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2004年版米国高等教育機関における実態調査(4)
Core Data Service Fiscal Year 2004 Summary Report



翻訳はEDUCAUSEの許可を受けて行い、前号より数回に分けて掲載しています。
第1章〜3章の訳文および原文は、以下のサイトよりご覧いただけます。

訳文 第1章 http://www.juce.jp/LINK/journal/0602/10_01.html
  第2章 http://www.juce.jp/LINK/journal/0603/08_01.html
  第3章 http://www.juce.jp/LINK/journal/0604/09_01.html
原文 http://www.educause.edu/apps/coredata/reports/2004/

第4章 ネットワーキング、技術開発、ITセキュリティ

 第4章では、ネットワーキング、遠隔アクセスの方式、帯域幅、学内テレビ会議の開催能力、新規技術の展開、ネットワークセキュリティの実施についての調査結果に焦点を当てる。

ネットワークスピード、形態

 学内から商用インターネットおよび高速インターネットへの利用可能帯域幅を調査した。表4-1は、カーネギーグループによるインターネットの利用可能帯域の特徴を示している。博士号取得者とその他のレベルは修士課程修了者、学士、アドミニストレーター課程修了者と比較して帯域幅が全体に及んでいるが、お互いの有意差はない。修士課程修了者によればアドミニストレーター課程修了者、学士よりも帯域が全体に及んでいる。学内から商用インターネットへの利用可能帯域幅の中央値はマッチデータから見て全体に増加しており、平均値は150Mbps以上であり、昨年から50%増加している。増加は全グループに見られる。
 学内から高性能ネットワークへのアクセスについて、表4-2は、カーネギーグループの利用可能帯域幅を示している。博士号取得者によれば、大容量データ、映像、学術研究用のアプリケーションためのアクセスが最大である。修士課程修了者の約65%、アドミニストレーター課程修了者および学士の約4分の3は、同様のアクセスはしていない。2003年と2004年を比較すると、高性能ネットワークの全体的な利用可能帯域幅はマッチデータから見て294Mbps付近ですべての大学で増加しており、昨年度増加分の70%は博士号取得者および修士課程修了者によるものである。

表4-1 学内から商用インターネットへ利用可能な帯域幅
  ALL DR MA BA AA OTHER
0 Mbps 0.1% 0.0% 0.0% 0.0% 0.6% 0.0%
>0-4.5 Mbps 17.3% 0.6% 11.2% 24.3% 34.9% 19.3%
4.6-12 Mbps 20.4% 2.3% 24.1% 32.5% 25.9% 15.7%
12.1-44 Mbps 19.7% 9.2% 27.0% 24.3% 16.9% 17.9%
45-89 Mbps 16.9% 21.8% 20.3% 14.2% 14.5% 10.7%
90-154 Mbps 10.0% 23.6% 5.8% 2.4% 4.8% 15.7%
155-299 Mbps 7.2% 20.1% 6.2% 0.0% 0.6% 9.3%
300-999 Mbps 2.8% 10.9% 0.8% 0.0% 0.6% 2.1%
1,000 Mbps以上 5.6% 11.5% 4.6% 2.4% 1.2% 9.3%

表4-2 学内からハイパフォーマンスネットワークへ利用可能な帯域幅
  ALL DR MA BA AA OTHER
0 Mbps 54.8% 9.2% 64.7% 78.7% 74.1% 42.9%
>0-4.5 Mbps 3.0% 0.0% 4.1% 3.0% 3.6% 4.3%
4.6-12 Mbps 5.6% 4.0% 5.4% 5.3% 8.4% 5.0%
12.1-44 Mbps 4.2% 4.6% 5.4% 0.6% 5.4% 4.3%
45-89 Mbps 9.3% 17.2% 9.1% 7.1% 4.2% 8.6%
90-154 Mbps 3.8% 10.3% 2.5% 1.2% 1.8% 3.6%
155-299 Mbps 6.6% 23.6% 2.5% 1.2% 1.2% 5.7%
300-999 Mbps 2.7% 8.6% 2.1% 0.0% 0.0% 2.9%
1,000 Mbps以上 9.9% 22.4% 4.1% 3.0% 1.2% 22.9%


