平成16年度 教育の情報化フォーラム 開催報告

開催日 平成16年6月11日(金)〜12日(土)
会  場 武庫川女子大学(兵庫県西ノ宮市)
     
主  催

社団法人 私立大学情報教育協会

後  援 文部科学省
     
開催趣旨

ファカルティ・ディベロップメントを充実向上させるための教育の情報化についての教育方法、教育支援、教材の開発、ネットワーク環境の在り方など喫緊の問題に関して、課題提起を踏まえてテーマ別に討議を行い、対応策を模索する。

     

参加対象

  国公私立大学・短期大学の教職員、賛助会員
参加者数   350名(122大学、25短期大学、賛助会員16社)

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6月11日(金)

13:30 開 会  
  開会挨拶 戸高 敏之 会長(社団法人 私立大学情報教育協会)
  会場校挨拶 山本 俊治 氏 (武庫川女子大学学長)
  運営委員紹介  
  講師紹介  

13:45 基 調 講 演
「教育のオープン化と質の高い授業の実現−米国MITの事例をふまえて−」
講師:宮川  繁 氏 (Professor of Linguistics Massachusetts Institute of Technology)
 今、大学の教育改革が叫ばれ、その評価が求められているが、最大の関心事は教育の効果の問題である。しかし、この問題への取り組みは複雑で一様ではない。教員一人ひとりの情熱はもとより、大学全体のポリシーや教育を支援する仕組み作りを組織的に行い、学生の能力に応じた教育環境を整えていくことが不可欠である。それには一大学にとどまらず、他大学や社会と連携した授業づくりとネットワーク上で協同化できる環境が不可欠となる。とりわけ、教材を公開し、他者の意見を取り入れることにより、通用性のある質の高い授業が実現されることになる。
 米国MITにおける一つの試みとしての「OpenCourseWare」は、日米両国における様々な違いはあるものの、教員の教育への姿勢に学ぶところが多く、これからの教育には、教員一人ひとりの教育への意識改革が重要である。
 本講演では、以上のようなことを踏まえて教育とITについて考える場とした。

14:55 私情協活動報告

15:30 テーマ別自由討議
   
大学におけるセキュリティ・マネジメントのありかた
課題提起者: 後藤 邦夫氏(南山大学数理情報学部教授)
大宮 則彦氏(南山大学教育・研究支援事務室長)
 魅力ある大学に向けて教育情報や学習支援情報など様々な情報の提供を求められている今日、各部局の情報資産に対する機密性、安全性、可用性などを考慮したセキュリティポリシーを定め、運用することが避けられない状況となってきている。たとえば、教務情報や学生情報など、個人情報に関わる情報の取り扱いや不正侵入(不当アクセス)の予防への各教職員の対応などについて定めておく必要があろう。
 本分科会では、教務関連業務についてISMSの認証を早々と受けた南山大学の運用・構築事例をもとに、ポリシーの物理的、人的な対象範囲、監査体制、既存の各種規約の見直しなどについて議論した。

<キーワード> 情報セキュリティポリシー、情報セキュリティマネジメント、ネットワーク運用管理、コンテンツ管理、不正アクセス
e-Learningの実践(1)−対面授業とe-Learningとの協調的な教育事例−
課題提起者: 杉山 伸也氏(慶應義塾大学ITC所長・経済学部教授)
加藤  潔氏(工学院大学情報科学研究教育センター所長・工学部教授)
 e-Learning活用の実践例として、慶應義塾大学からはグループ討論を円滑かつ活発化させるための予備学習をWebで実現している事例を、また、工学院大学からは実験に入る前に予備学習用の教材をWebで提供し、授業運営を効化的に進めている事例を紹介した。
 当分科会では、文系・理系における対面授業とe-Learningとの協調的な教育事例を通じて、e-Learningの導入が有用な枠組み・手法・領域などを解明する手掛かりについて討議した。

<キーワード> 講義資料・予備知識、実験・演習説明、予習、対面授業
教育支援のための新しい体制づくり−電子教材作成の支援組織−
課題提起者: 梶川 裕司氏(京都外国語大学マルチメディア教育研究センター副センター長)
村上 正行氏(京都外国語大学マルチメディア教育研究センター講師)
宮川 裕之氏(文教大学湘南情報センター長・情報学部教授)
寺田 靖男氏(文教大学湘南情報センター情報処理課長)
 効果的な授業および学生の主体的学習を展開する上で、教材の電子化は今や必要不可欠な存在になってきた。ところが、現実は個々の教員の自助努力に負うところが多く、教材コンテンツの作成やそのデータベース化が多大な負担となっている。今後、教材の電子化を促進するためには、支援体制の確立や専門家集団の育成、アウトソーシングの活用など、大学としての支援環境の整備が早急に求められている。
 本分科会では、先進的な取り組みを展開中の京都外国語大学と文教大学から事例を紹介していただきながら、今後の支援環境の在り方について討議を深めていった。

