基礎講習Aグループレポート

第1グループ 寸評【夢探しキャンパス ~満足した卒業を目指して~】

 「退学する学生が多い」という問題に向き合い、学生が夢や目標を描くための学びの環境づくりを構想した。それは、新入生、先輩学生、教職員が相互につながり、刺激し合う中でひとり一人の夢探しを応援するキャリア教育プログラムである。そして、これを効率化・経済化する手段としてWebコミュニケーションツールを提案した。
 モデル設計にあたっては、PCDAサイクルのうちPlan(計画)とCheck(評価)との相互関連性に注目した。つまり、事前・事後チェックの比較や年次的追跡調査、あるいは学生自身の振り返りなど、多様な評価のあり方を考えながら計画の精緻化を追求する、というシステマチックな検討プロセスを採用した。その結果、「夢探しキャンパス」という魅力的なビジョンの実現を予感させる実践的なモデルに仕上がった。
 本提案の基本的な考え方は「協働」である。学生は教育や支援、サービスの受け手だけに止まらない。学生が大学の構成員として学生支援の主体的役割を担う。これが彼ら彼女らの自己効力感を刺激し、人間的成長を促すのである。メンバーのみなさまには、本研修会での学びを活かし、引き続き「協働」という観点から所属大学における人材育成支援に力を発揮されることを期待する。

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第2グループ 寸評【君は一人じゃない ~手を差し伸べる学生支援室~】

 学生が他者とのつながりの中で学び、成長すること。例えば、社会貢献を通じて自己を形成していくプロセスなどが人材育成にとって重要である点に着目し、キャンパス内にこれを促す場(コミュニティ)を創出することを構想した。そこでは、学生たちが互いに支え合い、チームワークによって困難を乗り越えることを学び、達成感を得る。それは、単に支援される学生を「待つ学習支援室」ではない。コミュニティの形成を促すような、「手を差し伸べる学生支援室」あるいは「迎えに行く学習支援室」である。
 例えば、情報ネットワークを使い、支援して欲しいことと支援できることをマッチングする。あるいは、「他にも同じ悩みを抱えている人がいる」ことに気づかせ、コミュニティを通じて不安や悩みを解消するなど、学生の内面的な活動へのアプローチを試みたチャレンジングな提案である。 そして、この取組を実質化するため、新たな学生支援モデルの組織的な役割と機能(例えば、学生支援室が、支援される側と支援する側双方に対して「一人じゃない」というメッセージを送るなど)について検討を加えた。メンバーのみなさまにはここでの議論から学んだことを踏まえ、学生の立場に立って問題の本質を探求する姿勢を持ち続けていただきたい。

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第3グループ 寸評【将来のビジョンを創造するための情報活用 ~夢に向かって~】

 受身姿勢の学生が増える現状に注目し、夢に向かって考え、行動できる学生、つまり「将来のビジョンを自ら描いていける学生を創出する」ことを大学のミッションと位置づけ、その具体的方略を構想した。それは、キャリア形成支援と学修支援を複合的に組み合わせた情報ツールを開発し、学生相互のつながりに加え、教職員、同窓生の参加を得たコミュニティを形成するものである。そして、コミュニティへの参加者がそれぞれに与えられた役割を担い、このコミュニティを“夢を実現するフィールド”に発展させていくプロセスを検討した。また、ツールを運用する組織的な体制(“肥料や水やり”といった教職員の協働によるサポート体制)や教職員の資質向上(大学教員・大学職員としての“人間力”向上)にも言及した。
 なお、情報ツールには「夢のなる木を育てる」や「夢のなる森をつくる」など感性に訴える情報を適切に使い、利用者にとってイメージしやすい機能を実装することを試みている。そして、この視覚的なイメージによって、提案内容は訴求力の高いものとなった。
 メンバーは一貫して「学生の夢の実現へ向けて」という議論の方向性を共有し、これによって最終提案は学生、教職員、同窓生の情報共有とコミュニケーションを促す実践的な戦略モデルに結実した。この検討のプロセス、つまりビジョンを具体化、共有した上で課題解決を考えるプロセスを自大学でのプロジェクト実践に活かしていただきたい。

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第4グループ 寸評【選ばれる大学になる ~情報活用によるグローバルな人材育成のあり方~】

 「グローバル化時代に求められる大学、選ばれる大学とは?」という問題設定にもとづき、PDCAマネジメントサイクルを基本とした人材育成プログラムを構想した。具体的には、「目標設計シート」と呼ぶ自己マネジメントツールを設計し、これを活用したPDCA実践モデルを提案した。その検討プロセスは、次の点で特筆に値する。
1.社会からの要請、時代の要請を丁寧に分析した
2.チームとして考えるグロバール人材像を具体化・明示化した
3.これら2つの観点から大学の現状を省察し、解決すべき課題を浮き彫りにした
4.検討のフレームワークとしてPDCAマネジメントサイクルを採用し、議論の焦点化を図った
5.学生のPDCA、教職員のPDCA、組織のPDCAというようにPDCAサイクルを多層的に捉えた
6.運用面でのリスクや阻害要因を考慮し、その解決策を考えた
 これらの観点による探求的な検討を経て、グローバル人材を育成するための評価指標と評価方法が丁寧に組み合わされた実践モデルに結実した。
 なお、本グループは「教員も職員も一丸となって全学的に学生をサポートしなければ、成功はありえない。教職員の協働がこのPDCAの要とも言える」と提言している。これは、あらゆるプロジェクトを成功に導く根源的、普遍的な真理であろう。メンバーのみなさまには、この学びを踏まえ、所属大学においてPDCAサイクルにもとづく取組に挑戦されることを期待する。

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