 帯域幅の形態は、学内インターネット接続の利用方式というパラメータ、すなわち接続タイプ、接続のロケーション、トラフィックの方向、時間帯、その他の特性、に依存している。学内では、大きなファイルのダウンロードが基本操作に支障を与えず、学部や学生の学術利用に可能な帯域幅が確保できる帯域幅形態の選択が可能である。
 表4-3によれば、全体の約8%が帯域幅形態やトラッキングなしと答えており、その比率はアドミニストレーター課程修了者の高い値(約19%)によって引き上げられている。アドミニストレーター課程修了者の有効な戦略は利用トラックに現れており、他のカーネギーグループと比較して形態利用は少ない。全般にわたって最も一般的な戦略はネットワークトラフィックのタイプであるにもかかわらず、アドミニストレーター課程修了者の利用は博士号取得者、修士課程修了者、学士よりも少ない。アドミニストレーター課程修了者の時間帯形態は9%だが、学士の3分の1以上と比較して少なく、方向形態は約20%だが、博士号取得者、修士課程修了者、学士の60%以上と比較して少ない。博士号取得者のロケーション形態は約72%だが、全体で最も高い値である。
 マッチデータによると、トラック帯域幅利用の学校の割合が全般的に過去と比較して増加している。(50.9%から62.8%へ)さらに、時間帯、ロケーション、方向で減少を示しているアドミニストレーター課程修了者を除外したすべての機関で、すべての形態が明らかに増加していた。しかし、アドミニストレーター課程修了者も昨年と比較してトラッキングや形態なしが減少し、帯域利用のトラッキングが増加している。

表4-3 帯域幅、トラッキング、形態
  ALL DR MA BA AA OTHER
トラック帯域利用 62.8% 62.1% 59.3% 57.4% 68.7% 69.3%
時刻による形態 25.3% 26.4% 31.5% 34.9% 8.4% 21.4%
キャンパスロケーションによる形態 48.1% 71.8% 62.7% 57.4% 9.6% 27.9%
トラフィックタイプによる形態 69.9% 77.0% 84.2% 85.8% 37.3% 55.7%
方向による形態 50.6% 66.1% 60.6% 68.0% 20.5% 28.6%
トラックまたは形態なし 7.9% 2.3% 2.9% 5.3% 18.7% 13.6%


遠隔およびワイヤレスアクセス

 インターネットおよび学内ネットワークへの遠隔アクセスの供与は、学部および学外にいる学生にとって重要である。調査では、約6種の通常利用方法を、アクセスを供与する4種の組織、すなわち学部、学生、スタッフ、卒業生に質問した。内部モデムプールのアクセスは諸組織に特異的に用いられており、表4-4によれば学部およびスタッフによるアクセスは最も多く、それと比較して学生によるものはかなり少ない。卒業生によるものは全体の6.5%にすぎない。内部モデムプール経由の遠隔アクセスを行う機関の比率は、学部、学生、スタッフで2003年より2004年が明らかに減少している。減少は次年度も連続しており、この方法から撤退しているように思われる。
 表4-5は、学部への遠隔アクセス手段の比率を示している。内部モデムプールによるアクセスは全体の約49%で用いられており、最も一般的な手段である。外部委託モデムプールによるアクセスは約4%であり、機関別の顕著な差異は見られない。ISP経由の機関割引アクセスは約14%であり、一方で助成ISPアカウントのよるものは概略で5%である。
 学内のワイヤレスによるネットワークアクセスは著しく増大している。2004年の(本サマリーレポートを含む大規模な)調査結果によると、学内の8区域、すなわち教室、図書館、オープンスペース、研究施設、管理棟、公共研究室、学生会館、学生寮でワイヤレスの普及が拡大している。一般的に、上記区分やカーネギーグループにおけるワイヤレスの展開レベルには幅広いバリエーションがある。全般的に最も高いレベルの普及は全体の57%を占める図書館に見られ、その76-100%はワイヤレスアクセスであり、昨年より15%上昇している。ワイヤレスアクセスの利用は学生寮、オープンスペース、研究施設で最少である。

