望ましい。そのためにも具体的な企業名や業種などの事例を踏まえた管理会計の教材・素材を提供することが望ましい。イメージとしては、企業ケースの関連情報(ニュースサイトや企業のIR情報)や、管理会計そのものの教材・素材情報にリンクを張る形式である。

以上を踏まえ、まずは総論の教材・素材情報の充実を図ることとし、岸田委員長と白川委員は再度項目の確認と該当する教材・素材情報を見直すこととした。

【3】 簿記原理

椎名副委員長より、簿記原理PowerPoint教材についての経過報告がなされた。前回報告いただいた際には、ナレーションの挿入までは至っていなかったが、今回はナレーションも含めた完成バージョンを紹介いただいた。

本教材もWebに掲載することを想定しているが、金川委員の教材と同様に音声ファイルを含めたため容量が100MB以上にも及び、ネット上でダウンロードするには適切ではない。そこで、スライドの分割や音声ファイルの圧縮により対応していくこととした。

【4】 その他

黒葛委員より、ゼミ生が卒業研究で製作した仮払いと貸倒れのビデオ教材を紹介いただいた。この教材では、仮払いと貸倒れの概念を説明するために、それぞれのシチューションを学生が演技し、その後に他の学生による概念説明が挿入される形式である。それぞれ7分程度の教材であるが、撮影に4日間要している。また、黒葛委員は機材の準備を行ったが、その他の原稿、絵コンテの作成や、編集は全て学生が分担作業したものである。

なお、この教材はCC補助金により作成したものであるから、学外への公開も予定しているが、椎名委員の教材は関西大学の施設を借用して作成したものであるから、一般公開に際しては関西大学の情報処理センターに了承を得る必要があると黒葛委員より提言された。

その他に事務局より下記の提案がなされた。

白川委員より説明があったように、会計学分野では、企業のデータを活用することが学生の理解を促進することに大いに役立つが、現状では教育面では企業の協力が得難い。そこで、私情協として文部科学省や経団連、経済同友会等各団体に対して教育の産学連携の積極化を働きかけるための交渉を行うことを予定しているが、そのために会計学教育において産業界に求める素材やデータの情報をピックアップいただきたい。