社団法人私立大学情報教育協会
第2回薬学教育IT活用研究委員会議事概要

�機テ�時：平成15年12月16日（火）午後4時から6時まで

�供ゾ貊蝓Щ箴雍┿�務局会議室

�掘ソ仞兵圈Р賄膂儖�長、斎藤、黒澤、梶原、大嶋、松山、鴫原委員

　　井端事務局長、木田

�検ジ‘せ�項

1. EBMの確立、CRCの育成とITを活用した教育方法について

前回（8月）の委員会では、福井医科大学薬学部長政田　幹夫氏を講師として迎え、「EBMと今後の薬学教育について」と題してお話いただいたが、今回は、EBM教育やCRCの育成に向けてITがどのように活用できる自由討議した。

まず、委員各位、自大学のEBMに関する教育取組について意見交換した。

松山委員･･･武庫川女子大学では、大学院の講義「医薬品情報学」では、EBMに関連した教育を実施しているが、学部の授業では、薬物治療学や実習で触れている。

鴫原委員･･･星薬科大学では、薬学概論の中で概要的に触れてはいるが、正面からEBMを取り上げる授業はない。

大嶋委員･･･北陸大学では、臨床薬剤学では政田先生が教鞭をとっているほか、医薬情報学の講義で触れている。

斎藤委員･･･北海道医療大学では、4年生を対象とした薬剤疫学で具体例を紹介したり、医薬品情報学でも触れたりしているが、全学的に取り組んでいるわけではない。

梶原委員･･･明治薬科大学では、大学院の医療関係の講義では取り入れているが、学部教育ではまだ触れていない。

黒澤委員･･･学部の授業では、教科書に沿ってEBMやCRCに関する講義も行っている。大学院の授業では、PUBMEDの検索方法やコクランライブラリーの利用方法、ワークショップ型の演習も導入している。

　次に、授業を行った際の学生の反応や自身の感想、EBM教育の在り方など意見交換した。

  • Evidenceを確立するためには、英語文献を批判的に吟味することが必要だが、学生には英語力が欠如しているため難しい。EBM以前に基礎学力を補強することが必要である。
  • 学生には統計的知識が欠如しているため、数値データを解析することができない。
  • 一枚の処方箋に基づいて各論に入る授業スタイルを取り入れたところ、学生が熱心に講義を聴くようになった。最近の学生は、理論が現実でどのように作用するかを明確化しないとなかなかモチベーションが上がらない傾向にある。
  • アメリカでは、薬剤師がevidenceの高い薬品を選んで医師に対して疑義照会するとともに、経営的観点からコストパフォーマンスの高いものを採用することが求められている。日本でもそのような教育を行うことが必要ではないか。
  • 日本の文献を用いてEBMを行う場合には、医薬品添付文書が根拠となる。そのような場合には、オレンジブックやジェネッリックの情報が正しいかどうかを精査することが求められるのではないか。
  • EBM教育は、概念を教えることも重要だが、むしろevidenceを誰がどうやって作るのかを考えていくことが本当の教育である。そのevidenceを処理するためにIT活用は有効なのではないか。
  • 日本で可能なEBM教育としては、添付文書を見極めることのできる能力の育成、医師に対する疑義照会、患者へのコミュニケーションスキルを養成することが考えられる。例えば、一つのシチュエーションを設定し、適切な医薬品を添付文書に基づいて選択させ、医師への疑義紹介から患者への医薬品説明を疑似的に体験させる、小グループ制のケーススタディが効果的なのではないか。

以上の意見を踏まえ、次回委員会では松山委員より、ケースステディに基づいたEBM教育に関する叩き台を考案いただき、それをもとにEBM教育にITの活用方法を議論することとした。