表4-4 内部モデムプール経由の遠隔アクセス
  ALL DR MA BA AA OTHER
教職員 49.2% 70.1% 44.0% 52.1% 30.1% 51.4%
学生 35.1% 62.1% 34.9% 33.7% 11.4% 31.4%
スタッフ 54.3% 74.1% 48.1% 55.0% 40.4% 55.7%
卒業生 6.5% 10.3% 6.6% 7.1% 3.0% 5.0%
供与なし 44.3% 25.9% 49.8% 43.2% 58.4% 42.1%
表4-5 教職員への遠隔アクセス供与機関
  ALL DR MA BA AA OTHER
モデムプール 49.2% 70.1% 44.0% 52.1% 30.1% 51.4%
外注モデムプール 4.0% 6.9% 2.5% 3.6% 3.6% 4.3%
ISPの機関配備割引 14.3% 24.7% 12.4% 11.8% 6.6% 16.4%
奨励金ISPアカウント 5.4% 6.3% 4.1% 4.7% 4.2% 8.6%
州学術ネットワーク 19.6% 25.9% 22.4% 11.8% 16.9% 19.3%
地域学術ネットワーク 9.0% 17.8% 5.0% 4.1% 4.2% 16.4%


テレビ会議の開催能力

 テレビ会議の開催能力はすべてのキャンパスで報告されているが、ALLの約5分の1は双方向会議を開ける場所(デスクトップによるテレビ会議を除く)を持っておらず、学士ではこのケースが最も多い(約44%)。さらに、カーネギークラスでは普及レベルが大きく変化しており、表4-6によると、博士機関では上記施設を20以上有している比率が約14%に及ぶ。
 テレビ会議の本部に加えて開催可能なデスクトップの比率を質問した。博士号取得者が最も高く、その他のレベルと修士課程修了者が次に続くというパターンが同様に見られた。表4-7によれば、学士の約半分が専用マシンを持っていなかった。

表4-6 双方向テレビ会議の開始可能な学内サイト数
  ALL DR MA BA AA OTHER
0 20.0% 1.1% 17.4% 44.4% 18.1% 20.7%
1 15.1% 3.4% 16.6% 27.2% 13.3% 14.7%
2 13.9% 7.5% 17.0% 12.4% 19.9% 11.4%
3 10.4% 6.3% 11.6% 5.9% 14.5% 14.3%
4-5 12.8% 16.7% 14.9% 3.6% 16.3% 11.4%
6-10 14.8% 28.7% 14.9% 4.7% 9.6% 15.7%
11-20 8.1% 22.4% 5.0% 1.2% 5.4% 7.1%
21以上 4.8% 13.8% 2.5% 0.6% 3.0% 5.0%
表4-7 デスクトップテレビ会議が可能な学内デスクトップ
  ALL DR MA BA AA OTHER
0.0% 35.2% 6.9% 36.9% 50.3% 45.2% 37.1%
19%以下 45.1% 59.2% 46.5% 34.3% 41.6% 42.1%
20-39% 6.1% 10.9% 4.1% 5.3% 6.6% 3.6%
40-59% 3.9% 8.6% 3.3% 1.8% 2.4% 3.6%
60-79% 3.4% 4.6% 1.7% 4.7% 1.8% 5.0%
80-100% 6.4% 9.8% 7.5% 3.6% 2.4% 8.6%


新規技術の展開

 本年度は高等教育IT部会でいま話題となっている、12の技術の展開レベルについて調査した。10のテクノロジーは昨年からの持ち越しであり、新たに二つの技術(アンチスパムツールとラーニングオブジェクト)を加えた。調査結果は表4-8から4-19に示した。
 表4-8によれば、IP電話(VoIP)技術はALLの23.5%で完全に展開されている。すべての学校でVoIPの展開は昨年から増加しており、試験運用も博士号取得者を除いて同様に増加している。
 表4-9によれば、IPテレビ技術はIP電話以上に広く利用されている。全体の約39%がこの技術を利用しており、その比率は博士号取得者が最も高く、学士が最も低い。この先進技術の利用の比率は短期大学が次に高く、授業と学習への導入が大きな部分を占めていると思われる。この技術利用は昨年から増加しており、IPテレビの導入計画なしは減少した。
 パブリックキーのインフラ(PKI)利用は、学内セキュリティ方策と実施の点できわめて重要であるといっても過言ではない。表4-10によれば、PKIは多くの学内会議で話題となっているにもかかわらず、普及は初期段階に留まっている。事実上、PKIの展開、試験運用、進行中のレベルは昨年から変化がなく、次年度以降もこの技術に動きはない。

