分野別教育に求められる情報活用教育の考察

1.分野別教育における情報教育のガイドライン

(1)分野別情報教育の検討の経緯
 専門教育と教養教育の統合教育として、大学での情報活用能力の教育があげられる。これまでは、基礎的な情報リテラシーの修得に比重がおかれてきたが、これからは、本質的な学びを目指す学士力の構成要素として機能することが要請される。そのためには、分野別の学士力に求められる情報活用能力として、例えば、信頼性に基づく情報の「選別・識別」、情報の瓢窃などの「倫理」への配慮、情報の整理・分析法、情報の表現・蓄積・発信に関する「手法・心得」などの能力が不可欠となる。
 本協会では、とりまとめた分野別の「学士力考察」及び医学・歯学・薬学・看護学のモデコアカリキュラムを踏まえて、各分野の学士力を実現する一つの構成要素としての情報活用能力について検討を行い、30分野の情報教育のガイドラインをとりまとめた。

(2)分野別情報教育の内容・範囲
 分野別教育の学士力考察を踏まえ、分野固有の学びの中で適切な情報の取り扱いについて、体験を通して身につけ、社会で適切かつ適正に「情報活用能力」を発揮できるようにする。
 学修の到達目標を三つ以内掲げ、それぞれに学びの深さとしての「到達度」及び授業のイメージを例示した「教育内容・教育方法」、「到達度確認の測定手段」を整理した。
ヾ靄榲な情報リテラシー能力に加えて、分野固有の学修に必要な情報活用力を身につける。
∧野固有の学修に必要な信頼できる情報の所在、構成、背景などを理解し、情報の収集を行うことができる。
収集した情報を社会秩序に配慮して加工・表現・発信等ができる。
こ愀亙野固有のソフトの取り扱いや活用技術を身につけ、ソフトの使用結果をそのまま信用するのでなく、批判的に吟味できる。
コ惱い防要な関連情報のデータベース化やコミュニケーションを深める情報通信技術を身につける。

(3)教育体制
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 情報の「信頼性」、「倫理性」、「正当性」、「相関性」等に配慮した教育プログラムを修学期間中に身につけられるようにするには、教養教育、分野別の専門教育を通して学びが身につくようにすることが不可欠である。とりわけ、瓢窃など情報倫理に関する教育は、初年次教育、共通教育に依存するだけでは実践力として定着しないことから、あらゆる授業の場を通して理解の徹底を図る必要がある。
(情報倫理の教育については、http://www.juce.jp/rinri-gakushiryoku/を参照)

教員の教育力開発
 情報の取り扱いに関する問題は、高度情報化社会に生きる人間の在り方にかかわることから、自律的に加害・被害を防止する「心」の訓練と日々情報に接する時の「姿勢・態度」の意識付が不可欠である。そのためには、ケーススタディによるグループ学修を通じて身近かな問題として認識させることが重要で、専門教育の様々な場面においてとりあげていくことを学内で共通理解しておくことが望まれる。それには、FDの課題としてとりあげていただき、教員に情報教育の重要性を理解いただくとともに、真正情報の選別方法、剽窃問題への注意喚起の仕方、ソフト使用結果に対する批判的な吟味法、情報の不適切な管理など、情報に関する問題について常に関心を持ち、研修を受けることが必要となる。

(4)大学のガバナンスによる支援
 大学は、情報の取り扱いに関する研修をFDの中で位置づけ、本協会などと連携して積極的に取り組まれることが望まれる。実現の成否は、教員間の連携、大学としての情報環境の整備・支援が大きく関与してくることから、情報教育に対するガバナンスの理解が重要である。他方、学校法人は情報管理適正化への取り組みとして、教職員には就業規則、学生には学則の中で不正な情報の取り扱いに対して何らかの方法で注意喚起もしくは制裁について意思表示を行い、学校法人の社会的責任を明確化しておく必要がある。

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