社団法人私立大学情報教育協会
平成16年度第3回経営学教育IT活用研究委員会議事概要

T.日時:平成16年12月7日(火)午後4時から午後6時まで

U.場所:私情協事務局会議室

V.出席者:野澤委員長、岩井、佐藤、松島、和泉各委員、井端事務局長、木田

W.検討事項


(1) 遠隔講義を振り返って

 事務局より、11月16日に開催された遠隔授業の進行について説明がなされた。

10:55授業開始

10:55イントロダクション松島委員(武蔵大学)

1.今日の特別授業の環境、ねらい

2 .ITの最近の発展が、企業経営におおきな影響をあたえているか

3.講師紹介

11:00講義1流通システムの進化 國領教授

11:20講義2RFIDとは何か? 楢村氏(P&G)

11:40講義3質疑応答 司会:國領教授

12:00終了今後の展望野澤委員長

 次に、阪南大学、武蔵大学の学生アンケート結果について、野澤委員長、松島委員よりそれぞれ説明があった。

阪南大学

回答者は98名であり、所属学部は流通学部(23名、ゼミ参加)、経済学部(7名)、情報経営学部(65名、情報リテラシー受講学生が多数を占める)、国際コミュニケーション学部(1名)と様々であった。

「Q2遠隔授業に参加した理由」は、教員の勧め、遠隔授業に興味があると回答した学生が半数を占めた。

Q3授業内容については、「はじめて聞く内容で面白い」、「将来の仕事に役立つ」という項目に対して5〜6割の学生が積極的な回答をしたが、その他の項目に対する積極的回答の占める割合は4〜5割程度だった。

「Q4この授業でどの程度のことを学べたか」については、「最新のIT活用の動向が習得できた」、「ICタグによってどんな効果があるか、習得できた」、「企業の最近の動向について理解が深まった」いずれの選択肢も5〜6割の学生から積極的回答が得られた。

「Q5今後どんな知識を授業で学習できると良いか」については、「工場や現場の状況を映像でビジュアルに見る」、「企業でのITの応用事例」、「企業の業務の流れ」、「企業の講師による体験談」、「企業の業績についての情報」いずれの項目においても6割程度の学生から積極的回答を得られたことから、企業現場の業務に関心が高いことが伺えた。

「Q6この遠隔授業の方法についての考え」については、「今後も、この形式の授業を受講したい」、「発言の機会や講師との会話があった良かった」、「他の学生にも受講を勧めたい」という項目に対しては5〜6割の学生が積極的回答をした反面、「声が聞こえにくい、遅れがある」に対しても6割の学生が「あてはまる」との回答があった。

自由記述には、遠隔式の授業を今後も継続する旨の意見のほか、音質、画像の改善を求める意見が多かった。

武蔵大学

 回答者数は19名であり、全員松島委員のゼミの学生である。

 「Q1授業に参加した理由」は、「内容に興味があったから」、「講師に興味があったから」、「ITの活用などの技術を習得したいから」に対して積極的回答をした学生数が7〜9割を占めた。

 「Q3この授業の内容について」は、「もっと詳細な内容についても学習したかった」、

「意味のわからない専門的な言葉が多い」、「将来の仕事に役立つ内容の授業だ」の3問との回答に学生が三分割された。

「Q4この授業でどの程度のことを学んだか」は、「最新のITの動向が習得できた」、「最新のIT活用の動向が習得できた」、「企業についての理解が深まった」、「ICタグによって、どのような効果が期待されるか知識を習得できた」に対して積極的回答をした学生の割合が7〜9割占めた。

「Q6この遠隔授業の方法についての考え」は、「今後も、このような形式の授業を受講したいと思う」、他の学生にも受講を勧めたい」に対して積極的回答をした学生がそれぞれ10割、6割を占めたが、「画像が見え難い」、「声が聞こえ難い」に対して「あてはまる」と回答した学生も5〜6割いた。

自由記述では、音声に対する改善、遠隔授業という授業形式への関心、企業人と直接コミュニケーションできることの有用性に対するコメントが目立った。

また、当日授業を閲覧した委員より、下記の旨の意見があった。

  • 音声は周囲の雑音も集音してしまうので、指向性マイクを使用するべきではなかったか。その他には、途切れやエコーも目立った。
  • 阪南大学では講師と武蔵大学間でなされたチャットの文字が判別できなかった。チャットは別システムで稼動させ、その画面を別のスクリーンに文字を大きくした上で投影すべきであった。
  • 講師の顔とスライドの画面を同時表示すると、学生は講師の顔を追ってしまいスライドの内容が頭に入らない。学生にスライドをスライドに集中させるためには、アニメーションや板書的機能を用いて臨場感を持たせるべきであった。
  • 米国の大学院では、遠隔授業を行うのは日常茶飯事であり、例えばカーネギーメロン大学では遠隔用の授業コンテンツを作成しているが、講師の経験と慣れにより、非常にわかり易い作りとなっている。日本ではまだ遠隔授業が恒常的に実施されているとは言えないため、今後の積み重ねにより授業運営や進行も改善できるのではないか。

2.その他

事務局より、7月30日に開催された理事長学長等会議での提案「教育の社会支援についての提案」について下記の旨の説明がなされた。

本提案は、大学教育に対する社会からの評価、とりわけ人材育成面での評価が厳しいことに鑑み、学生の意欲向上、教員の授業支援、及び社会人の授業参画による教育の質的保証に資するために考案されたものである。具体的には、@社会での現場情報・体験情報の紹介・説明、A知的情報の電子化と教育への利用実現、B実務経験者による授業の実現、C学習成果に対する専門家の助言・評価、Dインターンシップ、ワークショップ、調査実習の受け入れ、Ee-ラーニング等教育プログラムの共同開発を、主に情報技術を活用して実施・協力いただく。

今後は社会からの支援を得るために、文部科学省に対して政策提言するほか、経済各団体に対しても理解を得るよう努める。合わせて、支援依頼の方法や仲介機関の設置、支援内容・方法を研究する。

 本会議に先立ち、18の学系別教育IT活用研究委員会に対して教育における産官学連携に関するアンケートを行ったが、今後も文部科学省との協議に向けて、委員各位より知恵を拝借したい。また、委員会活動としても、産学連携授業を実験的に実施し、18年度発刊予定の報告書に効果など紹介いただきたい。

 また、本年度をもって野澤委員長が阪南大学を退職することに伴い、次回委員会において次期委員長を検討することとした。