表4-8 IP電話テクノロジーの実施状況
  ALL DR MA BA AA OTHER
展開済 23.5% 27.0% 19.9% 12.4% 29.5% 31.4%
試行中 16.0% 36.2% 13.7% 10.7% 4.8% 14.3%
進行中 8.8% 9.8% 7.9% 4.7% 12.0% 10.0%
検討中 38.4% 24.1% 44.4% 49.7% 36.7% 34.3%
計画なし 13.4% 2.9% 14.1% 22.5% 16.9% 10.0%
表4-9 IP映像テクノロジーの実施状況
  ALL DR MA BA AA OTHER
展開済 39.3% 56.3% 41.1% 16.6% 42.2% 39.3%
試行中 9.2% 14.4% 6.6% 9.5% 3.0% 14.3%
進行中 11.5% 13.2% 12.9% 7.7% 12.0% 10.7%
検討中 27.8% 14.4% 29.5% 37.9% 30.1% 26.4%
計画なし 12.2% 1.7% 10.0% 28.4% 12.7% 9.3%
表4-10 PKIテクノロジーの実施状況
  ALL DR MA BA AA OTHER
展開済 15.8% 14.9% 14.1% 12.4% 21.7% 17.1%
試行中 3.7% 9.2% 2.1% 3.0% 1.2% 3.6%
進行中 6.4% 10.9% 4.1% 5.3% 5.4% 7.1%
検討中 34.0% 46.0% 34.9% 30.8% 22.3% 35.7%
計画なし 40.0% 19.0% 44.8% 48.5% 49.4% 36.4%

 博士号取得者は他の機関と比較してエンタープライズディレクトリィ技術を利用しており、今年に限ればすべての機関の半分以上も利用している。このようなディレクトリィはPKIが要求するオーセンティケーション(アクセス権限の検証)や権限委譲に影響を与えるためきわめて重要である。表4-11によれば、回答者の大多数はすでに展開中か、検討中または進行中である。全般的に、エンタープライズディレクトリィ技術の展開は昨年から増加している。
 学内におけるバイオメトリック技術の展開はごく少数に留まっており、これにはセキュリティ対策としての指紋や網膜のスキャン、その他の生理学的手法によるユーザ認証が含まれる。全体の70%以上がバイオメトリックのプランニングさえしていないが(表4-12参照)、昨年から試験運用と検討中の数は全体で増加している。
 表4-13によれば、スマートカードの展開は博士号取得者が最大であり、アドミニストレーター課程修了者が最小である。スマートカード技術を展開しているのは全体の約19%にすぎず、37%以上が計画なしと答えている。この技術の展開はすべての回答者で昨年から増加しており、変化の大部分は学士でのものである。

表4-11 エンタープライズディレクトリテクノロジーの実施状況
  ALL DR MA BA AA OTHER
展開済 63.1% 77.0% 61.8% 56.2% 51.2% 70.7%
試行中 3.4% 3.4% 3.7% 4.1% 1.8% 3.6%
進行中 14.9% 15.5% 21.2% 13.6% 9.6% 11.4%
検討中 9.9% 2.9% 9.1% 9.5% 18.1% 10.7%
計画なし 8.7% 1.1% 4.1% 16.6% 19.3% 3.6%
表4-12 バイオメトリックテクノロジーの実施状況
  ALL DR MA BA AA OTHER
展開済 2.7% 5.7% 2.5% 1.8% 1.2% 2.1%
試行中 3.3% 5.7% 4.1% 0.6% 0.6% 5.0%
進行中 1.6% 3.4% 0.8% 0.6% 1.2% 2.1%
検討中 21.7% 30.5% 59.9% 17.2% 19.3% 22.1%
計画なし 70.8% 54.6% 72.6% 79.9% 77.7% 68.6%
表4-13 スマートカードテクノロジーの実施状況
  ALL DR MA BA AA OTHER
展開済 18.7% 25.3% 20.3% 21.3% 4.8% 20.7%
試行中 2.5% 4.0% 1.7% 2.4% 1.2% 3.6%
進行中 6.2% 6.3% 6.6% 5.3% 5.4% 7.1%
検討中 35.6% 36.8% 33.6% 36.1% 34.3% 38.6%
計画なし 37.1% 27.6% 37.8% 34.9% 54.2% 30.0%

