薬を飲まなくてはいけないとわかっていても,「長く飲み続けて大丈夫なんだろうか」「副作用が気になる」など不安や理解不足あるいは様々な心の事情を抱える患者さんがいます。こういう患者さんに対して,薬剤師がどのように対応したらいいのでしょうか。カウンセリングマインドは,患者さんが自分の話している内容に注意を向け,「本当は何が気になっているのか」「何が問題なのか」と,患者さん自身の気持ちや考えをみつめ,問題解決に向かうことを手助けするものです。服薬指導とは少し意味合いが異なり,服薬援助という新しい薬剤師の介入の方法です。カウンセリング分野ではカウンセラーはあくまでもクライアント(患者さん)の心の杖であると位置づけています。あなたがもし足を骨折したら,松葉杖が必要になるでしょう。そして治ったら杖は必要はなくなります。同じように骨折=心の変動,杖=薬剤師の援助と置き換えてみてください。杖は何をしたでしょうか。患者さんの必要なニードを捉え,それに即した対応をしただけです。 また,カウンセラーの立場は,「クライアントを助けなければならない」ではなく,「一緒に考えて少しでもいい方法を見つけましょう」というものです。とかく薬剤師は「先生」と呼ばれる職種のため,患者さんと上下関係ができがちですが,ことカウンセリングでは同等の人間関係です。カウンセリング技術を身につけることにより,今までと違った患者さんとのコミュニケーションが形成されることでしょう。