<キーワード> 教材の電子化促進、支援組織・体制、アウトソーシング、人材育成
2006年に向けた高大情報教育の連携−高校で教えることと大学で教えること−
課題提起者: 一瀬 益夫氏(東京経済大学経営学部教授)
小泉 力一氏(東京都立墨田川高等学校数学科教諭)
 大学が取り組む教育課題の一つに、他大学・他学部との連携、さらに社会(企業など)との教育の連携があるが、高校と大学との間でも、2003年度から開始された高校での情報教育を始めとして、他教科でも教育連携が積極的に進められつつある。
 そこで、本分科会では、2003年度に情報教育を受けた学生が大学に入学してくる2006年度以降の情報教育のあり方(2006年問題)に焦点をあわせながら、東京経済大学と都立墨田川高等学校で取り組んでいる事例の紹介を受けつつ、今後の「高大連携」について、その方向性などについて討議を進めた。

<キーワード> 高大連携、情報教育プログラム、2006年問題、高等教育改革、授業公開

18:30 懇 親 会



6月12日(土)

10:00 テーマ別自由討議(4テーマ同時に実施。途中10分休憩)
   
E
著作権侵害・ネットワーク犯罪の防止のためのユーザ教育
課題提起者: 福森 幸久氏(産能大学情報管理課長)
赤井 敏夫氏(神戸学院大学人文学部教授)
 著作権侵害やネットワーク犯罪の防止に関して教育・研究機関としての大学の対応が厳しく問われる時代になっている。しかし、ネットワーク技術による防止策には限界があり、行き着くところは「ユーザへの情報倫理教育」に頼るしかないというのが多くの大学の実情である。
 本分科会では、ユニークなライセンス制を導入してセンター主導のユーザ教育を実施している産能大学の例、および神戸学院大学におけるいくつかの事例についてユーザ教育の観点から報告していただき、参加者とともに議論を深めた。

<キーワード> 著作権侵害、知的所有権、ネットワーク犯罪、情報倫理、ユーザ教育、ネットワーク利用環境
F
e-Learningの実践(2)−自学自習のためのe-Learningのあり方を考える−
課題提起者: 児島 完二氏(名古屋学院大学経済学部助教授)
高橋 公生氏(名古屋学院大学情報教育センター主任)
堀田 博史氏(園田学園女子大学国際文化学部助教授)
 e-Learning活用の実践例として、名古屋学院大学からは小テストなど、授業の理解度を常に把握し、理解度に応じた個人指導が可能となる自学自習システムの事例を、また、園田学園女子大学からは、対面授業によらずe-Learningのみで単位を修得するシステムの可能性と限界について紹介いただいた。
 本分科会では、以上の事例を踏まえ、自学自習のためのe-Learningの今後の方向性等について討議を深めた。

<キーワード> 自学自習システム、教育支援システム、成績評価、学習履歴、e-Learningの効果
G
意見発表を中心とした学生参加型の教育システムと新しい成績評価の試み
課題提起者: 安藤 弘明氏(甲南大学理工学部教授)
森田  彦氏(札幌学院大学社会情報学部教授)
 授業の難しさは、いかに学生を出席させ、学習意欲を高めるかということである。これは周知の事実であるが、なかなか実現は困難である。特に多人数の講義では学生は受け身になりがちで、双方向での対話も物理的に困難であると言われている。
 そこで、本分科会では、授業(座学)の理解度をより高めるために、ネットワーク上に学生の意見発表・意見交換の場を設けることにより、学生が、自ら考え、発言するように工夫している教育事例を紹介する。学生の理解度をその都度把握・評価し、学習への動機付けに効果を上げている甲南大学と札幌学院大学の事例を踏まえて、学生参加型の新しい教育方法と成績評価のあり方などについて、参加者とともに討議を深めた。

<キーワード> 学習意欲、理解度、参加型授業、ナレッジマネジメント、教育効果
H
教材のオープン化と大学間連携
課題提起者: 中嶋 航一氏(帝塚山大学経済学部教授)
堀 真寿美氏(帝塚山大学TIES教材開発室)
根本  進氏(早稲田大学教務部情報企画課長・メディアネットワークセンター事務長)
前野 譲二氏(早稲田大学メディアネットワークセンター講師)
 教育内容の通用性・高度化を通して、教育の質保証への取り組みが検討され始めている。それには、授業の担当者が、教育内容を公開し、教材をはじめ授業運営のあり方などについて、他大学および社会の専門家から広く意見を取り入れ、改善をはかっていくという自助努力が前提となる。本分科会では、そのような取り組みの一端としての事例を紹介した。
 まず、特徴あるe-Learningシステムを開発し、複数大学連携による教材共有システムを実践されている帝塚山大学から、そのしくみ、実践、効果などを、また早稲田大学からは、e-Learningによる大学連携の実験事例と本格実施に向けた構想を報告していただき、今後の大学における連携のありかたについて参加者とともに討議した。

<キーワード> 大学連携、教材のオープン化、コンテンツ共有と蓄積、共同授業、コミュニティ

13:10 キャンパス見学