 Webサービス技術は一組のツールであり、システム開発にとっての建築用ブロックにあたる。表4-14によれば、この技術は全般的に多くの機関やカーネギークラス内部で比較的進行している。博士号取得者のほぼ74%がWebサービス技術を展開しており、13.8%が試験運用または進行中である。学士、アドミニストレーター課程修了者は各々57.4%、55.4%がこの技術を展開しており、各々約15%が試験運用または進行中である。全般的に、この技術の展開は2003年から2004年にかけてすべての機関で増加しており、展開の計画なしの比率はすべての回答者で減少している。カーネギーグループでの様々な技術の展開状況について論じてきたが、前述と相当異なっているのは、アンチウィルスソフトがすべての機関のほぼ99%で展開されていることであり、機関ごとでも最低98%に及んでいる。表4-15によれば、アンチウィルスソフトの展開は一貫して高いレベルにある。
 表4-16によれば、電子認証技術はバイオメトリックと同様にすべてのグループを通じて、高等教育機関では一般的であるとはいえない。この技術の展開は、試験運用と進行中を含めて博士号取得者が最も高く約25%であり、修士課程修了者とその他のレベルがそれに続き約21%である。すべての機関の36%以上がこの技術の計画さえもない状況である。
 表4-17によれば、ワイヤレスセキュリティ技術は博士号取得者でとくに進行しており、69%が展開中と答え、実施計画なしは1%以下だった。博士号取得者の26.5%は試験運用または進行中だった。修士課程修了者およびその他のレベルの約半分がワイヤレスセキュリティ技術を展開しており、アドミニストレーター課程修了者の約36%がカーネギークラス中で最低の比率だった。この技術の展開は昨年から急上昇しており、全般的には約15%の増加であるが、すべての機関で増加している。

表4-14 ウェブサービステクノロジーの実施状況
  ALL DR MA BA AA OTHER
展開済 63.3% 73.6% 67.6% 57.4% 55.4% 59.3%
試行中 3.8% 6.3% 3.3% 3.0% 3.0% 3.6%
進行中 10.2% 7.5% 6.6% 11.8% 11.4% 16.4%
検討中 14.6% 10.9% 11.6% 18.9% 16.9% 16.4%
計画なし 8.1% 1.7% 10.8% 8.9% 13.3% 4.3%
表4-15 アンチウィルスソフトウェアの実施状況
  ALL DR MA BA AA OTHER
展開済 98.9% 98.3% 98.3% 99.4% 99.4% 99.3%
試行中 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0%
進行中 1.0% 1.7% 1.2% 0.6% 0.6% 0.7%
検討中 0.1% 0.0% 0.4% 0.0% 0.0% 0.0%
計画なし 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0%
表4-16 電子署名の実施状況
  ALL DR MA BA AA OTHER
展開済 7.4% 6.3% 7.9% 7.1% 7.2% 8.6%
試行中 4.6% 9.2% 5.4% 1.8% 3.0% 2.9%
進行中 7.2% 9.8% 7.9% 4.7% 3.6% 10.0%
検討中 44.6% 55.7% 44.8% 36.1% 43.4% 42.1%
計画なし 36.2% 19.0% 34.0% 50.3% 42.8% 36.4%
表4-17 ワイヤレスセキュリティテクノロジーの実施状況
  ALL DR MA BA AA OTHER
展開済 49.8% 69.0% 51.0% 41.4% 36.1% 50.0%
試行中 11.2% 12.1% 12.4% 10.1% 10.2% 10.7%
進行中 19.2% 14.4% 15.4% 21.3% 25.9% 21.4%
検討中 17.2% 4.0% 17.4% 25.4% 24.7% 14.3%
計画なし 2.6% 0.6% 3.7% 1.8% 3.0% 3.6%

