社団法人私立大学情報教育協会
平成18年度第2回会計学教育IT活用研究委員会議事概要

T.日時:平成18年7月29日(土)午後2時から午後4時まで

U.場所:私情協事務局

V.出席者:岸田委員長、椎名副委員長、高松、阿部、河崎、木本、金川、福浦各委員
       井端事務局長、木田
W.議事進行

 はじめに、岸田委員長より「1.コアカリキュラムを意識した教育の到達目標」、「2.教育現場での課題」、「3.教育改善のための授業設計・開発・運営の方向性」、「5.IT活用に伴う課題」の原稿について報告がなされた。詳細は配布資料を参照されたい。
  なお、その後本報告について意見交換した結果、下記により原稿を加筆修正いただくことになった。

1.コアカリキュラムを意識した教育の到達目標

  • 学生の習得すべき技能・能力をもう少し具体的に記述いただく。
  • 企業人から、学生に卒業までに身に付けてもらいたい能力として、財務分析能力が挙げられている。こういったことも含めたほうが良い。

2.教育現場での課題

  • 会計マインド育成のために現在欠落している点に関して、学生側の能力、教員の指導力、大学の支援体制などの側面から論じていただく。

3.教育改善のための授業設計・開発・運営の方向性

  • 今後5年間通用するような授業運営(具体的にどういう授業を展開すると2の課題が解決できるのか)論じていただく。
  • 企業人との連携(木本委員に企業人にインタビューいただき、企業の求める会計能力なども盛り込む)

5.IT活用に伴う課題

  • 教育者のIT実践能力の育成について触れた方が良い。
  • ナマの会計データを得ることが難しい点についても触れるべき。
  • ここでは会計学固有の問題を提起する。

なお、全体的なトーンとして専門職育成についてはあまり触れずに、会計マインドの醸成を意識した内容とする。

4.ITを活用した授業モデル
  次に、阿部委員より「会計学入門」、高松、河崎委員より「財務会計」、岸田委員長より「管理会計」、金川委員より「会計情報システム」の授業モデルについて報告がなされた。各報告について意見交換したところ、下記の旨の意見があった。

(1)会計学入門

※コア・カリキュラムについて

  • 【8】‐3)の資本利益率に総資本回転率を加えても良いのではないか。
    → 入門レベルでは難しいので敢えて外したが、入れることとした。
  • 損益計算書か分析のどちらかで、資産合計を100%、売上高100%とした表を作らせた方がわかりやすのではないか。
    → 財表の読み方のところでサンプルとして入れてもいいのではないか。
    → あるいは演習のところで導入してもいいのではないか。

※授業モデルについて

  • 会計マインドの醸成のために、現場の財務担当者の声などを聞かせる工夫など入れた方が良いのではないか。
  • 例えば第4回のところにスポットをあてて、実務家の話を聞かせたり事前にビデオを見せたりして、その後会計事務所などにインターンシップに行って、その成果を発表するというようなことが、2〜3人でも学生ができればモデルになるのでは。ビデオは黒葛委員が作成したものを借用することが可能ではないか。
  • 理想を言えば、ゼミぐらいの大きさで授業できれば最高だが、それが日本ではできないからe−learning使用したり、ネットワークを活用したりする。授業中に発表させることは重要だが、100人以上のクラスではなかなか難しい。しかし、PCを持ち込ませればテストに答えさせるなど、その代替となる。そういったものを活用して、TAがいる授業に近づけるか。
  • 会計の難しいところは、、現実に近づけさせるところ。学生は会計事務所に入り込めるわけでも無いので特にそれが難しい(社会人であれば会計業務に携わっていれば理論を現場と結び付けやすい)。それゆえに、黒葛委員の作成したような現場のビデオ活用や現場の声を聞くこと(現場の方の話が有効かどうかは議論の余地があるが)が必要になる。

なお、議論の途中に木本委員より、会計学入門e−learningシステム活用の結果報告がなされた。要旨は以下の通り。

  • 2年生以上配当の「会計学総論」(受講生203名)において、岸田委員長の構築したe−learningシステムを活用した結果を報告したものである。
  • システムの完成が7月だったため、全授業終了後から試験後までアクセス可能とした。
  • 評価項目としてはシステムを活用した自学自習の回答、システム自体の問題点とシステムを活用して学生がどのように学習したかという感想を自由記述させた。なお、システムへのアクセスは成績に加味することにした。
  • システム利用者は150名程度であった。本試験で成績の良かった者、あるいは逆に0点近かった者は利用しなかったと思われる。
  • コンテンツは、財務会計の解説文が10単元掲載されており、さらに1単元につき4つ大問題(1大問につき6問程掲載されている)が掲載されている。
  • 学生のアクセス時間を解析した結果、学校でアクセスする学生(お昼以降)と夜間に自宅でアクセスする学生の二つに山が分かれることが判明した。
  • 詳細なデータをこれから分析する。
  • 問題点として、学生が各問題の正誤と解説を加えて欲しい、というのがあった。
  • 木本委員のテキストと若干異なる解説があり、学生に混乱を来たしたかもしれないが、今後内容の標準化すべきか否か議論の余地がある。
  • 頻繁な法改正に対して、web活用は容易に情報の修正加えることができ非常に効率的である。

 

(2)財務会計

  • 高松先生に昨年度の授業に基づきモデルを執筆いただく。
    → 財務会計は法規関係が多い。
  • IT活用の特徴としては、予習段階、授業段階、復習段階でWBTを用いる。

(3)管理会計

  • IT活用の特徴としては、シミュレーションとする。
  • この授業で学生は数値計算ばかりに目がいってしまい、概念理解が十分にできない恐れがないか。チェックテストなどあったほうが良いのではないか。
    → この次の発展科目において概念に関する説明を重点的に行う。
  • 計算だけではなく概念をしっかり理解しているか確認するための工夫があったほうが良い。
  • 同じ概念をベースに置きながら指示した内容が全く異なるチェックテストを設ければ、ケイパビリティを確認するのに有用ではないか。

(4)会計情報システム

  • 問題点:会計情報システムはプログラミングにより構築されるものだということを理解させるためにも、壊れるようなシステムの方が良い。
  • 問題点Aの表現では意味が判然としないので、修正いただく。
  • IT活用の詳細で、1回目ではIT活用して無いのでカットしていただく。その代わりに、コンテンツの画像を提示していただく。