 今年度の調査では新規技術としてアンチスパムツールのデータを加えた。表4-18によれば、すべての回答者の約80%がこの技術を展開しており、博士号取得者が最も多く(88.5%)、アドミニストレーター課程修了者が最も少ない(約71%)。今年度の調査に含まれるもう一つの新規技術はラーニングオブジェクトであり、表4-19で示すように、今回の調査では展開している機関はまれである。全回答者のほぼ40%、学士のほぼ50%がこの技術の利用を計画していない。しかし、全回答者の34%がラーニングオブジェクトの実施を検討しており、この技術は将来的に注視する価値がある。

表4-18 アンチスパムツールの実施状況
  ALL DR MA BA AA OTHER
展開済 79.6% 88.5% 79.7% 76.9% 71.1% 81.4%
試行中 4.4% 2.3% 3.7% 5.9% 4.2% 6.4%
進行中 8.7% 5.2% 11.2% 9.5% 10.2% 5.7%
検討中 6.5% 3.4% 5.0% 7.1% 12.7% 5.0%
計画なし 0.9% 0.6% 0.4% 0.6% 1.8% 1.4%
表4-19 ラーニングオブジェクトの実施状況
  ALL DR MA BA AA OTHER
展開済 9.8% 12.1% 7.9% 5.3% 13.9% 10.7%
試行中 4.7% 6.9% 5.8% 3.6% 3.0% 3.6%
進行中 11.9% 14.4% 8.7% 10.1% 12.0% 16.4%
検討中 34.0% 33.9% 35.3% 31.4% 30.1% 40.0%
計画なし 39.6% 32.8% 42.3% 49.7% 41.0% 27.3%


セキュリティ

 本章における最後の分析対象はセキュリティの領域であり、これにはサービスの破壊、侵入、その他のセキュリティブリーチから学内を保護するプロセスが含まれている。学内に対応するセキュリティ保護の最も一般的なタイプはおそらくファイアウォールである。しかし、経験上単独のファイアウォールでは、セキュリティに脅威を与える多くの個人が、学生やファイアウォールで保護された環境内で仕事や操作をしている職員であるため、セキュリティに十分ではない。表4-20は、利用されている様々な方法と、カーネギーグループ内でのその相対度数を示している。
 全般的に、全回答者の1%以下はファイアウォールがなかったが、外部インターネット接続ではファイアウォールの展開が最も一般的な方法である。全般的に、後者の比率は昨年の82%から今年は86.6%に上昇した。これは博士号取得者を除くすべてのカテゴリーに属する学校の大部分に当てはまり、個々の組織による高度セキュリティサーバーを囲むファイアウォールの展開がしばしば報告されている。
 表4-21は、ソフトウェアパッチの使用とパターンおよび学内におけるセキュリティ保障の実施を示している。最も一般的な方法はすべての重要なシステムに必要である迅速なパッチ処理とアップデートであると全回答者の96%が答え、カーネギーグループ内で有意な差はない。
 次の一般的な方法は学内所有あるいはリースコンピュータに必要である迅速なパッチ処理とアップデートであると全回答者の約82%が答えている。重要なシステムで知られているセキュリティ上の欠陥の順向スキャンが第三の方法であり、全回答者の約4分の3が回答している。最も少ない回答は、学内のネットワークに接続している個人所有のコンピュータで行なうセキュリティ上の欠陥の順向スキャンであり、全回答者の約39%である。
 全般的に、セキュリティ関連の実施は昨年と比較して圧倒的に増加しており、カーネギーグループでは普遍的である。重大な落とし穴の増加を示していない唯一の方法は、すべての重要なシステムに必要である迅速なパッチ処理とアップデートであるが、すでに適所で実施されており、昨年は95.5%、今年は96.5%に及んでいる。

表4-20 学内ファイアウォールの方法

  ALL DR MA BA AA OTHER
外部インターネット接続によるファイアウォール 86.6% 64.4% 92.5% 91.1% 94.0% 90.0%
高度セキュリティサーバーまたは
ネットワーク関連のファイアウォール
61.1% 87.4% 67.2% 46.2% 39.8% 61.4%
個別学部による/に代わるファイアウォール展開 33.6% 77.0% 31.5% 11.2% 13.9% 33.6%
パーソナルファイアウォール製品の学内サイトライセンス 14.0% 19.5% 17.0% 7.7% 10.2% 14.3%
1以上のファイアウォールの実施予定 17.6% 30.5% 17.4% 9.5% 10.8% 20.0%
ファイアウォールなし 0.7% 0.7% 0.0% 0.6% 1.2% 0.6%

表4-21 セキュリティ関連実施状況

  ALL DR MA BA AA OTHER
全重要システムの迅速パッチ処理とアップデート 96.5% 95.4% 97.5% 98.2% 95.8% 95.0%
学内コンピュータの迅速パッチ処理とアップデート 82.2% 73.0% 88.0% 87.0% 80.1% 80.7%
PCの迅速パッチ処理とアップデート 46.2% 50.6% 53.5% 54.4% 21.7% 47.1%
重要システムの事前スキャン 74.3% 87.9% 78.0% 71.0% 60.8% 70.7%
ネットワーク接続学内コンピュータの事前スキャン 63.1% 72.4% 66.4% 56.2% 56.6% 62.1%
ネットワーク接続PCの事前スキャン 38.7% 54.0% 42.3% 40.8% 17.5% 35.7%
侵入探査システムを含むセキュリティシステム 49.6% 72.4% 50.2% 35.3% 35.5% 536.0%

 以前の章で、学内におけるセキュリティ関連施策への参加の関与を質問した。調査結果はセキュリティ関連施策への協力を示している。表4-22によれば、施策への関与と参加の度合いが、カーネギーグループにおいて、一つの区分を除き大変多様であることがわかる。すべてのケースにおいて、CIOまたは中央IT組織代表者が最も一般的であり、全体の約96%であり、各グループごとでも90%以上である。他と比較して博士号取得者で高率なのは、IT施策/セキュリティ担当役員、相談役、監査役、学内事務担当者の関与である。学長会議は他のグループと比較してアドミニストレーター課程修了者で高率である。学士は他のどのグループよりも、IT施策/セキュリティ担当役員、監査役、学内事務担当者、当該機関で低率である。
 最後に、今年は新たにITセキュリティリスク評価に着手している大学数を質問した。表4-23によれば、全体の52%が着手を肯定した。カーネギーグループを見ると、いくつかの有意差が明らかになった。博士号取得者は他のグループと比較してリスク評価の着手率が高く(70%以上)、学士およびアドミニストレーター課程修了者の着手率は半分以下であった。

表4-22 セキュリティ政策諮問関係者
  ALL DR MA BA AA OTHER
IT政策/セキュリティ担当役員 64.0% 82.8% 57.3% 49.1% 59.6% 75.7%
CIO/中央IT機関責任者 95.5% 99.4% 97.9% 92.3% 90.4% 96.4%
監査役 43.7% 72.4% 42.7% 21.3% 30.1% 52.9%
相談役 53.3% 89.1% 56.0% 35.5% 30.7% 52.1%
財政担当役員 57.3% 63.2% 63.5% 52.7% 50.0% 53.6%
学術担当役員 54.8% 65.5% 56.8% 50.9% 51.2% 47.1%
キャンパスポリス 17.1% 27.0% 20.3% 11.8% 13.3% 10.0%
学長会議 63.1% 59.2% 68.5% 60.4% 72.3% 51.4%
評議員会 13.7% 20.7% 13.3% 10.1% 12.7% 11.4%
学内作業部会 25.5% 50.5% 19.5% 14.2% 22.3% 22.9%
テクノロジー諮問委員会 64.6% 67.2% 63.1% 62.1% 66.9% 64.3%
教職員委員会 33.1% 47.7% 37.3% 27.8% 22.3% 27.1%
当該機関/システムオフィス 21.6% 25.9% 25.3% 6.5% 33.7% 13.6%
政策展開なし 0.7% 0.0% 0.4% 0.0% 1.8% 1.4%

表4-23 学内ITセキュリティリスク評価
  ALL DR MA BA AA OTHER
Yes 52% 70.1% 53.5% 36.7% 40.4% 59.3%
No 48% 29.9% 46.5% 63.3% 59.6% 40.7%

(次号に続く)


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